吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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我が世の春の終焉 - マンション販売の変調(続)

昨日のエントリでご紹介したマンションデベロッパーの業績悪化ですが、他にも顕著な例を見つけましたので、ご紹介しておきます。

それは、森ビル系のマンションデベロッパー・サンウッドです。同社は、広告でも「日本のマンションの最大の欠点といわれる開放廊下に直接面した窓のある居室をつくりません」と宣言している通り、コスト高になろうともこだわりを持った分譲を行っている業者(近隣との関係においてそういうこだわりが見られないのは残念です)で、比較的高価格帯のマンション分譲を手掛けています。しかし、供給過剰の波には抗えなかったようで、「平成19年3月期通期(連結・単独)業績予想の修正に関するお知らせ」で赤字決算への転落見通しを明らかにしています。修正理由の中では、「2月に竣工済みの物件の内、一部住戸の引渡しが来期になることが確実となった」と完成在庫の増加が赤字決算の一因であることを公表しています。

あまり業績悪化の例ばかり紹介していると、毎朝チェックしに来ている長谷工社員から「一方的だ」と非難されそうですので、ワコーレマンションシリーズの和田興産も一応ご紹介しておきます。関東ではあまり馴染みがないですが、兵庫県を中心に積極的に事業展開しています(積極的に建築紛争を起こしていることもご多分に漏れず)。

同社の平成19年2月期の決算短信によれば、販売用不動産の残高は2,416→2,778百万円と、15%程度の増加に止まっています。一方、売上高は236→288億円と2割強の増収となっていますので、この会社については、目立った販売不振は(少なくとも決算書からは)読み取れませんでした。これが当社固有の現象なのか、首都圏に比べると関西地方のマンション分譲が減速局面入りするのが遅れているからなのかは現時点では不明です。しかし、2月決算ないし決算予想の修正を行った会社が、いずれも大幅に在庫を増やし、業績が悪化しているという事実は単なる偶然では片付けられません。マンションデベロッパーが坂を転がり落ちる様を見られる日を心待ちにしましょう(今後もマンションデベロッパーの業績悪化度合いをウォッチしていきたいと思います)。

最後に、本日、法政跡地対策会と地区計画協議会連名による法政跡地問題のチラシ「『松本代表だけとなら会う』と邑上市長は回答!」が投函されていたことをご紹介しておきます。内容は、既にご報告したことがほとんどですが、協議会の再三にわたる市長との会談申し込みに対し、「地区計画協議会の松本代表とだけなら会う(第三者の立ち会いは認めない)」と頑なな姿勢を崩さなかったことが報告されています。

結果として、4月13日に、東コミュニティ協議会の井部代表の立ち会いの下で、会談が実現し、その場で市長は、「25m案は市全体を見渡しての判断。住民案に譲歩したら長谷工は対抗して着工を早める」と述べ、6月議会への上程、7月施行を言明したとのことです。

「住民案に譲歩」はせずとも、長谷工に対しては最初から白旗を揚げるというチキン振りを炸裂させています。こういうのを一般に「強きを助け、弱気を挫く」と言うのではないでしょうか。チラシの表現にバイアスが掛かっている可能性もないとは言えませんが、邑上市長の人柄に疑問を持ってしまう一連の対応ですね。残念でなりません。
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我が世の春の終焉 - マンション販売の変調

ここ数日、一寸法師さんのブログ「吉祥寺☆武蔵野市はお好き??」から飛んでこられる方が非常に増えています。武蔵野市議会議員選挙があった関係だと思いますが、選挙結果については法政跡地問題を中心に見る限り、やや寂しい結果となりました。開票結果については、武蔵野市のHPをご覧いただきたいと思いますが、市議会の討議内容についてのエントリでご紹介した「議員提出議案第11号・法政大学第一中学校・高等学校移転に関する決議」の提出者8名についての結果を見ますと(定数26名に対して立候補者は33名)、

2位:深沢 達也(2,069票)
20位:寺山 光一郎(1,478票)
22位:梶 雅子(1,445票)
25位:桑津 昇太郎(1,323票)
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30位:大野 まさき(1,073票)
31位:鈴木 有臣(1,007票)
引退:金子 武、小林 清章

と、2位で当選した深沢氏(民主党武蔵野支部長)以外は、法政跡地問題に対して(少なくとも表向きは)問題意識を表明したことが直接票に結びつくことはなかったようです。また、この他にも市議会の一般質問で積極的に法政跡地問題を採り上げていた山本ひとみ議員も、28位(1,289.48票)で落選しています。法政跡地問題で何ら進展の見られない市議会に対する市民の不信任、本宿小PTA出身の深田きみ子氏に地域の票を奪われた等の理由が考えられますが、いずれにせよ引き続き法政跡地問題に対する取組を市議会全体で継続していただけることを願っています。

さて、市議会議員選挙の話はこれ位にして、本題に入りたいと思います。社会に害悪をもたらし続けるマンションデベロッパーの活動を抑制するには、何が最も有効だと思われますか? 色々ご意見はあると思いますが、私は入り口を閉める、すなわち物件の仕入れを抑制させることが一番効果的だと思っています。現在、マンションデベロッパーが馬鹿みたいに環境破壊型マンションを建築しているのは、それに資金を供給している銀行があるからです。

ここ1、2年のマンションデベロッパーの棚卸資産(特に仕掛販売用不動産)の伸びは異常ともいえる状態でした。前期比の1.5倍や2倍がざらで、(感覚が麻痺した)不動産業以外なら確実に倒産予備軍入りの財務内容の会社ばかりでした。そんな状態でも、銀行がどんどん融資すれば物件は仕入れられます。低金利の恩恵を受けて住宅販売も比較的堅調に推移したため、「先行仕入れ」という体のいい表現でごまかして土地を買い漁ってきた訳です。銀行がいかに不動産業者に野放図に融資してきたかは、東京商工リサーチの「銀行123行、2006年9月期中間連結決算ベース 不動産業・建設業向け貸出金残高調査」をご覧下さい。

しかし、こんな状態が長く続く訳はありません。既にあちこちで指摘されている通り、日本の住宅戸数は世帯数を大幅に上回っており、その中でマンションの大量供給を続ければ、いずれは大量の売れ残りが生じることは、小学生でも分かることです。その意味で、私はこの3月のマンションデベロッパーの決算内容に非常に注目しています。ひとたびネガティブな状況になれば、横並びの好きな銀行が一斉に不動産融資に慎重になることは目に見えています(金融庁も相当問題視しているようです)ので、一挙にマンションデベロッパーは苦境に陥ることになります。

3月決算の企業の決算が発表され出すのはゴールデンウィーク明けからだと思いますが、数は少ないですが2月決算のマンションデベロッパーの決算から、既に潮目の変化を十分読み取ることができます。いくつか例を挙げましょう。

先ずは、新興マンションデベのランドから。ここは、悪名高き三鷹駅前の超高層ツインタワー建築計画の主要事業主です(この劣悪計画については「駅前の空はだれのものか」をご参照下さい)。この会社の平成19年2月期の決算短信(細かい勘定科目が分からない連結ではなく単体の方)を見ると、販売用不動産の残高が前期末の460百万円から7,046百万円(何と15倍!)に増加していることが読み取れます。因みに、この間に売上高は219億円から289億円と3割強しか増えていません。通常、不動産業者の決算における「販売用不動産」とは完成在庫のことを指しますので、この会社は売れ残りの在庫が1年間で一挙に15倍にも膨れ上がったことになります。皆さんはどうお感じになりますか? こんな会社の株を買いたいと思いますか?

