吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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ブランシエラ川口青木町公園

最近、表立って動きがないもので、ついつい更新が滞りがちです。一応、現地の近景をアップしておきます。依然として地下部分の工事中で、工事進捗ははかばかしくないようです。そのためかどうかは分かりませんが、建物竣工時期が来年の3月上旬に、引渡時期が来年4月上旬に延びたようです。3月決算を超えての引渡が、余裕のなせる技なのか、それとも赤字確定プロジェクトの赤字計上時期を少しでも送らせるための作為なのかは不明ですが、3月末の突貫工事が未然に防止されたということは望ましいことだと思います。

現場全景0321(依然として地下工事中、クリックで拡大)

上の写真ではちょっと(高圧線の鉄塔と重なって)分かりづらいのですが、写真の奥の方に櫓のような鉄骨が組まれています。場所的に、今後の躯体工事用のタワークレーンを設置するためのものではないかと推測しますが、また分かったところでお伝えしたいと思います。

さて、24日に今年の公示地価が発表されました。今更ながらという感はありますが、全国的に大幅な地価下落が確認される結果となりました。法政跡地に最も近い標準地(武蔵野-11)は528千円/m2と前年の590千円/m2から10.5%の大幅下落となっており、吉祥寺周辺のバブルの影響が大きかったことを窺わせる地価調整結果となっています。この点、以下の東京新聞の記事が参考になります。

 ■住宅地
 区部では、全二十三区で昨年までの上昇が下落に転じた。下落率が最も大きいのは14・2%の港区で、渋谷や品川など五区も二けたの落ち込み。渋谷区大山町は18・3%と全国最大の下落率を記録した。区部で下落率が最小だったのは足立区の2・7%だった。
 多摩地区の平均変動率は三年ぶりの下落。全二十六市で昨年の上昇から下落に転じた。武蔵野市の9・0%をはじめ三鷹、調布両市など都心近郊で下落率が大きかった。稲城、多摩、町田各市は比較的に下落幅が小さかった。



高値の時期に、武蔵野市の倍以上の価格を提示して購入した法政跡地が、今や長谷工にとってこの上もなく重荷になっていることは言うまでもないでしょう。本来、造って赤字を垂れ流すくらいなら更地のまま売り払いたいところでしょうが、それもままならずやむなく造り続ける。そんな吉祥寺レジデンシアに十分なクオリティは確保されるのでしょうか? それほどまでに、長谷工や興和不動産は慈善事業家なのでしょうか?

そんな素朴な疑問はさておき、本日は「オール長谷工でお贈りする」(笑)マンション、「ブランシエラ川口青木町公園」を採り上げてみたいと思います。このマンションの特長については、以下の週刊住宅onlineの記事が分かり易くまとまっています。

長谷工コーポレーション/建築コスト最大20%削減のマンション企画開発( 2009年03月17日 )

 長谷工コーポレーションは17日、蓄積してきたマンション建設のノウハウと顧客の声を生かしたマンション新企画「Be-Liv(ビーリブ)」を開発したと発表した。
 同企画は、シンプルな形状の構造躯体や、手すりや外部階段、化粧柱など主要構造部以外の軽量化、エンドユーザーの好みに対応したオプション(キッチン・トイレ収納・下足入れなど)の設定、ガス給湯器など設備機器のリース化など各要素のコスト検証を積み重ねた結果生まれた。敷地・地盤状況、構造・規模等によって幅はあるものの、同社の標準仕様に比べ最大で20%程度までコストダウンが可能になったという。特に郊外型マンションは、販売価格に対する建築費の占める割合が高く、「Be-Liv」を採用することで販売単価を抑えることが可能になる点を強調する。
 首都圏の初弾として自社分譲マンション事業「ブランシエラ川口青木町公園」(埼玉・川口市、総戸数59戸)に採用する。今後、顧客ニーズを把握しながら、事業主に対し積極的に採用を提案していく考え。同マンションは6階建て延べ床面積5185・7平方メートル。今年11月上旬に竣工する予定で、今月5日から販売を開始した。販売価格帯は、2398万円~4098万円。専有面積は63・73~90・54平方メートル。3LDK(80・03平方メートル)は2798万円から。京浜東北線西川口駅からバス10分。



