吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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「タヌキの森」が遺したもの

18日付の新聞各紙やニュース番組などで、違法・脱法マンションとの争いを続けている人々にとって「画期的」とも言える最高裁判決が出されたことが伝えられました。

それは、東京都新宿区下落合4丁目で建築が進められていた新日本建設の「(仮称)目白御留山住宅プロジェクト」について、周辺住民が区の建築確認取消を求めて提訴していたもので、最高裁は建築確認を取り消した二審・東京高裁判決を維持して、新宿区の上告を棄却しました。既にニュース等でご存じの方も多いと思いますが、内容を比較的詳しく伝えている毎日jpのマンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決によりますと、

 タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。

 住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。

 問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。

 災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。

 1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。

 ◇200年の古木「タヌキの森
 周辺住民は、樹齢200年の古木がある「タヌキの森」の保存を区に要望。土地を買い取り公園化するよう求め、一時は約2億3000万円の基金を集めていた。しかし、区は土地を買収できず、06年に工事が始まった。

 現在、敷地内の樹木は伐採され、タヌキも姿を消したが、周辺では生息が確認されているという。記者会見した原告の武田英紀さん(44)は「大変うれしい判決。また自然を復元する活動を続けたい」と喜びを語った。【銭場裕司】

 ▽中山弘子・新宿区長の話 司法の最終判断を真摯(しんし)に受けとめ、適切に対応していきたい。

 ▽建設業者の話 区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、許可を得て開発を進めてきた。判決に非常に困惑している。当社の手続きに不備はないので、今後は区とも協議し、区に何らかの対応を求めていく。

タヌキの森タヌキの森敷地図(朝日新聞より)、クリックで拡大)



とのことです。また、YOMIURI ONLINEの都心近くの「タヌキの森」、住民ら復元目指すでは、提訴に至る経緯などが以下の通り詳しく紹介されています。

マンション建築確認違法、建設会社「被害者の気分」

 豊かな緑が残る東京・新宿区下落合の「タヌキの住む森」と呼ばれる一角で建設中のマンションについて、最高裁が17日、区の建築確認を違法として取り消した。

 都心近くの緑の保護を訴えてきた原告の住民らは、この日の記者会見で「伐採された緑を復元したい」と話した。一方、敗訴した区は「違法建築になったので、建設会社を指導する」と言葉少な。都心のタヌキたちのすみかは、これからどうなるのか――。

 建設現場はJR目白駅から西へ約500メートルほどの高台で、目白通りと新目白通りに挟まれた場所にある。以前は古い住宅と屋敷森で、近くに区立下落合野鳥の森もあり、タヌキや貴重な野鳥が生息している。住民らによると、最近も路上や民家の軒下を歩くタヌキが目撃されているという。

 マンション建設計画が持ち上がったのは2004年11月。建設会社が土地を買い取り、3階建て約30戸の集合住宅を建てる計画を示した。これに対し、地元住民は翌年、森の保全を求めて「下落合みどりトラスト基金」を設立。森の買い取り資金を集めて区立公園にするよう区に働きかけた。

 しかし、集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず、同社は06年、区の建築確認を受け、着工に踏み切った。建設地の樹木は伐採された。今回の訴訟は、こうした中、近隣住民が起こしたものだった。

 判決後、霞が関の司法記者クラブで記者会見した、基金の事務局長で原告の武田英紀さん(44)は、「地域住民の住環境が守られた。この地域にはタヌキやたくさんの自然が残されており、後世に残す一歩を踏み出したと言える」と語った。今後、改めてトラスト活動で買い取り資金を募る考えで、「区は知恵を出してほしい」と求めた。

 同席した基金の会計担当、森山崇さん(63)も、「最終的に公園になるまで努力していく」と話した。

 ただ、判決を受けて建設中の建物は取り壊す必要などが出てきたものの、実際にどうなるかは不透明だ。

 マンション建設は7割ほど進んでいるが、東京高裁で住民側が勝訴した昨年1月以降、停止している。建設会社は区に損害賠償を求める構えで、同社の役員は「区が建築確認を出したのに、こんな判決が出るとは。被害者のような気分だ」と戸惑った様子で話した。

 これに対し、区建築指導課は「現状で違法建築物になったので、建設会社に今後改めるよう指導していく」と話すだけ。住民と今後のことを話し合うかどうかは「未定だ」としている。

 記者会見後、住民の一人は「区は業者と交渉し、解決策を見いだしてほしい」と話した。(野村昌玄、渡辺光彦)



建設会社(新日本建設)が「被害者の気分」などと言っているのは、「自分たちの違法計画を特例扱いで新宿区に認めさせた」ことが事の発端にも関わらず、被害者面だけしている点で同情の余地などありません。更に、記事中では「集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず」と、さらっと流されていますが、ここには新日本建設のとんでもない強欲さが現れています。

記事中にも登場する「下落合みどりトラスト基金」のサイトには、過去の事件の経緯が詳しく紹介されており、それを見ると、新日本建設の当初土地購入価額が7億5千万円であること、新宿区が土地を5億4千万円と評価して、「基金」の額と合わせた額での購入を新日本建設に何度も申し入れているが、10億5千万円の提示額を譲らないことなどが分かります。