次にいきます。同じく新興マンションデベの総和地所です。この会社の平成19年2月期の決算短信(単体)も、販売用不動産が2,466→4,538百万円と2倍近くに膨らんでいます(同じくこの間の売上高の伸びは11,885→14,705百万円と2割強に過ぎません)。15倍に比べたらかわいいもんですが、完成在庫が2倍になれば、メーカーなら倒産水域です(本当は不動産業者でもこの点に変わりはないのですが…)。

更に、決算期は9月ですが、長谷工と同じくりそな銀行の債権放棄で生き長らえた中堅マンションデベ・ニチモ「業績予想の修正に関するお知らせ」を見ておきましょう。ここでは、「マンションの引渡戸数が想定を下回ったことなどにより連結・個別とも売上高は減少します」として、平成19年9月期中間期の業績予想(売上高)を下方修正しています。決算書が開示されていないので詳細は不明ですが、これが売れ残りが発生したことによるものであることに疑いの余地はないでしょう。

極め付きは、これまた新興マンションデベのフージャースコーポレーション「平成19年3月度 営業概況のお知らせ」です。ここでは、販売状況として、平成19年3月期の計画戸数1,654戸に対して契約済戸数が1,440戸と、進捗率87%に止まったことが報告されています。これに先立つ業績予想の下方修正では、「当期の未引渡住戸(約260戸=見込み)は、平成20年3月期の引渡予定戸数に追加されることとなりますが、粛々と販売活動に取り組む方針であります」とされています(平成18年3月期の引渡戸数は1,254戸であり、売れ残りが年間供給戸数の2割にも上ります。余談ですが、この会社の正直なディスクローズ方針には好感が持てます。事業内容は別ですけど)。

マンションデベロッパーは、価格の先高感から売り急がない方針だとか何だとか理由を付けて販売不振を誤魔化そうとしていますが、数字は正直です。多くの企業の3月決算が出揃えば実態がより明らかになると思いますが、今後マンションデベロッパーの業績は急速に悪化する可能性もあると思います。現に、以前本ブログでも紹介したベルディオ三鷹レジデンスは、1~2週間前から残り5戸と盛んに宣伝していますが、本日時点でまだ3戸が売れ残っています。本来この程度の在庫であれば、3月中に売り切っていて当然なのに、月を越えても売るのに時間を要している、この事実が全てを物語っているとは思いませんか? 販売長期化、事業化の遅れを懸念して、計画の修正を行うプロジェクトも増えてくるかも知れません。環境破壊型マンションと戦っている皆さん、最後まで諦めずに頑張っていきましょう。

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マンションは「終の住処」?

法政跡地問題に動きがないと、ついついマンション業界そのものの問題点に話がいってしまいます。逆に言えば、それほど問題を多く抱えた業界であるとも言えるのですが… 今回は、マンション区分所有権を通して、マンションデベロッパーのモラルのなさについて考えてみたいと思います。

最近のマンションの分譲広告には、「永住仕様」、「永住型レジデンス」などの長く住めることを謳い文句にしたものが増えています。実際にそれほどの高耐久力を有しているのかは知りませんが、マンションがかつての一戸建てを購入するまでの仮住まいというイメージから脱却して、永住型住居として認識されてきたトレンドを踏まえた販売戦略であることは間違いないでしょう。実際、国土交通省の「マンション総合調査」では、平成5年度の調査を境に永住派が住み替え派を上回るようになっています。

マンションのクオリティが向上すること自体は、社会資本の充実という観点からは望ましいことでしょう(本ブログで再三主張している通り、周辺環境への配慮がなされていることが大前提ですが)。しかし、本当にマンションは"永住"可能な資産なのでしょうか? ここに、今回問いかけたい問題が潜んでいます。

一戸建ての場合、家屋が老朽化すれば建て替えて住み続けるというのが普通の選択肢でしょう。マンションの場合も、「区分所有」という制度は同様の建て替えを前提にしているように思えます。しかし、この「マンションを建て替えて住み続ける」という発想は実は日本独特のもので、諸外国のマンション法制では建て替えは全く想定されていないそうです。この点を含めた日本の区分所有権の問題点を考察しているのが、富士通総研の米山秀隆主任研究員による「マンションの終末期問題と新たな供給方式」というレポートです。要旨部分を引用させていただきます。

 全国のマンションストックはすでに500万戸近くに達しているが、今後はこれらの老朽化が急速に進展していく。老朽マンションの処理については、これまでは建て替えを円滑に進める方向で、政策措置がとられてきた。しかし、容積率を割り増した上、保留床に分譲することによって費用を賄う方法で建て替え可能なマンションは限られている。
 今後、建て替えができずスラム化する可能性があるマンションは潜在的に多数あると考えられる。このようなマンションについては、区分所有権を解消し、建物を解体して土地を売却する処理方法が現実的となる。解体費用さえ賄えないマンションも続出する可能性があるが、区分所有権解消の枠組み作りに加え、解体費用の公的支援が必要になる。
 このような問題が発生するに至ったのは、そもそも共同住宅を区分所有という形態で保有させるという仕組みに原因があったと考えられる。マンションを区分所有権の分譲で持たせる仕組みは、不動産価格上昇が持続する中、一戸建ての取得がかなわない層にも、持ち家保有のメリットを享受させる仕組みとして機能してきた。しかし現在は、将来の値上がり益は見込めない上、建て替えもままならず、マンションの資産価値は失われている。
 もはやマンションを区分所有することのメリットは失われており、それどころか現在では、区分所有権がマンション終末期の処理で足かせになるという弊害が現われている。今後は、分譲マンションに代わる、所有より利用を重視した共同住宅の新たな供給システムを普及させる必要がある。定借マンションや、証券化を活用した賃貸マンションの供給などが考えられるが、今後はこうした仕組みを政策支援していくべきである。



マンションについて考える上で非常に興味深い考察がなされていますので、是非一読をお勧めしますが、ここで言いたいのは、何も区分所有権自体の問題ではありません。実は、現在の区分所有法は、平成15年の改正で、建て替え決議にかかわる客観的要件をすべて排除し、5分の4という特別多数決が成立すれば建て替えできる形に緩和されました(つまり、「理由の正当性など一切関係なく、特別多数決の割合さえ満たせば、一部の区分所有者の権利を強制的に奪えるようになった」(マンション管理新時代「区分所有権は、もはや所有権とはいえない!?」より)訳です)。

