吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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景観にかける

今回のエントリのタイトルは、「20mを超える部分を撤去せよ」という東京地裁判決で一躍有名となった、東京・国立の明和地所マンションに対する住民運動を主導した「東京海上跡地から大学通りの環境を考える会」の代表を務められた石原一子さん(元高島屋常務)の著書から拝借しました。

景観にかける―国立マンション訴訟を闘って景観にかける―国立マンション訴訟を闘って
(2007/10)
石原 一子

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本ブログは、あくまでここ吉祥寺東町で起こっている「長谷工迷惑マンション問題」を世に問うがために、その経緯やマンションデベロッパー各社の悪辣振りをご紹介することを主眼としており、これまでも何冊かの本をご紹介はしましたが、それは文脈の中で参考図書としての位置付けとしてのものでした。しかし、今回はこの本の余りの素晴らしさに、マンション問題に関わっておられる方々は勿論、それ以外の方にも本書を是非お読みいただき、景観・住環境をもう一度考え直す契機としていただきたいという思いからご紹介させていただきます。

国立マンション問題の経緯は余りにも有名ですので、ここでご紹介する必要はないかと思いますが、この問題が景観法制定の大きな原動力となったことは、衆目の一致するところです。本書は、その運動を主導した「考える会」の代表で、女性初の高島屋役員でもある筆者の自伝から始まります。そのバイタリティに圧倒され、第2章までを読むと「こういう人が代表だったから、国立問題はあそこまでの成果を挙げることができたんだ」と思い始めてしまいます。しかし、第3章以降の具体的な活動に話が移っていくと、それは誤解だったことがすぐに分かります。勿論、経済人として著名な石原さんが代表だった有形無形のメリットもあったかと思いますが、それ以上に様々な人たちの活動がこの運動を支えていたことが縷々語られており、むしろ筆者は一歩下がった形になっていると言っても過言ではありません(謙遜もあるのでしょうが)。

是非、実際の本をお読みいただければと思いますが、印象的だった部分をかいつまんでご紹介します。

 これだけの大規模な建物が建つことによる危険や実害について調べられていた。その内容は、明和の敷地内には東西に横切る3本の6.6万ボルトの高圧線が通っているが、万が一火災が起きた場合、消火活動に支障はないのか、また安全性は確保できるのかなどが問題点として挙げられた。(中略)東京電力からは「強風時には高圧線が横に大きく揺れ、危険区域は最大でバルコニーに80センチまで迫る。消火活動は非常に困難で危険をともなう」という回答があった。(P.125)



この高圧線は建物のベランダから8mしか離れていないそうです(P.144)。因みに、法政跡地マンションは、4階屋根は高圧線真下、5階以上の一番近接する場所の高圧線との離隔距離は約10.5mです。これ以上の説明は不要でしょう。

(民事裁判における筆者の証言より)
 大学通りの景観による利益は享受しながら、他方では、これを破壊する高さ44メートルものマンションを建築することは、誰が考えても、暴挙という外はありません。明和地所は、マンションの完成後は、これをことごとく販売して売り逃げするということを見逃すわけにはいきません。販売後の大学通りがどうなろうと構ったことではないというのが明和地所の基本的立場というものです。(P.160-161)



皆さん、「大学通り」をご自分の街に、「明和地所」を長谷工をはじめとする問題デベロッパーに置き換えてご覧下さい。見事なまでに、本質を言い当てているというか、マンションデベロッパー各社の金太郎飴体質が顕在化しているというか… 正直、これ程までに反社会的な業界が他にあるのだろうか?と自問自答せざるを得ません。ここ吉祥寺東町でも、「周辺は一種低層の街並みが拡がる。周囲に開けた見事な眺望」とか何とか言って、自らの存在がその街並みと調和しないことは棚上げした広告を打ちまくって、近隣住民の神経を逆撫でし続けるつもりでしょう。

