吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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長谷工はどこまでもつか?

野菜の促成栽培よろしく、あっという間に立ち上がっていく吉祥寺レジデンシア。下の写真のように、現在1階部分の躯体工事中です。写真左奥の南東部分に至っては、既に3階部分まで立ち上がっています。こんな短期間で建てられていくコンクリートの塊。そのクオリティは、本当に大丈夫なのでしょうか?

工事現場の近況(躯体の工事が進んでいます、クリックで拡大)

そんな吉祥寺レジデンシアですが、先週末、連日のように新聞折り込み広告が入っていました。予算の制約が厳しいのか、B4版見開き4ページのような変則サイズの小さなその広告には、「5/23(土)よりモデルルーム・グランドオープン」の文字が大きく踊っていました。1月には(少なくとも外観が)完成し、4/25(土)にプレオープンしたモデルルームが、ようやく今頃本格オープンです。プレオープンからグランドオープンまでの1ヶ月もの間は、よほどの人気のなさを表しているものと思われます。価格設定を誤った不人気物件の始末は、何かと大変なようです。

この広告の中身については、色々と突っ込みどころが満載ですが、ここではいちいちそれを指摘することは致しません。しかし、この一点だけは指摘しておきたいと思います。LOCATIONと称する一文の中に、「戸建て住宅が並ぶ『第一種低層住居専用地域』が中心となり、整然とした美しい街並みが広がります」とぬけぬけと書いてあるのです。その「整然とした美しい街並み」を壊すだけの存在の吉祥寺レジデンシア。その存在が、いかに不要なものかを自ら認めているようなものです。街並みの価値を称揚していながら、その価値を自ら破壊する。そんなマンションには、何の存在意義も見出すことはできません。

さて、いささか旧聞に属しますが、5月14日に長谷工が2009年3月期の決算短信を公表しました。その内容は、既に過去のエントリ赤字転落、キタ━(゚∀゚)━!!!!!でお伝えした通りの赤字決算ですが、営業利益は170億円の予想が156億円と更に下方にて着地し、最終赤字は60億円の予想が76億円にまで拡大した悲惨なものでした。

にも関わらず、決算発表を境に、長谷工の株価は上昇基調に入っています。5月14日の終値(62円)が本日(25日)の終値では86円と、約39%の上昇です。その理由は、「09年3月期の連結決算では最終損益が76億円の赤字となったのに対して、2010年3月期には最終黒字70億円を見込むと発表したことが刺激となり、目先筋の値幅取りが活発化している」(5月15日付日本証券新聞)ということのようです。これに加えて、「三菱UFJ証券が、『財務リスクと収益リスクの2つのリスクが後退している』と評価し、投資判断『2』と目標株価100円を据え置いたことが好感されている」ようです。

長谷工株価推移(最近の株価推移、クリックで拡大)

しかし、三菱UFJ証券の業績予想は、昨秋まで会社の発表を鵜呑みにしてボトム期を脱したというレポートを出していたような不正確極まりない内容ですから、今回もその内容は推して知るべしです。誰でも分かる簡単な検証で、そのことを明らかにしてみたいと思います。

過去のエントリでも指摘しましたが、長谷工の今後の業績は、現在の工事受注状況を見ればかなり正確に分かります。以下のグラフは、2000/3期から2009/3期までの長谷工単体の受注高の推移、そして、2010/3期の長谷工公表による受注高予想です(会社予想は中間と通期のみなので、便宜上第1~3四半期の受注高を同額と仮定しています)。これを見れば、2006/3期、2007/3期の受注高がいかに突出していたか(いかにバブルの様相を呈していたか)と、2009/3の急速な減速振りがご理解いただけることと思います。

単体受注高の推移受注高の推移、クリックで拡大)

こんな状況下、未だ大量の完成在庫が残る中で、2010/3期の受注高が回復する。このような会社予想に、何の信憑性があるのでしょうか? そして、そのことは、他ならぬ長谷工自身がもっとも良く理解しています。

決算と同時に公表した中期経営計画の修正に関するお知らせでは、「土地持込以外の住宅系工事受注への積極取組み」と称して、「土地持込による受注で構築した企画力・スピード・規模のメリット等によるコスト競争力・技術力等の総合力を生かした取組みを強化する」ことを謳っています。しかし、長谷工の強みは、土地情報を持ち込むことでデベロッパーから有利な条件を引き出して、デベロッパーには資金負担とリスクだけを負わせるという身勝手なビジネスモデルにあった筈です。耳障りのよい表現を使っていますが、要は「一般工事入札にも参加する(=そうしないと売上を維持できない)」と告白しているようなものです。このような理解の下に先ほどの受注高のグラフを見ると、長谷工の主張するところの黒字回復が、実に眉唾物であることがご理解いただけるのではないでしょうか。

