吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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マンションデベロッパー淘汰の波は、いつ長谷工を飲み込むか?

吉祥寺レジデンシアは、少なくとも外観上は完成に近付いているようで、周囲の防音ネットや仮囲いが徐々に撤去されています。結果として、低層住宅地に全く似つかわしくない異様(偉容ではない)な姿が、嫌でも目立つようになってきました。本ブログ開設当初より主張していることですが、これがせめて5階建て程度までの高さであれば、周囲に与える威圧感も大幅に軽減されるのにと、残念に思えてなりません。

東側の様子(東側から、道の先は巨大な壁、クリックで拡大)

北側の様子(北側から、植栽も行われています、クリックで拡大)

本ブログを開設したのが3年前の12月。既にその頃から、本ブログにおいてはマンション業界の膨らみきったバブル体質を指摘してきました。結果については、皆さんご存じの通りです(もっとも、3年前にはここまで急坂を転げ落ちるとまでは思っていませんでしたが)。

そんなマンションデベロッパーの窮状は、SUUMO新築マンション(旧・住宅情報マンションズ)が毎年年末に特集する「不動産会社ガイド」にはっきりと現れています。2009年版については、以前のエントリ来年は何社のデベロッパーが生き残れるか?でその概要をお伝えしていますが、12月15日号に掲載された「2010年版」と、過去2年分の比較を行ってみました。3年分の比較表は以下の通りです(五十音順)。

社名2008年版2009年版2010年版寸評
旭化成ホームズ×
アゼル××H21.3.30自己破産済、忠犬
アートプランニング忠犬
穴吹工務店××H21.11.24会社更生手続申立済
アールエー×
アンビシャス××テレ東「ガイアの夜明け」出演でお馴染み
伊藤忠都市開発×意外と忠犬
栄泉不動産×H21.1.30民事再生申立済、忠犬
NTT都市開発マンデベの金蔓
エルクリエイト××H20.10.2自己破産済
FJネクスト×ワンルームマンション業者、強引な電話セールスが特徴
MID都市開発××旧・松下興産
オリックス不動産地下室マンション業者
風と大地××HPでは販売物件がゼロに…
近鉄不動産×忠犬
グローバル住販××
グローベルスアゼルとの合併キャンセルでかろうじて生き残り
京阪電鉄不動産×首都圏撤退か?
康和地所××H20.10.31民事再生申立済
興和不動産吉祥寺レジデンシア事業主、忠犬
コスモスイニシアH21.4.27事業再生ADR(私的整理)申請済
近藤産業××H20.5.30自己破産済、忠犬
坂入産業××
サンケイビルルフォン吉祥寺完売の日まであと何年?
三交不動産×忠犬
サンピア××
JFE都市開発H21/3期は26億円の大赤字、ちょっと忠犬
シーズクリエイト××H20.9.26民事再生申立済
ジェイレックス・コーポレーション××買取再販業者、悪質なセールスに定評あり
ジョイント・コーポレーション×H21.5.29会社更生手続申立済
章栄不動産××H21.1.21民事再生申立済
新星和不動産×日本生命系、ちょっと忠犬
新日鉄都市開発×忠犬
新日本建設××タヌキの森の主人公、忠犬
新日本建物×H22/3期2Qも依然赤字が続く、忠犬
住友商事
住友不動産突出した完成在庫戸数に一部から懸念の声が…
西武不動産××分譲事業撤退に伴い、H21.6.30西武プロパティーズに吸収合併済
セコムホームライフ×マンション開発からの撤退を表明済
ゼファー××H20.7.18民事再生申立済
セントラルサービス××大阪地盤、HP掲載の分譲中物件はゼロ…
セントラル総合開発×H22/3期2Qも依然赤字が続く、忠犬
創建ホームズ××H21.8.26民事再生申立済
総合地所忠犬
双日忠犬
相鉄不動産×ちょっと忠犬
大京
ダイナシティ××H20.10.31民事再生申立済
ダイヤモンド地所××
大和ハウス工業××
タカラレーベン
中央コーポレーション×H21.4.14民事再生申立済、忠犬
TFDコーポレーション投資用マンション会社、悪質な電話セールスに定評あり
東急電鉄二子玉川ライズに完売の日は来るか?
東急不動産
東京建物ブリリアマーレ有明に完売の日は来るか?
東京レジデンシャル不動産×中山豊社長は元・ダイナシティ社長
東新住販
東邦ハウジング××
東レ建設×忠犬
藤和不動産三菱地所の100%子会社化
トーシンパートナーズ××本社は吉祥寺
ナイスH22/3期2Qは21億円の赤字
ニチモ×H21.2.13民事再生申立済、忠犬
日鉱不動産×忠犬
NIPPO
日本エスコン×H21.6.22事業再生ADR(私的整理)申請済
日本土地建物××
日本ワークス
野村不動産
ハウジング大興××H20.7.30民事再生申立済
阪急不動産
ヒューマンランド××
フォーユー×
フージャースコーポレーション×
扶桑レクセル××H21.3.1大京に吸収合併
プレサンスコーポレーション××投資用マンション会社
プロバイスコーポレーション××栄泉不動産に事業譲渡済、忠犬
プロパスト××H22/5期1Qは28億円の大赤字、45億円の債務超過
平和不動産忠犬
丸紅××
三井物産
三井不動産レジデンシャル
三菱地所
三菱商事
名鉄不動産吉祥寺レジデンシア事業主、忠犬
明豊エンタープライズ×長谷工と親密、H21.10末の現預金は1.86億円しかない…
明和地所××国立マンション訴訟でお馴染み
モアコーポレーション××
モリモト×H20.11.28民事再生申立済
山田建設××
有楽土地×H22.4.1大成建設の100%子会社化予定、忠犬
ユニカ××福岡の不動産屋
ユニホー××名古屋の不動産屋
陽栄
ランドコム××H20.9.29民事再生申立済
リスト×
リビングライフ
リブラン××
菱重エステート三菱重工系
合計905748


