吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

どこまで下がる? 不動産・マンション

タイトルは、週刊東洋経済の4月11日号から拝借しました。いい加減、悲惨を極める不動産業界をネタにした記事には食傷気味ですが、ある意味、この特集は面白く読めました。

その理由は後ほどとして、先ずは法政跡地の近況など。下の写真の通り、相変わらず地下部分の工事中ですが、大分配筋が立ち上がってきたようです。損失確定に向けて工事が進む中、販売の方はと言えば、販売戸数・販売価格を明示しない予告広告をいつまでも続けています。その一方で、「モデルルーム事前案内会」と銘打って実質的な販売活動を行い、秘密裏に価格も公表するという脱法行為を続けています。よほど、自分たちの価格設定に自信がないようです。

工事現場全景090406(配筋が立ち上がってきています、クリックで拡大)

話は変わりますが、3月30日に倒産したアゼルの債権者がこちらに公表されています。順を追って見ていくと、<買掛金・未払金>長谷工コーポレーション134百万円、<支払手形>長谷工コーポレーション833百万円、<未成工事・不動産事業受入金>長谷工アーベスト12百万円など、合計10億円近い長谷工グループの債権額が明らかになっています。

にも関わらず、本日現在まで長谷工は何のプレスリリースも出していません。何か、損失額を公表できない訳でもあるのでしょうか? それとも、日本綜合地所で100億円以上の焦げ付きを作った長谷工さんにとっては、10億円程度ははした金という訳なのでしょうか? 「債権額は申請書類によるもので、確定債権とは異なる」とのことなので、もしかすると「倒産近し」と見た長谷工が、アゼルから強引に取り立てて債権が消滅していたりして… カラクリが知りたいところですね。

さて、冒頭の東洋経済の特集についてです。内容自体は、既にあちこちで書かれていることが多く、既視感が否めません。しかし、「苦境の”不動産金融王”、どうなるオリックス」や、森稔・森ビル社長のインタビュー「今こそ東京大改造の好機 景気浮揚効果も巨大だ」は、興味深く読みました。

オリックス森ビルと言えば、現代の代表的な政商と言えるでしょう(この両者が登場する「"官から民へ"に群がる現代の政商たち」などが参考になります)。この特集のキャスティングには、「不動産・マンション」という切り口を通して、今回のバブルを演出したキープレイヤーをあぶり出そうとしている裏の意図があるような気もします(考え過ぎでしょうか?)。

オリックスの宮内会長は、「かんぽの宿」問題で相当叩かれ、お茶の間にもその政商振りが周知されたことと思いますが、森ビル政商振りも負けてはいません。このインタビュー記事一つ取ってみても、○○の一つ覚えのごとく、「公共投資の対象として最も望ましく、効果も上がるのは都市再生事業だ」と「私は不景気のたびに同じことを言ってきた」などと恥ずかしげもなく述べています。「都市再生事業」が、所詮はバブルを引き起こしただけで、何ら抜本的な産業構造の改革をもたらさなかったことは、ここでは完全にスルーです。

その上、「自民党の国土交通部会で(中略)、『都市再生』ファンドの予算の拡充と『土地取得・譲渡業務』の復活をお願いした」などと、税金で自らの便宜を図れと言わんばかりの身勝手な要求を行ったことを明らかにしています。そんなことを要求する暇があれば、自分たちのビルの回転ドアの安全性向上策を議論するのが、事故を起こした企業のトップとしての責任というものでしょう。

なお、「都市再生」が如何にまちづくりに有害なものかという点については、「『都市再生』がまちをこわす―現場からの検証」が参考になります。森ビルの六本木ヒルズ開発問題、長谷工の都立大跡地問題(深沢ハウス)など、ここで紹介した環境破壊業者がこれでもかと登場してきます。ご興味をお持ちの方はご一読下さい。

「都市再生」がまちをこわす―現場からの検証「都市再生」がまちをこわす―現場からの検証
(2004/05)
建設政策研究所

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ところで、この特集には、長谷工岩尾社長のインタビュー記事も当然のごとく掲載されています(マンションバブル演出の最大の功労者ですから)。内容は、「マンション不況は厳しいが トンネルの先に光が見えた」というタイトルが示す通りの、「建築コストが下がった」、「モデルルームの来客数が増加した」から、回復の兆しが見えたというワンパターンな主張です。ここには、大量の完成在庫の存在や、塩漬けとなっているマンション用地の存在、そして何より、空室率10%を大幅に上回る住宅の供給超過問題を完全に無視し、なおも新築物件の大量供給を続けようとする、長谷工の身勝手振りしか見えてきません。もういい加減、この手の前近代的な輩にはご退場願いたいものです。

モデルルームの来客数増加も、今年に入ってからあちこちで聞かれるフレーズです。しかし、先日複数の不動産業界の方に話を聞く機会がありましたが、実情は「来客数は多くなったが、『マスコミが煽るので自分でも買えるのではないか』と考えた所得水準の低い人の来場が多く、申し込みを受けても住宅ローンが通らないケースが多い。ローン審査が厳しくなっていることも感じているが、それ以上に客の質が悪くなっている」と異口同音に述べていたことが印象に残っています。これが少数派の意見かどうかは、皆様のご判断にお任せします。

最後に、恒例の岩尾社長の入社式挨拶 をご紹介しておきます。駄文をいちいち掲載するのは無駄なので、ご興味をお持ちの方はリンクを辿って下さい。「土地情報の取得から企画・設計、施工、販売、管理、賃貸まで行う独自のビジネスモデル」などと大仰にのたまっていますが、それが「単なる自社施工のマンションデベロッパー」のことだと気付いていない点など、突っ込みどころが満載です。

一点だけ、この勘違いだけは指摘しておきます。これだけモラルのない企業として社会的に認知されている長谷工のトップにも関わらず、「法令、ルールはもとより、約束を守り信頼される人間・社会人になっていただきたい」などとのたまう岩尾社長の厚顔無恥振りです。先ずは、長谷工を「約束を守り信頼される」企業に変革することこそ、自らの使命だと認識して欲しいものです。但し、それは長谷工消滅まで実現することのない幻だと思いますが…

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アゼル、逝く。

年度末も押し迫った30日の早朝、とうとう長谷工の忠犬の一社であるアゼルが自己破産を申し立てて倒産しました。恒例のTDB大型倒産速報マンション分譲、建築請負 東証1部上場 株式会社アゼル 破産手続き開始決定受ける 負債442億円によると、

 東証1部上場の(株)アゼル(資本金150億円、大田区西蒲田8-23-1、代表古江正氏ほか1名、従業員145名)は、3月30日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた(中略)。

 当社は、1956年(昭和31年)11月に創業、57年(昭和32年)11月に法人改組した。元々建築工事を主体としていたが、その後自社開発による分譲マンションの販売に進出するほか、パチンコ店経営なども行い、83年12月には東証2部へ、86年10月に東証1部へ上場を果たしていた。「エンゼルハイム」のブランド名を冠したマンション販売を主力に、グループ会社を通じて建設事業、金融事業、レジャー事業などを手がけ、97年3月期には年売上高約647億9300万円(単体ベース)を計上、中堅デベロッパーとしての地位を確立していた。

 しかし、競合の激化、不動産価格高騰の影響から用地仕入れが困難となり一部プロジェクトが停滞するなどしたことで、2005年3月期の年売上高は約282億2700万円にダウン。近時においては、不動産有効活用を目的とした収益物件の購入や転売、仲介など業務拡大を目指したことで売上高は400億円台を回復していた。

 しかし、昨今の不動産業界を取り巻く環境の厳しさから当社の業績も再び落ち込み、2008年3月期は年売上高約328億9600万円に対し、約38億6300万円の最終赤字を余儀なくされていた。昨年6月には、プロスペクトグループから代表ほか役員の派遣を受けるなどして再建を目指したが、昨年9月のリーマンショック以降は金融機関からの資金調達はさらに厳しさを増していた。このため、固定資産の売却を計画的に進めていたが、3月に入って第三者割当増資の中止とともに、今月の決済を予定していた売却案件において譲渡先からの入金がなされない事態となったことで資金繰りの目処が立たなくなり事業継続を断念、今回の措置となった(後略)。