 国立のマンション裁判は、大きな二つのものを勝ち取った。
 一つは、「建築阻止を主要な目的としたものであったとしても、本件地区計画及び本件条例の内容自体については、その違法を問うことは困難といわざるを得ない」という根本判決である。件地区阻止を主要な目的とした地区計画でも違法を問うことは困難である、との意味は大きい。まち破壊に対しては、計画が明らかになってからでも決して遅くはない。地区計画・建築条例によって、住民が自分たちのまちを守る手段が高裁でオーソライズされたのである。明和は、この判決を上告していない。したがって、この部分は確定判決になっている。
 もう一つは、最高裁が(中略)個人の景観利益を認めたことである。言うまでもなく、この意味も大きい。
 (中略)6年間に及んだ国立のマンション裁判は、市民運動にとって大きな二つの武器、すなわち「地区計画」と「景観利益」を準備したことになる。(P.202-203)



残念ながら、武蔵野市においては、その大きな武器の一つである「地区計画」が、小役人どもによって違法に骨抜きにされ、ほとんど用をなさなくなったことはこれまでに見た通りです。どこまで役人というのは、住民無視で大企業寄りなのでしょうか。折角の筆者の「準備」は、行政のさじ加減一つで骨抜きにされてしまうという悪しき先例にならなければ良いのですが。

(「都市計画家協会」から大賞を受けたことに対して)
 三、「マンション建設後もねばり強く運動を続けていること」と選定理由にあるのは意外な気がした。
 なぜならば我々にとっては最後まで、つまりマンションの20メートル以上の部分の全面撤去を見るまでは活動は終わらないと考えていたので、マンション建設後も、と評価されるのは意外であった。しかし、翻って考えてみると、世間一般のマンション問題では、建ってしまうと運動は終わってしまうという現実があるのだなとも思った。だから開発業者は強引に建ててしまって建て得を狙う。そういえば我々の耳にも、もう建ってしまって、運動をやっても無駄じゃないか、との声が聞こえてきたこともあった。
 しかし、市民の反対や市の指導を無視し、裁判の早い段階で違法建築物と認定され、景観を大きく破壊している建物をそのまま見過ごすわけにはいかなかった。(P.241-242)



ここには、今後の運動の方向性が啓示されているような気がします。24mのマンションは、やはりここ吉祥寺東町にはふさわしくない。そう思えば、たとえ建った後でも地区計画(条例)の改正を目指して運動を続けていく。こうした活動を皆が積み重ねることこそが、この社会から悪辣マンションデベロッパーを駆逐する、唯一で最大の手段なのかも知れません。先程の地区計画の経緯を、悪しき先例にしないためにも。

 私は、「市議会レベルでは党派は絶対不要」と、大声を上げて叫びたい。(中略)このマンション問題の根が深かったのは、野党である自民・公明党会派多数と少数与党の対立となっていたため、市民の大きな支持を受けた東京生活者ネット出身の市長が市民本位の地方自治を貫けなかったことだ。本当の、国立の市民派がしっかりしなくては駄目だ。国立市民のことを考えない人は市議会に出る資格がない。(P.249-250)



完全に同意見です。市議会の会派構造といい、武蔵野市でも同じ問題が障害となりました。但し、市長の行動力・リーダーシップには格段の差があるような気がしますが…

如何でしょうか。ご興味をお持ちの方は是非ご一読を。最後に、最近読んだ景観関連の図書としてもう一冊、岩波新書の「まちづくりと景観」を併せてご紹介しておきます。筆者の田村明氏は、横浜市にいるときに旧建設省の役人に「街を美しくしようなんて、けしからん」と言われたことを原体験として、既に決定していた都市計画を変更させた経歴の持ち主ですが、本書でも深く同意する箇所が少なくありませんでした。そのうちいくつかをご紹介させていただきます。

まちづくりと景観 (岩波新書)まちづくりと景観 (岩波新書)
(2005/12)
田村 明

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 遠景からの都市景観として一番目立つのは、都市のスカイラインで、都市全体のイメージを決める。都市全体を印象づけるスカイラインは、特定の個人のものではなく、都市の共同資産というべきものだろう。超高層ビルを造ることは、その共同資産に、ずかずか無条件で闖入して破壊することになりかねない。市民の共同資産を、特定の事業者だけの都合で壊されては困る。自分の土地でも自由にできるのは一定の高さまでで、それ以上の高さには、共同体の同意を必要とするのが筋だろう。こうした考え方がないままに高さ制限を撤廃してしまった立法や行政は、「まち」全体を考えることを放棄していたのだ。(P.78)



下に掲げた法政跡地遠景をご覧いただければ、スカイラインの問題は一目瞭然でしょう。長谷工が設置した防音壁ですら、高さは17.5mほどです。この約1.5倍の高さの建物が建つことが、果たしてこの低層の街並みのスカイラインに調和するでしょうか? また、共同体の同意に基づく地区計画を一方的に骨抜きにした武蔵野市政は、まさしく「『まち』全体を考えることを放棄していた」とは言えないでしょうか?