毎年着実に減少する掲載会社数と倒産企業数の多さもさることながら、掲載される会社の中味の変化にも驚かされます。エンドユーザー向けの分譲を手掛ける独立系デベロッパーが激減する一方、投資用マンション業者の掲載数が増加。そして、体力のある財閥系や大手商社・銀行系の不動産会社などが毎年掲載されており、既に一般顧客向けの業者ガイドとしては用をなさない中味になってしまっています。業界挙げての「身から出た錆」とは言うものの、改めてマンションデベロッパーを取り巻く環境の厳しさを再認識させられる中味です。

さて、この特集記事には、実態は自社施工のマンションデベロッパーと異ならないマンション専業ゼネコン・長谷工は登場しません(厳密に言えば、忠犬たちのページに長谷工物件は登場しますが)。そのため、この特集記事からは長谷工の窮状は判明しないのですが、長谷工の窮状については、長谷工自身が公表しているプレスリリースから窺い知る事ができます。

それは、12月17日に公表された子会社設立及び組織再編に関するお知らせというリリースです。中味は、資金調達用の子会社2社(長谷工MMB、長谷工MMH)を設立するというものです。これが何故、長谷工の窮状を示しているのか。それは、この子会社設立による資金調達スキームが、実質的に長谷工が保有するマンション管理会社を担保として調達するものに他ならないからです。

昨年、今年と破綻していったマンションデベロッパーの多くが、資金調達手段に窮して、最後に虎の子の管理子会社を売却することで資金を捻出してきたことは、過去のエントリ(管理会社召し上げで忠犬はお役ご免?など)でもお伝えしてきた通りです。長谷工自身、その混乱に乗じて管理戸数を大幅に増やしてきた訳ですが、いよいよ長谷工自身が、その管理子会社を資金調達手段とせざるを得ないほど資金に困窮してきたということでしょう。因みに、管理子会社株式譲渡を資金調達手段と強弁する様は、事業再生ADR(私的整理)で事実上のデフォルトを起こしているコスモスイニシアと重なります(過去のエントリ溺れる者は藁をもつかむ?を参照)。

