吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

吉祥寺レジデンシアの価格差が意味するもの

売れ行き不振の続くマンション業界、週末ごとの新聞折り込み広告の数も半端ではありません。正確に数えた訳ではありませんし、全ての新聞をチェックした訳でもありませんが、折り込み広告の半分以上はマンション広告ではないでしょうか。しかも、中身も竣工後相当の期間が経過しているにも関わらず完売にはほど遠い物件や、期分け販売の戸数から推定すると、一体何回に分けて販売する気なのかと呆れてしまう物件ばかり… 自業自得とはいえ、悲惨の一言に尽きます。

業界あげて一生懸命、新規販売戸数を大幅に絞った上で、契約率が上昇しているように見せかける小細工を続けていますが、既にそのようなまやかしは消費者に見透かされています。マンションデベロッパー淘汰の波は、まだまだ続きそうです。

さて、そんなマンション広告ですが、吉祥寺レジデンシアも先週末は連日折り込み広告が入っていました。内容は相変わらず「真の吉祥寺アドレス」なる意味不明なものを連呼するお笑い広告(「偽の吉祥寺アドレス」なるものがこの世には存在するのでしょうか?)ですが、「吉祥寺の、新たな象徴となる」とか「『真の吉祥寺アドレス』にふさわしい邸のあり方を標榜すべく誕生します」とか、地域の94%から”NO!”を突きつけられた(迷惑マンションは「真の吉祥寺アドレスを継」いでなどいない!を参照)存在にあるまじきフレーズが並んでいる点にも要注目です。

それはさておき、先週末の広告の中では、代表的(と思われる)4タイプの間取りについて、予定販売価格の下限が掲載されていました。以下、それらを見てみますと、

w-75H(2〜6階) 74.52m2 6,500万円台〜 坪単価:2,883千円
w-80C(2〜5階) 81.92m2 6,900万円台〜 坪単価:2,784千円
w-85B(2〜4階) 86.01m2 7,500万円台〜 坪単価:2,882千円
e-90H(2〜8階) 87.68m2 8,600万円台〜 坪単価:3,242千円

となります。価格が割安に設定されている西棟中心に紹介しているのは、当然高過ぎるという批判が多いことから、少しでも安さを演出するためでしょうし、下限価格は当然2階住戸の価格でしょうから、現実の平均単価はもう少し上振れるでしょう(百万円未満の端数分も上昇します)。およそ、西棟が坪単価3,000千円、東棟が坪単価3,400千円とすれば、全戸平均では3,200千円/坪程度となり、およそ事前の噂通りとなります。やはり、土地を思いっきり高値掴みしたツケは、割高な価格設定に反映せざるを得なかったようです。

しかし、西棟と東棟でそれほどの価格差を設ける必要はあるのでしょうか? 個人的な見解は「大いにあり」です。吉祥寺レジデンシアの掲示板では、「南向きの住戸がほとんどない」配棟計画に対する非難の声が強いですが、これはひとえに効率だけを重視した長谷工の事業計画に起因するもので、もう諦めてもらう他はありません。しかし、個人的には、それに加えてこの西棟と東棟の採光の格差もかなり問題のある計画だと以前から感じていました。

下に示したのは、吉祥寺レジデンシアの時間別の日影図(冬至の日の建物の影を示したもの)です。一般的には、建物の造る影による近隣の影響を示すために用いられます(その点でも巨大な影を造ることが見て取れます)が、どの時間にどの方向から日が当たるかも良く分かります。

吉祥寺レジデンシアの日影図吉祥寺レジデンシアの日影図、クリックで拡大)

このような観点から図を見ると、東棟は13時過ぎまでバルコニーに日が差し込むのに対して、西棟は14時頃になってようやくバルコニーに日が差し込むことが見て取れます。しかし、実際は吉祥寺レジデンシアのバルコニーも容積不算入を最大限に悪用すべく、約2mの奥行きがありますので、室内に日が差し込むのは更に遅れるものと思われます。西向きの部屋は西日が長いので敬遠される方も多いようですが、こと吉祥寺レジデンシアについては、その心配はなさそうです。何しろ、冬の間は、午後3時頃からしか日が差し込まないんですから。

日当りに対する考え方は人それぞれですから、これでも安い方が良いという方もいらっしゃるでしょう。しかし、その点はしっかり説明されるべきでしょうし、何となく東、西に向いているということを認識しただけで部屋を選ぶと、後で後悔することにもなりかねません。

そもそもは、効率だけを重視した無理な配棟計画が住戸としての基本性能を劣化させている訳です。こんな物件が、「『真の吉祥寺アドレス』にふさわしい邸のあり方を標榜」しているとは、個人的にはとても思えないのですが…

P.S. ジョイント・コーポレーションの倒産についても書き記そうと思いましたが、かなり長くなりましたので、また次回以降に。

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長谷工はどこまでもつか?

野菜の促成栽培よろしく、あっという間に立ち上がっていく吉祥寺レジデンシア。下の写真のように、現在1階部分の躯体工事中です。写真左奥の南東部分に至っては、既に3階部分まで立ち上がっています。こんな短期間で建てられていくコンクリートの塊。そのクオリティは、本当に大丈夫なのでしょうか?

工事現場の近況(躯体の工事が進んでいます、クリックで拡大)

そんな吉祥寺レジデンシアですが、先週末、連日のように新聞折り込み広告が入っていました。予算の制約が厳しいのか、B4版見開き4ページのような変則サイズの小さなその広告には、「5/23(土)よりモデルルーム・グランドオープン」の文字が大きく踊っていました。1月には(少なくとも外観が)完成し、4/25(土)にプレオープンしたモデルルームが、ようやく今頃本格オープンです。プレオープンからグランドオープンまでの1ヶ月もの間は、よほどの人気のなさを表しているものと思われます。価格設定を誤った不人気物件の始末は、何かと大変なようです。

この広告の中身については、色々と突っ込みどころが満載ですが、ここではいちいちそれを指摘することは致しません。しかし、この一点だけは指摘しておきたいと思います。LOCATIONと称する一文の中に、「戸建て住宅が並ぶ『第一種低層住居専用地域』が中心となり、整然とした美しい街並みが広がります」とぬけぬけと書いてあるのです。その「整然とした美しい街並み」を壊すだけの存在の吉祥寺レジデンシア。その存在が、いかに不要なものかを自ら認めているようなものです。街並みの価値を称揚していながら、その価値を自ら破壊する。そんなマンションには、何の存在意義も見出すことはできません。

さて、いささか旧聞に属しますが、5月14日に長谷工が2009年3月期の決算短信を公表しました。その内容は、既に過去のエントリ赤字転落、キタ━(゚∀゚)━!!!!!でお伝えした通りの赤字決算ですが、営業利益は170億円の予想が156億円と更に下方にて着地し、最終赤字は60億円の予想が76億円にまで拡大した悲惨なものでした。

にも関わらず、決算発表を境に、長谷工の株価は上昇基調に入っています。5月14日の終値(62円)が本日(25日)の終値では86円と、約39%の上昇です。その理由は、「09年3月期の連結決算では最終損益が76億円の赤字となったのに対して、2010年3月期には最終黒字70億円を見込むと発表したことが刺激となり、目先筋の値幅取りが活発化している」(5月15日付日本証券新聞)ということのようです。これに加えて、「三菱UFJ証券が、『財務リスクと収益リスクの2つのリスクが後退している』と評価し、投資判断『2』と目標株価100円を据え置いたことが好感されている」ようです。

長谷工株価推移(最近の株価推移、クリックで拡大)

しかし、三菱UFJ証券の業績予想は、昨秋まで会社の発表を鵜呑みにしてボトム期を脱したというレポートを出していたような不正確極まりない内容ですから、今回もその内容は推して知るべしです。誰でも分かる簡単な検証で、そのことを明らかにしてみたいと思います。

過去のエントリでも指摘しましたが、長谷工の今後の業績は、現在の工事受注状況を見ればかなり正確に分かります。以下のグラフは、2000/3期から2009/3期までの長谷工単体の受注高の推移、そして、2010/3期の長谷工公表による受注高予想です(会社予想は中間と通期のみなので、便宜上第1〜3四半期の受注高を同額と仮定しています)。これを見れば、2006/3期、2007/3期の受注高がいかに突出していたか(いかにバブルの様相を呈していたか)と、2009/3の急速な減速振りがご理解いただけることと思います。

単体受注高の推移受注高の推移、クリックで拡大)

こんな状況下、未だ大量の完成在庫が残る中で、2010/3期の受注高が回復する。このような会社予想に、何の信憑性があるのでしょうか? そして、そのことは、他ならぬ長谷工自身がもっとも良く理解しています。

決算と同時に公表した中期経営計画の修正に関するお知らせでは、「土地持込以外の住宅系工事受注への積極取組み」と称して、「土地持込による受注で構築した企画力・スピード・規模のメリット等によるコスト競争力・技術力等の総合力を生かした取組みを強化する」ことを謳っています。しかし、長谷工の強みは、土地情報を持ち込むことでデベロッパーから有利な条件を引き出して、デベロッパーには資金負担とリスクだけを負わせるという身勝手なビジネスモデルにあった筈です。耳障りのよい表現を使っていますが、要は「一般工事入札にも参加する(=そうしないと売上を維持できない)」と告白しているようなものです。このような理解の下に先ほどの受注高のグラフを見ると、長谷工の主張するところの黒字回復が、実に眉唾物であることがご理解いただけるのではないでしょうか。