吉祥寺東町のスカイライン
(吉祥寺東町のスカイライン(中央白壁が解体中の法政校舎)、クリックで拡大)

 生活者の目から景観を見れば、高層ビルはとくに必要ない。高層への憧れは、生活感覚をなくしたバーチャルな大衆願望にすぎない。リバプールでは高層住宅に対して、景観のバランスも壊すとして、激しいバイオレンスがあり、多くの窓が破壊された。いまビルは撤去されている。シェフィールドは鉄鋼の街だ。超高層ではない10階ぐらいだが、300メートルも連続する万里の長城のような住宅をつくった。建てた当時は近代的なデザインと賞賛されたのだが、30年ほどで撤去された。周辺の「セミデタッチ」(2戸で1棟の建物)の美しい2階建てで建ち並ぶ住宅地と違和感がありすぎたのだ。
 高層ビル、超高層ビルはもちろんあっていい。しかし、都市全体至る所で奨励するのはどうだろうか。高層化が可能な区を限定するべきではないか。(P.158-9)



10階建てではなく8階建てで、300mではなく122mですが、この違和感のありすぎる建物も30年ほどで撤去されるような、成熟した社会が到来することを願わずにはいられません。
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第10、11回長谷工説明会(協議会)

解体工事もいよいよ基礎部分に移ってきており、揺れがいっそう激しくなってきています。建物を解体していた時の、時折ズシンというような縦揺れがあったのとは異なり、常時横揺れが続いている状態で、はっきり言って不愉快以外の何者でもありません。また、ガラ運び出しや土入れのためのダンプがひっきりなしに出入りしており、北側ゲートもほとんど開けっぱなしで、騒音もいっそう漏れまくりという杜撰さです。解体工事説明会の時の騒音・振動に極力配慮するなどという言葉が所詮はまやかしであったことが良く分かる対応です。

跡地全景(解体後)
(解体後の跡地の様子、クリックで拡大)

ゲート内側の様子
(ゲート内側の様子、クリックで拡大)

C校舎基礎部分
(C校舎(北西側の校舎)の基礎部分、クリックで拡大)

さて、年明けより長谷工の新築説明会が週一度のペースで行われています。実は、16日(水)にも説明会が開催されていたのですが、その様子を書いていくと「次回までの検討事項とします」という事項が多すぎて、まとめて報告した方が良いかなと思い、25日に開催された説明会と一緒に報告することにしました。結果から言えば、余り進展がない無駄な説明会だったので、逐一報告していても一緒だった訳ですが… 長谷工には、参加者の貴重な時間を浪費させているという認識はないのでしょうか? まあ、長谷工にとっては説明会を開催するのなんて、時間稼ぎ、ガス抜き、あきらめムード醸成のための手段に過ぎないので、回数開いといた方が良いという計算があるのだと思いますが、大した成果もなく、要求事項の回答がいつまで経っても得られない近隣住民側からすれば、迷惑以外の何者でもないと思います。

話を説明会に戻します(以降は、特に断りのない限り、2回の説明会の内容をまとめて書いていきます)。前回のエントリの続きとして、プライバシー対策から話が始まりました。この点については、一応長谷工側の譲歩が見られました。内容は、バルコニーについて、(1)トップレールの高さを4.5cm上乗せして1.2mとする(消防法規定の上限)、(2)2~4階には目隠しとしてトップレール内側に不透明なガラス板を設置する、の2点。そして、ルーフバルコニーについては、手摺りの設置位置は変えないが、高さを10cm引き上げて1.2mとし、立て格子を止めてガラス格子に変更するというものです。

