吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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マンションという効率一辺倒の居住システムの終焉

久し振りの更新です。その間、ネタがなかった訳ではありませんが、自壊していくマンション業界のことをいちいち採り上げるのにも、少し飽きてきました。これからは、更新頻度を落としつつ、細々と更新していこうと思います(相変わらず定期的に巡回してくる長谷工社員には申し訳ありませんが、長谷工批判を止める気は一切ありませんので念のため)。

外観上はほぼ完成し、いよいよ竣工間近となってきた吉祥寺レジデンシアですが、先週末は入居予定者の内覧会が行われていたようです。現地は、長谷工社員ばかり目につき、購入者らしき人は少なかったのですが、これは単に時間をずらしていたからかも知れません。何でも販売不振のせいにするのは止めておきましょう。

なお、吉祥寺レジデンシアは先週いっぱいで第2期(ルール違反に基づく表記なので、本当は第3期)24戸の販売が一区切りつき、また先着順販売(29戸)に入っているようです。第2期の予告広告には「第2期以降の全住戸(96戸)」との記載がありましたので、少なくとも第2期販売スタート時点で96戸は残っていた訳です。「残り96戸のうち、24戸+29戸=53戸を販売するなんて、販売は好調のようだ」なんて思う方は、今さらいらっしゃらないと思いますが、彼らの販売戸数の足し算は、期分け販売の間に売れ残り住戸を紛れ込ませるため、いつも答えが合わないので、見かけの数字に誤魔化されませんようご注意下さい。

話は、少し前のニュースに移ります。今月12日に、芦屋市で景観法に基づく市景観認定審査会が5階建てマンション建設の建設を認めない「不認定」を出したことが報じられました。地元、神戸新聞の記事景観法根拠にマンション建設認めず 全国初、芦屋市によりますと

 芦屋市は12日、JR芦屋駅北の一戸建て住宅が並ぶ地域で、申請されている5階建てマンションの建設計画を「周辺の景観と調和していない」などとして不認定とした、と発表した。同市内全域が景観法に基づく「景観地区」に指定されており、全国28地区のうち、同法を根拠に大規模建築物の建設を不認定としたのは初という。(上杉順子)
 同市都市計画課は「これまでは周辺環境になじまないという認識があっても、建築基準法や都市計画法に適合していれば、建築を認めてきた。今回の決定は、景観を軸とした新たなまちづくりの一歩」としている。
 マンションは、大手不動産会社「三井不動産レジデンシャル」(東京都)が芦屋市大原町に計画している地上5階建て地下1階建てで、延べ床面積約3700平方メートル。
 周辺は2階建て規模の一戸建てが多いが、計画中のマンションは東西約40メートル、高さ約15メートルに及ぶため、識者で構成する同市景観認定審査会が5日に「不認定とすべきだ」とする答申を出した。市は10日、同社に不認定を通知した。
 再申請は可能で、同社は「通知内容の確認を含め、今後も引き続き市と協議する」としている。
 同市は昨年7月、市全域を景観地区に指定。景観法に基づく認定審査で、大規模建築物の審査は今回が4件目だった。



とのことです。この問題については、日経BP社の建築専門サイトケンプラッツの記事芦屋市の景観地区で5階建てマンション計画不認定が、より詳しく内容を伝えており、

三井不動産がマンション計画(5階建て23戸)を市に届け出
     ↓
学識者からなる「都市景観アドバイザー会議」を開催し、景観協議を実施
     ↓
同会議が、「戸建て住宅を中心とする周辺環境に調和する工夫」、「戸建て住宅地の場合、景観へのインパクトに関する配慮が重要」などの方針を示す
     ↓
会議後、三井不動産がマンション(5階建て23戸)の認定申請を提出
     ↓
学識者からなる「景観認定審査会」が「戸建て住宅が多い住宅街と調和していない」と判断
     ↓
市が三井不動産に対して不認定を通知



という流れで進んだようです。会議の方針を完全無視して同じ高さ、同じ規模の計画を提出する三井不動産レジデンシャル。財閥系と言えども、マンションデベロッパーの強欲さには何の変わりもないことを、嫌というほど見せつけてくれています。

それにしても、京都市の建築物の高さの大幅規制強化(過去のエントリ長谷工の顧客軽視の実態を参照)や、西宮市の横長マンション規制条例制定(過去のエントリマンションと風害~西宮市の「横長マンション」規制に想うを参照)等を見ても、景観や住環境に対する意識は、関西の方がずっと進んでいるようです(真鶴町の美の条例のような例外はありますが)。