なお、長谷工はプレスリリースの中で、「資金調達手段の多様化により、長期的かつ安定的で有利な条件での調達の実現に向けて、当社の子会社が営むマンション管理事業等から生じるキャッシュ・フローを裏付けとした資金調達を行うことと」したと説明しており、あくまで有利な調達手段としてこのスキームを採用したと説明しています。

しかし、実態は異なるようで、不動産業界紙である「日刊不動産経済通信」の12月21日号に掲載された「長谷工、長期資金の調達で新会社を設立」では、「来年3月末に返済期限を迎える約750億円のうち、約350億円分については同条件で借換えができる予定となっているが、残りの約400億円分については新たな資金の調達が必要となっている。今回の子会社を使ったスキームで200億~300億円の借入を行い、残りは手元資金と一部保有資産の売却益などで賄う予定」と、既に金融機関から借換えを拒否されて資金調達余力がなく、やむなく虎の子の管理子会社を資金調達のために差し出したことが暴露されています。

既存株主を裏切ったMSCB発行が9月。その3ヶ月後には、早くも自社に残る唯一と言っていい優良資産を差し出して資金調達せざるを得ない。こんな会社に、一体何の未来があると言うのでしょう? 来年の今頃には、果たして長谷工は無事に生き残っているのでしょうか?
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「タヌキの森」が遺したもの

18日付の新聞各紙やニュース番組などで、違法・脱法マンションとの争いを続けている人々にとって「画期的」とも言える最高裁判決が出されたことが伝えられました。

それは、東京都新宿区下落合4丁目で建築が進められていた新日本建設の「(仮称)目白御留山住宅プロジェクト」について、周辺住民が区の建築確認取消を求めて提訴していたもので、最高裁は建築確認を取り消した二審・東京高裁判決を維持して、新宿区の上告を棄却しました。既にニュース等でご存じの方も多いと思いますが、内容を比較的詳しく伝えている毎日jpのマンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決によりますと、

 タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。

 住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。

 問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。

 災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。

 1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。

 ◇200年の古木「タヌキの森
 周辺住民は、樹齢200年の古木がある「タヌキの森」の保存を区に要望。土地を買い取り公園化するよう求め、一時は約2億3000万円の基金を集めていた。しかし、区は土地を買収できず、06年に工事が始まった。

 現在、敷地内の樹木は伐採され、タヌキも姿を消したが、周辺では生息が確認されているという。記者会見した原告の武田英紀さん(44)は「大変うれしい判決。また自然を復元する活動を続けたい」と喜びを語った。【銭場裕司】

 ▽中山弘子・新宿区長の話 司法の最終判断を真摯(しんし)に受けとめ、適切に対応していきたい。

 ▽建設業者の話 区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、許可を得て開発を進めてきた。判決に非常に困惑している。当社の手続きに不備はないので、今後は区とも協議し、区に何らかの対応を求めていく。

タヌキの森タヌキの森敷地図(朝日新聞より)、クリックで拡大)



とのことです。また、YOMIURI ONLINEの都心近くの「タヌキの森」、住民ら復元目指すでは、提訴に至る経緯などが以下の通り詳しく紹介されています。

マンション建築確認違法、建設会社「被害者の気分」

 豊かな緑が残る東京・新宿区下落合の「タヌキの住む森」と呼ばれる一角で建設中のマンションについて、最高裁が17日、区の建築確認を違法として取り消した。

 都心近くの緑の保護を訴えてきた原告の住民らは、この日の記者会見で「伐採された緑を復元したい」と話した。一方、敗訴した区は「違法建築になったので、建設会社を指導する」と言葉少な。都心のタヌキたちのすみかは、これからどうなるのか――。

 建設現場はJR目白駅から西へ約500メートルほどの高台で、目白通りと新目白通りに挟まれた場所にある。以前は古い住宅と屋敷森で、近くに区立下落合野鳥の森もあり、タヌキや貴重な野鳥が生息している。住民らによると、最近も路上や民家の軒下を歩くタヌキが目撃されているという。