何ら譲歩せずに終わるよりは、多少なりとも成果が見られたという点については、長谷工に素直に感謝したいと思います。しかし、それ以外の構造に関する要望については、建築確認申請も迫っているので、変更には一切応じないという最後通告付きの対応であり、この程度は例のごとく譲歩代として用意済だった感は否めません。それに、結果としては建物形状については一切譲歩せずに、最後に(長谷工にとってはどうでもいい)些末な点で譲歩することで、住民側に「長谷工も一応譲歩してくれたんだし、この辺で諦めよう」という意識を芽生えさせるための戦術という匂いがプンプンします。何しろ、敵は建築紛争だけを専門に取り扱うことを生業とする長谷工の開発推進部隊ですから、この手の交渉はお手のものでしょう。

この他、プライバシー関連では隣地境界との塀についても説明があり、高さ1.8mのメッシュフェンスとする代わりに、植栽で目隠しをするという説明がありました。素直にルーバータイプのフェンス等にして、目隠し効果を高めた方が良いように思えますが(冬は葉が落ちますし)、この点は全く譲歩しませんでした。因みに、植栽は植樹時の高さ4m程度のもの(四隅はもう少し高い)とのことで、風害対策としても植栽を検討すると言っていたにも関わらず、何年も経たないと風害対策にはならない代物です。一事が万事、対策を講じると言ってもやっつけ仕事で穴だらけだとは思いませんか?

また、駐輪場・駐車場の防音対策についても、近隣住民との認識の差異は全く埋まりませんでした。南側の駐車場と隣地(武蔵野美大)境界には防音壁を設けるが、駐輪場には2段式でも静音タイプを設置するので防音壁は必要ない(設置しない)の一点張りで、全く歩み寄ろうとしませんでした。また、1戸につき2台の駐輪スペースについても、「1戸につき1台で十分(後は部屋に入れろ)」という極端な意見も見受けられましたが、それ以上に3台以上保有している場合や駐輪場が遠いために周辺への違法駐輪が増えるのではないかという懸念が示されました。この点については、「管理規約でそのようなことは禁止するように定める」という答えでしたが、果たしてこれに実効性はあるのでしょうか?

大変申し訳ありませんが、私の知り合いでマンションを購入した人に聞いても、管理規則を細かく読んで熟知しているという人は皆無です。所詮、管理規約は問題が生じるまでは顧みられない一種の約款に過ぎず、こういう建前論(絵空事)を抗弁として並べ立てるのは止めにして欲しいものです。私たちが望んでいるのは、こうした入居者のモラル(ソフト面)による事後の対応策ではなく、事前の設備(ハード面)による対応策なのですから。長谷工の「売ったら後は知らん」という戦略が見え見えです。

同じような点としては、落葉樹の落ち葉の清掃についても管理規約で定めると言っていましたが、同様の理由で極力常緑樹とすべきでしょう。なお、これだけ「管理規約で規制します」を連発しながら、管理規約のひな形を早く見せて欲しいという住民側の要望に対しては、「個別性があってひな形と呼べるものはない」などとうそぶく始末。本当、相変わらず誠意の欠片もありません。仕方ないので、無知な長谷工の代わりにひな形をいくつかご紹介します。

マンショ ン標準管理 規約(単棟型)…国土交通省が管理規約の標準モデルとして発表しているもの。解説はこちら
全管連標準管理 規約…NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)が管理規約のモデルとして発表しているもの。
すぐに使える規則・細則テンプレート集…日経BP社のサイト「マンション管理新時代」の中のテンプレート集。「自転車(等)置場使用規則」なんてのもあります。

まさか、「標準管理規約」を知らずに説明会を開催しているなんてことはないですよねえ。それとも、長谷工マンションは標準管理規約に則らずに、一から管理規約を制定しているとか… それにしては、長谷工のHP内の「マンション百科事典」の管理のページの中には、はっきりと「管理組合の運営には、一定のルールが必要です。その基本を定めるのがマンションの管理規約。公的に定められた『標準管理規約』をもとにして、マンションに応じてアレンジされています」と書かれていますけど、ご存じないのでしょうか。遠藤、中村の両氏は?