どうせ、長谷工の造るマンションなど「現代版公団住宅」とでも言うような没個性な物件なのですから(と言うと公団住宅に悪いかも…)、徹底的に個性を排除するという方向性はありかも知れません。それなりのお値段のする吉祥寺レジデンシアだって、ワンパターンな田の字型(ウナギの寝床型)間取りばっかりなんですから、効率だけを重視したマンションの小手先だけの個性化など、無用の長物と言えるかも知れません。

オプション装備がほとんどだったりするのは、個々人の価値観次第ですから問題はないでしょう。それよりも、個人的には、手すりや外部階段を鉄骨むき出しで施工し、数年後に赤錆が発生しまくるのではないかとか、後々に判明する部分で手抜くのではないかと懸念してしまいます。私が買う訳ではないので余計なお世話ですけど。

しかし、このマンションの顧客無視のスタンスが顕著に現れているのは、「ガス給湯器など設備機器のリース化」という行(くだり)です。確かに、公式HPの物件概要には、「給湯器リース月額使用料:1,575円」という注記が、最後の部分にちょこっと書かれています。当然に設置されている給湯器をリースにするメリットって一体… 30年間同額を払い続けたとしても567千円に過ぎないこの経費を、当初に一括で支払わないメリットが理解できません。逆に、この程度の当初支払すら軽減せざるを得ない顧客層に住宅ローンを組ませるとしたら、それはアメリカのサブプライム問題と何ら本質的に異なるところはないでしょう。長谷工の思惑は、何か的外れな気がしてなりません。

因みに、この物件は全59戸という比較的小規模な物件であり、大規模大好きな長谷工がわざわざ丸抱えで手掛けるのは不思議な気がします。あくまで推測ですが、忠犬たちに売りつけて工事を受注しようとして仕込んだ土地が、マンションバブル崩壊とともに売り先がなくなり、やむなく自社で手掛けることとしたのではないでしょうか。この点、以前のエントリマンション大手「長谷工」危険水域、株価30円にで指摘した「カモたるデベロッパーがいなくなり、化けの皮がはがれて事業リスクが長谷工に集中してきた」ことの証左と言えそうです。所詮は、長谷工は自社施工のマンションデベロッパーに過ぎなかった、このことが確実に露見しつつあります。

「半値8掛け」(要は4割ということ?)と言われる高値で仕入れたマンション用地の時価ですから、取り敢えず更地で売って大損を出すより、建ててしまって赤字覚悟で売る方がまだマシと判断したのかも知れません。建てるも地獄、建てぬも地獄。何れにせよ、長谷工の行き着く先には変わりはなさそうです。

冒頭の公示地価下落の話に戻りますが、このニュースを受けて、不動産業界からは更なる公的支援策を要望する声が早くも上がっています。しかし、これまで建築規制緩和がバブルを引き起こし、それが崩壊すると更なる規制緩和を要求してきたという歴史を振り返れば、こうした要求には何ら正当性がないことは明らかです。更に、景気回復のために住宅投資を拡大させることが必要不可欠だという主張には何の根拠もありません。むしろ、右肩上がりの経済成長が期待できない現在、地価上昇神話を背景とした持家幻想は内需拡大の妨げとすら言えるのではないでしょうか?

無理に住宅を購入して過大なローンを組めば、その分のツケが通常の消費抑制に回ることは火を見るよりも明らかです。空室率が10%を超える中での、不動産業界だけの都合による無駄な開発競争が地価を高騰させ、それが家賃を高止まりさせている。こうした構造的な無駄を排せば、安価な家賃で良質な賃貸住宅も供給され、実質的な可処分所得も増加するでしょう。強精剤のように住宅投資を使うことの効果は、もはや非常に限定的です。継続的な内需拡大には、むしろ住宅投資は害をなすと言えるのではないでしょうか。未曾有の経済危機が叫ばれている今、業界の陳情だけに目を向けた景気対策ではなく、本当に国民が欲している内需拡大策を検討する時が来ている気がしてなりません。
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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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