次に、財務リスクです。昨今の不動産関連企業の破綻は、ほぼ例外なく資金に行き詰まった結果の倒産劇であることは記憶に新しいところです。長谷工は、2009/3末でも連結ベースで555億円の現預金残高を有しており(2008/3末は626億円)、この点に懸念はないように見えます。

しかし、決算短信の注記をよく見ると、銀行に設定されている600億円のコミットメントライン(随時引き出し可能な借入枠)内の残高が、2008/3末の150億円から2009/3末には600億円とフルに利用されていることが分かります。これが一過性でないことは、2008/9末で既に500億円を利用済であったことからも窺い知れます。長谷工の借入余力はそれほど大きくなさそうです。因みに、単体決算による2009/3末の現預金残高は278億円(2008/3末341億円)と、連結とはかなりの乖離があります。見かけほど資金繰りは楽ではなさそうですね。

最早、一昔前のように忠犬デベロッパーが長谷工の資金負担を肩代わりしてくれて事業ができる時代はとっくに過ぎ去りました。マンション工事しか能のない長谷工にとって、現在の事業環境は他のゼネコン以上に厳しいものに思えます。長谷工の楽観的な業績予想に惑わされることなく、きちんと中身を検証しないと、長谷工みたいなクズ株買って大損を被ることになりかねませんよ。そして、それはもちろん、長谷工施工のマンションを購入する人たちにも、形は違っても共通するリスクでもあるのですが…
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【GW特別企画】興和不動産に売主たる資格はあるか?(その3)

このエントリも都合3回目となってしまいましたが、一応今回で完結です。前回までのエントリで、市側と事業者側の双方がいかに甘い認識のままマンション建築に突入したか、そしてその結果としてシティアクラックが生じたかを見て来ました。そして、今回ご紹介する部分において、その点はよりいっそう明らかにされていきます。

先ずは、平成18年12月開催の第4回定例会から見ていきます。今回も質問者は関口議員、答弁者は川崎都市部長です。関口議員の質問は、一点目として「シティアクラック問題について長谷工が行ったボーリング調査の結果を受けて、市の見解、判断」、そして「市の調査の結果も併せて」問うています。

二点目として、「10月21日付、長谷工による『シティア地盤調査追加報告』によりますと、まず各棟における沈下要因について、『当敷地には台地と人工的に埋め立てられた谷部が存在することが判明した』などと、まるで今度の調査により初めてわかったかのように述べてい」る点を指摘した上で、「『沈下は終息傾向にある』『沈下は終息状態にある』との二通りのあいまいな言い方をし、長谷工の判定では、『対策を行う』『継続観察とする』としている敷地が」「ほぼシティアの全域に及んでい」る中、「同じ地続きの新マンションの建設地は、全く問題がないと言えるの」かと問うています。

更に三点目として、「市は、長谷工に対して、新マンション建設に当たってシティアクラック問題から何を具体的に、どう指導」したのかを問い質しています。

これらの質問に対する川崎都市部長の答弁内容は、以下の通りです。先ず一点目について、「報告では、マンション本体とサブエントランスの接合部分周辺にクラックが発生したのは、サブエントランス部は、くいで支持された高層のマンション本体とは異なり、直接地盤で支持された構造であり、地下深部にある腐植土層が建物の重さで圧縮されて地盤が沈下した結果、サブエントランス部分が沈下したことが原因であ」り、「事業者はシティアの管理組合にこの調査結果を説明し、今後施工することになる修復工事についても了承」を得ているが、「事業者は、市に調査資料を提出することについて、管理組合から了解が得られていないこと」を理由に調査資料を開示していないことを明らかにしています。

なお、市の調査については、「本年7月、9月及び12月に現地に出向き、事業者に対して事情聴取や状況確認を行」った結果、「クラック問題に対する事業者側のマンション住民や管理組合への対応は適切であると考えて」いると述べ、ここでも事業者の主張を鵜呑みにしたことを告白しています。

続いて二点目については、「事業者から、新マンション建設地のボーリング調査結果について聞き取り調査をしたところ、シティアの地盤沈下の原因であるとされる腐植土層は確認できなかったことから、新マンションについては地盤沈下によるクラック発生のおそれはないと判断し」たことを明らかにしています。しかし、これも問題が発生した後の対処方法としては恐ろしく甘いと言わざるを得ないでしょう。シティア建築の際も、当然ボーリング調査は行った筈です。にも関わらず、軟弱地盤の存在を認識できずにマンション建築を強行した事業者の主張を、全くそのまま鵜呑みにするなら、行政による建築指導など無用の長物以外の何者でもないでしょう。根本から認識が甘過ぎます。