この会社の忠犬振りについては、以前のエントリ輝く!長谷工忠犬度ランキング(第2の近藤産業を探せ!)を、苦境振りについては管理会社召し上げで忠犬はお役ご免?をご参照いただければと思いますが、とにかくいつ倒産してもおかしくない幽霊会社だった訳で、結局3月末は越せなかったようです。まあこれも、長谷工と付き合った代償だと思って諦めてもらう他はありません。

さて、最終的にアゼルはどれくらい長谷工に尽くし、そしてそのツケを払わされることとなったのでしょうか? アゼルのHPに掲載されている物件一覧でそれを確認してみたいと思います。自己破産申請時点で掲載されている物件は全14物件(東京・神奈川エリア各3物件、埼玉エリア2物件、千葉・茨城エリア各1物件、関西エリア4物件)。そのうち、戸建分譲案件1件を除いた13物件中、何と7物件が長谷工案件ということで、長谷工比率は54%にも上ります。特に、関西エリアは4物件中3物件が長谷工案件という集中振りで、安易に長谷工のクズ案件に乗った経営判断の甘さは、まさしく「後悔先に立たず」でしょう。

但し、個別の物件を見ていくと、先行した日本綜合地所やニチモのケースと異なる様子が見えてきます。長谷工案件の全7物件中、「春日部イーマークス」(2006年9月竣工済)、「サンプレージ吉川」(2007年2月竣工済)、「エンゼルフィールズ枚方公園」(2007年4月竣工済)の3物件については「完売御礼!」の文字が踊っています。これらがいつ完売したのかについては不明ですが、HPに掲載されていることから見て、おそらくは最近完売したものでしょう。それにしては、竣工時期が凄まじく古い物件ばかりです。マンション市況が大幅に悪化する前から深刻な売れ行き不振が続いた長谷工物件が、アゼルの資金繰りを圧迫した可能性もありそうです。

残る4物件(センターフォート、ザ・レジデンス千葉ニュータウン中央、グランマークス久宝寺、サウスオールシティ)は、何れも長谷工の忠犬たちで構成されたJV案件ですから、アゼルの持分を長谷工が引き取って事業そのものは続けられるのでしょう。残念ながら、これらのデータからは長谷工の貸倒損失はそれほど多くなさそうです。

しかし、この4物件の中に、ニチモ倒産で、長谷工の損失ハウマッチ?でご紹介したニチモの長谷工案件が2物件含まれているのは実に象徴的です。長谷工にリスクを負わされていたデベロッパーの倒産が相次ぎ、事業リスクが長谷工に集中しつつあるという構図が、ここでもはっきりと現れています。マンションを取り巻く環境は、4月以降も悪化することはあれど、良くなる兆しなど全くありません。それでもただ闇雲に建て続ける長谷工には、どのような未来が待ち受けているのでしょう?

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ブランシエラ川口青木町公園

最近、表立って動きがないもので、ついつい更新が滞りがちです。一応、現地の近景をアップしておきます。依然として地下部分の工事中で、工事進捗ははかばかしくないようです。そのためかどうかは分かりませんが、建物竣工時期が来年の3月上旬に、引渡時期が来年4月上旬に延びたようです。3月決算を超えての引渡が、余裕のなせる技なのか、それとも赤字確定プロジェクトの赤字計上時期を少しでも送らせるための作為なのかは不明ですが、3月末の突貫工事が未然に防止されたということは望ましいことだと思います。

現場全景0321(依然として地下工事中、クリックで拡大)

上の写真ではちょっと(高圧線の鉄塔と重なって)分かりづらいのですが、写真の奥の方に櫓のような鉄骨が組まれています。場所的に、今後の躯体工事用のタワークレーンを設置するためのものではないかと推測しますが、また分かったところでお伝えしたいと思います。

さて、24日に今年の公示地価が発表されました。今更ながらという感はありますが、全国的に大幅な地価下落が確認される結果となりました。法政跡地に最も近い標準地(武蔵野-11)は528千円/m2と前年の590千円/m2から10.5%の大幅下落となっており、吉祥寺周辺のバブルの影響が大きかったことを窺わせる地価調整結果となっています。この点、以下の東京新聞の記事が参考になります。

 ■住宅地
 区部では、全二十三区で昨年までの上昇が下落に転じた。下落率が最も大きいのは14・2%の港区で、渋谷や品川など五区も二けたの落ち込み。渋谷区大山町は18・3%と全国最大の下落率を記録した。区部で下落率が最小だったのは足立区の2・7%だった。
 多摩地区の平均変動率は三年ぶりの下落。全二十六市で昨年の上昇から下落に転じた。武蔵野市の9・0%をはじめ三鷹、調布両市など都心近郊で下落率が大きかった。稲城、多摩、町田各市は比較的に下落幅が小さかった。



高値の時期に、武蔵野市の倍以上の価格を提示して購入した法政跡地が、今や長谷工にとってこの上もなく重荷になっていることは言うまでもないでしょう。本来、造って赤字を垂れ流すくらいなら更地のまま売り払いたいところでしょうが、それもままならずやむなく造り続ける。そんな吉祥寺レジデンシアに十分なクオリティは確保されるのでしょうか? それほどまでに、長谷工や興和不動産は慈善事業家なのでしょうか?

そんな素朴な疑問はさておき、本日は「オール長谷工でお贈りする」(笑)マンション、「ブランシエラ川口青木町公園」を採り上げてみたいと思います。このマンションの特長については、以下の週刊住宅onlineの記事が分かり易くまとまっています。

長谷工コーポレーション/建築コスト最大20%削減のマンション企画開発( 2009年03月17日 )

 長谷工コーポレーションは17日、蓄積してきたマンション建設のノウハウと顧客の声を生かしたマンション新企画「Be−Liv(ビーリブ)」を開発したと発表した。
 同企画は、シンプルな形状の構造躯体や、手すりや外部階段、化粧柱など主要構造部以外の軽量化、エンドユーザーの好みに対応したオプション(キッチン・トイレ収納・下足入れなど)の設定、ガス給湯器など設備機器のリース化など各要素のコスト検証を積み重ねた結果生まれた。敷地・地盤状況、構造・規模等によって幅はあるものの、同社の標準仕様に比べ最大で20%程度までコストダウンが可能になったという。特に郊外型マンションは、販売価格に対する建築費の占める割合が高く、「Be−Liv」を採用することで販売単価を抑えることが可能になる点を強調する。
 首都圏の初弾として自社分譲マンション事業「ブランシエラ川口青木町公園」(埼玉・川口市、総戸数59戸)に採用する。今後、顧客ニーズを把握しながら、事業主に対し積極的に採用を提案していく考え。同マンションは6階建て延べ床面積5185・7平方メートル。今年11月上旬に竣工する予定で、今月5日から販売を開始した。販売価格帯は、2398万円〜4098万円。専有面積は63・73〜90・54平方メートル。3LDK(80・03平方メートル)は2798万円から。京浜東北線西川口駅からバス10分。



どうせ、長谷工の造るマンションなど「現代版公団住宅」とでも言うような没個性な物件なのですから(と言うと公団住宅に悪いかも…)、徹底的に個性を排除するという方向性はありかも知れません。それなりのお値段のする吉祥寺レジデンシアだって、ワンパターンな田の字型(ウナギの寝床型)間取りばっかりなんですから、効率だけを重視したマンションの小手先だけの個性化など、無用の長物と言えるかも知れません。

オプション装備がほとんどだったりするのは、個々人の価値観次第ですから問題はないでしょう。それよりも、個人的には、手すりや外部階段を鉄骨むき出しで施工し、数年後に赤錆が発生しまくるのではないかとか、後々に判明する部分で手抜くのではないかと懸念してしまいます。私が買う訳ではないので余計なお世話ですけど。