にも関わらず、さも永住型住居であるかのように喧伝することは、多いに疑問があると言わざるを得ません。所有権という言葉が持つ「絶対不可侵性」とはおよそ不釣り合いな話です。しかし、この事実がマンションデベロッパーから語られることは絶対にありません。購入時点ではかなり遠い将来の話だから説明しなくてもいいと考えているのかも知れませんが、「重要事項説明書」なりで十分に説明する必要があるリスク事項なのではないでしょうか(この点、同じくマンション管理新時代の「モデルルームで区分所有権のリスクが説明される?」に面白い話が載っていますのでご一読下さい)。

そもそもこの改正については、法制審議会の区分所有法部会における議論では客観的要件として「築後30年経過」が入っていたのを、政府の総合規制改革会議や自民党の関係議員が同要件の削除を要求して現在の形になったという経緯があります。ここに、モラルなど持ち合わせておらず、自らのビジネスを最優先するマンション業界からの強い働き掛けがあったことは容易に想像できます。

ここまで自らの顧客を欺き続けるマンションデベロッパーに、企業として存続していく資格は果たしてあるのでしょうか? 疑問は尽きません。

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マンションデベロッパーのモラル

いつもながらに、法政跡地問題には何ら進展が見られません。本当に地区計画の6月条例化は間に合うのでしょうか? 間に合わないということにでもなれば、6月条例化を明言していた邑上市長の責任問題に発展して、また議論が宙に浮くこと必至なのですが… とにかく、長谷工の暴挙を少しでも阻止できる条例の早期制定を願って止みません。

話は変わりますが、武蔵野市内は市議会選挙のまっただ中です。何回かにわたり、市議会での法政跡地問題の討議内容をお伝えしましたが、これ以外にも皆さんが関心をお持ちの事柄について、それぞれの議員がどのような発言をしているのかが議事録を見ることではっきりと分かります。武蔵野市に限らず、地方議会選挙等がある方は、是非問題意識を持って投票することをお勧めします。それが、長谷工のような悪徳事業者の付け入るスキをなくしていく最善の道だと思いますので。

さて、今日はマンションデベロッパーモラルが如何に欠落しているかという事例をご紹介させていただきます。旧聞に属する話が多く、既にご存知の方も多いと思いますが、ご容赦下さい。

NBLという法律専門雑誌の3月15日号に、「花火観望侵害・損害賠償請求事件(東京地判平成18.12.8)」という事件の判決に対する論説が掲載されています(判決文は判例検索システム未登載ですので、ご興味のある方は図書館等で当該記事をご覧下さい)。12月9日付の朝刊各紙で紹介されましたのでご存知の方も多いと思いますが、12月8日に毎日MSNで配信された記事(現在はリンク切れ)によると、事件の大宗は以下の通りです(《》内の固有名詞は当方で補足)。

隅田川花火訴訟:観賞妨げた分譲会社に賠償命令 東京地裁

 東京・浅草のマンションを購入した夫妻が「隣にマンションを建てられ隅田川花火大会が見られなくなった」として、両マンションを分譲した千代田区の会社《ゴールドクレスト》に約350万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は8日、66万円の支払いを命じた。水野邦夫裁判官は判決で「夫妻は取引先の接待用に改造工事までしたのに、1年もたたずに眺望を妨げられ精神的苦痛を受けた」と述べた。

 判決によると、夫妻は03年10月、台東区内のマンション《クレストフォルム浅草グランステージ》1室を同社から購入。同社は隅田川花火大会の写真をパンフレットに載せて宣伝し、夫妻の1室も花火観賞ができる位置だった。だが同社は04年5月、マンションの隣に別のマンション《クレストフォルム浅草ブライトコート》を着工、05年2月には隅田川が見えなくなった。

 水野裁判官は「室内で人気の花火大会を観賞できるのは接待として少なからぬ価値がある」と指摘。「花火大会を室内から観賞できる利益は、常に法的に保護すべきだとは言えないが、信義則上の配慮義務がある売り主の会社自身が眺望を妨げた特殊な事案」として慰謝料を認めた。



ゴールドクレストといえば、強引な販売手法で大変評判の悪い会社で、判決文でも「Y《ゴールドクレスト》においては、本件マンションの北東向きの部屋を購入したものの多くが隅田川花火大会の花火の観望という価値を重視してこれを購入したという事実を知り、あるいは知り得る状況にあったにもかかわらず、……これに対する十分な配慮をした形跡はうかがえず、わずか1年も経ずにその観望を妨げるマンションの工事に自ら着手しているのであり、その後……十分に誠意を尽くした対応をしたとまではいえないと認められる」と断罪されています(《》は当方にて補足)。

この事件をご紹介したのは、何もこの事件を知って欲しいということではなく、このような事例が頻発するマンション業者のモラルというのは一体どうなっているのかということを問いたいがためです。前掲の事件の判決文でも、「隅田川花火大会の花火を室内から鑑賞する利益といえども、本件のように売主自身がこれを妨げる行為をしたという特殊な事案を除き、いかなる場合にも法的に保護すべき利益とまではいえない」と断っており、あくまでも特殊な事件との認識です。しかし、実際には、眺望を売りにして分譲しながら、すぐその後に隣地に眺望を阻害するマンションを同一デベロッパーが建築・分譲するという事例が後を絶ちません。

具体例を挙げれば、以前のエントリ「長谷工と法政跡地とアスベスト」でもご紹介した、長谷工分譲によるマーキスシティ(先行分譲)とビー・サイト(後から眺望を妨げて建築)があります。マンション掲示板では、「マーキスの14階南側かなり売れ残っていたけど、最後の追い込みで、眺望体験うんだらなんだとかで、眺望を売りに営業してたけど、腹の中では、【うれれば、後の事はしらんしらん】だっただろ!」と指摘されています。

この他、前掲のNBLの論説の中でも多数の訴訟事例が紹介されており、売主原因型として紹介されているものだけでも、二条城事件、札幌高層マンション事件などがあります。二条城事件の方は、二条城が望めると勧奨して販売した部屋が、実際には隣接するビルに妨げられてほとんど見えなかったというものであり、やや異なる事案ですが、札幌高層マンション事件の方は、前掲の事案とほとんど瓜二つです。

事件の概要については、こちらの近傍にマンション建設、「眺望」侵害裁判の行方に詳しく紹介されていますが、要は住友不動産が、札幌市内で「大通シティハウス」(15階建て)を販売後、1年も経たずに南側に「シティハウス大通東」(15階建て)という別のマンションを建設したことが信義則違反であると判断されたものです。前述の記事の中でも、やはり「どちらも売り主が住友不動産という特殊なケースであった」と書かれていますが、ずいぶん「特殊なケース」が多いですね。