最後に、三点目については、「市は事業者に対し、現在施工中及び今後工事着手するマンションについて、シティアと同様な問題が生じないよう設計内容を再確認し、十分注意して工事をするよう申し入れております。新マンション建築地においても事業者側はボーリング調査を行った上でマンションを設計し、工事に着手しております」と述べるに止まっています。これ以上の指摘は、二点目と重複するので割愛します。

続く、平成19年3月開催の第1回定例会でも、関口議員のシティア関連の質問は行われています。但し、クラック問題に関する質問はこの定例会が最後となっており、以降は地元小学校の増築に関する公共公益施設整備費用の長谷工負担に関する質問に焦点が移っています。そのため、この問題に関する我孫子市議会の討議内容を検討するのはこれが最後になります。

今回の質問内容は、先ず「12月議会で市は、『事業者側の対応には問題がない』と」述べたが、「2月3日に長谷工が住民に説明会を開きました。130人を超える住民が集まり、大変紛糾したと聞いています。長谷工の不誠実な対応が原因のようです。文字が虫眼鏡で見ないと読めないくらい小さくて、判読不能な資料。11ヵ月もかかる補修工事。工事中の生活道路、通学路の安全の保障問題等々に、住民側の怒りが次々とぶつけられた」にも関わらず、「長谷工からだけ聞いて、現状判断をされたのではない」かと問い質しています。

続いて、「調査結果に基づいて、シティアのクラック問題からの教訓を全面的に生かして、新マンション建設について総点検し、指導を徹底する必要があるのではない」かと、「市民の生命、財産を守る責任ある立場で直ちに誠実な対処を」求めています。

これに対する川崎都市部長の答弁は、相変わらず木で鼻をくくったようなもので、「シティアのクラック問題の現状について市の認識を問うについては、昨年現地調査と併せて業者から事情聴取を行った結果、現在生じているクラックを修復するために発生原因を究明するためのボーリング調査を行っていること、また、この調査結果を踏まえてマンション管理組合と協議を進め、修復工事を行う予定であるとのことから、適切に対処していると判断し」ており、「この問題は住民が納得する形で業者と直接話し合って解決すべきものであり、市が双方から事情を聞いて対処できる問題ではないと」一方的に宣言するなど、行政として市民の手助けをするという考え方は皆無であることを明らかにしています。

更に、「新マンション建設についての総点検と指導についてですが、このことについては開発許可の段階でも建築に際しても、今回のクラックの問題を踏まえて工事を行うよう事業者に指導しております。事業者もそのことを十分認識し、必要な手続を経た上で新マンションを建設していることから、改めて関与できるようなものではないと考えて」いると述べ、徹頭徹尾、事業者を信頼するというスタンスで通しています。しかし、この事業者(=長谷工)は現に地盤沈下を起こしたマンションを建設している訳ですから、これではあまりに性善説に過ぎると感じざるを得ません。

これに続く再質問の中で、関口議員は「市民を守るために、今ある法律をすべて活用して、何とか市民を守って」欲しい、「シティアと同じ轍を新しいマンションの方々に踏ませない、同じ苦労をさせない。こういった行政側の態度が私は欠けていると思」うと行政の不作為を指摘します。

しかし、これに対しても、川崎都市部長は「市が発注する公共事業であるならば、当然設計の段階から地質の調査など行ってチェックし、施工に当たっても必要な検査はその都度行」う「が、市が責任を持って設計、施工管理を行った工事であるならば、市が責任を持ってその原因究明をきちんと対応してやることができますけれども、民民の工事ではそこまで介入してなかなか対応できないと」回答します。

「民民の問題には介入しない」、というのは行政がよく使う逃げ口上ですが、これは警察権の「民事不介入の原則」を曲解した行政の詭弁という気がしてなりません。実際には民民の利害調整まで行政が行うという過剰な介入事例は枚挙に暇がありませんし、ここで求められているのは「市民の安全を守るために行政として相応の役割を担って欲しい」という、本来の行政があるべき姿な訳ですから、なおさらです。

この点については、関口議員の再々質問でも、「建ててじきにいろいろと問題が出てくるというようなことは、建築確認のときに不備があった」のかも知れないので、「市民を守る法律というのは必ずあるはずですから、そういうものを見つけ出して何とか守ってほしいという」、ほとんどお願いに近い声として繰り返されますが、残念ながらそれに応える答弁は得られずじまいでした。

さて、先述の通り、以上で我孫子市議会の議事録に登場するシティアのクラック問題は終了しています。残念ながら、クラックの修繕や地盤沈下に対する対応策がどのようになったのかは明らかになっていません。しかし、一連の議論の中で、いかに長谷工の工事が綿密性を欠くものか、そして、そのような工事がほとんど何のチェックも受けずに進行していくのか、その内情が実に露になっていると感じられたのではないでしょうか?