この他、バスベイの設置が決まったことが報告されました。一応、バス会社や都との折衝の労には感謝の念を示しておきます。もっとも、バスベイマンション住民も恩恵を受ける話なので、専らそちらのための折衝かも知れませんけどね。

色々書いているうちに、結構長くなってしまいました。他にも細かい事項の説明は色々とあったような気もしますが、ここでは割愛します。なお、説明会はこれで終わりではなく、まだ続きます。次回以降は、迷惑料の説明をするという予告がありましたが、そんな端金が欲しくて説明会の開催を要求しているのではないということをこの会社は根本的に勘違いしています。そんな費用があれば、その分を経済性の追求ばかりせずに、近隣環境に配慮した設計変更の原資にして欲しい。そう願うのは、何も私ばかりではないと思うのですが…

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第9回長谷工説明会(協議会)

法政跡地は、年明け以降、校舎から体育館にメインの解体対象を移して工事が進められています。あっという間に体育館が消えていく様は、いつもながらに一抹の寂しさを憶えます。

さて、遅ればせながら9日(水)に開催された長谷工との協議会の内容についてご報告させていただきます。なお、長谷工側は一方的にこれまでの説明会から協議会に名称を変更して案内状を出状していますが、住民側は説明が尽くされたとは全く考えていないこと、名称変更の合理的な説明がなされていないことから、これまで通り、本ブログでは紛争予防条例に基づく説明会と見なして回数等を表示させていただきます。

会に先立って、昨年末に長谷工に対して住民側より回答要望事項(プライバシー対策、風害、駐車場、電波障害等)を書面で再提出していたため、それらについて長谷工が説明する形で会は進められました。というと聞こえは良いですが、相変わらずの長谷工の段取りの悪さで、最初に(これまでも散々やり合った)プライバシー問題から入ったため、ここで大きく時間をロスしてしまい、要望事項の半分も説明しないままに会場(本宿コミセン)の閉館時間が来てしまい、またもや尻切れとんぼで終わってしまいました(それも、住民側から一旦プライバシー問題をペンディングとし、先へ進むよう要請して漸く先に進んだ始末)。一体、長谷工には住民側の貴重な時間を浪費させているという罪悪感はないのでしょうか(まあ、ある訳ないですか。こんなマンション建設して平気な位ですし)。

一応、会の進行に沿って進めていきます。プライバシー対策については、バルコニーの目隠しのために、トップレールの形状を一律変更する(不透明化またはルーバー付に変更、高さ引き上げ等)ことは拒否するが、1~3階部分についてはトップレール内側に曇りガラスを設置するという譲歩案が提示されました。これ自体は、一応ゼロ回答ではないので評価しますが、4階以上への拡大や少しでも高さを引き上げて欲しいという住民側要望には応じず、議論は平行線を辿りました(途中でペンディングとなったのは先述の通り)。また、ルーフバルコニーについては何ら進展は見られませんでした。

ここで、ただトップレールの形状やら高さやらと言うだけでは具体的なイメージが湧きませんので、同じ逆梁工法の物件の写真をご紹介してみたいと思います。資料は勿論、マンションデベロッパー各社がスポンサーの「住宅情報マンションズ」。何部取ろうが、デベの広告費が嵩むだけですから気楽なものです(笑)。

マスターヒルズ横濱
(マスターヒルズ横濱、クリックで拡大)

東京地球区。
(東京地球区。(笑)、クリックで拡大)

逆梁工法説明図
(東京地球区。の逆梁工法説明図、クリックで拡大)

パークホームズ志木
(パークホームズ志木、クリックで拡大)

最後のパークホームズ志木のみ長谷工物件ではありません(他は長谷工)が、逆梁工法を採用した場合のバルコニーのイメージが良く分かりますので併せて掲載しました。トップレールが、視界を遮る上で何の役にも立たないことが良くお分かりになるのではないでしょうか。因みに、手すりメーカーの製品を見る限りにおいては、ルーバータイプのトップレールを見つけることは(残念ながら)できませんでした。勿論、特注すれば簡単に手に入ると思いますが。ついでと言っては何ですが、他社例ながらルーフバルコニーからの眺望もご参考までに紹介します。設計等異なりますので、あくまでもイメージですが、周囲は丸見えですね。

ルーフバルコニーのイメージ
(ミオカステーロ石神井公園、クリックで拡大)