 マンション建設計画が持ち上がったのは2004年11月。建設会社が土地を買い取り、3階建て約30戸の集合住宅を建てる計画を示した。これに対し、地元住民は翌年、森の保全を求めて「下落合みどりトラスト基金」を設立。森の買い取り資金を集めて区立公園にするよう区に働きかけた。

 しかし、集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず、同社は06年、区の建築確認を受け、着工に踏み切った。建設地の樹木は伐採された。今回の訴訟は、こうした中、近隣住民が起こしたものだった。

 判決後、霞が関の司法記者クラブで記者会見した、基金の事務局長で原告の武田英紀さん(44)は、「地域住民の住環境が守られた。この地域にはタヌキやたくさんの自然が残されており、後世に残す一歩を踏み出したと言える」と語った。今後、改めてトラスト活動で買い取り資金を募る考えで、「区は知恵を出してほしい」と求めた。

 同席した基金の会計担当、森山崇さん(63)も、「最終的に公園になるまで努力していく」と話した。

 ただ、判決を受けて建設中の建物は取り壊す必要などが出てきたものの、実際にどうなるかは不透明だ。

 マンション建設は7割ほど進んでいるが、東京高裁で住民側が勝訴した昨年1月以降、停止している。建設会社は区に損害賠償を求める構えで、同社の役員は「区が建築確認を出したのに、こんな判決が出るとは。被害者のような気分だ」と戸惑った様子で話した。

 これに対し、区建築指導課は「現状で違法建築物になったので、建設会社に今後改めるよう指導していく」と話すだけ。住民と今後のことを話し合うかどうかは「未定だ」としている。

 記者会見後、住民の一人は「区は業者と交渉し、解決策を見いだしてほしい」と話した。(野村昌玄、渡辺光彦)



建設会社(新日本建設)が「被害者の気分」などと言っているのは、「自分たちの違法計画を特例扱いで新宿区に認めさせた」ことが事の発端にも関わらず、被害者面だけしている点で同情の余地などありません。更に、記事中では「集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず」と、さらっと流されていますが、ここには新日本建設のとんでもない強欲さが現れています。

記事中にも登場する「下落合みどりトラスト基金」のサイトには、過去の事件の経緯が詳しく紹介されており、それを見ると、新日本建設の当初土地購入価額が7億5千万円であること、新宿区が土地を5億4千万円と評価して、「基金」の額と合わせた額での購入を新日本建設に何度も申し入れているが、10億5千万円の提示額を譲らないことなどが分かります。

近隣住民向け説明会で、新日本建設側は「買い取り価格7億5000万円は誤りで、それより多い額だ。新宿区側+『トラスト基金』側からの提示額は、買い取り価格を下まわっている(中略)。10億5,000万円は役員会議で決定したものであり、減額はまったく考えていない」と発言しており、正確なところは分かりませんが、何れにせよ、「環境保全のために土地を譲渡して欲しい」という声に対しても、「営利企業だから(短期転売でも)利益を乗せるのは当然だ」という主張を行っているようです。

この点については、「新宿区が(建築計画を)認めてるのだから、当然建設はなんら問題ない。最大限の利益を得ることがわたしたちのすべてであり、株主に対する責務だ」とも発言しており、CSR(企業の社会的責任)という観点が完全に欠落した守銭奴振りを遺憾なく発揮しています。このロジックが誤りであることは、以前のエントリ法政の桜に書きましたので、ここでは繰り返しません。何れにせよ、目先の利益に執着し、違法設計を押し通そうとしたツケは、非常に大きなものになったことだけは確かなようです。

ここまで、事の発端を作った新日本建設の方を見てきましたが、ここからは新宿区の責任について見ていきたいと思います。そもそも、タヌキの森訴訟の被告は新日本建設ではなく新宿区であり、訴訟自体も新宿区が出した東京都の建築安全条例違反の建築確認の有効性が問われたものです。

この建築計画に対しては、どうやら新宿区の建築課が開発を推進する立場であったようで、東京都安全条例上、本来は1,000平方メートルを超える建築物を建築できない土地に、同条例の緩和措置(区長が建築物の空地の状況その他土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合は緩和可能)によって、特例の安全認定を下ろしたようです。しかも、その安全認定を下ろしたのが、近隣住民が敷地の買い入れを新宿区長に請願する当日、しかも面会6時間前という神経を逆撫でするようなタイミングだったことも判明しています。