欧米並みの厳しいインスペクション(建築工事の検査・監視)制度が導入されておらず、建築業者1社で設計・施工・監理を完結できることの弊害を、まざまざと見せつけられた思いがします。建築基準法の厳格化で、建築業界は汲々としているようですが、正直、改正内容が枝葉末節な部分に拘泥し過ぎており、本質が見失われている気がしてなりません。

- ・ - ・ -


ここで、今回のエントリのタイトルの解題です。ほとんど長谷工の問題だけを採り上げている今回のエントリが、なぜ興和不動産の売主資格を云々するのか。それは、マンションの購入者はあくまで売主と契約したのであり、施工業者たるゼネコンと契約したのはあくまでも売主たちであって、購入者に対して責任を負うのは、一義的には売主たちの筈だからです。

今回のエントリの最初に採り上げた通り、シティアの売主の筆頭は興和不動産です(なお、売主のラストに長谷工も登場しますが、売主間の発言力・責任の度合いは出資比率に比例するのが通例ですから、ここでは売主としての長谷工の立場は無視します)。通常の商慣習で考えれば、(管理会社からの連絡を受けて)売主の代表である興和不動産が販売物件の問題に対して最初に対応し、その意向を受けて初めて(売主から仕事を請け負った)ゼネコン、すなわち長谷工が登場してくるのが筋でしょう。そして、長谷工が登場してきても、なおも購入者に対する直接の責任を負うのは売主たちですから、その後の議論に全く登場してこないということは、本来あり得ない事態です。

しかし、現実にシティアを巡る議論の中に売主たち(代表たる興和不動産以外の各社も含めて)は一切登場して来ません。単に途中のプロセスが省略されているだけで、本当は売主たちが対応したなどということがないであろうことは、吉祥寺レジデンシアを巡る一連の流れを見ても明らかです。本来あるべき売主としての義務すら果たすことなく、長谷工のお財布として金だけ出す。このような事業者に、果たして売主としての資格はあるのでしょうか?

また、遡って施工段階においても、一体この売主たちは自分たちが発注した仕事に対して、どのようなチェックを行ったのでしょうか? 途中経過は長谷工の報告を鵜呑みにし、竣工前の施主検査で表面的なチェックを行っただけ? それでは、到底躯体の瑕疵など見抜ける訳がありません。このような杜撰な事業者たちが建てるマンションが、今この瞬間にも次々建て続けられている。このような業界構造をどこかで断ち切らなければ、長谷工のような不心得な企業がのさばり続けるだけです。

どうか、赤字圧縮が至上命題となっているであろう吉祥寺レジデンシアにおいても、このような杜撰な構図が繰り返されていませんように… 地域にこれ以上の厄災がもたらされることだけは、勘弁して欲しいものです。

P.S. シティア問題に関する一連の討議の中で、関口議員が長谷工による風環境シミュレーションについて、専門家の見解を得た上でシミュレーションの問題点を明らかにしています。その内容を以前のエントリマンションと風害~西宮市の「横長マンション」規制に想うに追記しました。ご興味をお持ちの方は、併せてご参照下さい。

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【GW特別企画】興和不動産に売主たる資格はあるか?(その2)

ゴールデンウィークもあっという間に過ぎ去り、長谷工の工事も再開する時がやって来てしまいました。つかの間の平穏な日々を懐かしまずにはいられません。

ところで、吉祥寺レジデンシアの販売予定時期がまた一段と後倒しになったようです。最近の情報では、6月中旬となっており、既に半年近く販売開始時期が先送りされています。どう考えても、パークホームズ吉祥寺グランテラスとのバッティングを回避するためとしか思えませんが、駄目なものはいくら待っても駄目なんですから、さっさと腹をくくって(損失覚悟で)適正な価格で売り出せばいいのにと感じてしまいます。大きなお世話でしょうけど。

前回は、本題に入るまでが長くなり過ぎてしまいましたが、今回はやっと本題に入ります。今回問題としたいのは、竣工早々シティアに生じたクラック(建物のヒビ)を巡る長谷工と住民のやり取りです。

この問題については、我孫子市議会において、平成18年6月開催の第2回定例会以降、日本共産党の関口小夜子議員が、再三に亘って採り上げています。その質疑応答内容はかなり膨大な量になりますので、いちいち引用することは避けます。以下、必要な部分をかいつまんで引用していきたいと思います。