この他にも、近鉄不動産が大阪市浪速区湊町で分譲した「ローレルコート難波」と「ローレルタワー難波」(事件の概要はこちら。「パンフレットには良い情報しか載せないもの。適法な建築物なので問題ない」というコメントは必見)、地行が福岡市博多区で分譲した「アクロス博多セントラルパーク」と「グラン博多レジェンド」(経緯はこちら)など、訴訟沙汰になっている事案がたくさん出てきます。共通しているのは、「どうせ客は一見さんだから、後はどうなろうが知ったことではない」という身勝手な姿勢が見え見えなことで、自分の顧客に対してでさえこの姿勢なのですから、周辺住民のことなどどうでもいいと考えるのももっともな話です。

一体彼らにモラルというものは少しでもあるのでしょうか。どうせ、「我々がやらなくても他社がやる(から結局一緒)」とでも強弁するのでしょうが、全ての発想がこの調子で貫かれていることが問題なのです。勿論、きちんとモラルを持って分譲事業を手掛けているデベロッパーがいることも承知していますが、これらの悪徳業者が全てを台無しにしています。彼らに自浄作用など期待できません。法的にモラルの欠如を弾劾できるようになるまで、被害の再生産が延々と続くことでしょう。一刻も早い行政側の対応を期待して止みません。

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○○は高いところが好き?

法政の桜もいよいよ散ってしまいました。噂されている通り、工事着工後に切られてしまうのであれば、もうこの桜が咲くことは二度とないんだなと思うと、何とも物悲しい気持ちになります。既存樹など工事の妨げとしか考えない長谷工には、絶対に理解できないと思いますが。

そんな法政跡地ですが、新学期になっても当然ながら教室に学生の姿はありません。しかし、先日体育館は使用されていたようですので、事前の法政側の説明通り、4月以降も体育施設は利用するようです(練馬区側のグラウンドは見ていないので分かりませんが)。敷地内を巡回する警備員の姿も見えますので、この点も法政の説明通りです。先ずは長谷工の工事早期着工はなさそうなので、一安心といったところでしょうか。

さて、長谷工と言えば、今朝の新聞に、大阪の三越跡に日本一の高さのマンションを建てるという記事が出ていました。ネット上にも出てますね。

北浜に54階建てマンション──長谷工など、高さ209メートルで日本一に(4月12日)

 三洋電機子会社の三洋ホームズ(大阪市)や長谷工コーポレーションなど10社は11日、大阪市中央区の三越大阪店跡地に超高層タワーマンションを開発すると発表した。商業施設を組み合わせた地上54階建てで、高さは209メートルと現時点で日本一となる。2009年3月の完成を目指す。

 超高層タワーマンション「The Kitahama(ザ キタハマ)」は05年5月に閉鎖した三越跡地の約4700平方メートルの敷地に建設する。堺筋に面し、地下鉄堺筋線北浜駅に直結する。



まったく、○○の一つ覚えっていうか、○○は高いところが好きっていうか… 三越の建物の趣きのある外観が好きだったんですが、そんなことは無関係に周囲との調和などお構いなしの建物を建ててしまうんですね。公式サイトで見ると、いつもながらの自画自賛ぶりに呆れてしまいます。

まさに奇跡の街と呼びたい。北浜には、ヴィンテージジュエリーのような歴史的資産や文化がちりばめられています。
その貴重な資産とともに誕生する超高層集合住宅「The Kitahama Tower & Plaza」には、世紀を超えてなお資産価値を増すこの地の建築物のように、「時とともに価値を増す社会的資産」として、唯一無二を表す“The”を冠するにふさわしい100年後もヴィンテージとして輝くタワーレジデンスをめざして設計しています。



事業主の面々もイケてないですね。つぶれそうな三洋電機の子会社から始まって、どこも何でマンション事業なんてやっているのか分からないような企業ばかり。長谷工にいいようにやられてしまうこと受け合いです。

近畿圏はタワーマンションばかりがあちこちににょきにょきと建って、周囲に異様を晒していますが、この界隈だけでも悪名高きアパが建築中の「淀屋橋アップルタワーレジデンス」(地上46階建て)など、超高層マンションが一杯です。これ以上の景観破壊はご勘弁願いたいものです。

最後に、長谷工のHPのプレスリリースの中に、入社式社長挨拶というとてもユーモア溢れる文書が掲載されていましたので、その一部をご紹介します。

社会人としての心構えとして、
1.約束、ルールを守り、信頼される人間・社会人になっていただきたい。
2.働くということは、自分自身のため、社会のため、社会との関わりのためということを自覚していただきたい。



これだけ多数の建築紛争、訴訟を抱えた企業のトップの口から、「約束、ルールを守り」という言葉が出てくるとは… やはりこの会社の常識は、世間から大幅にずれているようですね。社長自ら心構えを正した方が良いのでは?

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(7)

軽い気持ちで始めた市議会の討議内容の検証ですが、思いの外分量が多くなってしまいました。取り敢えず、現在公開されている議事録に基づく検証は、今回の平成18年第4回定例会でいったん終了です。新しい議事録が公開される都度、検証を重ねていきたいと思います。

さて、昨年12月に開催された第4回定例会は、住民側の地区計画案が提出された後に行われましたので、その内容等についてかなり突っ込んだ議論が交わされています。順番に見ていきますが、先ずは桑津昇太郎議員の一般質問から。

桑津議員:「10月2日に住民より提出されました(中略)地区計画案については、今、担当部局で、鋭意、市としての原案のまとめに力を注いでいると伺っております(中略)。工事着工までの時間も限られてくる中で、今後、慎重に、そしてスピードを持って、かつ確実な進め方が重要です(中略)。邑上市長はどのような解決を図ろうとお考えなのか、今までもしつこく伺っておりましたが、改めて再度、市長の決断のほどを伺うものです。
 1つには、三鷹に移転する法政大学の今回の態度・対応は納得できません(中略)。有志の会では、法政大学の道義的な責任を問い、法政大学の誠意ある対応を願い、今議会に決議案を提出する考えであります(中略)が、改めてそのような趣旨の強い要望を市として法政大学に提出されることについてはいかがでしょうか、邑上市長の所見を伺います。
 2つとして(中略)、4月からの長谷工の工事着工を先に延ばす手段は、地区計画の条例化をもってしては事実上できない。長谷工の了解の上での着工先送りでないと望めないと理解するところでありますが、この点についての市長の所見を伺います。
 3つとして(中略)、高さ制限15メートルという地区計画の考えでは、法政通りの西側にも今の建物を超える、さらに大きな建物を長谷工が建設することになりかねないという大きな懸念を持つものであり(中略)、市では、こうした点をも配慮して地区計画原案の策定をすべきではないかと考えますが、市長の御所見を伺います。
 4つとして、地区計画を要望された協議会からも、市の考えを早期にまとめて示してもらいたいとの要望があります(中略)。早々に市長としてのしっかりとした決断を示し、またその考えで、長谷工、法政大学ともしっかりとした話し合いを重ね、問題解決に取り組むべきと考えます。邑上市長の所見を伺います。」