しかし、このマンションの顧客無視のスタンスが顕著に現れているのは、「ガス給湯器など設備機器のリース化」という行(くだり)です。確かに、公式HPの物件概要には、「給湯器リース月額使用料:1,575円」という注記が、最後の部分にちょこっと書かれています。当然に設置されている給湯器をリースにするメリットって一体… 30年間同額を払い続けたとしても567千円に過ぎないこの経費を、当初に一括で支払わないメリットが理解できません。逆に、この程度の当初支払すら軽減せざるを得ない顧客層に住宅ローンを組ませるとしたら、それはアメリカのサブプライム問題と何ら本質的に異なるところはないでしょう。長谷工の思惑は、何か的外れな気がしてなりません。

因みに、この物件は全59戸という比較的小規模な物件であり、大規模大好きな長谷工がわざわざ丸抱えで手掛けるのは不思議な気がします。あくまで推測ですが、忠犬たちに売りつけて工事を受注しようとして仕込んだ土地が、マンションバブル崩壊とともに売り先がなくなり、やむなく自社で手掛けることとしたのではないでしょうか。この点、以前のエントリマンション大手「長谷工」危険水域、株価30円にで指摘した「カモたるデベロッパーがいなくなり、化けの皮がはがれて事業リスクが長谷工に集中してきた」ことの証左と言えそうです。所詮は、長谷工は自社施工のマンションデベロッパーに過ぎなかった、このことが確実に露見しつつあります。

「半値8掛け」(要は4割ということ?)と言われる高値で仕入れたマンション用地の時価ですから、取り敢えず更地で売って大損を出すより、建ててしまって赤字覚悟で売る方がまだマシと判断したのかも知れません。建てるも地獄、建てぬも地獄。何れにせよ、長谷工の行き着く先には変わりはなさそうです。

冒頭の公示地価下落の話に戻りますが、このニュースを受けて、不動産業界からは更なる公的支援策を要望する声が早くも上がっています。しかし、これまで建築規制緩和がバブルを引き起こし、それが崩壊すると更なる規制緩和を要求してきたという歴史を振り返れば、こうした要求には何ら正当性がないことは明らかです。更に、景気回復のために住宅投資を拡大させることが必要不可欠だという主張には何の根拠もありません。むしろ、右肩上がりの経済成長が期待できない現在、地価上昇神話を背景とした持家幻想は内需拡大の妨げとすら言えるのではないでしょうか?

無理に住宅を購入して過大なローンを組めば、その分のツケが通常の消費抑制に回ることは火を見るよりも明らかです。空室率が10%を超える中での、不動産業界だけの都合による無駄な開発競争が地価を高騰させ、それが家賃を高止まりさせている。こうした構造的な無駄を排せば、安価な家賃で良質な賃貸住宅も供給され、実質的な可処分所得も増加するでしょう。強精剤のように住宅投資を使うことの効果は、もはや非常に限定的です。継続的な内需拡大には、むしろ住宅投資は害をなすと言えるのではないでしょうか。未曾有の経済危機が叫ばれている今、業界の陳情だけに目を向けた景気対策ではなく、本当に国民が欲している内需拡大策を検討する時が来ている気がしてなりません。

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マンション底値買い

タイトルは、週刊ダイヤモンドの3月7日号から拝借しました。

その記事の内容については後述するとして、先ずは倒産情報から。噂の絶えなかった不動産ファンドのパシフィックホールディングスが、ようやく倒産しました。先ずは恒例、大型倒産速報私募不動産ファンド運用の持ち株会社 東証1部上場 パシフィックホールディングス株式会社など3社 会社更生法の適用を申請 負債3265億2200万円から。

 パシフィックホールディングス(株)(資本金196億3947万4550円、千代田区永田町2-11-1、代表織井渉氏ほか1名、従業員171名)と子会社のパシフィックリアルティ(株)(資本金1億円、同所、代表秋澤昭一氏)、(有)パシフィック・プロパティーズ・インベストメント(資本金300万円、同所、秋澤昭一氏)の3社は、3月10日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた(中略)。

 パシフィックホールディングス(株)は、1990年(平成2年)3月に設立。95年4月に商号をパシフィックマネジメント(株)に変更し、投資家から出資を受けて不動産投資ファンド事業を主力としていた。その他、アセットマネジメント事業およびデューデリジェンス事業で構成される不動産投資コンサルティングサービス事業などの不動産投資事業を展開。2001年12月に株式を店頭公開(現・ジャスダック)、2003年9月には東証2部上場、さらには2004年10月には東証1部に上場するなど、不動産私募ファンドの大手としての地位を築いていた。また、不動産私募ファンドのみならず、グループで2004年3月には日本レジデンシャル投資法人、2006年9月には日本コマーシャル投資法人などでJ−REITも運営、2007年11月には年収入高約196億4700万円をあげていた。その後、2008年6月には持ち株会社に移行し、現商号に変更するとともに事業内容もグループの経営・事業戦略の立案、実行やグループの経営管理などに移行していた。

 しかし、サブプライムローン問題に端を発した金融機関の融資姿勢の厳格化および不動産市況の急速の悪化に伴い保有不動産の売却が進まず資金繰りが悪化。また物件購入見合わせによる違約金の発生や物件売却に伴う損失計上を見込み、2008年11月期では当期純損失約180億円に業績を下方修正。この間、財務体質の強化を図るべく2008年7月には(株)大和証券グループ本社による資本参加の基本合意を締結し9月末を目処に協議していたが、最終合意には至らなかった。11月には第三者割当増資による資金調達を発表したが、優先株式による調達資金約468億円のうち、現物出資を予定していた社債約270億円の払い込みはなされなかった。その後、新たに470億円の優先株式発行による増資交渉を進めていたものの、2008年11月期に大幅な赤字決算となり債務超過に転落したことから、金融機関からの借り入れに関し財務制限条項に抵触、継続企業の前提に関する注記がなされるなどしたことでその後も増資交渉が難航。監査法人からは意見不表明を受けるなど動向が注目されていた。



負債総額こそ大きいですが、はっきり言ってこんな会社あってもなくても社会には何の影響もありません。欲の皮の突っ張った金融機関とゼネコンで損失を被ってもらい、社会の一刻も早い正常化のために、さっさと消え去って欲しいものです。

話は変わりますが、最近の吉祥寺界隈の話題として、ようやくパークホームズ吉祥寺グランテラスの第1期分の販売価格が発表されました。今回発売されるのは全156戸中の55戸と、およそ3分の1です。公式HPでは間取り毎の販売価格は明らかにされていませんが、住宅情報ナビの部屋一覧には35戸分の販売価格が明示されています。これから算出される平均販売価格は261万円/坪となります。以前のエントリこんな値段で長谷工さん大丈夫?でご紹介した吉祥寺3丁目の「グランドメゾン吉祥寺コート」の販売価格は230万円/坪で、こちらは非常に短期間で完売しました。同物件はJR線路横という立地条件のハンディキャップを価格設定で克復した訳ですが、そのことと考え合わせると高圧線下というハンディキャップをグランテラスも価格設定で克服できるのかが注目されるところです。

このグランテラスの価格設定については、正式発表前からモデルルームでの情報が掲示板等に書き込まれていました。噂されていた270万円/坪という価格設定は、結果としてほぼ正しかったことが分かります。掲示板では、グランテラスのセールスマンの「吉祥寺レジデンシアは350万円/坪」という言葉が紹介されていますが、真相はどうなのでしょうか。長谷工が法政グラウンド跡地(パークホームズ吉祥寺グランテラス)よりも校舎跡地(吉祥寺レジデンシア)を相当高値で購入していることは、記念講堂・プール跡地の武蔵野市への売却価格一つ見ても明らかですので、グランテラス並みの価格で出してくることは不可能でしょう。吉祥寺アドレスしか売りのない住戸としての基本性能の劣る3流物件に、坪350万円/坪の価値があると購入希望者が判断するのかどうか、正式な価格発表が待たれるところです。

さて、本題です。週刊ダイヤモンドの「マンション底値買い」ですが、記事そのものについては正直あまり興味はありません。個人的には、大幅値引きされていると言っても、マンション自体は依然相当割高で販売されている(しかも、土地を割高で仕込んでいるため、専有面積が削られているケースが多い)と考えていますので、「大幅値引き」を煽るマスコミに踊らされることなく、冷静な判断が必要だと感じています。それでも、この記事の中の「全国254物件『値崩れランキング』」は面白く読ませてもらいました。今回は、このランキングを中心にご紹介します。