最初にこの問題が登場する平成18年6月開催第2回定例会において、関口議員は「シティアの(マンション本体につけ足した建造物及び附属棟など)30数ヵ所にわたりクラックなどが生じ、長谷工が調査・補修工事を行うこと」、その原因は「マンションの沈下に伴う段差」であること、そして長谷工の資料によると「6ヵ月弱の間に沈下量が一番大きなところは8.7ミリ」、「(竣工時からの)沈下量が一番大きなところは40ミリ」に達することを市は知っているのか、そしてどう指導するつもりかと質問しています。

これに対して、我孫子市の川崎都市部長は、千葉県マンション管理士会による個別「相談会において、シティア関係者の方が相談されたところから、マンション管理士より必要な助言があったと思われ」ると述べた上で、「相談内容が民事にかかわることから、詳しい内容やその後の経過については把握して」いない旨を回答しているに止まっており、話は他の質問に移ってしまいます。

続く、平成18年9月開催の第3回定例会でも関口議員はこの問題を採り上げており、「シティアクラック問題は、当初長谷工側は地盤沈下によるものとして、補修工事計画を示して解決をしようとし」た「が、その後多くの住戸のバルコニーにもクラックが生じるなどの被害が広が」ったため、「長谷工側と管理組合側の双方が原因追及のための調査を行っており、8月末になってエレベーター外回りの修理が始まった段階で、個人住居部分についてはいまだに補修工事は手つかず」という状態にあることを指摘した上で、前回約束した市の事業者に対する指導結果と、長谷工の住民側への原因説明である地盤沈下についての市の見解を問うています。

これに対して、川崎都市部長は、「本年7月と9月に現地で建設事業者から状況を聞」いた「結果、市としては、シティアクラック問題については、建築確認や開発許可制度に基づいて指導する内容ではないと判断し」、「事業者側と管理組合側は、協議の上、問題解決を図ってきているとのこと」という事業者側の主張を一方的に鵜呑みにして、それ以上の調査をせずに終わらせてしまいます。

また、地盤沈下についても、「市は7月と9月に現地に行き、事業者が2005年8月から行っている地盤沈下の調査結果について聞き取りを」行い、「シティアに発生しているクラックは、高層のマンション及びこの本体の出入り口に併設されている低層の建物との接合部付近に生じている床の段差と壁のクラックで」あるという事業者側の主張(「基礎ぐいのある高層マンション本体は、コンクリートの乾燥収縮で発生した微細なクラックであり、後者のくいのない低層の建物は、地盤沈下が原因である」)をそのまま報告する一方で、「事業者側は地盤沈下の原因究明と将来予測のために行ってきたボーリング等の調査を本年8月末に終了したところであり、10月中旬には管理組合に調査の分析結果と今後の対策を示した上で、恒久的な改修工事を進めていくとのこと」と発言するなど、事業者側の主張の根拠が一体何なのかすら明らかではない中での答弁であることを自ら露呈させています。

関口議員は、この定例議会の1週間後に行われた都市建設常任委員会でも、川崎都市部長に対してシティア問題を問いただしています。そこでは、委員会という専門的な場であるためか、かなり突っ込んだ議論が交わされています。重要な点を含んでいるので、やや長くなりますがご紹介させていただきます。

先ず関口議員は、「シティアの地盤沈下の問題で、議会での答弁によりますと、一方では、我孫子市ではここ10数年間、沈下の発生が確認できる目安となる年間2センチを超える沈下は見られないので、生活環境に影響を与えていることはないのではないかと考えている」という新田(環境生活部長の)答弁と、「シティアはかつて軟弱地盤を盛り土したための沈下であり、約2センチの段差やクラックが発生したと」いう川崎答弁の矛盾を指摘しています。

これに対する川崎都市部長の回答は、「生活環境に影響するかという話になりますと、当然それを買った人は、建て主さんがそこの家主さんでしたらその人の責任になって、生活環境上影響があれば直すしかありませんし、また販売した事業者さんが売って買った方がそこで支障があるときには、当然その販売責任といいますか、瑕疵担保の範囲に入るのかなと、そのように考えて」いるという、およそ関係のないものでした。

この点を更に追及された結果、「シティアと同じような、田んぼを埋めたとか、そういうところは、当然そういう現象は出るだろうというふうに考えて」おり、「当然初期沈下といいますのは急激に起きます。現実に今業者の方に聞いていると、ある程度その沈下の進みぐあいは少なくなっているといった内容は聞いてい」ると回答します。

