先ずは、コメントでも紹介されていた3月17日付毎日新聞(地方版)の記事をご紹介します。
建築物規制:つくばの14階マンション、「駆け込み」着工断念 /茨城
◇反対派「住民の勝利」 今後は規制対象6階以下に縮小
つくば市が20日から一部の住宅地で建築物の高さを18メートルに規制する前に、マンション建設に踏み切る「駆け込み工事」が相次いでいる中、同市千現1に14階建て(高さ43メートル)のマンション建設を計画していた事業者が、反対住民で作る「千現1丁目の住環境を守る会」(阿久沢忍会長)に、今月中の着工の断念を伝えていたことが分かった。今後は同市の「高度地区指定」を受けるため、事業者は高さを6階以下に縮小されるという。
計画ではマンションは、地上14階、地下1階。同会によると、事業者が土地を取得したのは同年5月で、今年2月の着工予定だった。
同会は昨年9月に計画を知り、建設反対を表明。また、同年12月には、予定地の解体作業日に、幅2・16メートル以上の車は地区内の道路を通行できない道路法を根拠に、トラックの搬入を阻止するなど、法律を駆使して、計画の縮小を求める運動を展開していた。
計画撤回の理由について事業者側は「県の景観形成条例で定めている申請を規定の30日前にしていなかった。また、高度地区の施行もあり、住民の法令順守を求める声を守った」と話していたという。毎日新聞の取材に事業者側は「住民に説明した通り。特に話すことはない」と話した。同会は「住民の勝利だ」と語った。
マンション問題に詳しい法政大法学部の五十嵐敬喜教授は「駆け込み工事は、事業者が強行するのがほとんどで、行政と市民の意欲が勝った結果。こういった例は珍しく、新しいルールになるのでは」と話している。【栗本優】
条例の内容は、つくば市HPの高度地区の決定についてで見ることができますが、規制の概要は以下の通りです。
市内中心部の住宅地(約九百九十ヘクタール)を「高度地区」に指定する(二十日以降に着工する建築物が対象)。但し、今後の開発が見込まれるつくば駅周辺などは、規制対象外。高度地区は、以下の3段階に分かれる。
・「第一種高度地区」(約五百ヘクタール)…建築物の高さを十八メートル以下に制限。
・「第二種」「第三種」…それぞれ建築物と隣との境界線の距離などに応じた規制を設ける。
つくば市は、一昨年8月のつくばエクスプレス開業と同時に、街並みの景観を乱す建築物の高さ制限などができる「景観行政団体」へと移行して、景観維持に力を注いでいるそうです。本条例もその一環のようですが、良好な住環境を維持するという観点からは賞賛されるべき動きだと思います。
話をマンション建設断念に戻しますが、要は、条例施行前に駆け込みでマンション建設を強行しようとした業者(タカラレーベン)が、形式的には「県の景観形成条例で定めている申請を規定の30日前にしていなかった」ことを理由に駆け込みの高層建築を断念したということです。
しかし、不道徳なマンションデベロッパーは、申請の不備など無視して建築を強行。法廷闘争に持ち込まれても、「建ってしまった建物を取り壊すのは不経済だ」という意味不明な理由に基づく(業者側に大幅に配慮した)判決を引き出すというのが常套手段ですので、この理由はいかにも不自然です。行政側の毅然とした対応に、計画変更を余儀なくされたというのが実情ではないでしょうか。
なお、同じくタカラレーベンですが、3月12日付で「『レーベンハイム川越サンシエナ』販売中止のお知らせ」がひっそりと会社のHPに掲載されています。都合が悪い内容ですから、そのうちひっそりと削除されるかも知れませんので、販売中止の経緯に係る部分をご紹介します。
本マンションは、関係行政機関との事前協議を経て、平成18年8月4日付にて(財)住宅金融普及協会の建築確認を取得し、本年1月より建築工事を着工、平成20年6月完成を予定しておりましたが、平成19年3月5日に川越市建築審査会が「建築基準法上の一建築物一敷地の原則に反する」との理由で(財)住宅金融普及協会に対し本マンションの建築確認処分取り消しを裁決しました。
当社といたしましては関連法令を遵守し適法に建築確認を取得したと確信しておりますので、今回の裁決につきましては極めて遺憾であり、現在行なっております行政をはじめとした関係機関に対する状況の把握と詳細の確認終了後、しかるべき対応をしていく所存です。
[これまでの経過]
平成18年7月3日 関係行政機関との事前協議終了
平成18年7月13日 指定確認検査機関(財)住宅金融普及協会に建築確認申請
平成18年8月4日 第H18確認建築普及協会00083号にて建築確認下付
平成18年10月11日 川越市建築審査会に審査請求される
平成19年3月5日 川越市建築審査会にて指定確認検査機関(財)住宅金融普及協会に対し「建築確認処分を取り消す」裁決
平成19年3月7日 (財)住宅金融普及協会より報告受ける
こちらも、要は、数の偽装のカラクリである「一団地認定制度」の適用を建築審査会の審査の結果として否定され、建築基準法上の「一建築物一敷地の原則」違反を理由に建築確認処分を取り消されたということです。業者側のモラルない設計に対して、行政側の牽制組織(建築審査会)が有効に機能したという実例ですね。マンションコミュニティの掲示板情報によれば、「日照と容積率をぎりぎりに設定するために、別棟を変な格好で斜めに建てて渡り廊下でつないで1棟だとごまかした。やることがせこすぎて、建築審査会で2棟だと判断されてしまった。2棟だと近すぎて、もう1棟の日照も奪うし、非常設備もそれぞれに要る。杭打ちまでやったけど建築確認取消しだからご破算だな」とのことです(既に公式HP等削除済で
(3/22追記:善良な一市民様のご指摘により、「一建築物一敷地の原則」違反を理由に建築確認を取り消された(一団地認定制度の適用拒否が直接の取消理由ではない)旨を明確にしました。また、敷地配置図もいただきましたのでアップしました。善良な一市民様、ありがとうございました)

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翻って、吉祥寺東町です。つくば市や川越市のような行政側の毅然とした態度は、今後の武蔵野市に期待できるのでしょうか。タカラレーベンの例は、規制を行うことが公表された後に駆け込みを意図して行われたものとしてより悪質であるとは言えますが、周辺環境を無視した高層マンションが建築されようとしているという点においては何ら変わりありません。是非、検討中の地区計画案を少しでも高さを制限する方向で再検討していただきたいと思います。
風向きは確実に変わり始めています。本当の意味で「市民が主役」となり得るような今後の対応を期待していますし、私たち市民も市への働きかけを強めていきたいと思います。