ランキングは、アウトレット編74物件(売主自体が何らかの値引きを行っていることを公表している物件)と平均単価編180物件(編集部の取材により価格改定などがあったことが判明した物件)に分かれています。本ブログ的には、その内容の詳細には興味はなく、この中にどの程度長谷工物件が含まれているのかを調べてみたいと思います。

先ずは、アウトレット編から。全74物件中、長谷工施工物件数は10物件(13.5%)と、意外とその数は多くありません(但し、これ以外に長谷工子会社の森組1物件、不二建設2物件あり)。しかし、これには訳があり、アウトレット編には長谷工エリア外の3大都市圏以外の物件が含まれているのです。3大都市圏以外の12物件を除外すると、その比率は16.1%に上昇します。

これでもそんなに高くないじゃないか、とお思いの方も多いと思います。これには一つの理由があります。全74物件中、売主が1社のみの物件は59物件と、約8割に上ります。ここからは、売主が2社以上の物件は(売主毎に懐具合も異なるため)値引き一つ取ってもなかなか足並みが揃わない様子が透けて見えます。結果として、大型物件に複数の忠犬達を参加させてマンションを建設することの多い長谷工の物件は、価格改定物件には登場しにくい、そんな事情がありそうです。

続いて、平均単価編です。こちらは、エリア別にランク付けされていますので、長谷工エリア外の北海道9物件、福岡4物件を除いた167物件を見てみたいと思います。エリア毎の状況は以下の通りです。

エリア全物件数うち長谷工備考
東京23区363他に不二建設1物件あり
東京市部162 
神奈川2810 
千葉131 
埼玉283 
愛知131 
大阪179 
滋賀42 
京都72 
兵庫51他に不二建設1物件あり


神奈川、大阪を除くと、長谷工の比率は低いようです。しかし、ここでも全167物件中売主が1社のみの物件は130物件と78%を占めています。足並みの揃わないJVは、値引き販売も難航しているようです。なお、売主が複数の全37物件中、長谷工物件は16物件(約43%)。こちらは、確固たる地位を確立しているようです。

この他、この特集記事の中では、「主要駅別底値接近度ランキング」の首都圏128駅中最下位が吉祥寺だったりしています(栄えある割高ランキング第1位)。本当に最も割高かどうかは別としても、最近の吉祥寺の分譲価格は高過ぎると感じることが少なくありません。割高なものは、熱が冷めれば必ず含み損を抱えます。このランキング一つ取ってみても、そのことを忠告している気がしてなりません。

大分、長くなりました。管理・修繕編の高値で管理会社を買い漁る長谷工を揶揄した「また長谷工か」というコメントを紹介している部分は、以前のエントリと重複しますので紹介は割愛します。ご興味をお持ちの方は、図書館などでご覧下さい。誰よりも、劣悪マンションを建て続けているにも関わらず、今後のマンション工事の先細りを心配している長谷工の滑稽な姿が、そこにくっきりと見て取れることと思います。

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マンション大手「長谷工」危険水域、株価30円に

破滅への道をひた走る長谷工に、いよいよ一般のメディアも注目しだしたようです。本日のタイトルは、ZAKZAKの記事から拝借しました。内容をご紹介しますと、

マンション大手「長谷工」危険水域、株価30円に
取引先が次々破綻

 東証1部上場のマンション建設大手、長谷工コーポレーション(東京)に大逆風が吹いている。マンション市況の低迷で不動産事業が営業赤字に転落したほか、2月に入り、マンション分譲会社の日本綜合地所が経営破綻し、同社向けの債権59億円が回収不能に。株式市場の長谷工を見る目は厳しく、株価は約30円の“危険水域”にある。

 長谷工の2008年4−12月期の連結最終損益は、33億円の最終赤字となった。とくにマンション販売など不動産事業の業績が厳しく、同事業の売上高は前年同期比68.8%減と大幅に悪化、営業損益は86億円の赤字だった。

 09年3月期通期はさらに数字が悪化する見通しだ。長谷工は、日本綜合地所のマンション建設を手がけ、約119億円の工事代金を受け取る予定だったが、同社は2月5日に会社更生法適用を申請して経営破綻。工事代金の一部が回収不能となる可能性が大きい。

 長谷工は回収不能額を59億円と算定。これを含めて09年3月期に90億円の特別損失を計上するため、60億円の最終赤字に転落する見通しだ。

 また、2月13日には、取引先のマンション分譲会社、ニチモも破綻。業績予想の修正はしないものの、工事代金など26億円が取り立て不能か取り立て遅延の恐れがあるとしている。

 大和総研は、日本綜合地所の破綻翌日の6日、「(マンション業界の)事業環境の改善が進んでいない」として、長谷工への投資判断を1段階引き下げた。三菱UFJ証券も13日、同様に引き下げを行った。

 長谷工の株価は、08年の年初には200円近くあったが、12月末には90円台まで下落。今年に入り、1月中は80〜90円台で推移していたが、2月になるとさらに下げ足を速め、25日は31円で取引を終えた。株価は、1年余りで7分の1近くに落ち込んでいる。

 市場関係者は「長谷工マンションの建設や販売に特化しており、このところのマンション市況悪化の影響を受けやすい体質になっている。来期以降の収入につながる受注実績も大幅に落ち込んでおり、業績回復が果たせるかどうかはマンション市況次第だ」と分析する。

 長谷工はこれまでも、市場環境が悪化するたびに経営危機に見舞われてきた。

 不動産価格が下落した1990年代後半には、「東京や大阪に保有していたビルや宅地に予想外の価格下落があった」として経営が悪化。99年5月、当時の大和銀行(現・りそな銀行)、三井信託銀行(現・中央三井信託銀行)、日本興業銀行(現・みずほコーポレート銀行)など32行から約3500億円の債権放棄を受けた。

 当時の岩尾崇副社長(現社長)が記者会見で「いくつかの選択肢があった。法的整理の申請も頭に入っていた」と述べたほどの窮地だった。

 さらに、02年3月期には保有不動産の価格下落で評価損が発生し、約2100億円の特別損失を計上。単体で915億円の債務超過に陥った。このときは主力3行が1500億円のデットエクイティスワップ(債務の株式化)という“ウラ技”を使い、資本を健全化して乗り切った。

 その後は、マンション市況の回復とともに業績も回復傾向をたどり、08年3月期には13期ぶりの配当を実施。純資産も1109億円まで積み上がり、岩尾社長が「再建完了」を宣言した。

 しかし、08年4−12月期の赤字決算で、純資産は同年12月末時点で801億円まで減少。販売不振で現金収入が大幅に減少した結果、金融機関からの短期借り入れを増やして資金をやり繰りする状態になっており、「経営数値上は再建途上の状況に後戻りしたかたち」(大手銀関係者)との声もある。

 米国の不動産バブル崩壊をきっかけに発生した「100年に一度の経済危機」。長谷工がどう乗り切るのか、市場も注目している。

夕刊フジ見出し(コメントでご紹介いただいた見出し、クリックで拡大)



個人的には、「どう乗り切れずに破綻するのか」の方に注目しているのですが… まあ、それは良しとしましょう。

これまでは、実質的に長谷工の食い物にされ、倒産に至ったマンションデベロッパーが注目を集めていましたが、いよいよ諸悪の根源たる長谷工に注目が集まってきたということでしょう。もともと、長谷工のビジネスモデルは実質的に自らマンション開発を行っているに過ぎません。それを、金だけ出す便利な「忠犬」デベロッパーを手玉に取ることで、さも自らは事業リスクを負っていないように見せかけていただけです。

長谷工がしゃぶり尽くしたデベロッパーが次々と破綻する中、カモたるデベロッパーがいなくなり、化けの皮がはがれて事業リスクが長谷工に集中してきた。そのことが、デベロッパー破綻の度に巨額の特別損失を計上する長谷工の姿を見て、ようやく世間にも知れ渡ってきたに過ぎません。