関口議員の質問の意図は、「我孫子市内全域では(地下水くみ上げなどによる)生活に影響を及ぼすようなもの(地盤沈下)は起きていないけれども、シティアでは生活環境に影響を及ぼすような地盤沈下が起きている」のかどうかという簡単なことだった訳ですが、とにかく自らの発言の非を認めない役人気質が、発言を迷走させてしまっている様子がよく分かります。法政跡地の議論を見た際に、武蔵野市議会でも何度も見た光景です。

続いて関口議員は、シティアに続いて「グランドレジデンスというのが第1期工事で、あと第2期、第3期と、同じ続きに大きなマンションが建っていく」に際して、「シティアと同じような被害は生まれないと市は考えている」のかどうか、「シティアの開発許可に当たって、今2年や3年で地盤沈下が起きてしまって、住民の方々は非常に困っていらっしゃるんですけれども、このときの指導はどのようにされたの」かということを質問しています。

これに対して川崎都市部長は、シティアに続く「2ヵ所のところなんですが、そこは地図上で調べたところ、一応地山になっております。そういった点から見ると、地盤沈下はないものと考えられます」と回答する一方、シティアについては「造成につきましては、当然堅固な建物の、高層の建物を建てるということで、当然くいとかそういうもので対応するだろうということで、細かい地盤についてまでの指導はしていなかった」ことを認めています。地盤沈下がないとする根拠が、単に地図で見ただけというのはどうなんでしょう?

そして、重要な箇所ですが、関口議員は一連の質問の根拠が、「日立精機が工場をつくるときに、あの辺は湿地帯だった」ので「そこにあんな巨大なマンションをつくれば、沈下するのは当然だというようなことを(地盤沈下の所管課である手賀沼課に)言われた」ことを明らかにします。「そのような『当然だ』というような認識が市にあったならば、もっと業者を、くい打ちを念入りにするとか、沈下対策を強めるとか、そういう指導をするべきではなかった」のかと、市の指導不足を問い質します。

しかし、川崎都市部長の回答は、「今沈下している、御質問に出ていますが、そこの部分が谷津が入り組んでいるということで、他の地域は台地上で形成された土地だと思」うので、「たまたまそこの部分が、建物を建てて、入り口のところの低層部分がたまたまそこにくいを打たないで、縁を切れて段差が出たというような状況だ」ろう。「当然市の方でもわかってそういうような状況が出るという話になれば、指導することもあるんですが、開発の中では、中高層を建てるときには、当然業者もそういう建物の設計の中で対応して考えるべきかなと思って」いるというものでした。

このやり取りには、非常に重要な問題点が含まれているように思えます。市(行政)は、「事業者(長谷工)は、中高層の建物を建築する訳だから、地歴なども十分踏まえた上で適切な設計をしている筈だ」と一方的に思い込み、事業者(長谷工)は、「建物本体部分は(高層だから)杭を打ったりして地盤沈下に備えるが、エントランス部分は(低層だから)杭は必要ない」というステレオタイプ的な設計手法を適用して、地歴等を考慮せずに事業化を進めているという、双方の究極の無責任体質がここにははっきりと見え隠れしています。

地元の業者ならいざ知らず、各地で建て逃げを繰り返す長谷工が、我孫子の地盤について知悉している訳がありません。この点を、きちんとトラブル防止に努めるのが地元行政の役割でしょう。そして、本来はそこが本当に高層建築物の建築にふさわしい土壌なのかを徹底的に調査するという、本来は当たり前の準備すら行わない長谷工に、このような建築に携わる資格はあるのでしょうか?

これらの諸点についての双方の認識が、いかに甘いものだったかについては、平成18年12月開催の第4回定例会以降のやり取りが明らかにしていきます。2回目も大分長くなりましたので、その点については次回とさせていただきます。

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【GW特別企画】興和不動産に売主たる資格はあるか?(その1)

世間のゴールデンウィークの喧噪も、ここ法政跡地については長谷工の工事が中断しているために、かえって静けさが戻って来ています。周囲から浮き上がったタワークレーンという不要物さえなければ、本当に心から落ち着ける連休となっているのですが…

タワークレーン2機(タワークレーン2機と高圧線鉄塔、クリックで拡大)

タワークレーンと高圧線(南側のタワークレーンと高圧線の位置関係、クリックで拡大)

そんな長期休暇中ですから、以前から関心を有しているテーマのうち、吉祥寺レジデンシアの筆頭事業主である興和不動産長谷工の関係について見ていきたいと思います(書いているうちに大分長くなってしまいましたので、何回かに分けてお送りします)。そこに見えるのは、およそ住宅という高額商品を販売する資格があるとは思えない、身勝手な事業者の姿でした。