次に、財務リスクです。昨今の不動産関連企業の破綻は、ほぼ例外なく資金に行き詰まった結果の倒産劇であることは記憶に新しいところです。長谷工は、2009/3末でも連結ベースで555億円の現預金残高を有しており(2008/3末は626億円)、この点に懸念はないように見えます。

しかし、決算短信の注記をよく見ると、銀行に設定されている600億円のコミットメントライン(随時引き出し可能な借入枠)内の残高が、2008/3末の150億円から2009/3末には600億円とフルに利用されていることが分かります。これが一過性でないことは、2008/9末で既に500億円を利用済であったことからも窺い知れます。長谷工の借入余力はそれほど大きくなさそうです。因みに、単体決算による2009/3末の現預金残高は278億円(2008/3末341億円)と、連結とはかなりの乖離があります。見かけほど資金繰りは楽ではなさそうですね。

最早、一昔前のように忠犬デベロッパー長谷工の資金負担を肩代わりしてくれて事業ができる時代はとっくに過ぎ去りました。マンション工事しか能のない長谷工にとって、現在の事業環境は他のゼネコン以上に厳しいものに思えます。長谷工の楽観的な業績予想に惑わされることなく、きちんと中身を検証しないと、長谷工みたいなクズ株買って大損を被ることになりかねませんよ。そして、それはもちろん、長谷工施工のマンションを購入する人たちにも、形は違っても共通するリスクでもあるのですが…

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【GW特別企画】興和不動産に売主たる資格はあるか?(その3)

このエントリも都合3回目となってしまいましたが、一応今回で完結です。前回までのエントリで、市側と事業者側の双方がいかに甘い認識のままマンション建築に突入したか、そしてその結果としてシティアクラックが生じたかを見て来ました。そして、今回ご紹介する部分において、その点はよりいっそう明らかにされていきます。

先ずは、平成18年12月開催の第4回定例会から見ていきます。今回も質問者は関口議員、答弁者は川崎都市部長です。関口議員の質問は、一点目として「シティアクラック問題について長谷工が行ったボーリング調査の結果を受けて、市の見解、判断」、そして「市の調査の結果も併せて」問うています。

二点目として、「10月21日付、長谷工による『シティア地盤調査追加報告』によりますと、まず各棟における沈下要因について、『当敷地には台地と人工的に埋め立てられた谷部が存在することが判明した』などと、まるで今度の調査により初めてわかったかのように述べてい」る点を指摘した上で、「『沈下は終息傾向にある』『沈下は終息状態にある』との二通りのあいまいな言い方をし、長谷工の判定では、『対策を行う』『継続観察とする』としている敷地が」「ほぼシティアの全域に及んでい」る中、「同じ地続きの新マンションの建設地は、全く問題がないと言えるの」かと問うています。

更に三点目として、「市は、長谷工に対して、新マンション建設に当たってシティアクラック問題から何を具体的に、どう指導」したのかを問い質しています。

これらの質問に対する川崎都市部長の答弁内容は、以下の通りです。先ず一点目について、「報告では、マンション本体とサブエントランスの接合部分周辺にクラックが発生したのは、サブエントランス部は、くいで支持された高層のマンション本体とは異なり、直接地盤で支持された構造であり、地下深部にある腐植土層が建物の重さで圧縮されて地盤が沈下した結果、サブエントランス部分が沈下したことが原因であ」り、「事業者はシティアの管理組合にこの調査結果を説明し、今後施工することになる修復工事についても了承」を得ているが、「事業者は、市に調査資料を提出することについて、管理組合から了解が得られていないこと」を理由に調査資料を開示していないことを明らかにしています。

なお、市の調査については、「本年7月、9月及び12月に現地に出向き、事業者に対して事情聴取や状況確認を行」った結果、「クラック問題に対する事業者側のマンション住民や管理組合への対応は適切であると考えて」いると述べ、ここでも事業者の主張を鵜呑みにしたことを告白しています。

続いて二点目については、「事業者から、新マンション建設地のボーリング調査結果について聞き取り調査をしたところ、シティア地盤沈下の原因であるとされる腐植土層は確認できなかったことから、新マンションについては地盤沈下によるクラック発生のおそれはないと判断し」たことを明らかにしています。しかし、これも問題が発生した後の対処方法としては恐ろしく甘いと言わざるを得ないでしょう。シティア建築の際も、当然ボーリング調査は行った筈です。にも関わらず、軟弱地盤の存在を認識できずにマンション建築を強行した事業者の主張を、全くそのまま鵜呑みにするなら、行政による建築指導など無用の長物以外の何者でもないでしょう。根本から認識が甘過ぎます。

最後に、三点目については、「市は事業者に対し、現在施工中及び今後工事着手するマンションについて、シティアと同様な問題が生じないよう設計内容を再確認し、十分注意して工事をするよう申し入れております。新マンション建築地においても事業者側はボーリング調査を行った上でマンションを設計し、工事に着手しております」と述べるに止まっています。これ以上の指摘は、二点目と重複するので割愛します。

続く、平成19年3月開催の第1回定例会でも、関口議員のシティア関連の質問は行われています。但し、クラック問題に関する質問はこの定例会が最後となっており、以降は地元小学校の増築に関する公共公益施設整備費用の長谷工負担に関する質問に焦点が移っています。そのため、この問題に関する我孫子市議会の討議内容を検討するのはこれが最後になります。

今回の質問内容は、先ず「12月議会で市は、『事業者側の対応には問題がない』と」述べたが、「2月3日に長谷工が住民に説明会を開きました。130人を超える住民が集まり、大変紛糾したと聞いています。長谷工の不誠実な対応が原因のようです。文字が虫眼鏡で見ないと読めないくらい小さくて、判読不能な資料。11ヵ月もかかる補修工事。工事中の生活道路、通学路の安全の保障問題等々に、住民側の怒りが次々とぶつけられた」にも関わらず、「長谷工からだけ聞いて、現状判断をされたのではない」かと問い質しています。

続いて、「調査結果に基づいて、シティアクラック問題からの教訓を全面的に生かして、新マンション建設について総点検し、指導を徹底する必要があるのではない」かと、「市民の生命、財産を守る責任ある立場で直ちに誠実な対処を」求めています。

これに対する川崎都市部長の答弁は、相変わらず木で鼻をくくったようなもので、「シティアクラック問題の現状について市の認識を問うについては、昨年現地調査と併せて業者から事情聴取を行った結果、現在生じているクラックを修復するために発生原因を究明するためのボーリング調査を行っていること、また、この調査結果を踏まえてマンション管理組合と協議を進め、修復工事を行う予定であるとのことから、適切に対処していると判断し」ており、「この問題は住民が納得する形で業者と直接話し合って解決すべきものであり、市が双方から事情を聞いて対処できる問題ではないと」一方的に宣言するなど、行政として市民の手助けをするという考え方は皆無であることを明らかにしています。

更に、「新マンション建設についての総点検と指導についてですが、このことについては開発許可の段階でも建築に際しても、今回のクラックの問題を踏まえて工事を行うよう事業者に指導しております。事業者もそのことを十分認識し、必要な手続を経た上で新マンションを建設していることから、改めて関与できるようなものではないと考えて」いると述べ、徹頭徹尾、事業者を信頼するというスタンスで通しています。しかし、この事業者(=長谷工)は現に地盤沈下を起こしたマンションを建設している訳ですから、これではあまりに性善説に過ぎると感じざるを得ません。

これに続く再質問の中で、関口議員は「市民を守るために、今ある法律をすべて活用して、何とか市民を守って」欲しい、「シティアと同じ轍を新しいマンションの方々に踏ませない、同じ苦労をさせない。こういった行政側の態度が私は欠けていると思」うと行政の不作為を指摘します。

しかし、これに対しても、川崎都市部長は「市が発注する公共事業であるならば、当然設計の段階から地質の調査など行ってチェックし、施工に当たっても必要な検査はその都度行」う「が、市が責任を持って設計、施工管理を行った工事であるならば、市が責任を持ってその原因究明をきちんと対応してやることができますけれども、民民の工事ではそこまで介入してなかなか対応できないと」回答します。

「民民の問題には介入しない」、というのは行政がよく使う逃げ口上ですが、これは警察権の「民事不介入の原則」を曲解した行政の詭弁という気がしてなりません。実際には民民の利害調整まで行政が行うという過剰な介入事例は枚挙に暇がありませんし、ここで求められているのは「市民の安全を守るために行政として相応の役割を担って欲しい」という、本来の行政があるべき姿な訳ですから、なおさらです。

この点については、関口議員の再々質問でも、「建ててじきにいろいろと問題が出てくるというようなことは、建築確認のときに不備があった」のかも知れないので、「市民を守る法律というのは必ずあるはずですから、そういうものを見つけ出して何とか守ってほしいという」、ほとんどお願いに近い声として繰り返されますが、残念ながらそれに応える答弁は得られずじまいでした。

さて、先述の通り、以上で我孫子市議会の議事録に登場するシティアクラック問題は終了しています。残念ながら、クラックの修繕や地盤沈下に対する対応策がどのようになったのかは明らかになっていません。しかし、一連の議論の中で、いかに長谷工の工事が綿密性を欠くものか、そして、そのような工事がほとんど何のチェックも受けずに進行していくのか、その内情が実に露になっていると感じられたのではないでしょうか?