邑上市長:「法政一高・一中の跡地の問題でございまして、地区計画案なるものを10月に地元から提案いただきました。地域の方が皆さん大変一生懸命お考えいただいて提案された(中略)住民主体のまちづくりそのものでございますので、非常に評価したいなというふうに思います。しかし、内容については地区計画として市が都市計画決定をするものでございますので(中略)、この1カ月以内程度に市の原案をまとめて、また地域の方にお示ししていきたいなというふうに思っております。
 現在、地元から出てきた案では15メートル規制といったようなことがございますが、これは現実的にはなかなか厳しい数字ではないかなと(中略)、果たして長谷工がそれを了解してくださるかどうかについては非常に心配事でございまして、恐らく対抗措置をとられるのであろうというような予測をしてございます(中略)。記念棟やプール跡地の取得も含めた良好な地区環境形成といったような視点も含めて、さらに調整を図り、地区計画案の試案としていきたいなというふうに考えております。」



もうお馴染みの腰の引け具合ですが、「長谷工がそれを了解してくださるかどうか」というのはどうかと… 長谷工の了解がなければ何もできないのであれば、規制を設ける必要性など全くありません。何故、地区計画を策定してまで、周辺環境を破壊する高層マンションを阻止しようとしているのかを、邑上市長は全く理解していない(または意図的に無視している)のではないかと勘繰りたくなります。桑津議員の質問は更に続きます。

桑津議員:「吉祥寺東町にかかわる法政跡地の計画についてですが(中略)、法政通りの東西、右左に大きな建物が建つことを想像するだけで、本当に恐ろしくなります。これだけは何としても避けていただきたいし、避けなきゃいけないと私は考えております(中略)。法政大学からも長谷工に強い要望をしてもらうというような気持ちで要望書を出すところです。市からも、ぜひともそういった要望を出していただくようによろしくお願いしたいと思います。
 地元では、今もって法政大学の対応については強い不満を皆さん持っておられます(中略)。今からでも法政大学としてできる限りの善処をとるようにという願いをぜひ伝えていただきたい、申し入れていただきたいと考えます。そうしたことが少しでも長谷工の工事着工への計画にも反映できるのではと考えております。その点についていかがか、市長のお考えを再度お示しいただきたいと思います。」

邑上市長:「法政跡地の件につきましては、既に法政大学に対しましても桑津議員が御心配されるようなこともありますので、要望書というものをもう既に文をつくりまして用意してございまして、今、出す段階まで来ております。機会があれば、時間があれば、直接行こうということで調整しておりまして、議会も始まってしまったので、とりあえず郵送にするか、あるいは時間を見て提出しに行くか、話をしに行くかという段階でございます。その中身につきましては、良好な住環境の保全等から積極的に地区計画策定に向けて理解・協力をしていただきたいということと、長谷工がそれを待たずに着工しないよう、厳しく調整してほしいといったような内容で要望書を構成してございます。」

桑津議員:「市長、最後に一言、法政の問題で、来年4月以降に長谷工が工事を着工することを阻止できるというか、とめることができるかどうか、具体的にどうすればできるのか、市長、どのようにお考えでしょうか。」

邑上市長:「恐らく強引な方法では厳しいというふうに判断しておりまして、最後まで粘り強く調整させていただくということだというふうに思っております。」


 
要望書の文章を作成済なのであれば、本当に動く気があれば議会が始まる前にも渡して話をしに行けると思うのですが。まあ、あまり気乗りはしないんでしょうね、その後の対応を見ても。続いては、山本ひとみ議員の一般質問です。

山本議員:「法政大第一中学・高校の周辺に住む住民が(中略)、去る10月2日に市長あて、15メートルの高さ制限を含む地区計画の申出書を提出して既に2カ月が過ぎました(中略)。しかし、市はいまだ内容について基本的な考え方を提案しておりません。一方、長谷工コーポレーションは、来年6月中にも本工事を始めたい意向のようであり、このままでは地区計画制定が工事着工に間に合わないおそれがあります(中略)。そこで、以下、質問をいたします。
 第1に、地区計画の原案を市はいつ示すのでしょうか。なるべく詳しくお答えください。また、シミュレーションはどのような目的と内容で進めているのでしょうか。
 第2に、市と長谷工コーポレーションとの協議をどのように進めているのか御報告をお願いします(中略)。
 第3に、地区計画制定までのスケジュールをどのように考えているのか(中略)、わかる限りお答えいただきたいと思います。
 第4に(中略)、15メートルはやはり厳しい数字だというふうにおっしゃったのは大変残念で(中略)、きちんとした手続を経て制定した地区計画に対して、あえて長谷工が対抗措置をとると言うならば、それに対して行政、そして市民や市議会が一丸となって住環境を守るために頑張る、このことが必要ではないかと私は考えております。少なくとも、現在時点での基本的な考えについて、もう少し詳しくお答えをいただきたいと思います。
 第5に、早急に地元に市長が出向いて、地区計画協議会の皆さんと話し合いをすべきではないかと考えますので、その点についてもぜひともお答えをいただきたいと思います。」

邑上市長:「吉祥寺東町の文教地区地区計画についてということでございますが(中略)、この1カ月の間にぜひ市の原案を示していきたいなということでございます。現在、特に高さ等につきましてはシミュレーション等をしながら検証を進めておりますが、そのシミュレーションの目的は、本地域における適正なまちづくりを検証するということでございまして、どういうことをやっているかというと、これは長谷工から出された申し出素案に示された建築基礎条件、高さと壁面線の後退の範囲で建築され得る建築物(中略)、それと建築基礎条件を変えた場合の建築物と周辺環境への影響を比較検証しているというようなシミュレーションになってございます。
 次に、長谷工との協議の展望でございますが、申し出以降、事務方レベルで協議を進めているところでございます。着工を阻止するのはなかなか法的には難しいという判断をしておりまして(中略)、当該用地が周辺が低層住宅であるということから、さらに以前は学校施設であるというようなことから、そういう用途地域に指定された経過等も踏まえて、良好な地区環境が形成されるように最大限配慮してほしいといったような点。あるいは、市が策定する地区計画の方向性が定まるまでは、事業着手は行わないでほしいと。それから、さらに地域住民との話し合いを積極的に行い、地域住民の不安や懸念を払拭するよう努めていただきたいというような内容で調整を進めております。
 全体の地区計画のスケジュールにつきましては、6月議会で何とか地区計画決定から、さらにその次の建築規制条例まで議決をいただきたいという方向で目指しておりますが、例えば長谷工との合意形成が図れれば、その時期は必ずしも絶対的ではないのかなというふうに思っております。
 それから、地区計画の提案の中身につきましては、住民主体のまちづくりが大切と私、訴えてまいりまして、地域住民の方の提案ということでございますから、大きな成果ではあるのかなというふうに評価しております。ただ(中略)、今の時点で15メートルはなかなか厳しい制限ではないかなというふうに思っておりまして、さらに慎重に検討を進めていきたいというふうに思っております。
 それから、早急に地元と協議をすべきだという件でございますが(中略)、地区計画の試案を固める段階において、協議会の方々と話し合いをしていきたいなというふうに考えております。まだ日程は決まっておりません。」