最初に、興和不動産が売り主となって長谷工が施工している物件がどれ位あるかということを見てみます。そのために、興和不動産のHP内に掲載されている分譲実績を遡ってみようと思いましたが、このページは未だに平成17年(予定)となっているなど、全くやる気が見られません。そのため、平成17年以降は長谷工アーベストのマンション完売物件一覧にて最近の長谷工分譲実績を適宜補足しています。

<2006年竣工>
グリーンサラウンドシティ
住所:神奈川県横浜市港北区綱島
総戸数:945戸
竣工時期: 2006年3月
売主:双日都市開発、興和不動産、新日鉄都市開発、トータルハウジング、ナイス、ニチモ、平和不動産、プロバイスコーポレーション、双日、長谷工コーポレーション
備考:青山学院グラウンド跡地

<2005年竣工>
プライヴブルー東京
住所:東京都江東区豊洲
総戸数:513戸
竣工時期:2005年2月
売主:東急不動産、三交不動産、興和不動産、長谷工コーポレーション
備考:日新製糖豊洲工場跡地

<2004年竣工>
深沢ハウス
住所:東京都世田谷区深沢
総戸数:772戸
竣工時期:2004年6月
売主:双日都市開発、ジェネラスコーポレーション、ニチモ、興和不動産、トータルハウジング、日本中央地所、相鉄不動産、セコムホームライフ、日本開発、相互住宅、長谷工コーポレーション
備考:東京都立大学跡地

<2003年竣工>
citia(シティア
住所:千葉県我孫子市我孫子
総戸数:851戸
竣工時期:2003年7月
売主:興和不動産、トータルハウジング、ニチモ、三交不動産、近藤産業、長谷工コーポレーション
備考:日立精機工場跡地

まあ、目的物件まで遡ったことだし、この辺で終わりにしておきます。これで分かることは、興和不動産が年1棟前後のペースで長谷工の大型物件に参加する「パートタイム忠犬」であることでしょうか。しかし、上の物件リストを見ただけでも、小学校受け容れ問題で騒動を起こしたプライヴブルー東京、地域住民との係争が最高裁まで行った深沢ハウスと、本当にトラブルには事欠かない会社です、長谷工は。

さて、今回のメインテーマであるcitia(シティア)も、もちろんその一つです。このシティア、実は本ブログに以前も登場しています。長谷工の施工現場でクレーン横転のような重大事故が頻発していることをお伝えした長谷工施工現場は危険がいっぱいで、わずか1年ほどの間にパワーショベルの横転(1人死亡)、クレーン車横転(3人死傷)と重大事故を2件も起こしている事例としてご紹介しました。

しかし、今回この物件が登場するのは、この事故を再度ご紹介したいがためではありません。このシティアは、日立精機の工場跡地に建設されたマンションなのですが、本題に入る前に、日立精機跡地のマンション開発の経緯を振り返ってみたいと思います(以下の経緯については、我孫子市議会の会議録を主に参照しています)。

この日立精機は、バブル崩壊後の設備投資減退を受けて業績が低迷。リストラの過程で先ずグラウンドを売却。そこに、三菱地所が「エールの丘」という総戸数482戸の巨大マンションを建設します(2000年11月竣工、売主:三菱地所、東京建物、東急不動産、施工:大成・池田建設JV)。その後も、リストラの一環として土地を切り売り(長谷工が2001年2月に購入)し、そこに建設されたのが「シティア」です。

一連のリストラの甲斐なく同社は倒産(2002年8月民事再生法申請)。森精機製作所が資産の営業譲渡を受けて再起を図りますが、結局、森精機の方針で我孫子の工場は全面閉鎖となり、工場跡地は一括して売却される(長谷工が2003年12月に購入)こととなります。そして、長谷工は例によってワンパターンの巨大マンションを立て続けに建築します。具体的には、「グラン・レジデンス」(総戸数:738戸、2007年3月竣工、売主:双日、双日都市開発、東レ、明豊エンタープライズ、長谷工コーポレーション、施工:長谷工コーポレーション)、「アクア・レジデンス」(総戸数:424戸、2008年3月竣工、売主:双日、東レ建設、明豊エンタープライズ、長谷工コーポレーション、施工:長谷工コーポレーション)の2物件です。

シティア周辺の地図(驚異的なマンションの林立振り、クリックで拡大)