一方、同じ行政側でも、建築確認を行った建築課以外の部署はこの計画に否定的なようで、基金のHPの区の「ハザードマップ」で危険箇所に指定に整理されている新宿区の各部署の見解を見ると、

建築課たぬきの森へ計画中の重層長屋(2,800m2)を建てるのは、法的(特例認定)にも、また安全性の調査や消防署の意見でもまったく問題がなく、安全なので「建築確認」は当然である。
建築指導課たぬきの森南側の崖地は非常に危険であり、「急傾斜地崩壊危険箇所」として“網がけ”指定する。大きな人的・物的被害を及ぼす可能性がある。
公園課たぬきの森の敷地は特殊な「旗竿地」であり、1,000m2未満の建物しか建たない土地なので、公園化を想定して買い取りに用意できる予算は土地評価額からみても5億4,000万円が妥当である。
新宿消防署「当該建設予定地へ消防自動車が向かう道路は一本道で、道路幅の最低は3.3mしかなく、消防困難な地域と言わざるを得ません」(意見書)


となっており、建築課の突出した業者との癒着振りが見て取れます。そもそもが、実態がマンションと何ら異ならない建物を、「重層長屋」と言い逃れて規制要件を緩和するというこざかしい悪知恵が全ての事の発端であり、同じ行政側でも建築課以外はそのことを充分に認識していた訳です。これを、全て「新宿区が悪い」と一括りにしてはかわいそうです。とはいえ、訴訟でも被告はあくまで新宿区なので、基金HPで読める東京高裁判決の要旨でも、荒唐無稽な建築課の主張は全て「新宿区」と一括りに表現されている訳ですが…

役所というところは、「自分たちは決して誤らない」という危険極まりない発想を行動原理としており、それが何十年も前に計画した時代遅れの公共工事を何が何でもやり遂げようとするような、庶民感覚とはおよそかけ離れた行動に結びついています。行政を相手取った訴訟で、担当大臣や知事などの決断なしには、どんなに行政側の非が明らかな訴訟でも必ず最高裁まで争うという姿勢にも、この点がはっきり現れています。

この「タヌキの森訴訟」が勝ち取ったものは、単に「違法建築の建築確認の無効を確認した」だけではなく、「ブレーキの壊れた行政のやり方を市民の手でストップできる」ということではないでしょうか。経済効率一辺倒の「発展途上国モデル」からの脱却が日本に求められている今、この判決の重みを(特殊事案と切り捨てるのではなく)建築業界が重く受け止め、乱開発を放棄して欲しいと願って止みません。

それにしても、今後、新日本建設は新宿区を訴えるんでしょうか? 自らの違法計画が総ての事の発端であるにも関わらず、建築確認を下ろしただけの新宿区を訴えるというのは「天に唾する」行為という気がしなくもないのですが…

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臭いの元は吉祥寺レジデンシア ~アスファルト防水工事は安全なのか~

前回のエントリでお伝えした穴吹工務店の倒産は、それなりにインパクトのあるニュースだったようで、その後も様々な形でマンション市況の厳しさを再認識する報道が続いています。個人的には、需給バランスを考えればマンション市況が当面回復しないことなど当然なので、「何を今さら」感も強いのですが…

一例を挙げると、11月30日付の日経新聞の「経営の視点」というコラム記事に、「『穴吹破綻』が映す市場収縮 分譲マンション 転換期に」が掲載されていました。記事自体は、穴吹工務店が創業から供給戸数全国トップに登り詰め、そして破綻に至るまでの経緯をかいつまんで説明したものですが、記事の結びがタイトルに反映されています。その部分だけを引用すると、