長谷工に対して、「最大限配慮してほしい」とか「合意形成が図れれば」とか、甘っちょろいことばかり発言していますが、市長は長谷工が各地で起こしている紛争については一切ご存じないのでしょうか。もし少しでもご存知であれば、そんな話し合いが通じる相手ではないことくらい、すぐに分かると思うのですが。山本議員の質問が続きます。

山本議員:「吉祥寺東町の地区計画の問題なんですけれども、市長の答弁を伺っておりますと、つまり地区計画の内容に関して住民の提案されたことについて、15メートルの高さ制限に関して(中略)、長谷工コーポレーションが了解しないだろうと、対抗措置をとるだろう、だから厳しいと言っているようにしか思えないんですが(中略)、地区計画原案の基本的な考え方というのはどういう点にあるのか、そこをお示しいただきたいと思います。
 それで、もう1点の質問といたしましては(中略)、アンケートやシミュレーションに2カ月以上時間がかかっていて(中略)、もし万が一でも4月以降、地区計画成立以前に高層マンションが建設されるということになれば、これは市として大きく責任が問われる事態となると思います。その点は市長はどのようにお考えなんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。」

邑上市長:「吉祥寺東町について、地区計画の件でございますが(中略)、今以上にもっと緑豊かで、あるいはオープンスペースも加味された安全・安心なまちを目指していくんだという思いは地域の方と同じでございます(中略)が、手続につきましてはなかなか法律的な要件がございますので、地区計画はその地区での基準であるとともに、武蔵野市全体への今後の地区計画を展開する上での1つのひな形になってくる(中略)ので(中略)、高さ等については地域での考え方もありますが、市としての全体的な考え方を踏まえた上で(中略)、それを含めて検討しているところでございます。
 手続的にはかなりタイトではございますが、当初予定しておりますようにプログラムを組んで、6月、何とか建築条例まで指定したいという目標でさかのぼって議論を進めておりますので、市の案がある程度まとまってきた段階で、地域にもそれをお示しして御理解をいただきたいなというふうに思っております。」



どうも、徹頭徹尾噛み合わないですね。周辺住民が要望しているのは、先ず第一に建物の高さを抑えて欲しいということであって、オープンスペース云々はその次の筈です。プライオリティが勝手に歪められているのが残念でなりません。続いての山本議員の質問で注目すべき発言が飛び出します。

山本議員:「市長は高さ制限について市内全体のバランスということをおっしゃいましたが(中略)、長谷工コーポレーションが了解する、もしくは合意するということを優先していて、私はそれよりももっと前に早く成立させる、地区計画を早くつくる。国立市などは臨時議会も開いて(中略)、手続を経て制定するということが一番業者を規制することになると思うんですね。そこで、ぜひ全力を挙げていただきたいと、それを私たちとしてもぜひ応援したいんですけれども、いかがでしょうか。」

邑上市長:「地区計画の件でございますが、何か勘違いされているのかもしれませんけれども、国立市の例は私、必ずしもいいとは思っておりません。地域で地区計画を議員も一緒になって、3カ月で短期間で成立されたというのは評価されるかもしれませんが、結果として建ってしまったじゃないですか。なので、地区計画を優先するということより、やはり合意のもとでのまちづくりの方が健全でありますし、対立の中でいいまちづくりは私はできないというふうに思っております。ですので、ぎりぎりのところまで長谷工とは真摯に協議していきたいというふうに考えております。」



国立市の例を真っ向から否定しています。結果として建ってしまったというのがその理由のようですが、条例を制定して規制をかけても建ってしまったのに、規制もなくして事業者側が譲歩すると本気で思っているのでしょうか。第一、事業者側はまちづくりの視点など全く持ち合わせておりません。いくら邑上市長が高邁な理念をお持ちでも、悪徳事業者にそのような正論は通用しません。だから、敢えて法的な規制で対抗しようとしている、この点を根本から理解いただけていないような気がして残念です。続いては、三宅英子議員の一般質問です。

三宅議員:「吉祥寺東町の法政一中・一高の移転の情報を昨年4月に三鷹市から聞いて、初めて武蔵野市は知ったと聞きましたけれども(中略)、本来であれば、武蔵野市に対して、直接法政側からの連絡があって当然ではないでしょうか。地域の学校との連携は自治体として極めて重要だと思いますが、移転で明らかになった法政側と武蔵野市のこのようなコミュニケーション不足がなぜ生じたのかをお尋ねします。」

邑上市長:「法政一中・一高の移転の件でございますが(中略)、移転が公になる前に市に対し事前に説明があったという事実はないと聞いております。そして、法政側と武蔵野市のコミュニケーション不足がなぜ生じたか、これはちょっとよくわからない件でございますが、移転の事実が公になってから、市としては積極的に取得の意向を法政大学に働きかけた経緯を思いますと、事前説明がなかったことについては大変残念に感じております。」

三宅議員:「法政の一中・一高の移転のとき、どうして武蔵野市に直接言ってこないのか(中略)、法政に対してはもっと厳しく、文書を出すとおっしゃっていましたけれども、乗り込んでいっていただきたい、それをまず第1点、要望いたします。これに対して市長の御答弁をお願いいたします。」

邑上市長:「当然のことながら、法政につきましては法政大学の方に要望書を今、提出する直前でございますので、今後も強く要望していきたいなというふうに思っております。」



もう、この手の問題をほじくり返してどうなるものでもないと思いますが… 最後に、議員提出議案として、「法政大学第一中学校・高等学校移転に関する決議」が採決され、全員一致で可決されます。内容は下記の通りですが、決議の提案説明が大野まさき議員からなされています。

大野議員:「本議案の提案者ともなりました法政大学第一中・高等学校跡地を考える東部地域議員有志の会は、昨年、市民から法政跡地の取得を市に求める陳情などが出されたことなどの経緯を受けまして、昨年12月に超党派で結成いたしました(中略)。また、ことし1月には法政大学側へ市の跡地取得と、また周辺環境に配慮した開発となるように求めた要望書を提出いたしましたが、これまでのところ、何の反応もございません。立つ鳥、跡を濁さずという言葉があるかと思いますが、法政一中・一高自身は(中略)、吉祥寺東町の跡地について、余りにも無関心ではないかという思いもいたします。
 また、少子・高齢化が進んでいる中、今、大学というのは地域貢献というのが非常に重視されているものと思いますが、これについて法政大学側はどのように考えていらっしゃるのでしょう(中略)。長谷工コーポレーションへ売却契約先は決まっているものの、まだ地権者である法政側の責任は当然あると思います。
 また、戦後直後のころから、これまで現在地で存在してこられたのは、決して同校の力だけではなかったと思います。ぜひこれまでの対応を改めていただきたいと思います(後略)。」