残り30分ほどになったところで漸く、次の話題である風害問題に入りました。これについても、以前より要望していた高さ10m地点における風速増加領域予想図がやっと提示されました。但し、高さ1.5m地点より風速増加領域が小さくなるという、ちょっと違和感のあるデータです。長谷工の説明では、10m地点では西棟がやや低くなっているため、風が回り込むために風速増加領域がそれ程大きくならないということでしたが、素直に納得するには説得力に欠ける説明という感は否めません。

また、風害が発生した場合に、誰に対して請求(交渉)するのかという質問に対しては、「施工者として、因果関係が立証されれば補償する。立証責任は互いが負う旨を、協定書で約する」との発言がなされました。席上、遠藤氏は「製造物責任法が云々で、この辺は専門的にも色々ありまして…」とか分かったようなことを言っていましたが、製造物責任法(PL法)は動産にしか適用されません(マンションは不動産です)し、そもそも立証責任の転換は規定されていませんので、本件は民法の不法行為における一般原則通り、被害者側に立証責任があります。遠藤氏は、これを新築工事の協定書で、加害者側でも立証責任を負うようにすると公約したものと解釈します。後で、「そんなことは言わなかった」とか、「双方協議の上でという意味だった」とか言うのは駄目ですよ。知ったかぶって、無関係なPL法まで持ち出して説明した位なんですから(笑)。

因みに、マンション風害について、因果関係を否定されて、結局補償しないのではないかという懸念が席上で示されましたが、この点について非常に心強い判例(大阪高判平15.10.28判時1856-108、一審判決は大阪地判平13.11.30判時1802-95)があります。上告は棄却され、確定済の有名な判例ですので、Web上にも情報は多数ありますが、代表的なものをご紹介しつつ、内容をかいつまんでご説明します。

先ずは、asahi.comの「風害が高層マンションによって起きたと証明するにはどうしたらいいのですか。」から。弁護士による分かり易い解説ですのでご一読をお薦めしますが、重要な箇所を抜粋しますと、

【質問】 風害が高層マンションによって起きたと証明するにはどうしたらいいのですか。

【答え】 風害については民法709条による不法行為に該当するかどうか、つまり受忍限度を超えるかが争われるものですが、不法行為の要件として、加害者側の故意・過失の証明が被害側から立証しなければならない法律構成となっています。したがって、起こった風害つまり被害が、高層マンションによってもたらされたものであることを建築主側に証明させるという協定書を、建築主から勝ちとることも大事なことでしょう。

 立証を建築主側が行う協定書を作成しておいた住民側が、大阪地方裁判所、大阪高等裁判所で損害賠償請求を起こしたところ勝訴した事件があります。この事件は、20階建ての高層マンションの建設によって起された強風のため(1)住環境を侵害された精神的苦痛に対する慰謝料の請求(2)風害による所有土地・建物の価格低下による損害賠償――を求めたものでした。

 大阪地方裁判所、同高等裁判所は(1)の慰謝料は各戸につき60万円を認めたものの(2)については認めませんでした。

(中略)

 そして風力の被害については、次のように各学説を基準としました。

 「(1)原告ら宅付近の風環境は、本件マンション建築前、村上基準によればランク2、風工学研究所基準によれば領域Bであったところ、本件マンション建築後、村上基準によればランク3を超えてランク4に、風工学研究所基準によれば領域Dに近接した領域C(ただし、これは累積頻度95パーセントの風速であって、累積頻度55パーセントの風速は領域Bである)になり、原告らが感じた風による被害を考慮すると、人が生活する上で障害のある風環境に変化したと推測されること」



文中の「村上基準」については、国民生活センターの「ビル風害による不動産価値下落について損害賠償請求が認容された事例」中に解説があります。また、「風工学研究所基準」については、(難しくて読む気はしませんが)鹿島のHP内の「風環境評価基準」についての論文中に解説があります。本判例のポイントは、上記国民生活センターの解説によれば、

 本件では、風環境の悪化の程度が相当著しいものであったことに加え、一審原告らが着工前から風害を懸念して風害予測のための風洞実験を行うよう求めていたのに対し、一審被告らは、風害が生じた場合について因果関係の立証責任を負担し、生じた損害はすべて賠償することを一審原告らに約束したうえで、より簡易な風環境予測システムを利用することとして風洞実験を行わなかったこと、一審被告側が着工前から風速・風向計を本件マンションの敷地内の2カ所(1つは原告ら居宅の近く)に設けて竣工後まで計測していたため、一審原告らはその測定結果により風環境の悪化を明らかにすることができたこと、一審原告らは風環境の悪化を嫌い、住居を他へ売却したなどの事情があったことがうかがわれる。そのため、本件は、不法行為の成立を認めやすい事案であったといえるが、事例が少ない風害に関する判断を示したものとして、注目される。