欧米並みの厳しいインスペクション(建築工事の検査・監視)制度が導入されておらず、建築業者1社で設計・施工・監理を完結できることの弊害を、まざまざと見せつけられた思いがします。建築基準法の厳格化で、建築業界は汲々としているようですが、正直、改正内容が枝葉末節な部分に拘泥し過ぎており、本質が見失われている気がしてなりません。

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ここで、今回のエントリのタイトルの解題です。ほとんど長谷工の問題だけを採り上げている今回のエントリが、なぜ興和不動産の売主資格を云々するのか。それは、マンションの購入者はあくまで売主と契約したのであり、施工業者たるゼネコンと契約したのはあくまでも売主たちであって、購入者に対して責任を負うのは、一義的には売主たちの筈だからです。

今回のエントリの最初に採り上げた通り、シティアの売主の筆頭は興和不動産です(なお、売主のラストに長谷工も登場しますが、売主間の発言力・責任の度合いは出資比率に比例するのが通例ですから、ここでは売主としての長谷工の立場は無視します)。通常の商慣習で考えれば、(管理会社からの連絡を受けて)売主の代表である興和不動産が販売物件の問題に対して最初に対応し、その意向を受けて初めて(売主から仕事を請け負った)ゼネコン、すなわち長谷工が登場してくるのが筋でしょう。そして、長谷工が登場してきても、なおも購入者に対する直接の責任を負うのは売主たちですから、その後の議論に全く登場してこないということは、本来あり得ない事態です。

しかし、現実にシティアを巡る議論の中に売主たち(代表たる興和不動産以外の各社も含めて)は一切登場して来ません。単に途中のプロセスが省略されているだけで、本当は売主たちが対応したなどということがないであろうことは、吉祥寺レジデンシアを巡る一連の流れを見ても明らかです。本来あるべき売主としての義務すら果たすことなく、長谷工のお財布として金だけ出す。このような事業者に、果たして売主としての資格はあるのでしょうか?

また、遡って施工段階においても、一体この売主たちは自分たちが発注した仕事に対して、どのようなチェックを行ったのでしょうか? 途中経過は長谷工の報告を鵜呑みにし、竣工前の施主検査で表面的なチェックを行っただけ? それでは、到底躯体の瑕疵など見抜ける訳がありません。このような杜撰な事業者たちが建てるマンションが、今この瞬間にも次々建て続けられている。このような業界構造をどこかで断ち切らなければ、長谷工のような不心得な企業がのさばり続けるだけです。

どうか、赤字圧縮が至上命題となっているであろう吉祥寺レジデンシアにおいても、このような杜撰な構図が繰り返されていませんように… 地域にこれ以上の厄災がもたらされることだけは、勘弁して欲しいものです。

P.S. シティア問題に関する一連の討議の中で、関口議員が長谷工による風環境シミュレーションについて、専門家の見解を得た上でシミュレーションの問題点を明らかにしています。その内容を以前のエントリマンションと風害〜西宮市の「横長マンション」規制に想うに追記しました。ご興味をお持ちの方は、併せてご参照下さい。

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【GW特別企画】興和不動産に売主たる資格はあるか?(その2)

ゴールデンウィークもあっという間に過ぎ去り、長谷工の工事も再開する時がやって来てしまいました。つかの間の平穏な日々を懐かしまずにはいられません。

ところで、吉祥寺レジデンシアの販売予定時期がまた一段と後倒しになったようです。最近の情報では、6月中旬となっており、既に半年近く販売開始時期が先送りされています。どう考えても、パークホームズ吉祥寺グランテラスとのバッティングを回避するためとしか思えませんが、駄目なものはいくら待っても駄目なんですから、さっさと腹をくくって(損失覚悟で)適正な価格で売り出せばいいのにと感じてしまいます。大きなお世話でしょうけど。

前回は、本題に入るまでが長くなり過ぎてしまいましたが、今回はやっと本題に入ります。今回問題としたいのは、竣工早々シティアに生じたクラック(建物のヒビ)を巡る長谷工と住民のやり取りです。

この問題については、我孫子市議会において、平成18年6月開催の第2回定例会以降、日本共産党の関口小夜子議員が、再三に亘って採り上げています。その質疑応答内容はかなり膨大な量になりますので、いちいち引用することは避けます。以下、必要な部分をかいつまんで引用していきたいと思います。

最初にこの問題が登場する平成18年6月開催第2回定例会において、関口議員は「シティアの(マンション本体につけ足した建造物及び附属棟など)30数ヵ所にわたりクラックなどが生じ、長谷工が調査・補修工事を行うこと」、その原因は「マンションの沈下に伴う段差」であること、そして長谷工の資料によると「6ヵ月弱の間に沈下量が一番大きなところは8.7ミリ」、「(竣工時からの)沈下量が一番大きなところは40ミリ」に達することを市は知っているのか、そしてどう指導するつもりかと質問しています。

これに対して、我孫子市の川崎都市部長は、千葉県マンション管理士会による個別「相談会において、シティア関係者の方が相談されたところから、マンション管理士より必要な助言があったと思われ」ると述べた上で、「相談内容が民事にかかわることから、詳しい内容やその後の経過については把握して」いない旨を回答しているに止まっており、話は他の質問に移ってしまいます。

続く、平成18年9月開催の第3回定例会でも関口議員はこの問題を採り上げており、「シティアクラック問題は、当初長谷工側は地盤沈下によるものとして、補修工事計画を示して解決をしようとし」た「が、その後多くの住戸のバルコニーにもクラックが生じるなどの被害が広が」ったため、「長谷工側と管理組合側の双方が原因追及のための調査を行っており、8月末になってエレベーター外回りの修理が始まった段階で、個人住居部分についてはいまだに補修工事は手つかず」という状態にあることを指摘した上で、前回約束した市の事業者に対する指導結果と、長谷工の住民側への原因説明である地盤沈下についての市の見解を問うています。

これに対して、川崎都市部長は、「本年7月と9月に現地で建設事業者から状況を聞」いた「結果、市としては、シティアクラック問題については、建築確認や開発許可制度に基づいて指導する内容ではないと判断し」、「事業者側と管理組合側は、協議の上、問題解決を図ってきているとのこと」という事業者側の主張を一方的に鵜呑みにして、それ以上の調査をせずに終わらせてしまいます。

また、地盤沈下についても、「市は7月と9月に現地に行き、事業者が2005年8月から行っている地盤沈下の調査結果について聞き取りを」行い、「シティアに発生しているクラックは、高層のマンション及びこの本体の出入り口に併設されている低層の建物との接合部付近に生じている床の段差と壁のクラックで」あるという事業者側の主張(「基礎ぐいのある高層マンション本体は、コンクリートの乾燥収縮で発生した微細なクラックであり、後者のくいのない低層の建物は、地盤沈下が原因である」)をそのまま報告する一方で、「事業者側は地盤沈下の原因究明と将来予測のために行ってきたボーリング等の調査を本年8月末に終了したところであり、10月中旬には管理組合に調査の分析結果と今後の対策を示した上で、恒久的な改修工事を進めていくとのこと」と発言するなど、事業者側の主張の根拠が一体何なのかすら明らかではない中での答弁であることを自ら露呈させています。

関口議員は、この定例議会の1週間後に行われた都市建設常任委員会でも、川崎都市部長に対してシティア問題を問いただしています。そこでは、委員会という専門的な場であるためか、かなり突っ込んだ議論が交わされています。重要な点を含んでいるので、やや長くなりますがご紹介させていただきます。

先ず関口議員は、「シティア地盤沈下の問題で、議会での答弁によりますと、一方では、我孫子市ではここ10数年間、沈下の発生が確認できる目安となる年間2センチを超える沈下は見られないので、生活環境に影響を与えていることはないのではないかと考えている」という新田(環境生活部長の)答弁と、「シティアはかつて軟弱地盤を盛り土したための沈下であり、約2センチの段差やクラックが発生したと」いう川崎答弁の矛盾を指摘しています。

これに対する川崎都市部長の回答は、「生活環境に影響するかという話になりますと、当然それを買った人は、建て主さんがそこの家主さんでしたらその人の責任になって、生活環境上影響があれば直すしかありませんし、また販売した事業者さんが売って買った方がそこで支障があるときには、当然その販売責任といいますか、瑕疵担保の範囲に入るのかなと、そのように考えて」いるという、およそ関係のないものでした。

この点を更に追及された結果、「シティアと同じような、田んぼを埋めたとか、そういうところは、当然そういう現象は出るだろうというふうに考えて」おり、「当然初期沈下といいますのは急激に起きます。現実に今業者の方に聞いていると、ある程度その沈下の進みぐあいは少なくなっているといった内容は聞いてい」ると回答します。

関口議員の質問の意図は、「我孫子市内全域では(地下水くみ上げなどによる)生活に影響を及ぼすようなもの(地盤沈下)は起きていないけれども、シティアでは生活環境に影響を及ぼすような地盤沈下が起きている」のかどうかという簡単なことだった訳ですが、とにかく自らの発言の非を認めない役人気質が、発言を迷走させてしまっている様子がよく分かります。法政跡地の議論を見た際に、武蔵野市議会でも何度も見た光景です。

続いて関口議員は、シティアに続いて「グランドレジデンスというのが第1期工事で、あと第2期、第3期と、同じ続きに大きなマンションが建っていく」に際して、「シティアと同じような被害は生まれないと市は考えている」のかどうか、「シティアの開発許可に当たって、今2年や3年で地盤沈下が起きてしまって、住民の方々は非常に困っていらっしゃるんですけれども、このときの指導はどのようにされたの」かということを質問しています。

これに対して川崎都市部長は、シティアに続く「2ヵ所のところなんですが、そこは地図上で調べたところ、一応地山になっております。そういった点から見ると、地盤沈下はないものと考えられます」と回答する一方、シティアについては「造成につきましては、当然堅固な建物の、高層の建物を建てるということで、当然くいとかそういうもので対応するだろうということで、細かい地盤についてまでの指導はしていなかった」ことを認めています。地盤沈下がないとする根拠が、単に地図で見ただけというのはどうなんでしょう?