 (前略)06年まで10年あまり続いた分譲マンションブームに多くの起業家が群がった。用地を確保すれば設計・施工はゼネコンに丸投げ、販売は大手仲介会社への委託で済む。「机と電話があればマンションデベロッパーは誰でも始められる」とさえいわれた。
 昨年来、新興不動産会社の破綻が相次ぎ、安直なマンションビジネスは影をひそめつつある。民主党政権はマニフェスト(政権公約)で「賃貸住宅の整備」を掲げ、住宅取得政策は後退する方向。市場の収縮は一時的なものではなさそうだ。穴吹工務店の破綻は分譲マンション事業の転換期を暗示しているようにみえる。



正に「安直なマンションビジネス」に一口かもうとしたマンションデベロッパーたちに金だけ出させて、実際は自分たちですべての事業を取り仕切ってきたのが長谷工の本質であったことは、本ブログでも再三指摘しています。この記事が主張するところの「分譲マンション事業の転換期」イコール「長谷工凋落への転換期」と思えてなりません。

与太話はこれくらいにして、本題に移りたいと思います。前回のエントリで、吉祥寺レジデンシア工事に伴う「溶融アスファルトの強烈な悪臭」が、近隣にまた迷惑を掛けていることを簡単にお伝えしましたが、今回はその問題について調べてみました。その結果、そこにはいつも通りの長谷工の身勝手さが横たわっていたのでした。

先ずは、工事に先立って配布されたお知らせチラシの文面をご紹介します。なお、この文面だけではアスファルト防水工事がどのようなものかが全く分かりません。けんけんちくちくという建築情報サイトの下記のエントリにかなり詳しく紹介されていますので、事前にお読みいただくと良いかも知れません。

アスファルト防水
アスファルト防水-その2
アスファルト防水-その3

近隣の皆様へ

 謹啓、皆様におかれましては、ますますご清祥の事と存じます。
弊社の吉祥寺マンション計画につきましては、日頃より大変ご心配、ご迷惑をお掛け致しておりますが皆様のご理解とご協力のもと、進めさせていただいております事に感謝を申し上げます。
 さて、本工事を進める中、屋上アスファルト工事を行う上で白煙及びアスファルトの臭いが有ります。
アスファルト工事期間及び順序に付きましては、下図の通りでございます。
引き続き皆様のご理解とご協力を賜りますように、宜しくお願い致します。
(注:白煙につきましては、最寄りの消防署に連絡済でございます)
※雨天の場合は順延、及び工事上順位が変更になる場合があります。

アスファルト工事期間10/22(木)~11/28(土)



これを最初に見たときは、「多少の臭いがあるのね」程度にしか思いませんでした。何故なら、道路のアスファルト舗装工事現場でも、多少油っぽい臭いがするだけで、アスファルトの強烈な悪臭を体験したことなどなかったからです。しかし、実態は全く舗装工事とは異なるものでした。

周囲への悪臭は、工事箇所や風向き・風の強さなどによって、どちらの方角に発生するかは日々異なります。しかし、無風ないし風の弱い日に近くでこの工事が行われると、周囲一帯ないし特定の方角に強烈な悪臭が充満することになるのです。臭いはゴムを焦がしたときの臭いに似ており、臭いの強い日は窓を開けることはおろか、外に洗濯物を干すことも(臭いが移りそうで)できないほどです。こんな工事を1ヶ月以上にわたって住宅密集地で行う神経が理解できません(なお、工事が全体に遅れているようで、予定工事期間が終わった12月に入っても工事は行われています)。

工事遅延のお知らせ(工事が遅延しても竣工時期は一緒、クリックで拡大)

これだけの悪臭を周囲に撒き散らす工事が、果たして健康被害がないものなのか、非常に不安になります。そして、そのような不安を感じるのは万人共通のようで、アスファルトルーフィング工業会という業界団体のHPには、わざわざQ&Aとして煙と臭いによる、人体への影響はありませんか?という問いが設定されています。

(なお、この他にも日本アスファルト防水工業協同組合という業界団体もあるようで、こちらのHPにも「アスファルトの安全性」というトピックが掲載されています。内容はほとんど一緒なので、ここではアスファルトルーフィング工業会の方に絞ってご紹介します)