ひとたび歯車が逆回転し出せば、長谷工の持つ後ろ暗さ(債権放棄、債務の株式化によって、間接的に(銀行を通じて)公的資金が投入されていること)が世間の批判を浴びることは、一連の銀行たたきのすさまじさを見れば明らかでしょう。その過程で、如何に長谷工が紛争をものともしない反社会的な企業であるかに対しても、世間の批判が集中する可能性は十分にあり得ます。

ブログパーツでも長谷工の株価推移はお伝えしていますが、改めて最近の長谷工の株価チャートを掲載しておきます。昨年10月の50円台突入からやや回復していた株価も、ニチモが破綻した2月5日あたりを境に下落の一途を辿っています。株価が下がったから倒産に至るとは限りませんが、株価は経営状態を映し出す鏡でもあります。株価という鏡を通じて、長谷工の実態が広く世間に広まることを願っています。

長谷工の株価推移(ほぼ5営業日毎に20円ずつ下落してます、クリックで拡大)

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忠犬は 用が済んだら 使い捨て(ニチモ残酷物語)

今日も長谷工はコンクリート打設工事を行っていましたが、その横暴さはますますエスカレートの度合いを強めてきているようです。以前のエントリ赤字転落、キタ━(゚∀゚)━!!!!!で、長谷工がお知らせ看板を掲示していることをいいことに、午後10時までライトを照らして作業を行っていたことをお伝えしました。

今日も、例によってそのお知らせが掲示されましたが、その内容は「コンクリート押さえ完了時刻は22:00頃の予定」と、最初から午後10時まで作業することを宣言する非常識さを炸裂させてくれました。この会社は、「通常定められた時間は全て使い切り、その後のならし作業は大きな騒音が出ないから、深夜まででも構わないだろう」とでも考えているのでしょうか? 結局、現場のライトが消えたのは日付の変わった午前0時半頃でした(注・この部分だけ後で修正しました。まさか、日付が変わるまで消灯しないとは…)。このような常軌を逸した企業が、何故いつまでも存続していられるのか、不思議でなりません。

お知らせ看板(2/18)(平然と午後10時まで作業することを宣言しています、クリックで拡大)

今後、建物が立ち上がるに連れて、高層階で皓々とライトを灯して作業することになります。そうなれば、騒音・光の被害はより一層拡大することになるのは必至です。更には、その頃には一層の突貫工事体制に突入している可能性も高く、どこまで長谷工がエスカレートするかが心配でなりません。

話は変わりますが、16日に不動産経済研究所が発表した1月の首都圏の新築マンション発売戸数は、前年同月比24.1%減の1,760戸と、93年8月(1,354戸)以来約15年半振りに2千戸を割る低水準となったとのことです。市場が冷え込む中、事業者が新規供給よりも在庫の処理に力を入れたためとの観測が出ており、在庫が11,679戸と前月より748戸減少したことがそれを裏付けているとされています。

しかし、この不動産経済研究所の調査は、業者への聞き取り調査によるもので、いわば「自己申告」によるものです。そのため、既に完成しているにも関わらず、売り出していないという理由で在庫にカウントしていない潜在在庫が多数存在しているということは公然の秘密(一説には既に在庫は2万戸を突破していると言われます)。期分け販売によって調整されている初月契約率とともに、実態を隠蔽する体質が染みついている不動産業界のいいかげんさを物語る数字の一つです。

そんな逆風化に、いよいよ吉祥寺レジデンシアの対抗馬であるパークホームズ吉祥寺グランテラスのモデルルームが今週21日にグランドオープンするそうです。既にモデルルームはオープンしており、来客には中も案内しているようですので、何を今更の感はありますが、いよいよ価格も発表されるということなのでしょう。どれ位の価格帯で出してくるか、興味あるところではあります。

グランテラスモデルルーム(モデルルームはオープン済、クリックで拡大)

一方、相変わらず後出しじゃんけんを続ける吉祥寺レジデンシアは、既にモデルルームが完成しているにも関わらず、一向に販売を解する気配すらありません。それどころか、公式HP情報によればまた販売開始が延期となっています。当初の1月下旬から2月下旬へ、そして今度は3月下旬。そんなに自信がないなら、いっそ事業化を中止すればいいと思うのですが…

そろそろ本題に移ります。先週金曜日のニチモ破綻の続報ですが、前回のエントリニチモ倒産で、長谷工の損失ハウマッチ?で、長谷工ニチモ向け工事債権額を予測してみました。これに対し、16日に長谷工自体のプレスリリースでその残高が明らかになりましたが、その内容は忠犬として忠誠を尽くしてきたニチモに対して、「これでもか」とばかりに厳しいものでした。

長谷工が公表した工事債権額は2,639百万円(別途、子会社・森組に981百万円の債権あり)と、予測数値を大幅に下回るものでした。このことは、長谷工がよく言われる「テンテンパー」といったデベロッパーに有利な支払条件を認めず、工事進捗度合いに応じて工事代金を取り立てていたことを窺わせます。

しかし、もっと注目すべきは、プレスリリースの中の「3.今後の見通し」という部分です。以下、引用しますと、

 対象となる工事物件について、完成引渡し済物件は抵当権を設定し債権の保全を講じております。また、未引渡しの物件は、ニチモ株式会社と他社の共同事業として当社が請負ったものであるため、今後他の共同事業主と協議し事業継続することにより、工事代金の回収に努めて参ります。業績予想の変更等が必要な場合は速やかに公表致しますが、現時点において、本件に伴う業績予想の修正はございません。



何と、既に債権保全のために抵当権を設定しています。おそらく、土地代見合いの銀行借入を返済した後の物件を担保に取ったのだと思われますが、昨今のデベロッパー倒産によるゼネコンの債権額についてのリリースで、抵当権まで設定しているケースを見たことがありません。そこまでやるか、といった感じです。

前回のエントリでも記した通り、長谷工物件は「長谷工が土地を持ち込み」、「(多くのケースで)長谷工が販売まで代行する」という長谷工丸抱え案件です。ニチモをはじめとするデベロッパーが間抜けなだけとも言えますが、物件選定、プランニング、販売まで全て主導で行っておきながら、資金リスクだけデベロッパーに丸々転嫁し、デベロッパーの信用状態が不安になれば容赦なく取立を行う。私は、何故こんな悪徳業者と付き合うデベロッパーが存在するのか、不思議でなりません。もっとも、これまでは羊の皮を被っていたのかも知れませんが、馬脚を現した以上、もうこんな会社と付き合う物好きはいないかも知れませんが…

そして、もう一つ興味深いことがあります。赤字転落、キタ━(゚∀゚)━!!!!!の中で、「長谷工の第4四半期で特別損失が52億円膨らむことになって」いると書き記しました。しかし、日本綜合地所による追加損失は、(債権額の50%とすれば)13.5億円程度しかありません。一体、残りの損失は何なのでしょうか? 忠犬から多数の工事を受注している長谷工は、デベロッパーの大口債権者でもあります。もしかすると、長谷工は支払繰延要請などでデベロッパーの中味をよく知っているのかも…

そうすると、特別損失の差額は、ニチモをはじめとするデベロッパーの3月までの倒産を見越した分かも知れません。それが証拠にか、長谷工ニチモ倒産についてのプレスリリースの中で、「現時点において、本件に伴う業績予想の修正はございません」と断言しています。残りの損失の中味、是非知りたいとは思いませんか?

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ニチモ倒産で、長谷工の損失ハウマッチ?