そして、重要な箇所ですが、関口議員は一連の質問の根拠が、「日立精機が工場をつくるときに、あの辺は湿地帯だった」ので「そこにあんな巨大なマンションをつくれば、沈下するのは当然だというようなことを(地盤沈下の所管課である手賀沼課に)言われた」ことを明らかにします。「そのような『当然だ』というような認識が市にあったならば、もっと業者を、くい打ちを念入りにするとか、沈下対策を強めるとか、そういう指導をするべきではなかった」のかと、市の指導不足を問い質します。

しかし、川崎都市部長の回答は、「今沈下している、御質問に出ていますが、そこの部分が谷津が入り組んでいるということで、他の地域は台地上で形成された土地だと思」うので、「たまたまそこの部分が、建物を建てて、入り口のところの低層部分がたまたまそこにくいを打たないで、縁を切れて段差が出たというような状況だ」ろう。「当然市の方でもわかってそういうような状況が出るという話になれば、指導することもあるんですが、開発の中では、中高層を建てるときには、当然業者もそういう建物の設計の中で対応して考えるべきかなと思って」いるというものでした。

このやり取りには、非常に重要な問題点が含まれているように思えます。市(行政)は、「事業者(長谷工)は、中高層の建物を建築する訳だから、地歴なども十分踏まえた上で適切な設計をしている筈だ」と一方的に思い込み、事業者(長谷工)は、「建物本体部分は(高層だから)杭を打ったりして地盤沈下に備えるが、エントランス部分は(低層だから)杭は必要ない」というステレオタイプ的な設計手法を適用して、地歴等を考慮せずに事業化を進めているという、双方の究極の無責任体質がここにははっきりと見え隠れしています。

地元の業者ならいざ知らず、各地で建て逃げを繰り返す長谷工が、我孫子の地盤について知悉している訳がありません。この点を、きちんとトラブル防止に努めるのが地元行政の役割でしょう。そして、本来はそこが本当に高層建築物の建築にふさわしい土壌なのかを徹底的に調査するという、本来は当たり前の準備すら行わない長谷工に、このような建築に携わる資格はあるのでしょうか?

これらの諸点についての双方の認識が、いかに甘いものだったかについては、平成18年12月開催の第4回定例会以降のやり取りが明らかにしていきます。2回目も大分長くなりましたので、その点については次回とさせていただきます。

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【GW特別企画】興和不動産に売主たる資格はあるか?(その1)

世間のゴールデンウィークの喧噪も、ここ法政跡地については長谷工の工事が中断しているために、かえって静けさが戻って来ています。周囲から浮き上がったタワークレーンという不要物さえなければ、本当に心から落ち着ける連休となっているのですが…

タワークレーン2機(タワークレーン2機と高圧線鉄塔、クリックで拡大)

タワークレーンと高圧線(南側のタワークレーンと高圧線の位置関係、クリックで拡大)

そんな長期休暇中ですから、以前から関心を有しているテーマのうち、吉祥寺レジデンシアの筆頭事業主である興和不動産長谷工の関係について見ていきたいと思います(書いているうちに大分長くなってしまいましたので、何回かに分けてお送りします)。そこに見えるのは、およそ住宅という高額商品を販売する資格があるとは思えない、身勝手な事業者の姿でした。

最初に、興和不動産が売り主となって長谷工が施工している物件がどれ位あるかということを見てみます。そのために、興和不動産のHP内に掲載されている分譲実績を遡ってみようと思いましたが、このページは未だに平成17年(予定)となっているなど、全くやる気が見られません。そのため、平成17年以降は長谷工アーベストのマンション完売物件一覧にて最近の長谷工分譲実績を適宜補足しています。

<2006年竣工>
グリーンサラウンドシティ
住所:神奈川県横浜市港北区綱島
総戸数:945戸
竣工時期: 2006年3月
売主:双日都市開発、興和不動産、新日鉄都市開発、トータルハウジング、ナイス、ニチモ、平和不動産、プロバイスコーポレーション、双日、長谷工コーポレーション
備考:青山学院グラウンド跡地

<2005年竣工>
プライヴブルー東京
住所:東京都江東区豊洲
総戸数:513戸
竣工時期:2005年2月
売主:東急不動産、三交不動産、興和不動産長谷工コーポレーション
備考:日新製糖豊洲工場跡地

<2004年竣工>
深沢ハウス
住所:東京都世田谷区深沢
総戸数:772戸
竣工時期:2004年6月
売主:双日都市開発、ジェネラスコーポレーション、ニチモ、興和不動産、トータルハウジング、日本中央地所、相鉄不動産、セコムホームライフ、日本開発、相互住宅、長谷工コーポレーション
備考:東京都立大学跡地

<2003年竣工>
citia(シティア
住所:千葉県我孫子市我孫子
総戸数:851戸
竣工時期:2003年7月
売主:興和不動産、トータルハウジング、ニチモ、三交不動産、近藤産業、長谷工コーポレーション
備考:日立精機工場跡地

まあ、目的物件まで遡ったことだし、この辺で終わりにしておきます。これで分かることは、興和不動産が年1棟前後のペースで長谷工の大型物件に参加する「パートタイム忠犬」であることでしょうか。しかし、上の物件リストを見ただけでも、小学校受け容れ問題で騒動を起こしたプライヴブルー東京、地域住民との係争が最高裁まで行った深沢ハウスと、本当にトラブルには事欠かない会社です、長谷工は。

さて、今回のメインテーマであるcitia(シティア)も、もちろんその一つです。このシティア、実は本ブログに以前も登場しています。長谷工の施工現場でクレーン横転のような重大事故が頻発していることをお伝えした長谷工施工現場は危険がいっぱいで、わずか1年ほどの間にパワーショベルの横転(1人死亡)、クレーン車横転(3人死傷)と重大事故を2件も起こしている事例としてご紹介しました。

しかし、今回この物件が登場するのは、この事故を再度ご紹介したいがためではありません。このシティアは、日立精機の工場跡地に建設されたマンションなのですが、本題に入る前に、日立精機跡地のマンション開発の経緯を振り返ってみたいと思います(以下の経緯については、我孫子市議会の会議録を主に参照しています)。

この日立精機は、バブル崩壊後の設備投資減退を受けて業績が低迷。リストラの過程で先ずグラウンドを売却。そこに、三菱地所が「エールの丘」という総戸数482戸の巨大マンションを建設します(2000年11月竣工、売主:三菱地所、東京建物、東急不動産、施工:大成・池田建設JV)。その後も、リストラの一環として土地を切り売り(長谷工が2001年2月に購入)し、そこに建設されたのが「シティア」です。

一連のリストラの甲斐なく同社は倒産(2002年8月民事再生法申請)。森精機製作所が資産の営業譲渡を受けて再起を図りますが、結局、森精機の方針で我孫子の工場は全面閉鎖となり、工場跡地は一括して売却される(長谷工が2003年12月に購入)こととなります。そして、長谷工は例によってワンパターンの巨大マンションを立て続けに建築します。具体的には、「グラン・レジデンス」(総戸数:738戸、2007年3月竣工、売主:双日、双日都市開発、東レ、明豊エンタープライズ、長谷工コーポレーション、施工:長谷工コーポレーション)、「アクア・レジデンス」(総戸数:424戸、2008年3月竣工、売主:双日、東レ建設、明豊エンタープライズ、長谷工コーポレーション、施工:長谷工コーポレーション)の2物件です。

シティア周辺の地図(驚異的なマンションの林立振り、クリックで拡大)

これらの巨大マンション群が林立した結果、わずか8年ほどの間に約2,500戸もの住戸が一挙に増加し、1万人近い人口増加が引き起こされます。この間の市議会の討議内容を見ると、渋滞発生、近隣の学校・保育所の受入問題、日照被害、土壌・地下水汚染などの様々な問題を巻き起こしたことが分かります。本ブログでも採り上げた後発マンションによる眺望被害(マンションデベロッパーのモラルで紹介)、土壌汚染とマンション問題など、およそ一箇所のマンションPJでこれだけの問題を引き起こせるとは、「流石は長谷工」と妙なことに感心してしまいます。

この関連討議は膨大な量になりますので、いちいち引用は致しません。ご興味のある方は、我孫子市議会の会議録検索システムに適当なキーワード(日立精機、シティア長谷工など)を入れて検索してみて下さい。行政が事業者側にいいようにされている、武蔵野市でも見られた光景が繰り広げられたことが良く分かります。

因みに、この土壌汚染問題に絡んで、長谷工は暴力団から恐喝され、3千万円を支払って世間を騒がせています。

長谷工から3千万恐喝容疑 3幹部を再逮捕へ NPOを隠れミノに
2004年1月28日(読売新聞)