ということです。解体工事説明会の際に、住民側から「風速・風向計を設置して欲しい」という要望が出ていたにも関わらず、長谷工が頑ななまでに拒否したのにはこうした事情もありそうです。本当、誠意の欠片もない事業者ですね。

大阪高裁判決については、同訴訟を担当したあべの総合法律事務所のHPに有用な資料がある他、自由法曹団通信1112号内の「風害訴訟で勝つ」や、日経住宅サーチの「高層マンションの隠れた懸念材料『風害』 判例から教訓を学ぶ」などもご参照下さい。

この他、風害・日照被害に基づく慰謝料が認められた事例(広島地判平15.8.28)の解説や、ケンプラッツの「マンション建設に伴う風害の調査と賠償求めて住民が調停申請」でも紹介された藤和不動産を相手取った風害裁判の経緯が紹介されている「建設井戸端会議」の掲示板(他にも有用な情報あり)なども参考になります。

話が説明会から大幅に逸れてしまいました。風害に続いては、GLについての説明がありました。女子大通りの高さ9.40m(数字の根拠は不明。この辺りの標高は53m前後なので、標高でないことだけは確か)に対して平均GLは9.75m(1階のFLは9.60m)となっており、道路面からの実質的な建物の高さは24.35mであることが明らかにされました。この論点は、一部の人以外の関心は薄いようで、1階が地面にめり込んでいる点の確認以外には、質問もあまりありませんでした。

最後に、駆け足で駐輪場と駐車場の問題を説明しようとしましたが、駐輪場を静穏タイプに変更した旨の説明の途中(駐輪場の防音壁の有無は不明)で、バイク置き場が地上(敷地内の南東角辺り)にあることが判明。バイクの騒音を懸念する声が高まり、「バイク置き場は地下に持っていけ」という声が強まって議論は紛糾。会場の時間制限で、尻切れとんぼに終わりました。

確かに、以前に配布された図面にもバイク置き場は記載されていましたが、説明されたことは一切なく、意図的に隠していたことは明らかです。バイク置き場をなくせとまでは言いませんが、設置場所・騒音対策については、更なる協議が必要になりそうです。何度説明会が開催されても、隠していた新たな問題点が発覚し、議論が尽きることのない長谷工という会社は、どこまで地域に負荷を掛けるつもりなのでしょうか?

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年頭所感

皆様、明けましておめでとうございます(ちょっと遅いですか)。

旧年中は本ブログを多数の方に訪問いただき、ありがとうございました。また、長谷工などの地域環境破壊をものともしないマンション事業者達と戦う皆様から、様々な貴重な情報をお寄せいただいたことにも感謝申し上げます。

一例を申し上げれば、長谷工が他の場所の説明会でも「向かいのお宅4件の東境界から、5mの位置に、高さ約50mの建物を平気で建てようとして」おり、「約30cmなら譲れるなどと、長谷工、開発推進4部中村は嘯いて」いることも、ちゃんと分かっています。世は情報化時代、もう少し真っ当なやり方を考えた方が良さそうですね。

本年も、反社会的勢力である長谷工をはじめとする劣悪マンション事業者を糾弾して参る所存ですので、引き続き宜しくお願い申し上げます。

さて、年初と言えば企業トップによる年頭所感です。長谷工ごときは新聞にこそ載りませんが、やはりトップの挨拶がプレスリリースとして公開されています。長谷工の岩尾社長(資本の約半分が公的資金の準国有化銀行・りそな(旧大和)銀行の元専務)の年頭挨拶は以下の通りです。

新年あけましておめでとうございます。
平成20年の新春を皆様とともに明るく元気に迎えられたことを心より嬉しく思います。
昨年は、世界・日本ともに多事多端な一年間でありました。特に年の後半以降は極めて流動的で厳しい環境でありました。そうした環境の中、長谷工グループの役職員の努力と、多くの方々の協力を得まして、新中期経営計画の最終年度は極めて順調に進んでおります。2007年9月中間期決算におきましても「再生完了」の予備宣言をさせていただくことができ、重ねて感謝申し上げます。