この手の業界団体が、わざわざ「健康被害があります」などと主張する訳もなく、ここでも「煙、臭いの発生源であるアスファルト防水の工事現場を想定して、規制値と実測値を比較すると、いずれの対象物質も規制値を下回っており作業上の人体への影響はないと考えられます」というお決まりのロジック(規制値を下回っているから問題なし)が展開されています。

更に、発がん性が懸念される物質(ベンゾ(a)ピレン)の発生量についても、「加熱アスファルト混合物製造プラントからの排出は他の排出源と比べ、ベンゾ(a)ピレンの発生量は非常に少ない」とし、「加熱アスファルト混合物製造会社や道路舗装作業者、アスファルト防水作業者等、アスファルトを取り扱う作業に従事した人の健康調査においても、一般人との間に健康上の差異が認められていない」としています。

また、臭気の問題については、硫化水素の濃度が悪臭防止法の規制値(0.02~0.2ppm)に対して、アスファルト蒸気発生源から1m地点実測値が0.05ppm未満となっていることから、「臭気に関しては、アスファルト防水工事周辺で感知される場合がありますが、悪臭物質の濃度の低さをまず理解し、安心して戴く必要があります。又、臭気に鋭敏な方には窓を閉める等の外気との接触を避けて戴くご協力をお願い致します」と結んでいます。

しかし、この主張にはかなりの無理があります。同じところに「臭気を感知する濃度」(下表を参照)が掲載されており、その中には「だれでも臭気を感知できる」濃度は0.2~0.3ppmとされています。しかし、近隣住民が臭気を感知する場所は先程の「アスファルト蒸気発生源から1m地点」などではなく、屋上での作業ですから優に2~30mは離れた地点での話です。距離による拡散具合も加味すれば、そもそも発生源での濃度がこのデータとは比較にならないほど高いとしか考えられません。

臭気を感知する濃度(どれだけ高濃度の蒸気を発生させているのか?、クリックで拡大)

そう考えると、そもそも発がん性もあるとされるアスファルトをこれだけ撒き散らす工事が、果たして本当に安全なのか、そのこと自体に疑問を憶えざるを得ません(アスファルトの安全性については、国立医薬品食品衛生研究所の国際化学物質安全性カードの中のアスファルトに関する記載が参考になります。そこには、「あらゆる接触を避ける!」、「吸入の危険性:20℃ではほとんど気化しない。しかし、拡散あるいは加熱すると浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある」、「長期または反復暴露の影響:この物質のフュームは人に対して発がん性を示す可能性がある」と安全性を否定するような記載が満載です )。

長谷工が採用している工法が(説明不足によって)全く不明な以上、はっきりとしたことは言えないものの、唯一確かなのは、かなりの臭気と発煙を伴う工事を住宅密集地で行っているということです。この点については、先程も登場した日本アスファルト防水工業協同組合が環境対応型アスファルト 「シグマートE」なる商品をラインナップしており、そこでは施工温度を通常の260~270度から170~190度に下げることで、「アスファルト特有の臭気、発煙を極限まで低減し、施工現場周辺に与える影響を最小限にすることに成功し(中略)、今まで敬遠されてきた市街地等への施工にも安心してご利用いただけ」ることをアピールしています。このような技術を採用する気は、例によってコスト低減だけを至上命題とし、安普請な建物を建て逃げることだけを考える長谷工には、採用する気は一切ないということなのでしょう。それは、今までの一連の経緯を見ても、あまりにも明らかです。

散々迷惑を掛け続けてきた結果、「この程度の迷惑の追加は大したことないだろう」とでも考えているのかも知れませんが、発がん性が疑われるような物質を大量に撒き散らす工事を行う以上、先程のペラッとしたお知らせ一枚だけ配布してお終いという態度には、本当に怒りを覚えます。長谷工という会社には、一切の倫理感覚はないということを、このアスファルト防水工事からも感じざるを得ませんでした。一日も早く工事が完了し、二度と地域に顔を見せないで欲しいものです。

しかし、第1期3次販売も2戸のみ、それが終わると以前とほとんど一緒の先着順販売を繰り返すという極度の販売不振状態では、それもしばらくの間は期待薄ですか、残念ながら…

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