◆「敷地が汚染」と街宣
 マンション建設大手「長谷工コーポレーション」(東京都港区)から、環境問題を口実に3000万円を脅し取ったとして、警視庁組織犯罪対策部は27日、環境汚染防止を活動目的とするNPO法人(特定非営利活動法人)「消費者問題研究会」(東京都中央区)の幹部3人について、恐喝容疑で逮捕状を取った。3人は別の恐喝事件で起訴されており、28日にも再逮捕する。NPOを「隠れみの」にした企業恐喝グループに、東証1部上場企業まで屈していた。再逮捕されるのは、同研究会会長榎原(えのはら)一吉(55)、同理事長近藤薫(60)、同元理事藤川幸治(48)の3被告。
 調べによると、榎原被告ら3人は2002年7月ごろ、千葉県内のJR常磐線沿線で、長谷工コーポレーションが建設し、分譲中だったマンションについて、「敷地が汚染されている」などとして、建物周辺で街宣活動を行ったほか、中傷ビラを配布。
 また、同社の株式を所有していないにもかかわらず、「株主総会に出席して問題にするぞ」などと脅迫し、同社から3000万円を脅し取った疑いが持たれている。
 3人は同月、同社が東京都内で行っていた建物の解体工事現場周辺でも、「廃棄物の処理方法が違法だ」などと、街宣活動していたという。
 榎原被告らは、マンションの敷地が工場跡地で、かつては重金属類に汚染されていたことに目をつけ、その後、十分な浄化対策工事が行われていたにもかかわらず、因縁をつけて現金を脅し取ることを計画。街宣活動のほか、同年6月下旬には、「マンション開発への市の対応をただしたい」と、管轄の市役所を訪れ、市長に「浄化対策工事が不十分ではないか」と主張するなど、同社に対する嫌がらせを繰り返していた。
 同研究会関連の口座には、ほかにも大手ゼネコンなど十数社から3000万円近い入金があり、警視庁では、ほかにも不当な資金集めをしていた疑いもあるとみて調べている。
 長谷工は99年5月、取引金融機関に対し、総額3500億円の債権放棄を要請したほか、2002年には1500億円の金融支援を要請していた。榎原被告らが3000万円を脅し取っていたとされるのは、この時期だった。
 同社広報部は「街宣活動があったのは事実だが、その他のことは警察が捜査中であり、コメントできない」としている。
 榎原被告ら3人は、千葉県内の土木業者に「宅地造成地に汚泥を入れている」などと因縁をつけ、2001年7―8月、同業者から計300万円を脅し取ったとして、先月、恐喝罪で起訴されている。
 一方、内閣府は同研究会について、NPO法施行後初めての認証取り消しに向けて手続きを進めている。

<NPO法>
 1998年12月に施行された。環境や福祉分野などで社会活動を行うボランティア団体などが、内閣府や都道府県から認証を受けて、法人格を認められると、団体として事務所を借りたり、契約を交わすことができるようになる。昨年末現在、計1万4657法人が認証を受けている。



まあ、長谷工は恐喝に遭った被害者な訳ですが、その理由が土壌汚染のもみ消しとあっては同情の余地は全くありません。因みに、この脅し取られたお金の大半は水増し発注で捻出した裏金であることが判明しており、組織ぐるみの隠蔽工作であったことが分かります。本当にどうしようもない会社ですね。

長谷工のろくでなし振りが明らかになったところで、続きは次回とさせていただきます。実は、今回の本題はまだスタートしていないのです。本題に至るまでだけでも、これだけのトラブルを紹介しない訳にはいかない長谷工という企業に、一体何の存在意義があるのでしょうか?

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なぜクレーン転倒事故は頻発するのか?

最近、法政跡地に置かれている吉祥寺レジデンシアの広告が新しくなっていました。あの悪評高い黒装束夫婦の写真はどこへともなく消え去り、代わりに現地周辺の空撮写真に建物のCGを合成したものになりました。一体、あの悪趣味な夫婦の写真は何だったのでしょうか? 今更ながらに、黒装束カップルを確認したいという方は、過去のエントリ迷惑マンションは「真の吉祥寺アドレスを継」いでなどいない!をご参照下さい。

吉祥寺レジデンシアの広告(新しくなった広告、クリックで拡大)

しかし、この広告、よく見ると非常に不自然です。建物の一部がやけに光っているCG加工がわざわざ施されています。「マンション・チラシの定点観測」の3月22日付エントリ「案内図の吹き出し部分や白地部分を要チェック」では、「本日の教訓」として、「案内図の一部が吹き出しなどで覆われていたら何か隠されていないか、あるいは白地の部分に何か消されていないかよくチェックしよう」とあります。そして、この広告も、よく光っている部分に目を凝らすと、そこには高圧線の鉄塔が隠されていることが見て取れます。実にセコい隠蔽工作です。

広告建物アップ(建物周辺を拡大すると…、クリックで拡大)

この空撮写真を見れば、如何にこの吉祥寺レジデンシアが周囲の低層の町並みから浮き上がった存在かが、いやというほど分かります。こんな写真を自慢げに掲載するところに、長谷工という企業の住環境を一顧だにしない企業姿勢が透けて見えてしまいます。

さて、そんな吉祥寺レジデンシアの工事現場ですが、先週大きな変化が見られました。現場の真ん中あたりに、タワークレーンが設置されたのです。連日、クレーン車がけたたましい騒音をまき散らしながら作業を行っており、近くを通るたびに「倒れて来ませんように」と祈らずにはいられなかったことを考えれば、(工事が中止されない以上)安全性が少しでも高くなるタワークレーンの設置はわずかながらも安心材料と言えるでしょう。

タワークレーン(写真奥にタワークレーンが設置されています、クリックで拡大)

しかし、残念ながら4月は工事現場のクレーンが如何に危険なものかを世間に知らしめるような事故ばかりが起きてしまいました。14日に東京都千代田区麹町のマンション工事現場で起きた大型クレーンの横転事故は、大きな事故でしたのでかなりニュースでも報道されました。今更ながらですが、事故の概要を毎日jpの記事クレーン転倒:2人が重体、4人負傷 東京・千代田区で振り返ってみますと、

 14日午前11時10分ごろ、東京都千代田区麹町4のマンション工事現場で、大型クレーンが現場前の国道20号(新宿通り)側に向かって倒れ、走行中のトラック1台が下敷きになった。東京消防庁によると、トラックの運転手(29)ら男性3人と、クレーンのオペレーターの男性(38)の計4人が一時それぞれ車内に閉じ込められ負傷した。オペレーターは意識不明の重体。さらに通行人の男女2人が負傷し、うち40代の女性が心肺停止状態で搬送され意識不明の重体。警視庁捜査1課と麹町署は、施工業者らの安全管理に問題がなかったか業務上過失傷害容疑で捜査を始めるとともに、負傷者の身元の確認を急いでいる。

 麹町署などによると、クレーンは総重量104トン、アームの長さ約27メートル。アームを伸ばして作業中に、北側を走る国道20号の約3車線分をふさぐような形で突然倒れたという。

 トラックに乗っていたのは、運転手のほか39歳と40歳の男性。39歳の男性は助手席に乗っていて両足を挟まれた。3人の詳しい容体は不明だが、いずれも搬送時に意識はあったという。歩行者の男性(33)は軽傷という。

 工事の設計を担当する三菱地所設計(本店・千代田区)と東京都によると、現場は地上19階、地下2階のマンションと商業施設が入る複合施設を建設していた。施工主は東亜建設工業(千代田区)で、工事の発注者は三菱地所だった。同社担当者は「現場に自社の者はおらず、安全対策は施工者の東亜建設工業に任せていた」と話している。クレーンは基礎工事会社「大洋基礎」(東京都中央区)の所有。

 現場はJR四ツ谷駅の東約500メートルのオフィスビルなどが建ち並ぶ一角。



残念ながら、事故に巻き込まれた吉祥寺北町の方は、24日にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。この他にも事故は頻発しており、16日付YOMIURI ONLINEの記事今度は川崎でクレーン転倒、道路わき電柱に接触…けが人なしでは、

 16日午後1時50分頃、川崎市宮前区犬蔵のマンション建設現場で、作業中の25トンクレーン車がバランスを失って倒れ、長さ約30メートルのアームの先端が敷地外に飛び出し、道路脇の電柱に接触した。

 けが人や停電、交通への影響はなかった。約6時間後に電柱からアームを離した。

 現場では、東急建設(東京都)などが地上5階建て約300戸のマンションを建設中。同社によると、クレーン車は下請け業者が扱っており、資材をつり上げている最中に倒れた。原因は調査中という。子供を連れて通りかかった近所の主婦(33)は「公園が近く、子供とよく通る場所。何事もなくてよかった」と話した。同社は「近隣の皆様にご迷惑をかけ、深くおわびします」としている。



と、わずか2日後にも同様の事故が起こったことを報道しています。更には、遡って1日にも山口県下関市でクレーン横転事故が発生したことを、毎日jpの記事下関のクレーン横転事故:「危うく大惨事」 市民ら驚きでは伝えています。

 「けが人がなかったのは奇跡的だ」。1日午前、下関市田中町で起きたクレーン車の横転事故は、一つ間違えば大惨事だった。現場に面した病院などの建物にクレーンが倒れていたら……。人が下敷きになっていたら……。工事業者や発注元の市、周辺の人々は胸をなで下ろしながらも、危機一髪の事態におののいていた。

 ピーッ、ピーッ。午前11時過ぎ、異変に気付いた交通整理員のホイッスルが現場に鳴り響いた。「スローモーションのように倒れてきた。下にいたからとっさに笛を吹いて、走って逃げた」とその男性。近くにいた人が「ドーンと雷でも落ちたようだった」と口をそろえるごう音とともに、長さ約10メートルのクレーンは横倒しになった。