最近、本ブログの内容がマンション関連ニュースに偏っている気がします。それは、それだけバッドニュースに事欠かないからでもあるのですが、今回もまたそのような話題です。

13日の金曜日(!)、長谷工の忠犬中の忠犬、ニチモ民事再生法の適用を申請して倒産しました。恒例のTDB・大型倒産速報マンション分譲 東証2部上場 ニチモ株式会社 民事再生法の適用を申請 負債757億円によりますと、

 東証2部上場のマンション分譲業者、ニチモ(株)(資本金40億6397万321円、千代田区神田美土代町7、登記面=大阪府大阪市北区堂島浜1-4-4、代表辻征二氏、従業員183名)は、2月13日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた(中略)。

 当社は、1955年(昭和30年)9月設立の南海ブロック(株)が前身で、70年(昭和45年)10月に額面変更のため、46年(昭和21年)11月設立のニチモプレハブ(株)に吸収合併された。71年3月に大証2部、78年3月に東証1部に株式を上場し(2004年2月に東証2部に指定替え)、この間の77年1月に現商号に変更した。

 マンション分譲を手がけ、設立以来順調に業容を拡大してきたが、バブル期の拡大路線が裏目に出て、2003年9月期に固定資産売却損失引当金繰入額の特別損失を計上し、大幅な債務超過に転落。このため、2004年3月に取引金融機関より債務免除約294億6100万円、債務株式化約88億8600万円の金融支援を受け、経営再建に努めていた。

 近年では、首都圏(約7割)、近畿圏(約3割)など都市部を中心に中高層マンションの分譲を手がけ、「ルイシャトレ」「ヴォアール」「ジョイシティ」などの自社マンションブランドを展開。ファミリーマンションを得意とし、近年では、ワンルームマンション、DINKS・シルバー世代向けのコンパクトマンション開発にも注力し、コンパクトマンションは不動産ファンドへの一棟売りも実施。好調なマンション市況を背景に2007年9月期の年売上高は約609億6100万円を計上していた。

 しかし、サブプライムローン問題のほか、土地や資材価格高騰などからマンション販売の遅れが顕著となり業況は急速に悪化。資金調達環境も厳しさを増すなか、引き渡しを予定していた大口取引先との売買契約が解約となるなどしたことで2008年9月期の年売上高は約290億9000万円に落ち込み、約102億6300万円の最終赤字を余儀なくされ、継続企業の前提に関する重要な疑義が付されていた。加えて、キャッシュフローも厳しく、一部借入金について金融機関と合意のうえ11月末の返済期日を延期、動向が注目されていた。



もうずっと、株価も一桁(どころか発表前の金曜日の終値は2円!)という状態が続いていましたので、誰もが生き残るなどとは全く信じていない会社だった訳です。それにしても、ニチモ長谷工はりそな銀行主導で金融支援を受けた過去といい、もう地獄の底まで一緒に旅立ってもらいたいほど、強い絆で結ばれているようです。

そんなニチモの忠犬振りについては、以前のエントリ輝く!長谷工忠犬度ランキング(第2の近藤産業を探せ!)でもお伝えした通り(ランキング第2位)ですが、相も変わらずの忠犬振りを最後まで発揮していたようです。本日現在で物件一覧に掲載されている全14物件中、実に8物件(57%)が長谷工物件です(長谷工の子会社森組の1物件を加えると、全9物件(64%)に上昇)。安易に長谷工の安普請PJに首を突っ込んだ代償は、非常に大きかったようです。

本日現在では、長谷工ニチモ倒産に伴うプレスリリースは出ていません(週明けになるものと思われます)が、ここで日本綜合地所と同様に、ニチモ関連の長谷工の工事債権額を試算してみたいと思います。まあ、余興と思ってお付き合い下さい。先程の(森組分を加えた)全9物件のうち、竣工時期が古い「森都OSAKA」を除いた8物件について、前回同様の試算をしてみると、

物件名戸数(戸)建築確認竣工予定進捗度未収分総工費(百万円)未収額(百万円)備考
トリニティレジデンス(ブライトコート)762008/42009/1152.8%32.8%7222372社JV(当社持分50%と仮定)
トリニティレジデンス(アルトウィング)2272008/72010/630.7%10.7%2,1572312社JV(当社持分50%と仮定)
ザ・レジデンス千葉ニュータウン中央3272008/12009/487.1%67.1%1,5531,0424社JV(当社持分25%と仮定)
ザ・ガーデンアイル(第2工区)1642007/62009/395.6%75.6%1,0397853社JV(当社持分33%と仮定)
ルイシャトレ戸田公園セレスタ70不詳2008/11100.0%80.0%1,3301,064施工:森組
ours(アワーズ)4322008/32010/346.2%26.2%2,0525374社JV(当社持分25%と仮定)
サウスオールシティ(RW、LW)5602007/52009/395.8%75.8%1,7731,3456社JV(当社持分17%と仮定)
サウスオールシティ(FW)2312007/52010/362.0%42.0%7323076社JV(当社持分17%と仮定)
シティオアシス東三国イーナ283不詳2009/2100.0%80.0%2,6892,1512社JV(当社持分50%と仮定)
ルイシャトレ岸和田春木RYUGA1492007/32008/10100.0%80.0%2,8312,265 
合計2,519    16,8779,964 


という結果になりました。この試算においては、以前のエントリ因果応報日本綜合地所向け工事債権の試算を行ったときと同様の仮定を置いています。ニチモの場合は、大分前から信用不安が囁かれていましたので、回収ペースを速めて試算しようとも思いましたが、JV案件が多いことから前回同様としました。

結果は、今回も100億円近い債権残高と、長谷工の悲惨さを物語る数値となっています。週明けに発表されるであろう長谷工のプレスリリースが楽しみです。但し、先述したように、信用力に大いに懸念のあったニチモに対しては、相当回収条件を厳しくしていた可能性もあり、その場合は債権額が試算結果より相当少ないこともあり得ます。

本来であれば、このこと自体は債権回収を確実にするための企業行動として何ら問題はないでしょうが、長谷工だけは違います。何故なら、長谷工案件は、長谷工が土地を持ち込んで工事を受注、そして多くのケースでは販売まで(長谷工アーベストで)請け負っており、デベロッパーはいわば「長谷工におんぶにだっこ」状態にあった訳です。そのような事情を勘案すれば、回収条件を厳しくして自らのリスクは極小化し、一方で販売リスクだけをデベロッパーに丸々転嫁するのは、道義的には論外でしょう(もっとも、こんな案件を受けるデベロッパーの自己責任という気もしますので、どっちもどっちですが)。

何れにせよ、長谷工の公表するニチモ向け債権額次第で、長谷工が忠犬(デベロッパー)達をどう見ていたかが判明する訳です。事業パートナーとしてリスクを共有していたか、使い捨ての単なるカモと見ていたか、その点については後日改めて検証してみたいと思います。

最後に、日本綜合地所の倒産についても、多少補足しておきます。福岡の信用調査機関である株式会社データマックスが提供しているNet-IBに日本綜合地所の主要債権者が掲載されています。工事債権関係としては、竹中工務店71億円(買掛金)、安藤建設32億円(支払手形)が群を抜いて高額です。しかし、この一覧の中には、どこを探しても長谷工の名前が見えません。一体、長谷工発表の119億円の工事債権はどこに隠れているのでしょう?

債務者と債権者の発表内容にこれだけの差があると、何らかのカラクリが潜んでいるのではないかと勘繰りたくなります。この問題については、長谷工が奈落の底に落ちていくスピードにも密接に関連していますので、是非詳細を知りたいところですね。

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赤字転落、キタ━(゚∀゚)━!!!!!

