吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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「吉祥寺レジデンシア」の広告から透けて見えるもの

景気が悪化の一途を辿る中、末期症状の麻生政権は、選挙対策のバラマキを「高額所得者は辞退して欲しい」などと脳天気な議論を延々と続ける一方。政治のアメ玉にすがるしかないマンション業界には、この兵糧攻めはさぞかし苦しいことでしょう。自業自得というものです。

そんな中、先週末の新聞に「吉祥寺レジデンシア」の折込広告が入っていました。相変わらずの井の頭公園方面からの遠景(どこが物件所在地だかも良く分からない)と、黒装束のちょいワル夫婦が登場する醜悪なデザインであることは以前の新聞広告と一緒ですが、配棟図、ルームプランなどが掲載されて多少中身が増えていました(なお、公式HPにも同時期に掲載され始めました)。それを見て、いつもながらの無神経さと、相変わらずの長谷工(安普請)仕様にほとほと呆れ果ててしまいましたので、今回はその辺を見ていきたいと思います。

先ず始めに、これだけは絶対に許せないという点を一つ。「LOCATION 井の頭と善福寺。2つの公園の間に。」という駄文にはこうあります。

緑薫る住宅街、吉祥寺東町三丁目。

井の頭恩賜公園と善福寺公園の間にある閑静な住宅街。東京女子大学の豊かな緑景の傍らでもある吉祥寺東町三丁目は、武蔵野市「吉祥寺東町地区 地区計画」に沿って、緑豊かな住環境の創出が進められています。



こういうのを「盗人猛々しい」というのでしょう。この地区計画は、そもそもこの迷惑マンションの建設を防ぐために、地域の9割以上の住民が賛同して住民主導で発案されたものです。それを、長谷工とべったり癒着した武蔵野市政が骨抜きにし、法政跡地のみ高さ制限を緩和するという非道を押し通して成立した経緯は、本ブログでも詳細にご報告してきた通りです。

そんな地区計画すら、我田引水で広告内に臆面もなく登場させる。長谷工ほど厚顔無恥な企業は、世界広しと言えどもそうはいないでしょう。因みに、武蔵野市HP内の吉祥寺東町の地区計画についてにはこう記されています。地区計画を謳うのは、低層住宅街による良好な住環境を地域に戻してからにして欲しいものです。

吉祥寺東町地区の地区計画について

 本地区は、良好な低層住宅地と、複数の学校施設と住宅が共存・調和する良好な住環境を形成するまちづくりを進めてきた地域です。近年、学校施設の移転にともない、新たな土地利用の転換が図られる状況となっています。
 そこでこの地区計画では、引き続き良好な住環境を保全し、周辺の低層住宅地との調和を図るため、公園や歩行者用通路等の公共空間を確保するとともに、緑豊かで安全安心なまちづくりの推進と、さらなる良好な住環境の形成を図ることを目標としています。



次に、このマンションの様々な問題点を見ていきます。最初にお断りしておきますが、これはあくまでも私見に過ぎません。指摘した問題点をどう捉えようと、お読みになった方の自由です。吉祥寺アドレスのマンションがどうしても欲しいという方は、売出の際は是非ご契約下さい。本ブログは、長谷工の企業としての姿勢は徹底的に糾弾しますが、購入する方を誹謗中傷する意図は一切ございませんので。

問題点その1、地下駐車場。

下の配棟図の右側に、地下駐車場へ続くアプローチが見えます。このアプローチ、一目見れば分かる通り、途中がヘアピンカーブよろしく鋭角にカーブしています。更に、女子大通りに出る直前の直線部分も、車一台がやっと待機できるかどうかという短さです。この点に対して、歩行者の安全や、駐車場を出入りする車の事故に対する懸念の声が説明会で絶えなかったにも関わらず、長谷工はほとんど設計を変更しませんでした。効率を最重要視し、住む人や地域に住まう人のことなど一顧だにしない長谷工という企業の体質が、このアプローチに凝縮されています。これだけ危険な駐車場出入り口周辺に、樹木を植えて更に見通しを悪くするという設計センスには、正直設計者の良識を疑いたくなります。

配棟図(補正後)(配棟図、クリックで拡大)

地下駐車場アプローチ(地下駐車場アプローチ、クリックで拡大)