 工事は市発注の雨水管敷設。事故時は地面に埋め込まれた鋼材をクレーンで引き抜く作業中だった。

 現場は病院や店舗、住宅が密集する市街地。クレーンはそばの病院をかすめる形で倒れ、信号機と公衆電話のボックス、軽ワゴン車を押しつぶして止まった。引っかかった電話線などに引き倒された電柱は近くの神社の鳥居や住宅のベランダを破壊。停電などの影響は周囲に及んだ。

 横転の理由は、クレーン車を固定する脚元の車道陥没だが、陥没の原因は不明だ。

 市河川課によると、工事業者の届け出では、油圧で地面への圧力を軽減しながら引き抜く重機を使うことになっていた。しかし、横転したクレーンは地面に震動を与えながら引き抜く方式で、市は使用を認めていなかったという。一方、業者側は「これまでは問題なかった。車道の陥没など予測できず、不可抗力だ」と主張する。

 市は2日から現場の復旧と並行して原因の調査を進める。



わずか1ヶ月の間だけでもこれだけクレーン横転事故が頻発するのは、建築業界の構造的な問題と言わざるを得ないでしょう。麹町の事故でも、クレーンを操縦していた作業員が「クレーンと資材の間に残土があったことや、次の作業のことを考え近づかなかった」と発言しており、クレーンとつり上げる対象物とが離れ過ぎた結果、クレーンに想定以上の荷重が掛かったことが事故原因と考えられています。

これが、この業界に染み付いた「安全よりコスト優先」という体質に起因することは言うまでもないでしょう。そうでなければ、これだけ事故が頻発する筈はありません。多大なる危険が伴う作業を「もう少しなら大丈夫だろう。作業が遅れるとまた(元請けが)うるさいし…」という安易な発想でやってしまう。結果として、そのツケは大きな事故となって返って来てしまうという悪循環。重層的な下請け構造による建築業界の劣悪な労働環境あってこその起こるべくして起こっている事故という気がしてなりません。

最近の事故は長谷工以外のゼネコンによるものですが、長谷工クレーン横転事故を何度も起こしていることは以前のエントリ長谷工施工現場は危険がいっぱいでお伝えしている通りです。また、長谷工の安全管理の杜撰さについても、校舎解体工事の際の事故をお伝えしたエントリ足場倒壊続・足場倒壊【速報】長谷工またも事故を起こす(続)長谷工またも事故を起こすなどでお伝えして来た通りです。

何度事故を起こしても、一向に安全性が改善されない建築業界。工事による精神的な苦痛を何年もの長期間にわたって一方的に押し付けられた挙げ句、周囲と全く調和しない迷惑マンションという負の遺産を更なる長期間にわたって押し付けられる近隣住民。このような非道が許されるという点にこそ、土建国家・日本の国民無視の本質がある気がしてなりません。度重なるクレーン横転事故を契機に、それを生み出す安全軽視の建築業界の体質を徹底的に糾弾する世論が盛り上がれば良いのですが… 決して弱者の味方ではないマスコミにそれを期待するのは、酷というものでしょうか?

最後に、先週末、コスモスイニシアが私的整理に踏み切ることで銀行団と調整に入ったことが報道されました(こちらの記事コスモスイニシア、債務軽減で銀行と調整 再建へ私的整理を参照)。事実上の倒産と言えるでしょう。ゼネコン・不動産会社の債務免除が相次いだ10年ほど前とは異なり、情報開示の徹底が求められる現在では、銀行も簡単には債権放棄には応じないかも知れません。

最早、マンションを建てて売り続けるというビジネスモデル自体が、既に破綻を来しているのではないでしょうか。プレーヤーの数を大幅に絞る必要がありそうです。そのためには、マンション専業ゼネコンを謳う某・反社会的企業を消滅させるのが、最も効果的かつ社会のためだと思うのですが…

<4月29日追記>
住宅情報マンションズ4月28日号に、とうとう吉祥寺レジデンシアの情報が掲載されました。予定価格帯(5,000〜18,000万円台)を公表するなど、いよいよ損失確定に向けた活動に余念がないようです(もっとも、高値で土地を仕込み過ぎているので、3月決算で評価損を計上し、見かけ上は利益が出る物件になっている可能性もありますが(笑))。予定価格がアバウト過ぎるのではっきりとは分かりませんが、330〜350万円/坪前後と思われる価格設定は、明らかなミスプライスですね。

因みに、マンションズの記事中のCGは、上述した隠蔽工作が更にエスカレートしています。光だけでは隠し足りないと見て、「現地」という吹き出しを追加し、完全に高圧線の鉄塔を消去するという荒技を発揮しています。現地を見れば一発で分かるものを、ここまであざとく隠すとは、ちょっと消費者を馬鹿にし過ぎてはいないでしょうか?


マンションズの建物アップ(住宅情報マンションズでは隠蔽工作度がアップ(笑)、クリックで拡大)

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そして誰もいなくなった

タイトルは、もちろんアガサ・クリスティの傑作から拝借しました。「長谷工の周りには」と補足してお読み下さい。

4月に入っても、マンションデベロッパー淘汰の流れは加速することこそあれど、弱まることは決してなさそうです。24日には、長谷工の忠犬として長谷工主導の大規模物件に数多く参加して来た中央コーポレーションが、民事再生手続開始を申し立て、倒産しました。恒例の大型倒産速報「不動産開発・賃貸 東証・名証2部上場 株式会社中央コーポレーション 民事再生法の適用を申請 負債340億円」でその概要を見てみますと、

 (株)中央コーポレーション(資本金33億6176万5789円、名古屋市中区栄2-5-1、代表植野晃年氏、従業員87名)は4月24日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、保全命令、監督命令を受けた(中略)。

 当社は、1942年(昭和17年)4月に設立。当初は繊維商社として事業展開していたが、長引く繊維不況の影響から随時不動産賃貸業へ事業転換を進め、近時は分譲マンション、投資用マンション、賃貸用オフィスビル、商業施設などの開発・販売、不動産活用などの仲介事業を主体に、ショッピングセンター「津サティ」ほか商業ビルや工場賃貸を行う不動産賃貸、繊維製品卸などを手がけ、2008年5月期は年売上高約390億1100万円をあげていた。

 しかし、開発用不動産の取得などで借入金が年商を上回り金利負担が重くなっていたうえ、アメリカのサブプライムローン問題の発生による不動産市況の冷え込みなどから、不動産開発部門の収益が低迷し資金繰りが悪化。支払いの遅延も発生するなど苦しい経営が続いていた。

 2009年に入ってからは、プロジェクトの見直しや役員報酬の減額、不採算の事業からの撤退などの経営改善計画を発表して再建を図っていたが、業績は回復せず、2月には株式の時価総額が6億円未満となり東証の上場廃止基準に抵触したほか、4月14日には2009年5月期の第3四半期報告書が法定提出期限に提出できなくなったことを発表するなど動向が注目されていた(後略)。



繊維商社としての経営が苦しくなったので不動産屋に転身するというのは、事業の目的を忘れて存続のみが目的化した不要な企業の典型的な姿ですが、それを可能にしているのは、あまりにも参入障壁の低い不動産業界(特にマンションデベロッパー)のあり方です。ノウハウなど一切いらず、資金さえあれば、設計・施工・販売等を全て外注して事業が行える。こんな手軽な事業は、マンションデベロッパー以外にあり得ないでしょう。そこを長谷工につけ込まれ、骨の髄までしゃぶられて、余命短い長谷工の延命処置に貢献した挙げ句の倒産劇、見るのは一体何回目でしょうか?

さて、そんな中央コーポレーション長谷工集中度は、終末時点ではどの程度だったのでしょうか? それを、同社HP中の新築マンション一覧で確認してみたいと思います。

倒産日現在で、同HPに掲載されている物件数は全8物件(首都圏6物件、近畿圏・中京圏各1物件)です。未竣工物件は、「SHINKA CITY <ステーションスイート>」のみで、他は9ヶ月〜2年前に竣工済の物件ばかりという悲惨さは、当社の倒産が必然だったことを物語っています。この中で、近畿圏・中京圏を除く首都圏6物件は全て長谷工案件という集中振り。この点については、1年近く前に輝く!長谷工忠犬度ランキング(第2の近藤産業を探せ!)で指摘した時から、何ら変わっていないようです。

残念ながら、建築中の物件は1物件のみで、かつ売主が8社(!)という「船頭多くして船 山に登る」状態の物件ですので、長谷工の損失は非常に限定的と言えそうです(因みに売主の面々は、名鉄不動産、三洋ホームズ、新日本建設、京急不動産、中央コーポレーション、平和不動産、セントラル総合開発、長谷工コーポレーションという笑えるほどの忠犬面子です)。しかし、長谷工自慢の「忠犬に用地情報を提供し、金だけ出させて、自分はリスクなしで工事を請け負う」という虫のいいビジネスモデルは、確実に付和雷同型デベロッパー淘汰の加速によって、成立する余地がなくなりつつあるようです。

タイトルの「そして誰もいなくなった」は、孤島から出られなくなった10人が1人ずつ殺されていくという物語ですが、長谷工を取り巻く忠犬たちも、近藤産業、マツヤハウジング、ノエル、ダイア建設、栄泉不動産、日本綜合地所、ニチモ、アゼル、そして中央コーポレーションと、一社ずつ確実に淘汰されています。小説と同じような結末は、果たしていつ用意されているのでしょうか?