これらの巨大マンション群が林立した結果、わずか8年ほどの間に約2,500戸もの住戸が一挙に増加し、1万人近い人口増加が引き起こされます。この間の市議会の討議内容を見ると、渋滞発生、近隣の学校・保育所の受入問題、日照被害、土壌・地下水汚染などの様々な問題を巻き起こしたことが分かります。本ブログでも採り上げた後発マンションによる眺望被害(マンションデベロッパーのモラルで紹介)、土壌汚染とマンション問題など、およそ一箇所のマンションPJでこれだけの問題を引き起こせるとは、「流石は長谷工」と妙なことに感心してしまいます。

この関連討議は膨大な量になりますので、いちいち引用は致しません。ご興味のある方は、我孫子市議会の会議録検索システムに適当なキーワード(日立精機、シティア、長谷工など)を入れて検索してみて下さい。行政が事業者側にいいようにされている、武蔵野市でも見られた光景が繰り広げられたことが良く分かります。

因みに、この土壌汚染問題に絡んで、長谷工は暴力団から恐喝され、3千万円を支払って世間を騒がせています。

長谷工から3千万恐喝容疑 3幹部を再逮捕へ NPOを隠れミノに
2004年1月28日(読売新聞)

◆「敷地が汚染」と街宣
 マンション建設大手「長谷工コーポレーション」(東京都港区)から、環境問題を口実に3000万円を脅し取ったとして、警視庁組織犯罪対策部は27日、環境汚染防止を活動目的とするNPO法人(特定非営利活動法人)「消費者問題研究会」(東京都中央区)の幹部3人について、恐喝容疑で逮捕状を取った。3人は別の恐喝事件で起訴されており、28日にも再逮捕する。NPOを「隠れみの」にした企業恐喝グループに、東証1部上場企業まで屈していた。再逮捕されるのは、同研究会会長榎原(えのはら)一吉(55)、同理事長近藤薫(60)、同元理事藤川幸治(48)の3被告。
 調べによると、榎原被告ら3人は2002年7月ごろ、千葉県内のJR常磐線沿線で、長谷工コーポレーションが建設し、分譲中だったマンションについて、「敷地が汚染されている」などとして、建物周辺で街宣活動を行ったほか、中傷ビラを配布。
 また、同社の株式を所有していないにもかかわらず、「株主総会に出席して問題にするぞ」などと脅迫し、同社から3000万円を脅し取った疑いが持たれている。
 3人は同月、同社が東京都内で行っていた建物の解体工事現場周辺でも、「廃棄物の処理方法が違法だ」などと、街宣活動していたという。
 榎原被告らは、マンションの敷地が工場跡地で、かつては重金属類に汚染されていたことに目をつけ、その後、十分な浄化対策工事が行われていたにもかかわらず、因縁をつけて現金を脅し取ることを計画。街宣活動のほか、同年6月下旬には、「マンション開発への市の対応をただしたい」と、管轄の市役所を訪れ、市長に「浄化対策工事が不十分ではないか」と主張するなど、同社に対する嫌がらせを繰り返していた。
 同研究会関連の口座には、ほかにも大手ゼネコンなど十数社から3000万円近い入金があり、警視庁では、ほかにも不当な資金集めをしていた疑いもあるとみて調べている。
 長谷工は99年5月、取引金融機関に対し、総額3500億円の債権放棄を要請したほか、2002年には1500億円の金融支援を要請していた。榎原被告らが3000万円を脅し取っていたとされるのは、この時期だった。
 同社広報部は「街宣活動があったのは事実だが、その他のことは警察が捜査中であり、コメントできない」としている。
 榎原被告ら3人は、千葉県内の土木業者に「宅地造成地に汚泥を入れている」などと因縁をつけ、2001年7―8月、同業者から計300万円を脅し取ったとして、先月、恐喝罪で起訴されている。
 一方、内閣府は同研究会について、NPO法施行後初めての認証取り消しに向けて手続きを進めている。

<NPO法>
 1998年12月に施行された。環境や福祉分野などで社会活動を行うボランティア団体などが、内閣府や都道府県から認証を受けて、法人格を認められると、団体として事務所を借りたり、契約を交わすことができるようになる。昨年末現在、計1万4657法人が認証を受けている。



まあ、長谷工は恐喝に遭った被害者な訳ですが、その理由が土壌汚染のもみ消しとあっては同情の余地は全くありません。因みに、この脅し取られたお金の大半は水増し発注で捻出した裏金であることが判明しており、組織ぐるみの隠蔽工作であったことが分かります。本当にどうしようもない会社ですね。

長谷工のろくでなし振りが明らかになったところで、続きは次回とさせていただきます。実は、今回の本題はまだスタートしていないのです。本題に至るまでだけでも、これだけのトラブルを紹介しない訳にはいかない長谷工という企業に、一体何の存在意義があるのでしょうか?

テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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