問題点その2、構造。

現時点では、公式HP上の「設備・仕様」欄は準備中で、詳細は分かりません。しかし、それでも金太郎飴よろしく各所で無個性なワンパターンマンションを乱造し続ける長谷工ならではの安普請ぶりが、ルームプランを見ただけでも透けて見えてきます。ここでは、最も数が多い(であろう)にも関わらず、折込広告には登場しない(HP上には紹介されている)「e-80F type」を例に取ってみます。

e-80F type(e-80F typeの間取り図、クリックで拡大)

いわゆる「羊羹の輪切り」タイプであることも含め、細かい間取りについては言及しません。ここで注目したいのは、図の左右両側の壁の部分です。図をよく見ると、灰色の戸境壁が二重線になっているのが見て取れます。長谷工仕様として名高い「二重壁」は、吉祥寺レジデンシアでも健在のようです。

マンション掲示板などで長谷工物件について議論されるとき、必ずと言っていいほどこの「二重壁」と「直床」という長谷工おきまりの仕様の是非が登場します。そこで交わされる議論は、「二重壁」と「(クロス)直貼り」、「直床」と「二重床」のどちらが優れているかではなく、「二重壁」、「直床」の方が遮音性に劣ることは明らかだが、「低価格なのでまあ納得できる」(肯定派)、「やはり遮音性は重要であり、手抜きはいけない」(否定派)という意見の衝突です。

二重壁イメージ(深大寺レジデンスにおける二重壁の説明図、クリックで拡大)

しかし、少なくとも「吉祥寺レジデンシア」については、長谷工の鼻息が荒かった頃は「平均価格帯は8千万円位はする」と説明会で豪語していたのですから、相当の購買力を有する層をターゲットにしていることは間違いないでしょう。にも関わらず、それだけの価格に見合った構造で造ろうという考えは、長谷工にはないようです。それとも、赤字覚悟で価格帯を大幅に切り下げる覚悟を決めたのでしょうか。そうはとても思えませんが…

マンション設計者が書いたマンション選びの本では、必ずと言っていいほどこの「二重壁」は否定されています。一例として、碓井民朗氏の「買っていい一流マンションダメな三流マンション」を見てみます。著者の主張する三流マンションの典型例として二重壁が何ヶ所にも登場しますが、以下、代表的な箇所を引用してみると、

 もうひとつ、大手デベロッパーが何社も名前を連ねて販売しているマンションで驚いたケースをご紹介します。内覧会の立ち会いを頼まれたのですが、調べてみると両隣の住戸との戸境壁(2面)のうち、一方がコンクリート壁の手前に間柱を立て、石膏ボードを使ってクロスを張った二重構造になっていたのです。
 一般の方にはちょっと分かりにくいかもしれませんが、マンションの戸境壁には、鉄筋コンクリートにクロスを直貼りにする方法と、鉄筋コンクリートの壁から少し離して間柱を立て、そこに石膏ボードを張ってクロス仕上げにする方法(二重構造)があります。
 20年ほど前、大手ゼネコン各社がそれぞれの技術研究所で実験し、コンクリート壁に直にクロスを貼ったほうが、遮音性が高いという共通の結論を発表しました。二重構造では、コンクリートと石膏ボードとの隙間の空気が振動する太鼓現象を起こし、音が伝わりやすくなるのです。
 従来、ほとんどのゼネコンは、戸境壁をクロス直貼りでつくっていました。ほぼ唯一の例外は、マンションの設計・施工で知られるA社です。ところが最近は、他のゼネコンでも戸境壁を二重構造にしたり、さらには乾式工法にしたりして、コストダウンをはかるケースが出てきたのです。(P.34-35)

 ところが、ゼネコンの中にはいまだ、マンションの戸境壁を二重構造にしているところがあります。コスト対策で未熟な職人を使っており、コンクリート壁の仕上がり精度が悪いからです。コンクリートの壁が大きく傾いていたり表面が凸凹だったりすると、少々の修正では間に合いませんが、二重構造にすれば分からないように仕上げられます。こうした二重構造のマンションは、同じ専有面積でも実際に使える室内の面積が狭くなります。購入者にとって、何も良いことはありません。(P.122-123)

買っていい一流マンションダメな三流マンション買っていい一流マンションダメな三流マンション
(2006/01/20)
碓井 民朗

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注釈を加えなくとも、文中のゼネコンA社がどこかはお分かりでしょう。実質的に名指しされているようなものです。更にはこのA社、他の箇所でも名指しで登場します(因みにこの本の中で、事実上名指しされている会社は、A社以外にはB社(大京)しか登場しません)。如何に碓井氏が、このA社を評価していないかが知れようというものです。ご参考までに、他のA社登場箇所を簡単に引用すると、