このような周囲の町並みと一切調和することのない環境破壊も甚だしいマンションが建ち続ける世の中はたくさんです。そのトップをひた走る長谷工には、一日も早く社会から退場して欲しいと願って止みません。

深沢ハウス(周囲から浮き上がった異様を晒す深沢ハウス(施工・長谷工)、クリックで拡大)

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どこまで下がる? 不動産・マンション

タイトルは、週刊東洋経済の4月11日号から拝借しました。いい加減、悲惨を極める不動産業界をネタにした記事には食傷気味ですが、ある意味、この特集は面白く読めました。

その理由は後ほどとして、先ずは法政跡地の近況など。下の写真の通り、相変わらず地下部分の工事中ですが、大分配筋が立ち上がってきたようです。損失確定に向けて工事が進む中、販売の方はと言えば、販売戸数・販売価格を明示しない予告広告をいつまでも続けています。その一方で、「モデルルーム事前案内会」と銘打って実質的な販売活動を行い、秘密裏に価格も公表するという脱法行為を続けています。よほど、自分たちの価格設定に自信がないようです。

工事現場全景090406(配筋が立ち上がってきています、クリックで拡大)

話は変わりますが、3月30日に倒産したアゼルの債権者がこちらに公表されています。順を追って見ていくと、<買掛金・未払金>長谷工コーポレーション134百万円、<支払手形>長谷工コーポレーション833百万円、<未成工事・不動産事業受入金>長谷工アーベスト12百万円など、合計10億円近い長谷工グループの債権額が明らかになっています。

にも関わらず、本日現在まで長谷工は何のプレスリリースも出していません。何か、損失額を公表できない訳でもあるのでしょうか? それとも、日本綜合地所で100億円以上の焦げ付きを作った長谷工さんにとっては、10億円程度ははした金という訳なのでしょうか? 「債権額は申請書類によるもので、確定債権とは異なる」とのことなので、もしかすると「倒産近し」と見た長谷工が、アゼルから強引に取り立てて債権が消滅していたりして… カラクリが知りたいところですね。

さて、冒頭の東洋経済の特集についてです。内容自体は、既にあちこちで書かれていることが多く、既視感が否めません。しかし、「苦境の”不動産金融王”、どうなるオリックス」や、森稔・森ビル社長のインタビュー「今こそ東京大改造の好機 景気浮揚効果も巨大だ」は、興味深く読みました。

オリックス森ビルと言えば、現代の代表的な政商と言えるでしょう(この両者が登場する「"官から民へ"に群がる現代の政商たち」などが参考になります)。この特集のキャスティングには、「不動産・マンション」という切り口を通して、今回のバブルを演出したキープレイヤーをあぶり出そうとしている裏の意図があるような気もします(考え過ぎでしょうか?)。

オリックスの宮内会長は、「かんぽの宿」問題で相当叩かれ、お茶の間にもその政商振りが周知されたことと思いますが、森ビル政商振りも負けてはいません。このインタビュー記事一つ取ってみても、○○の一つ覚えのごとく、「公共投資の対象として最も望ましく、効果も上がるのは都市再生事業だ」と「私は不景気のたびに同じことを言ってきた」などと恥ずかしげもなく述べています。「都市再生事業」が、所詮はバブルを引き起こしただけで、何ら抜本的な産業構造の改革をもたらさなかったことは、ここでは完全にスルーです。

その上、「自民党の国土交通部会で(中略)、『都市再生』ファンドの予算の拡充と『土地取得・譲渡業務』の復活をお願いした」などと、税金で自らの便宜を図れと言わんばかりの身勝手な要求を行ったことを明らかにしています。そんなことを要求する暇があれば、自分たちのビルの回転ドアの安全性向上策を議論するのが、事故を起こした企業のトップとしての責任というものでしょう。

なお、「都市再生」が如何にまちづくりに有害なものかという点については、「『都市再生』がまちをこわす―現場からの検証」が参考になります。森ビルの六本木ヒルズ開発問題、長谷工の都立大跡地問題(深沢ハウス)など、ここで紹介した環境破壊業者がこれでもかと登場してきます。ご興味をお持ちの方はご一読下さい。

「都市再生」がまちをこわす―現場からの検証「都市再生」がまちをこわす―現場からの検証
(2004/05)
建設政策研究所

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ところで、この特集には、長谷工岩尾社長のインタビュー記事も当然のごとく掲載されています(マンションバブル演出の最大の功労者ですから)。内容は、「マンション不況は厳しいが トンネルの先に光が見えた」というタイトルが示す通りの、「建築コストが下がった」、「モデルルームの来客数が増加した」から、回復の兆しが見えたというワンパターンな主張です。ここには、大量の完成在庫の存在や、塩漬けとなっているマンション用地の存在、そして何より、空室率10%を大幅に上回る住宅の供給超過問題を完全に無視し、なおも新築物件の大量供給を続けようとする、長谷工の身勝手振りしか見えてきません。もういい加減、この手の前近代的な輩にはご退場願いたいものです。

モデルルームの来客数増加も、今年に入ってからあちこちで聞かれるフレーズです。しかし、先日複数の不動産業界の方に話を聞く機会がありましたが、実情は「来客数は多くなったが、『マスコミが煽るので自分でも買えるのではないか』と考えた所得水準の低い人の来場が多く、申し込みを受けても住宅ローンが通らないケースが多い。ローン審査が厳しくなっていることも感じているが、それ以上に客の質が悪くなっている」と異口同音に述べていたことが印象に残っています。これが少数派の意見かどうかは、皆様のご判断にお任せします。

最後に、恒例の岩尾社長の入社式挨拶 をご紹介しておきます。駄文をいちいち掲載するのは無駄なので、ご興味をお持ちの方はリンクを辿って下さい。「土地情報の取得から企画・設計、施工、販売、管理、賃貸まで行う独自のビジネスモデル」などと大仰にのたまっていますが、それが「単なる自社施工のマンションデベロッパー」のことだと気付いていない点など、突っ込みどころが満載です。

一点だけ、この勘違いだけは指摘しておきます。これだけモラルのない企業として社会的に認知されている長谷工のトップにも関わらず、「法令、ルールはもとより、約束を守り信頼される人間・社会人になっていただきたい」などとのたまう岩尾社長の厚顔無恥振りです。先ずは、長谷工を「約束を守り信頼される」企業に変革することこそ、自らの使命だと認識して欲しいものです。但し、それは長谷工消滅まで実現することのない幻だと思いますが…

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アゼル、逝く。

年度末も押し迫った30日の早朝、とうとう長谷工の忠犬の一社であるアゼルが自己破産を申し立てて倒産しました。恒例のTDB大型倒産速報マンション分譲、建築請負 東証1部上場 株式会社アゼル 破産手続き開始決定受ける 負債442億円によると、

 東証1部上場の(株)アゼル(資本金150億円、大田区西蒲田8-23-1、代表古江正氏ほか1名、従業員145名)は、3月30日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた(中略)。

 当社は、1956年(昭和31年)11月に創業、57年(昭和32年)11月に法人改組した。元々建築工事を主体としていたが、その後自社開発による分譲マンションの販売に進出するほか、パチンコ店経営なども行い、83年12月には東証2部へ、86年10月に東証1部へ上場を果たしていた。「エンゼルハイム」のブランド名を冠したマンション販売を主力に、グループ会社を通じて建設事業、金融事業、レジャー事業などを手がけ、97年3月期には年売上高約647億9300万円(単体ベース)を計上、中堅デベロッパーとしての地位を確立していた。

 しかし、競合の激化、不動産価格高騰の影響から用地仕入れが困難となり一部プロジェクトが停滞するなどしたことで、2005年3月期の年売上高は約282億2700万円にダウン。近時においては、不動産有効活用を目的とした収益物件の購入や転売、仲介など業務拡大を目指したことで売上高は400億円台を回復していた。

 しかし、昨今の不動産業界を取り巻く環境の厳しさから当社の業績も再び落ち込み、2008年3月期は年売上高約328億9600万円に対し、約38億6300万円の最終赤字を余儀なくされていた。昨年6月には、プロスペクトグループから代表ほか役員の派遣を受けるなどして再建を目指したが、昨年9月のリーマンショック以降は金融機関からの資金調達はさらに厳しさを増していた。このため、固定資産の売却を計画的に進めていたが、3月に入って第三者割当増資の中止とともに、今月の決済を予定していた売却案件において譲渡先からの入金がなされない事態となったことで資金繰りの目処が立たなくなり事業継続を断念、今回の措置となった(後略)。



この会社の忠犬振りについては、以前のエントリ輝く!長谷工忠犬度ランキング(第2の近藤産業を探せ!)を、苦境振りについては管理会社召し上げで忠犬はお役ご免?をご参照いただければと思いますが、とにかくいつ倒産してもおかしくない幽霊会社だった訳で、結局3月末は越せなかったようです。まあこれも、長谷工と付き合った代償だと思って諦めてもらう他はありません。

さて、最終的にアゼルはどれくらい長谷工に尽くし、そしてそのツケを払わされることとなったのでしょうか? アゼルのHPに掲載されている物件一覧でそれを確認してみたいと思います。自己破産申請時点で掲載されている物件は全14物件(東京・神奈川エリア各3物件、埼玉エリア2物件、千葉・茨城エリア各1物件、関西エリア4物件)。そのうち、戸建分譲案件1件を除いた13物件中、何と7物件が長谷工案件ということで、長谷工比率は54%にも上ります。特に、関西エリアは4物件中3物件が長谷工案件という集中振りで、安易に長谷工のクズ案件に乗った経営判断の甘さは、まさしく「後悔先に立たず」でしょう。