この声が、法政側に届くことはあるのでしょうか…

法政大学第一中学校・高等学校移転に関する決議

 吉祥寺東町3丁目にある「法政大学第一中学校・高等学校」は、来年度より男女共学の「法政大学中学校・高等学校」と改称し、三鷹市牟礼に移転する予定だが、移転後の同校跡地周辺住民にとって大きな不安が残されている。市民要望もあったことから武蔵野市は「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいた同校跡地取得を含め、再三にわたって要望、交渉してきたが、法政大学側は跡地売買契約を株式会社長谷工コーポレーションと結んでしまった。跡地には大型マンション建設の予定があり、周辺地の市民からは、住環境を守るために、高さ制限を求めた地区計画案が市側に提出されている。
 本市議会においては同問題に関連した「法政大学第一中・高等学校移転後の校地跡地取得に関する陳情」を初めこれまで計5本の陳情が採択され、法政大学側へも「法政大学第一中・高等学校跡地を考える東部地域議員有志の会」で、市の跡地取得と周辺環境に配慮した開発となるよう求めた要望書を本年1月に提出したものの、これに対する対応も今までに何ら見られない。
 長年にわたり同校が吉祥寺東町に存在しえた背景には、周辺地域の良好な住環境による恩恵や、さまざまな目に見えない事柄も含めた協力があったものと思われるが、そうした地域社会に配慮することなく、同校が移転をしていくことは誠に遺憾である。同校は今回の移転に関する基本構想の中で、「魅力あふれる男女共学校として、諸改革を推進し、モラル教育も積極的に行い、地域の模範となるよう努める」、「三鷹ネットワーク大学との連携も行い、地域住民を中心とする市民に開かれた学校となる」としている。しかし、「地域の模範」、「地域住民を中心とする市民に開かれた学校」を目指すならば、これを本市内においても実践すべきと考える。
 よって、武蔵野市議会は、同校及び法政大学側が今からでも誠意を持って、跡地売却契約先に対して同校跡地の抱えている周辺住民の住環境維持等の課題解決に向けた要請を行う等、最大限の取り組みをしていただくよう強く求めるものである。
 以上、決議する。
 平成18年12月  日
武 蔵 野 市 議 会

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(6)

前回、平成18年第3回定例会のご報告が長くなり過ぎてしまいましたので、その後半部分です。前回ご案内した通り、山本ひとみ議員の一般質問から再開させていただきます。

山本議員:「今、吉祥寺東町では、法政大付属中学校・高校の跡地を長谷工コーポレーションが取得して、高層マンション建設が大変懸念されております。周辺は低層の閑静な住宅街であり(中略)、これまでの住環境が大きく損なわれるために、今、住民が自発的にまちづくり協議会を結成して、吉祥寺東町文教地区を目指して大変熱心に活動されていらっしゃいます(中略)。
 しかし、先ほどの小林議員の質問に対する市長の答弁ということに関しては(中略)、15メートルの高さ制限に関して、まだこれについては住民の皆さんが正式な提案もしていない(中略)状態で、そのような動きに水を差す、市民との協働や連携に水を差すような行為というふうにも私は受け取りましたので、この点に関しては大変残念に考えております。
 また、15メートルの高さに関しては困難ではないかということをはっきりおっしゃいましたけれども(中略)、現在の環境よりも悪化させないということであって、これは大変合理的な主張であると私は考えております。また、市長の発言の中で、特定の者に著しい利益や不利益を受ける者が存在しているというようなお言葉がありましたけれども、これは、では開発業者のもうけを損なってはいけないということなんでしょうか(中略)。
 また、損害賠償があるということも予想されるなどとおっしゃいましたけれども(中略)、正式な手続、住民が署名を集めて、そしてきちんと市がそれにのっとって議会で建築条例を議決して、その条例をわざわざ破るということを裁判所が認めるでしょうか。それに関して、どちらの側に立っているのか、先ほどの御答弁は私としては大きな疑問を感じました。」

邑上市長:「まちづくり条例の検討の進捗状況でございますが(中略)、ベースは開発指導要綱ということになりますが(中略)、その中身を見ますと、事業者に対して一定の義務を課し、権利を制限するところもあり、このことからも条例化が必要という認識を持ってございます(中略)。近隣との協議の早期化と機会を拡大する(中略)、そういった行政協議に先立つ住民調整手続の制度化や事業計画の公開など、透明性の高い手続を確立するなど、事業者と近隣住民との調整機会をこの条例の中で充実させていきたいなというふうに考えております。これらの協議の実効性を確保するためにも、公表なのか罰金なのか、まだわかりませんが、ある一定のペナルティーは必要だというふうに考えております。
 さらに、高さ制限の件でございますが(中略)、いろいろ方法は出てきたわけでございますが、高さ制限を行う場合は、高さだけではない、やはりまちづくりを考えていく視点が必要でございまして、通常の今、ベースとなっている建ぺい、容積が果たして高さ制限によってどのような影響を受けるのかということも大きく考える要件ではないかなというふうに思います。高さ制限ということで規制が強められるということもありますので、法の規定やほかの自治体での事例とともに、今まで本市が使っておりました宅地開発指導要綱等の成果も踏まえながら、今後検討していきたいなというふうに思います。」



かなり長文の遣り取りですので、枝葉の部分は大幅にカットさせていただきました(それでもこの長さです)。しかし、ここでも法政跡地問題という具体事例に絡めてまちづくり条例の進捗状況を質問している訳ですが、それに対して一般論での回答に終始しており、どうも法政跡地問題について言及して後で言質を取られないようにしている気がします。また、気になるのは、ここでも事業者と近隣住民の調整機会の充実を表明しており、市が主体となる気はないのかという疑問が生じてしまいます。山本議員の一般質問は更に続きます。

山本議員:「まちづくり条例に関して高さ制限の問題について(中略)、特定の者に著しい利益や不利益を受ける者が存在する場合に関しては、なかなか課題が大きいというようなことをおっしゃいました。それで、高さ制限の研究はいろいろされているようですけれども、高さ制限をすることによって、例えば特定の業者が、これは自分にとっては著しい不利益だというふうに主張することだって、それはあると思うんですけれども、だからといって景観上、また住環境を保全するために規制をかけるということは市にとっては必要であると思いますが、それはどのようにお考えなんでしょうか。
 それから、7月以降、長谷工と土地を買うかどうかではなくて、マンション建設の問題に関しては具体的にどういうやりとりがあって、どのような指導や、規制をこういうふうにしたいんだけれども、どうなんだと。住民の方たちに対して、これはきちんと周辺との調和をあなたたちも考えるべきじゃないかというようなことはおっしゃっているんでしょうか。」

邑上市長:「地区計画というのは規制をするというのが第1目的ではなくて、地域のまちづくりを進めていく中で共通認識のものをルール化していくんだということでございますので、当然のことながら開発業者を含む地権者の意向というのも、まちづくりの中に大いに意見を出していただかないといけないのではないかなというふうに思います。ですので、ルール化に当たりましては、地権者の3分の2以上の同意というのは、なるべく地権者で合意しようという趣旨でございますので、大いにこれから地権者と話し合いができればいいのではないかなというふうに思っております。
 それから、長谷工に関しまして具体的な協議のプロセスに入ってございませんが、当然この間、地域の環境に最大限配慮してほしいといったような趣旨で話は進めているわけでございます。」