 マンションそのもののレベルダウンとはちょっと違いますが、最近増えている「怪しい」動きを挙げておきましょう。
 それは、売主に複数の会社が名前を連ねたジョイント・ベンチャーの物件で、更に工事を行うゼネコン(建設会社)まで売主に入っているケースです(中略)。
 さらに、こうしたジョイント・ベンチャーの物件で、売主の中にマンションの工事を受注しているゼネコンが参加していたら、注意レベルは一挙に上がります。
 建築工事おいて、発注者と受注者の利害は、コストにしろ工事内容にしろ、基本的に相反します。それなのに、発注者(売主)と受注者(ゼネコン)が一部でも同じであればどうなるでしょう。
 おそらく、工事費についてゼネコンが出してきた見積もりを、他の発注者は厳しく査定できません。こうした場合は受注者であるゼネコンが設計も一緒に行っていることが多く、工事中の監理もほとんど機能しません。
 ここで思い出すのが、昭和40年代から50年代にかけて、マンション建設をよく手がける大手ゼネコンA社が行っていた「買取り保証」です。A社はいまでもデベロッパーに対してマンション用地を紹介し、バーターで設計と工事を受注し、更に系列の販売会社で販売も代行します。以前は、売れ残りが出たら買い取る保証まで行っていたのです。デベロッパーにとっては事業資金さえ負担すれば、リスクのないおいしい話でした。しかし、商品企画や工事内容はA社の言いなりです。この「買取り保証」はその後。さすがにリスクが高いということで、当のA社がやめてしまいました。(P.46-49)



この他、「直床」に関係する箇所でもA社は名指しで登場しますが、こちらはまた近日中にきっとご紹介できることと思いますので、今回は割愛します。

碓井氏の著書は、大体内容はいつも一緒なのですが、他の著書にもA社の二重壁に関する面白い記載がありましたので、併せてご紹介します。「マンションの常識・非常識」という本の中に、マンション購入を検討している方から、A社施工物件についての相談を受けた際の話として、

 相談依頼者は小生に、なせこのゼネコンはそのよう(注・直貼り工法)にできないかを尋ねてきました。小生は、「このゼネコンのコンセプトは、スキルのない職人でも施工できるマンション作りだからです」と回答いたしました。それはどういうことかと再度尋ねられたので、「すなわち、隣戸間のコンクリート壁の仕上がり精度が良くないとできない工法ですので、このゼネコンの下職はそのスキルがないからだと思います」と回答いたしました。(P.152)

マンションの常識・非常識 (QP Books)マンションの常識・非常識 (QP Books)
(2005/06)
碓井 民朗

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という遣り取りが紹介されています。この指摘を裏付けるものとして、週刊東洋経済2008年1月19日号に掲載された「『長谷工』という生き方」という記事は、長谷工の高収益の秘密の一つとして「標準化志向」を挙げており、こう結ばれています。

 マンションという製品の量産モデルを確立し、購入者の嗜好や傾向をマーケティングしながら改良。作業工程ではコスト改善を突き詰める。長谷工はまさに「長谷工という生き方」を貫いているのだ。



長谷工の高収益の秘密の一つして、地域との軋轢をものともしない脱法まがいの設計(いわゆる「数の偽装」など)があることなどはスルーした一方的な内容の記事ですが、「マンションの量産化」は言い得て妙ですね。しかし、その量産化の過程におけるコスト削減が、住居としての品質を維持しながらのものではなく、単に効率性のために品質が劣る工法を採用しているのであれば、それは単なる「粗悪品の大量生産」に過ぎないことになります。この記事はその点を完全にスルーしている点において片手落ちと言わざるを得ない内容です。

話が少し逸れてしまいました。ここまでお読みになった方の中には、「碓井民朗は、長谷工が嫌いだから極端なことを言っているだけじゃないのか」と思われる長谷工ファンもいらっしゃるかも知れませんので、船津欣弘氏の「あなたのマンション選びを絶対失敗させない本―建築検査のプロが教える」からも二重壁に関する記載を引用しておきます。