年頭の心構えとして、一昨年は信用・信頼の「信」を申し上げました。昨年はお客様に対する感謝・思いやりの「心」を申し上げました。今年はこの2つの「シン」を活かしつつ、『新』を加えた3つの「シン」を掲げてまいりたいと思っております。 「温故知新」という孔子の言葉があります。ふるきをたずねて『新』しきを知る、そして『新』たに創造することが大事だと考えております。

「信」と「心」を心『新』たに胸に秘め、そして日々『新』たな気持ちで毎日の業務に臨むことが大切です。今年3月末で再生完了し、長谷工グループの『新』しい時代・ステージを築くという気概を持ってこの一年努力していきましょう。

なお、今年4月からJ-SOX法が本格適用されます。当社ではコンプライアンスの中心となるリスク統括部を設置し、リスクの洗い出しとその対応策の検討を約2年間行ってきました。今後の企業経営・活動にとってコンプライアンスを含めたリスクマネージメントは最も重要なポイントになります。もう一度、グループ各社のトップが中心になってリスクマネージメントに力を注いでいただきたいと思います。



長谷工が誰に信用されているのかとか、長谷工に顧客に対する感謝の心があるのかとか、突っ込みどころ満載の挨拶ですが、ここではそれは良しとしましょう。何と言っても呆れるのは、相変わらず上っ面の遵法意識しか持ち合わせていない長谷工のトップが、いけしゃあしゃあと「コンプライアンス」などと言っていることです。この会社に、本当の意味で法を遵守する気などないことは、今まで何度も指摘してきた通りですが、それがもろに現れている事例を見つけましたので、ここでご紹介させていただきます。

それは、東習志野のJFE建材跡地で進んでいるマンション計画についてのブログ「東習志野巨大マンションについて考える」の3月27日のエントリ中の以下の遣り取りです(このブログは昨年3月以降更新されていませんが、別のブログ「東習志野の長谷工巨大マンション群建設と環境を考える」で最近の動きが分かります。それにしても、高さ最大15階、全5棟で総戸数1,491戸という巨大さには、ほとほと呆れ果てます)。

住民から、
「敷地に5棟と言っているが、15棟に見える。
 これは内部の建物に日陰がかかることをごまかすためではないのか?」

「電車だってつなぎ目があっても、一両ずつ数えるじゃないか」

「建物と建物の繋ぎ方はどうなっているんだ」

などの質問が相次ぐ。

これらの質問に関しては、「渡り廊下のようなもので」という答え。
そして「エキスパンションジョイントというのを使います」という。

(中略)

一団地認定についても、建物の繋ぎ方についても
「許可を出すのは、審査機関です。 通らなければまた考えます。」とのこと。

Q.「他の所でエキスパンションジョイントを使った建物が
 1棟と認められずに、建築許可を取り下げられたが?」

A.「ですから、決めるのは審査機関です。それに従うだけです。」


違法行為をして取り下げられている事実があるのに、
それでも出すというのがよく分からない。



このエキスパンションジョイントという部品を用いて、明からに2棟以上の建物を無理矢理1棟として建築確認を取得し、戸数を水増しする(五十嵐敬喜・法政大学教授の言うところの「数の偽装」)というのが、ここ最近の長谷工の常套手段です(有名な「深沢ハウス」もそう)。

注目すべきは、「違法行為をして取り下げられている事実があ」っても、申請が通る間は申請し続ける(通す審査機関が悪い)という「グレーゾーンは白!」と完全に割り切る姿勢です。これは、既存不適格物件になることが確定していても、高さ規制条例発効前に建築着工を強行するといった、この会社の姿勢全てに共通して見られる特徴です。そして、これが長谷工トップの言うところの「コンプライアンス」の正体なのでしょう。

長谷工のHP内のどこを探しても、「コンプライアンス」や「CSR(企業の社会的責任)」について長谷工がどう取り組んでいるかについて記載されたページがない(1/8現在)ことも十分に頷けます。それでも、トップの口からは「コンプライアンス」。王様は裸でなきゃいいのですが…。

テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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