今週も突貫工事に余念のない長谷工ですが、本日もコンクリート打設工事を行う日でした。毎回、コンクリート打設の日は遅くまで皓々とライトを照らして作業を行う非常識さを炸裂させていますが、本日の消灯時間はほとんど午後10時直前でした。この会社には、全くというほど常識というものが欠落しています。

最近、遅くまで工事を行う日には、夕方頃、下の写真のようなお知らせが掲示されています。これが掲示されるようになった経緯は不明ですが、近隣住民に向けての情報提供を目的としているのであれば、全く用をなしていないことになります。何しろ、作業完了予定を午後8時頃としていながら、現実には午後10時近くまで作業している訳ですから。

コンクリート工事のお知らせ(不正確極まりないコンクリート工事のお知らせ、クリックで拡大)

さて、本題です。前回のエントリ「因果応報」で予言(?)した通り、長谷工が本日発表した第3四半期決算短信において、特別損失の計上、棚卸資産評価損の計上、繰延税金資産の取り崩しの3点セットによって、めでたく最終赤字に転落しました。同時に、業績予想の修正も行い、通期でも最終赤字に転落することも発表しました。

これ自体は何の違和感もありませんし、むしろ後述するように、赤字幅が過小に見積もられており、最終赤字はもっと拡大するのではないかと思っている位ですが、先ずは順番に長谷工の決算内容を見てみたいと思います。

最初は、特別損失の計上から。これについては、日本綜合地所関連の損失について説明があり、平成20年12月末時点の債権残高約92億円の半分に相当する46億円の貸倒引当金を計上した旨が述べられています(税務上の繰入限度額に従ったものと思われます)。しかし、平成21年1月までに新たに発生した約27億円の債権については、「期末までに損失処理する」旨が述べられているのみで、更なる追加損失の計上が予定されていることが分かります(通期予想によれば、第4四半期で特別損失が52億円膨らむことになっています)。

次に、棚卸資産の評価損計上ですが、これについては第3四半期までの累計で63億円の評価損を売上原価に計上したことを明らかにしています。しかし、12月末で1,967億円に上る営業用不動産関連資産の残高と比較して、評価損がこの程度(約3%)で済む筈はないでしょう。長谷工には、デベロッパーへの転売を当て込んで先行取得したマンション用地がゴロゴロしている筈です(それが長谷工自慢のビジネスモデルなのですから)。今、マンション用地を素地で売却しようとすれば、購入したときの価格の半値でも買い手が付かないと聞きます。この程度の評価損でお茶を濁そうとは、虫が良すぎるのではないでしょうか。

そして、繰延税金資産の取り崩しですが、第3四半期の法人税等調整額(≒繰延税金資産の取崩額)は約38億円に上り、これによって(税引き前は黒字だが)最終赤字に転落したことが見て取れます。しかし、一部取り崩し後でも繰延税金資産の残高は約466億円もあります。繰延税金資産は、「将来税金の前払分」と考えて資産性が認められるものなので、将来の収益が大幅に減少する見通しであれば、収益見通しに応じて取り崩さなければならないものです。その点、長谷工の今後の収益は急落することが決定的ですので、繰延税金資産の取り崩しについても甘過ぎると言わざるを得ないでしょう。

では何故、長谷工の収益は急落すると分かるのか。それは、長谷工の受注高の推移を見れば一目瞭然です。下の図は、長谷工発表の第3四半期決算説明資料の中にある四半期受注高の推移ですが、一目瞭然、受注高が急落している様子が見て取れます。マンションの施工には(長谷工の突貫工事マンションでも)通常1年以上の時間が必要ですから、1〜2期前の受注状況を見れば、将来の収益は簡単に予測できます。とすれば、長谷工の来期の決算が如何に悲惨なものか、火を見るよりも明らかでしょう。そして、これだけ悲惨を極めるマンション業界において、今後の受注が当面は回復しないだろうということもほぼ確実です。一体、どこに長谷工の業績回復を予想する材料があるのでしょうか?

受注高推移(つるべ落としの受注高推移、クリックで拡大)

パッと見ただけでも、これだけの下振れ要因を内包した長谷工の決算。今後更なる下方修正が待っていることは確実です。現預金残高も平成20年3月末の626億円から400億円まで減少し、今後更に減少することも確実でしょう(しかも、その間借入金は1,650→2,424億円に急増)。こんな長谷工の命運が尽きる日は、案外すぐそばまで来ているのかも知れません。「その日」が来るのを指折り数えて待つこととしましょう。

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因果応報

まず最初に、前回のデベロッパー倒産劇はいよいよクライマックスへにコメントを寄せて下さった方がいらっしゃいましたので、それに関する補足から。コメントの内容は、「千葉市幕張の物件では、『オープンエアリビングバルコニーが床面積算定から除外されていることは建築基準法違反である』として、『日本綜合地所オープンエアリビングバルコニーに審査請求』とな」ったことを伝えるブログ●経過報告「日本綜合地所のオープンエアリビングバルコニーに審査請求」をご紹介いただいたものです。

この点については、この「オープンエアリビングバルコニー」というコンセプトを初めて見た時から、「建築基準法に違反していないのか?」という疑問を持ちました。通常、バルコニーの奥行きは2mまでしか容積不算入にならないのに、何故これについては4mもの奥行きが実現できるのかという自然な疑問です(余談ですが、そもそもこの2mもの容積不算入自体、マンションに対して甘過ぎると思っています)。

では何故、「オープンエアリビングバルコニー」は容積不算入になるのかといえば、答えは簡単、「隣り合う住戸のバルコニー側に、奥行き4m、幅2m以上の吹抜けを設けることで、容積不算入を実現した」ということです。両端の吹き抜けから2mずつの部分が容積不算入となるため、4m×4mのバルコニーであれば「容積不算入」となる訳です(これについての説明は色々なところでなされていますが、こちらの不動産流通の記者の目が図入りで分かり易いと思います)。

これをどう評価するかは人それぞれだと思いますが、一つだけ確かなのは、「オープンエアリビングバルコニーは違法とまでは言い切れないが、限りなく脱法性は高い」ということでしょうか。建築基準法の規定はこのようなケースを想定していないでしょうから、条文を素直に読めば違法とは言えないものの、それは条文解釈を悪用した脱法性の高い設計ということです。

この点については、エキスパンションジョイントを悪用して複数の建物を「一の建築物」だと言い張って戸数を大幅に水増しした、一連の長谷工物件と同じ匂いを感じます。長谷工の「数の偽装」も、当初は建築審査会で肯定されていましたが、違法と判断されたケースも出てきています。オープンエアリビングバルコニーのような脱法性の高い設計が、将来的な法改正によって明確に違法とされ、既存不適格となる可能性は相応に高いのではないでしょうか。

さて、本題に移ります。日本綜合地所の倒産を受けて、同社をいいカモとしてきた長谷工債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせというプレスリリースを出しました。それによれば、工事債権等の金額は約119億円にも上ること、債権に対する保全はないこと(商事留置権のみ)などが明らかにされています。

「回収可能性については現在精査中」とのことですが、商事留置権が存在していても、竣工・引渡間際の物件は、売れなければ回収できませんし、竣工までにまだ時間のある物件は、完成させなければ資金化できません。日本綜合地所が、再建のために大幅にプロジェクト数を絞り込み、建設途中でも中止を選択する物件が出てきたりすれば、他の売り主を探して来るか、自らリスク丸抱えで(土地もろとも)引き取るかしかありません。長谷工の、デベロッパーにリスクを負わせて自らは甘い汁を吸うというビジネスモデルは、ここへ来て急速に歯車が逆回転しているようです。

ここで、長谷工の工事債権額について、ちょっとした試算をしてみました。前回お伝えした通り、日本綜合地所が分譲中の物件中、長谷工施工物件は10物件。このうち、竣工時期が古い「ヴェレーナ茅ヶ崎海岸」以外の9物件について、それぞれの債権額を計算してみたものです。

 
物件名戸数(戸)建築確認竣工予定進捗度未収分総工費(百万円)未収額(百万円)備考
ヴェレーナ王子3512008/82010/528.8%8.8%6,669590
ヴェレーナ青梅新町3382007/122009/2100.0%80.0%6,4225,138 
ヴェレーナ東戸塚2162008/82010/233.5%13.5%4,104555 
ヴェレーナ追浜902008/122010/214.5%4.5%1,71077 
ヴェレーナ北久里浜2462008/122010/412.8%2.8%4,674129 
ヴェレーナ久里浜海岸2262008/42009/391.6%71.6%4,2943.075 
ヴェレーナ幕張五丁目1572008/102009/1131.1%11.1%2,983330 
マスターズレジデンスおおたかの森3152008/82009/1237.8%17.8%2,993532当社持分50%と仮定
レイディアントシティ印西牧の原1082007/122009/1100.0%80.0%2,0521,642フォレストヴィラ分のみ
合計2,113    37,15512,067 


この試算には、以下のようないくつかの仮定を置いています。

  1. 戸当たり建築単価は19百万円(平均70m2/戸として施工単価90万円/坪)。
  2. 工期は、建築確認取得から竣工予定まで。その間、均等に建築費用が発生。
  3. 建築費の支払条件は、いわゆるテンテンパー(1:1:8)。