但し、個別の物件を見ていくと、先行した日本綜合地所やニチモのケースと異なる様子が見えてきます。長谷工案件の全7物件中、「春日部イーマークス」(2006年9月竣工済)、「サンプレージ吉川」(2007年2月竣工済)、「エンゼルフィールズ枚方公園」(2007年4月竣工済)の3物件については「完売御礼!」の文字が踊っています。これらがいつ完売したのかについては不明ですが、HPに掲載されていることから見て、おそらくは最近完売したものでしょう。それにしては、竣工時期が凄まじく古い物件ばかりです。マンション市況が大幅に悪化する前から深刻な売れ行き不振が続いた長谷工物件が、アゼルの資金繰りを圧迫した可能性もありそうです。

残る4物件(センターフォート、ザ・レジデンス千葉ニュータウン中央、グランマークス久宝寺、サウスオールシティ)は、何れも長谷工の忠犬たちで構成されたJV案件ですから、アゼルの持分を長谷工が引き取って事業そのものは続けられるのでしょう。残念ながら、これらのデータからは長谷工の貸倒損失はそれほど多くなさそうです。

しかし、この4物件の中に、ニチモ倒産で、長谷工の損失ハウマッチ?でご紹介したニチモの長谷工案件が2物件含まれているのは実に象徴的です。長谷工にリスクを負わされていたデベロッパーの倒産が相次ぎ、事業リスクが長谷工に集中しつつあるという構図が、ここでもはっきりと現れています。マンションを取り巻く環境は、4月以降も悪化することはあれど、良くなる兆しなど全くありません。それでもただ闇雲に建て続ける長谷工には、どのような未来が待ち受けているのでしょう?

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ブランシエラ川口青木町公園

最近、表立って動きがないもので、ついつい更新が滞りがちです。一応、現地の近景をアップしておきます。依然として地下部分の工事中で、工事進捗ははかばかしくないようです。そのためかどうかは分かりませんが、建物竣工時期が来年の3月上旬に、引渡時期が来年4月上旬に延びたようです。3月決算を超えての引渡が、余裕のなせる技なのか、それとも赤字確定プロジェクトの赤字計上時期を少しでも送らせるための作為なのかは不明ですが、3月末の突貫工事が未然に防止されたということは望ましいことだと思います。

現場全景0321(依然として地下工事中、クリックで拡大)

上の写真ではちょっと(高圧線の鉄塔と重なって)分かりづらいのですが、写真の奥の方に櫓のような鉄骨が組まれています。場所的に、今後の躯体工事用のタワークレーンを設置するためのものではないかと推測しますが、また分かったところでお伝えしたいと思います。

さて、24日に今年の公示地価が発表されました。今更ながらという感はありますが、全国的に大幅な地価下落が確認される結果となりました。法政跡地に最も近い標準地(武蔵野-11)は528千円/m2と前年の590千円/m2から10.5%の大幅下落となっており、吉祥寺周辺のバブルの影響が大きかったことを窺わせる地価調整結果となっています。この点、以下の東京新聞の記事が参考になります。

 ■住宅地
 区部では、全二十三区で昨年までの上昇が下落に転じた。下落率が最も大きいのは14・2%の港区で、渋谷や品川など五区も二けたの落ち込み。渋谷区大山町は18・3%と全国最大の下落率を記録した。区部で下落率が最小だったのは足立区の2・7%だった。
 多摩地区の平均変動率は三年ぶりの下落。全二十六市で昨年の上昇から下落に転じた。武蔵野市の9・0%をはじめ三鷹、調布両市など都心近郊で下落率が大きかった。稲城、多摩、町田各市は比較的に下落幅が小さかった。



高値の時期に、武蔵野市の倍以上の価格を提示して購入した法政跡地が、今や長谷工にとってこの上もなく重荷になっていることは言うまでもないでしょう。本来、造って赤字を垂れ流すくらいなら更地のまま売り払いたいところでしょうが、それもままならずやむなく造り続ける。そんな吉祥寺レジデンシアに十分なクオリティは確保されるのでしょうか? それほどまでに、長谷工や興和不動産は慈善事業家なのでしょうか?

そんな素朴な疑問はさておき、本日は「オール長谷工でお贈りする」(笑)マンション、「ブランシエラ川口青木町公園」を採り上げてみたいと思います。このマンションの特長については、以下の週刊住宅onlineの記事が分かり易くまとまっています。

長谷工コーポレーション/建築コスト最大20%削減のマンション企画開発( 2009年03月17日 )

 長谷工コーポレーションは17日、蓄積してきたマンション建設のノウハウと顧客の声を生かしたマンション新企画「Be−Liv(ビーリブ)」を開発したと発表した。
 同企画は、シンプルな形状の構造躯体や、手すりや外部階段、化粧柱など主要構造部以外の軽量化、エンドユーザーの好みに対応したオプション(キッチン・トイレ収納・下足入れなど)の設定、ガス給湯器など設備機器のリース化など各要素のコスト検証を積み重ねた結果生まれた。敷地・地盤状況、構造・規模等によって幅はあるものの、同社の標準仕様に比べ最大で20%程度までコストダウンが可能になったという。特に郊外型マンションは、販売価格に対する建築費の占める割合が高く、「Be−Liv」を採用することで販売単価を抑えることが可能になる点を強調する。
 首都圏の初弾として自社分譲マンション事業「ブランシエラ川口青木町公園」(埼玉・川口市、総戸数59戸)に採用する。今後、顧客ニーズを把握しながら、事業主に対し積極的に採用を提案していく考え。同マンションは6階建て延べ床面積5185・7平方メートル。今年11月上旬に竣工する予定で、今月5日から販売を開始した。販売価格帯は、2398万円〜4098万円。専有面積は63・73〜90・54平方メートル。3LDK(80・03平方メートル)は2798万円から。京浜東北線西川口駅からバス10分。



どうせ、長谷工の造るマンションなど「現代版公団住宅」とでも言うような没個性な物件なのですから(と言うと公団住宅に悪いかも…)、徹底的に個性を排除するという方向性はありかも知れません。それなりのお値段のする吉祥寺レジデンシアだって、ワンパターンな田の字型(ウナギの寝床型)間取りばっかりなんですから、効率だけを重視したマンションの小手先だけの個性化など、無用の長物と言えるかも知れません。

オプション装備がほとんどだったりするのは、個々人の価値観次第ですから問題はないでしょう。それよりも、個人的には、手すりや外部階段を鉄骨むき出しで施工し、数年後に赤錆が発生しまくるのではないかとか、後々に判明する部分で手抜くのではないかと懸念してしまいます。私が買う訳ではないので余計なお世話ですけど。

しかし、このマンションの顧客無視のスタンスが顕著に現れているのは、「ガス給湯器など設備機器のリース化」という行(くだり)です。確かに、公式HPの物件概要には、「給湯器リース月額使用料:1,575円」という注記が、最後の部分にちょこっと書かれています。当然に設置されている給湯器をリースにするメリットって一体… 30年間同額を払い続けたとしても567千円に過ぎないこの経費を、当初に一括で支払わないメリットが理解できません。逆に、この程度の当初支払すら軽減せざるを得ない顧客層に住宅ローンを組ませるとしたら、それはアメリカのサブプライム問題と何ら本質的に異なるところはないでしょう。長谷工の思惑は、何か的外れな気がしてなりません。

因みに、この物件は全59戸という比較的小規模な物件であり、大規模大好きな長谷工がわざわざ丸抱えで手掛けるのは不思議な気がします。あくまで推測ですが、忠犬たちに売りつけて工事を受注しようとして仕込んだ土地が、マンションバブル崩壊とともに売り先がなくなり、やむなく自社で手掛けることとしたのではないでしょうか。この点、以前のエントリマンション大手「長谷工」危険水域、株価30円にで指摘した「カモたるデベロッパーがいなくなり、化けの皮がはがれて事業リスクが長谷工に集中してきた」ことの証左と言えそうです。所詮は、長谷工は自社施工のマンションデベロッパーに過ぎなかった、このことが確実に露見しつつあります。

「半値8掛け」(要は4割ということ?)と言われる高値で仕入れたマンション用地の時価ですから、取り敢えず更地で売って大損を出すより、建ててしまって赤字覚悟で売る方がまだマシと判断したのかも知れません。建てるも地獄、建てぬも地獄。何れにせよ、長谷工の行き着く先には変わりはなさそうです。

冒頭の公示地価下落の話に戻りますが、このニュースを受けて、不動産業界からは更なる公的支援策を要望する声が早くも上がっています。しかし、これまで建築規制緩和がバブルを引き起こし、それが崩壊すると更なる規制緩和を要求してきたという歴史を振り返れば、こうした要求には何ら正当性がないことは明らかです。更に、景気回復のために住宅投資を拡大させることが必要不可欠だという主張には何の根拠もありません。むしろ、右肩上がりの経済成長が期待できない現在、地価上昇神話を背景とした持家幻想は内需拡大の妨げとすら言えるのではないでしょうか?

無理に住宅を購入して過大なローンを組めば、その分のツケが通常の消費抑制に回ることは火を見るよりも明らかです。空室率が10%を超える中での、不動産業界だけの都合による無駄な開発競争が地価を高騰させ、それが家賃を高止まりさせている。こうした構造的な無駄を排せば、安価な家賃で良質な賃貸住宅も供給され、実質的な可処分所得も増加するでしょう。強精剤のように住宅投資を使うことの効果は、もはや非常に限定的です。継続的な内需拡大には、むしろ住宅投資は害をなすと言えるのではないでしょうか。未曾有の経済危機が叫ばれている今、業界の陳情だけに目を向けた景気対策ではなく、本当に国民が欲している内需拡大策を検討する時が来ている気がしてなりません。

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