近隣住民向け説明会で、新日本建設側は「買い取り価格7億5000万円は誤りで、それより多い額だ。新宿区側+『トラスト基金』側からの提示額は、買い取り価格を下まわっている(中略)。10億5,000万円は役員会議で決定したものであり、減額はまったく考えていない」と発言しており、正確なところは分かりませんが、何れにせよ、「環境保全のために土地を譲渡して欲しい」という声に対しても、「営利企業だから(短期転売でも)利益を乗せるのは当然だ」という主張を行っているようです。

この点については、「新宿区が(建築計画を)認めてるのだから、当然建設はなんら問題ない。最大限の利益を得ることがわたしたちのすべてであり、株主に対する責務だ」とも発言しており、CSR(企業の社会的責任)という観点が完全に欠落した守銭奴振りを遺憾なく発揮しています。このロジックが誤りであることは、以前のエントリ法政の桜に書きましたので、ここでは繰り返しません。何れにせよ、目先の利益に執着し、違法設計を押し通そうとしたツケは、非常に大きなものになったことだけは確かなようです。

ここまで、事の発端を作った新日本建設の方を見てきましたが、ここからは新宿区の責任について見ていきたいと思います。そもそも、タヌキの森訴訟の被告は新日本建設ではなく新宿区であり、訴訟自体も新宿区が出した東京都の建築安全条例違反の建築確認の有効性が問われたものです。

この建築計画に対しては、どうやら新宿区の建築課が開発を推進する立場であったようで、東京都安全条例上、本来は1,000平方メートルを超える建築物を建築できない土地に、同条例の緩和措置(区長が建築物の空地の状況その他土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合は緩和可能)によって、特例の安全認定を下ろしたようです。しかも、その安全認定を下ろしたのが、近隣住民が敷地の買い入れを新宿区長に請願する当日、しかも面会6時間前という神経を逆撫でするようなタイミングだったことも判明しています。

一方、同じ行政側でも、建築確認を行った建築課以外の部署はこの計画に否定的なようで、基金のHPの区の「ハザードマップ」で危険箇所に指定に整理されている新宿区の各部署の見解を見ると、

建築課たぬきの森へ計画中の重層長屋(2,800m2)を建てるのは、法的(特例認定)にも、また安全性の調査や消防署の意見でもまったく問題がなく、安全なので「建築確認」は当然である。
建築指導課たぬきの森南側の崖地は非常に危険であり、「急傾斜地崩壊危険箇所」として“網がけ”指定する。大きな人的・物的被害を及ぼす可能性がある。
公園課たぬきの森の敷地は特殊な「旗竿地」であり、1,000m2未満の建物しか建たない土地なので、公園化を想定して買い取りに用意できる予算は土地評価額からみても5億4,000万円が妥当である。
新宿消防署「当該建設予定地へ消防自動車が向かう道路は一本道で、道路幅の最低は3.3mしかなく、消防困難な地域と言わざるを得ません」(意見書)


となっており、建築課の突出した業者との癒着振りが見て取れます。そもそもが、実態がマンションと何ら異ならない建物を、「重層長屋」と言い逃れて規制要件を緩和するというこざかしい悪知恵が全ての事の発端であり、同じ行政側でも建築課以外はそのことを充分に認識していた訳です。これを、全て「新宿区が悪い」と一括りにしてはかわいそうです。とはいえ、訴訟でも被告はあくまで新宿区なので、基金HPで読める東京高裁判決の要旨でも、荒唐無稽な建築課の主張は全て「新宿区」と一括りに表現されている訳ですが…

役所というところは、「自分たちは決して誤らない」という危険極まりない発想を行動原理としており、それが何十年も前に計画した時代遅れの公共工事を何が何でもやり遂げようとするような、庶民感覚とはおよそかけ離れた行動に結びついています。行政を相手取った訴訟で、担当大臣や知事などの決断なしには、どんなに行政側の非が明らかな訴訟でも必ず最高裁まで争うという姿勢にも、この点がはっきり現れています。

この「タヌキの森訴訟」が勝ち取ったものは、単に「違法建築の建築確認の無効を確認した」だけではなく、「ブレーキの壊れた行政のやり方を市民の手でストップできる」ということではないでしょうか。経済効率一辺倒の「発展途上国モデル」からの脱却が日本に求められている今、この判決の重みを(特殊事案と切り捨てるのではなく)建築業界が重く受け止め、乱開発を放棄して欲しいと願って止みません。

それにしても、今後、新日本建設は新宿区を訴えるんでしょうか? 自らの違法計画が総ての事の発端であるにも関わらず、建築確認を下ろしただけの新宿区を訴えるというのは「天に唾する」行為という気がしなくもないのですが…
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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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建築計画〈2〉

建築計画〈2〉

  • 2009/12/21(月) 17:58:19 |
  • ロドリゲスインテリーン

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