かなり大雑把な仮定ですが、算出された未収工事代金(120億円)は長谷工発表のものとほぼ一致しています。単なる偶然かも知れませんが、一応これを基に話を進めます。長谷工は、「商事留置権があるから一定の回収は可能」と主張したいようですが、それは原価以上できちんと売れた場合の話です。このマンション市況では原価割れでの販売の可能性も高いでしょうし、おそらく土地には銀行の抵当権が設定されているでしょうから、その残りしか回収できない可能性もあると思います。つまりは、その差額が損失となる可能性が高いということです。

そして、それ以上に深刻なのは、顧客宛の引渡までまだ時間の掛かる建築中の物件です。この環境下、プロジェクトを最後まで遂行して販売しても損が出るだけだと日本綜合地所が判断すれば、プロジェクト自体を途中で中止することもあり得るでしょう。その場合、長谷工が工事代金を回収する方法は、他の事業主を見付けて来るか、自らが(土地も買い受けて)事業を続けるかしかありません。この環境では、前者は非常に難しいでしょう。名乗りを挙げる事業者がいたとしても、相当に買い叩かれることは容易に想像できます。そして、後者であれば、更なる持ち出しが発生することになります。

最近倒産しているデベロッパーのほとんどは、資金繰りに行き詰まって倒産しているケースです。その最後のツケは、徐々にですが確実に、今までデベロッパーを散々食い物にしてきた長谷工に向かいつつあるようです。

最後に、長谷工の第3四半期決算発表は2月12日の予定とのこと。その時点で、特別損失の計上、棚卸資産減損による大幅利益減少、繰延税金資産取り崩しによる自己資本大幅減少の3点セットが公表されることでしょう。長谷工の命運が尽きる日は、確実に近付いているようです。

P.S. 現場の近況もお伝えしておきます。吉祥寺レジデンシアは相変わらず地下部分の工事を続けており、地上部分の工事が始まる気配すら見られません。一方、パークホームズ吉祥寺グランテラスの方はと言えば、既に4棟あるうちの東西の2棟は地上階の躯体工事が進んでいます。これだけ工事進捗に差があって、かつ階数は2倍の差。なのに完成時期はほぼ一緒。これで同等のクオリティが出せるほど、長谷工の施工技術は抜きんでて高いのでしょうか?

グランテラス工事風景(方やグランテラスは地上階の工事中、クリックで拡大)

レジデンシア工事風景(方やレジデンシアはまだ地下の工事中、クリックで拡大)

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デベロッパー倒産劇はいよいよクライマックスへ

ここ数日、栄泉不動産に関連したキーワード検索からのアクセスが多い状態が続いていました。それもやっと落ち着いてきたかと思えば、今度は日本綜合地所が会社更生手続開始を申し立てたというニュースが飛び込んできました。2日前に、業績の大幅下方修正を発表したばかりでの倒産劇、なんだかな〜という感じです。

恒例、TDB大型倒産速報の「ヴェレーナ」シリーズのマンションデベロッパー 東証1部上場 日本綜合地所株式会社など3社 会社更生法の適用を申請 負債2142億2300万円によりますと、

 東証1部上場のマンションデベロッパー日本綜合地所(株)(資本金141億1975万7196円、港区高輪2-21-46、代表西丸誠氏、従業員362名)は、2月5日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請した(中略)。

 当社は、1993年(平成5年)2月に日本綜合地所(株)として設立した会社を、98年(平成10年)6月に、88年(昭和53年)7月設立の休眠会社が吸収する形で新たに設立したマンションデベロッパー。99年11月に店頭登録し、2001年12月に東証2部、2003年3月に東証1部に指定替えした。主にファミリー層をターゲットとしたヨーロピアンテイストの新築マンション「ヴェレーナ」シリーズ(2007年に「グランシティ」「レイディアントシティ」などの自社ブランドを統一)の分譲を手がけ、積極的なテレビCMなど広告宣伝が奏功したほか、企画力、営業力にも定評があり、好調な販売実績を積み重ねていた。

 近年では、一戸建て分譲・不動産仲介会社を設立したほか、マンション管理部門を分社化、広告会社を買収するなどグループの強化にも注力。2007年にはマンション供給戸数(年間)が首都圏では2位、全国では6位にランクされ((株)不動産経済研究所調べ)、2008年3月期にはピークとなる年売上高約973億9100万円(単体)を計上していた。

 しかし、この間の資材価格の高騰、建築基準法改正、サブプライムローン問題などに起因する急速な不動産市況の悪化により、販売状況が鈍化。商品不動産の固定化が懸念されていたほか、主に販売用マンション取得・建築や賃貸用不動産取得にともなう借入金、社債など有利子負債が重荷となっていた。販売を強化して在庫の圧縮を推進していたが、経営環境のより一層の悪化により、株価、格付けも低下したことで対外的な信用も低下していた。

 11月上旬には社債償還が注目されたが、主力行を含む複数行から資金調達を行いしのいでいた。しかし、拡大路線を基調とした中期経営計画の見直しは避けられず、同時に計画の下方修正を発表。採用内定者の取り消しを行わざるを得ない事態となり、社会的な話題にもなっていた。今年2月3日には、市況の急速な悪化を棚卸資産の評価に反映した結果、今期は約308億円の大幅な最終赤字になることを発表。建築代金の支払いも困難となり今回の措置となった(中略)。

 また関係会社で分譲マンションの開発販売を手がける、日綜不動産(株)(資本金4億9400万円、大阪市中央区本町4-1-7、代表市森賢治氏)と戸建分譲の日綜ハウジング(株)(資本金1億円、港区高輪2-21-46、代表木下康氏)も、同日同地裁へ会社更生法の適用を申請した(後略)。



この文中にもある通り、日本綜合地所といえば、今春入社予定の学生の内定取り消しで一躍全国区になった会社です。内定を取り消された53人の学生に対しては、全員に補償金100万円を支払済とのことですが、学生さんとしては複雑な心境でしょう。やはり、内定を取り消さざるを得ない程に、問題が表面化した昨年11月の段階で経営は悪化していたということだったようです。

さて、こんな日本綜合地所ですが、この会社も例によって結構長谷工物件が多いことで定評があります。本日現在の全物件一覧には、全36物件(うち、完売済1物件)が掲載されています。このうち、完売物件を除いたマンションは32物件で、内訳は、東京23区7物件(うち、長谷工1物件)、東京都下4物件(同1物件)、神奈川10物件(同5物件)、千葉5物件(同3物件)、埼玉2物件(同0物件)、関西4物件(子会社・日綜不動産分、同0物件)となっています。長谷工施工物件が10物件も含まれている点、立派な忠犬と言えます。

ここのマンションは、「奥行き約4mのオープンエアリビングバルコニー」が売り物で、それ自体は差別化要因としては成功していたと思いますが、ヨーロッパ風(らしい)を謳った変な尖塔が付いたデザインなどは、正直センスが良いとはとても思えませんでした。それが破綻の理由なのか、はたまた郊外長谷工物件の販売不振のせいなのか、その辺りは不明ですが、紛争も頻発しているお行儀の悪いデベロッパーでしたので、天誅が下ったというところでしょう。

なお、一緒に倒産している子会社の日綜不動産ですが、この会社の前身は日立造船不動産という日立造船の子会社です。日立造船に見捨てられ、関西進出を目論んでいた日本綜合地所に拾われたまでは良かったのですが、結果は一緒だったようです。

半年前のエントリゼファー倒産は単なる序曲で、「デベロッパー淘汰の動きは、どれ位の大手までを巻き込んでいくのでしょう。今後の動きには要注目です。しかし、この淘汰の流れの本丸は、マンション市況を一社で完膚無きまでに破壊した、どうしようもない某マンション専業ゼネコンしかあり得ないでしょう」と書き記しました。流れは完全にその通りになっています(別に私に先見の明があったという訳ではなく、誰が見てもそうだっただけです)。

最早、この日本綜合地所の倒産は、3月末に向けてマンションデベロッパーが淘汰されていく、そのクライマックスの幕開けに思えてなりません。そして、その総仕上げには、某ゼネコンの破綻こそがふさわしいと思いますが、皆さんはどうお感じになりますか?

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