芦屋市の事例は、高級住宅街として知られ、市内全域を「景観地区」に指定している例外的な事例だと捉える方も多いかも知れません。しかし、武蔵野市は、「ゆとりある住環境の保護・形成を図る観点」から、ほぼ市内の低層住宅地域全域に敷地面積の最低限度120m2(一種低層の場合、二種低層は100m2)という、全国でも指折りの厳しい面積制限を課している行政団体です。もちろん、吉祥寺レジデンシア周辺の戸建住宅が立ち並ぶエリアのほとんども、敷地面積の最低限度は120m2です。

そのような事実を考え合わせたとき、少なくとも私は、下の写真のような周囲の景観に全く調和していないマンションが、「戸建て住宅が多い住宅街と調和し」た建物とはとても思えません。武蔵野市の考え方は、やはりどこかずれています。

完成した吉祥寺レジデンシアの全景(これのどこが調和しているの?、クリックで拡大)

そして、更に一層考え方がずれているのは、もちろん長谷工です。好き嫌いはあるでしょうが、低層住宅街に意味不明なグラデーション(とも言えないような奇妙な配色)を持ち込み、それを「吉祥寺の新たな”象徴”」などと勝手に言い放つ。キャッチコピーの「整然たる住宅街に誕生」は、「整然たる住宅街に景観を乱して誕生」の間違いでしょう。もっとも、ルーバー手すりで共同住宅の外観にメリハリのこの物件と比較すれば、余程マシだとは思いますが(笑)。

問題外の外観(目立ちゃいいってもんじゃありません、クリックで拡大)

しかし、世間はそこをきちんと見抜いているようで、隣接家屋との離隔距離が十分に確保されていない(にも関わらず割高な)東側の住戸は、売れ行きが非常に悪いようです。

東側は近隣家屋に隣接(やはり離隔距離が不十分と判断されました、クリックで拡大)

美大通りに面する西側がかなり広々としているのと比較して、東側の離隔距離は、近隣住民からの再三にわたるセットバック要請を無視して離隔距離7.35mでの建築を強行しました。住民側は、8階建てを建てるのであれば、せめて東側の離隔距離を10m程度確保して欲しいと、長谷工の利益追求体質にも一定の配慮をしながら建設的な意見を提示しましたが(それによって圧迫感が如何に軽減されるかについては、過去のエントリ続・圧迫感を検証してみましたで検証しています)、長谷工は全くと言っていいほど聞く耳を持ちませんでした(住民側の要望事項を拒否した最終回答内容については、過去のエントリ第7回長谷工説明会で紹介しています)。

常識的に考えれば、新設公園(旧講堂・テニスコート跡地)に面して開放感のある西側のセットバックを減らし、近隣家屋に隣接する東側の離隔距離を確保しそうなものですが、長谷工がこれをしないのには訳があり、7階建ての西棟の高さが日影規制に抵触するため、これ以上建物を西側にずらせないということが長谷工自身の説明で判明しています(この点についても、過去のエントリ第6回長谷工説明会で紹介しています)。

少なくとも、長谷工に少しでも周囲の住環境や景観に配慮する気があるなら、東側の離隔をもう少し広く取り、西棟の高さをあと1~2階程度引き下げる程度の設計変更は十分可能だったと思います。しかし、机上の収益計算にしか関心のない守銭奴たちは、自らの利益を確保できる価格の維持に取り憑かれていた(過去のエントリこんな値段で長谷工さん大丈夫?で想定原価を試算しています。結果がぴったりすぎて笑えます)ようで、「無理にボリュームを増しても、売れ残って値引きせざるを得なくなったら結果は一緒」という理屈を理解できなかったようです。

建ってしまう以上は、入居者の方々とうまくやっていきたいと思うのが、近隣住民の総意でしょう(坊主憎けりゃ、的な方は少ないと思います)。程度の差はあれ、近隣にしこりを遺さないような設計を心がけることも、これからのデベロッパーには必要ではないかと思います。

最後に、「たぬきの森」のその後を伝えた2月15日付日経新聞の記事(違法マンション、撤去不透明 「たぬきの森」に完成間近で中断でさわりの部分が読めます)の最後にある、日置雅晴・早稲田大学法科大学院教授(弁護士として多くの建築紛争にかかわる)の素晴らしいコメントを引用して、本エントリを終わります。

(前略)「建築確認は後から取り消されるリスクがあることを建設業者は認識すべきだ」と指摘。周辺住民の反対があっても、建築確認が出たことを理由に計画を強引に進める業者に警告する(後略)。

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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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