 壁も、仕上げの工法については、「直貼り工法」と「GL工法」に代表される「ふかし壁仕上げ」に大きく分かれます(中略)。
 「直貼り工法」は(中略)、コンクリートの表面を平滑にする必要があるので、若干の手間がかかります。手間がかかるということは、平滑にするためのモルタルの費用(直接コスト)と、モルタルが乾くまでの養生期間(間接コスト)が発生するということです。しかし、遮音性能を考えると、コンクリートの厚さそのものが性能となるので、遮音的には好ましい仕上げです。
 対して、GL工法に代表される「ふかし壁仕上げ」は、直貼り工法と違い、コンクリートの表面はそのままで、GLボンドや軽量鉄骨、木軸などを使った下地に石膏ボードを貼り付け、クロスなどで仕上げます(中略)。
 二重壁になるので遮音性能が高まると思われるかも知れませんが、実は逆です。問題は、コンクリートの壁と壁仕上げの下地である石膏ボードとの間に空洞があることです。
 この空洞部分が太鼓のように共鳴して音が増幅され、隣戸の音が聞こえやすくなる、いわゆる「太鼓現象」が起こることがあります。GL工法を採用すると、D値が40以下になることもあり、外壁はともかく、界壁には使用しないことです。
 なお、住宅性能表示制度では最低の等級1です。すぐ上の等級2がコンクリートの厚み120mm相当とされているので、その評価がいかに低いかがわかります。いまだにこの工法を採用している業者もありますが、隣同士の音に悩まされる可能性が高いですから、やめておいたほうが無難です。(P.85-86)

あなたのマンション選びを絶対失敗させない本―建築検査のプロが教えるあなたのマンション選びを絶対失敗させない本―建築検査のプロが教える
(2005/12)
船津 欣弘

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問題点その3、配棟計画。

広告には、ルームプランとしてe-95Rと称する4LDK(前掲配棟図中、水色の丸の箇所(2-4階))、w-85Aと称する3LDK(同じくオレンジの丸(3-4階))、そしてPremium-Eと称する2LDK(同じく黄緑色の丸(7階))の3タイプが掲載されています(HP上にはあと2タイプが掲載されています)。ここでも、間取りの是非は言及しません。申し上げたいのは、住民側からの要望・忠告をことごとく無視して突っ走った長谷工の、あまりにも購入者を軽視した設計の是非についてです。

具体的に、e-95Rを例にとって説明します。広告の配棟図中に記載が省略されている高圧線の位置を、上に掲載した配棟図上に赤線で記載しました。見るとお分かりの通り、この部屋の角辺りの上空を、高圧線が通過しています。このプランの中で一番高い部屋(4階)はおよそ地上10mの高さで暮らすことになります。高圧線の高さが20mとしても、部屋のどこにいても高圧線から常に20m前後の至近距離で暮らすこととなります。

e-95R type電磁波シャワーを満喫できるe-95R typeの間取り図、クリックで拡大)

電磁波の健康被害については諸説ありますが、WHO(世界保健機構)は、電磁波の健康影響に関する報告書の中で「小児白血病と電磁波の因果関係があると断定できるほど科学的証拠が固まったわけではないが、何らかの対策を必要とするほどには十分な証拠と見なせる」との警告を発しています。敷地を目一杯使うことだけに拘泥せず、もう少し余裕をもたせた設計にはできなかったのでしょうか。

この他のプランにも申し上げたいことはありますが、あまりにも長くなってしまいましたので、この辺りで終わりにしたいと思います。

最後に、今回指摘した問題点について、ちょっと面白いことがわかりましたのでご報告まで。問題点その2の引用によれば、「ジョイント・ベンチャーの物件で、更に工事を行うゼネコン(建設会社)まで売主に入っているケース」は要注意とされていました。具体的に、このようなケースがどれ位あるのかを、11月11日号の「住宅情報マンションズ」で調べてみました。

すると、掲載されている全224物件中、上記の条件を満たす物件は全11件。内訳は、西松建設1件を除くと、他は全て長谷工でした。そして、これら11件は全て二重壁物件だったのです。長谷工物件は、その全てが二重壁ですから当然ですが、西松建設施工物件は、この1件を除くと二重壁物件は見当たりませんでした。この点からも、上記の指摘は非常に正鵠を得ていると言えるでしょう。

住宅は高い買い物です。イメージだけに惑わされず、その中身を十分に吟味することが必要ではないでしょうか。そして、その中には、施工会社がどこかということをチェックすることの重要性が多分に含まれている気がしてならないのは、私だけの妄想なのでしょうか。
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  • 2010/01/08(金) 23:16:40 |
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