住環境の保全上、市として規制が必要ではないかという質問の主旨に対して、まちづくりの共通認識をルール化するのが地区計画だと答弁し、ここでも問題を住民間の話し合いにすり替えています。どうしても、市としては事業者に対して直接規制を行うことに及び腰のようです。また、事業者も含めた地権者の3分の2以上の同意が必要とわざわざ発言する辺り、どうせ同意を集められないと高をくくっていたのではないかという気もします。山本議員の質問が続きます。

山本議員:「高さ制限の問題に関して伺いますけれども、私がちょっと問題だなと思いましたのは、市長の考え方の中で、何か規制をかけることに関して及び腰になっている(中略)。市民の皆さんが自分たちの力で地区計画をつくって、関係者の方たちに判こを一生懸命とって歩いているときに、一定の立場でそれと違うことを主張するということは、これは私は非常におかしな行為だというふうに思うんですね。それはどうなんでしょうか(中略)。
 新しい質問として、損害賠償があるかもしれないというふうに予想されるとおっしゃっていましたけれども、これはなぜそんなふうに考えるんですか(中略)。それが住環境の保全にとって、もしマイナスな裁判の提訴だったら、きちんと受けて立って勝つように頑張るべきなんじゃないですか。それに負けるような可能性があるみたいなことを今からおっしゃるのは、非常によくないと私は思うんですけれども、それは高さ制限のことを研究されて、なぜそういうふうに思っているのかお答えいただきたいと思います。」

邑上市長:「地区計画の件につきましては、この間、市としましても大いに心配している件でございまして、法律事務所等にも御相談しております。法律事務所の見解を少し申し述べますと、地区計画は建築条例により規制がかかるものであるが、法令や条例は一般性が求められ、普遍的なものである必要があり、特定なものをねらい打ちしたものではない(中略)。素案では対象を特定していることが明らかで、条例の違法性が問われる可能性が大きいということを述べられています。さらに、財産権の侵害ということで、特定箇所に規制がかかるものであると、事実上の財産権の侵害となる。また、これは高さの最高限度だけでなく、機械駐車場、壁面線の後退、公園の配置などの制限なども特定の制限となっている。売買契約時点以前の規制ではないため、事業採算性の問題などについても地区計画の合理性に問題が生じるといったような見解もありますので、今後こういった見解も含めて慎重に対応していきたいなというふうに思っております。」

山本議員:「高さ制限の地区計画のことに関してなんですけれども、条例が違法かもしれないみたいなことを、市の人ではない法律事務所の方がおっしゃったそうですが、それは市役所自身で考えていただくことだと思いますし、住民の方たちはどこかをねらい撃ちにしたものではなく、マンション建設にも反対していないと。まちづくりを本当に自然との調和がとれた、住環境を守れるものにしたいという熱意でやっているものですから、そこは誤解が大きいと思います。
 最後に、邑上市長が6月の建設委員会で、密度の濃い開発というのはあの地域にふさわしくないというふうに思っていると。今後とも地域の皆様の声を聞きながら、まちづくりの方向性を大いに議論し、必要な規制誘導をしていきたいというふうに答弁があったわけですけれども、そのことをこれから生かしていくということに関してはしっかりやっていただきたいんですが、どうなんでしょうかお答えください。」

邑上市長:「法政跡地の件につきましては、あの地域は密度の濃い、オープンスペースの少ない地域でございますので、オープンスペースを確保したいな、緑をもっとふやしたいなという思いは地域の方と同じだと思います。しかし、密度論から申しますと、高さを抑えるというのは逆に建ぺい率を最大限使われると、建ぺい率、建物面積がふえるということにも直結してまいりますので、この辺は十分に考える必要があるかな。私は、密度が薄い方がいいと言ったのは、オープンスペースだとか緑だとか、そういうものをもっと主眼とした地区になってほしいなということでございまして、絶対的に何メートル以下にしなければいけないという考えは今のところ持ってございません。」



いみじくも、邑上市長が紹介した法律事務所の見解、これが市側の主張の全ての根源となっているとすれば非常に残念です。これらの見解は、いかにも実務知識の乏しい一般論としてのリーガルオピニオンにありがちな表現の羅列です。住民側の素案に(もし)そのような問題があるのであれば、それを治癒するためにはどうすればよいかを考えるのが、本来有能な弁護士がする仕事です。どこの事務所に相談しているのかは知りませんが、この程度の見識に基づいて住民側の財産権の侵害を容認されるのは、理不尽です。また、「密度の濃い開発」云々についても、ここで市長の考える適正なまちづくりを聞きたい訳ではありません。住民側が高層建築物はNoと言っているのに、高さを抑えると建ぺい率を最大限に使われますよというのは大きなお世話です。それに、建ぺい率は入居者の問題でしょう。全く、論旨が破綻しています。

山本議員の一般質問が長くなってしまいましたが、まとまった質問という形はこれで最後です。この他、武蔵野市の決算認定の質疑の中に、川名ゆうじ議員と島崎義司議員の法政関連の発言がありましたので、そちらをご紹介いたします。

川名議員:「前市長が突然辞職されたことにより、政策決定ができず、後に課題が残された年でもありました。例えば、境の郵政宿舎跡地は前市長時代からの課題でありましたし、法政跡地については職務代理者のもとでは判断ができずに先送りされてきた課題であったことが審査でわかりました。邑上市政になって降ってわいた課題ではないのです。このような状況下で邑上新市長となった年が17年度であり、財務状況の先行きが不透明な中でおおむね適正に市政が運営されたことは評価したいと思います。」

島崎議員:「旧武蔵境郵政宿舎跡地取得のチャンスをみすみす見逃したこと。すなわち、最も取得しやすく、安価で手に入る国有地の払い下げを、しかも緑地や都市公園などにすれば補助金なども期待できるものを、いとも簡単に断るという政策判断の間違いをあくまでも認めようとしないこと。そして(中略)、その後、低く見積もっても、境郵政宿舎跡地の数倍はする法政跡地について、何の裏づけもなく議会で簡単に買いたいと言ったものの、結局は買えず(中略)、土地取得の考え方の整合性は全くとれていないと言わざるを得ません。」



邑上市長を評価する声、指弾する声と両極端ですが、評価は皆様にお任せします。後は、平成18年第4回定例会です。できるだけ早く、討議内容をご紹介します。

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(5)

色々と話がそれてしまい、大幅に更新が遅れている市議会の討議内容の検討ですが、市議会選挙も近付いてきましたので、頑張って更新したいと思います。情報公開が進んだ現在、それ程市政に関心がないという方も、是非ご自分の関心を持っている部分だけでも結構ですので、どの議員がどのような考え方をしているのかをチェックしていただきたいと思います(何も武蔵野市に限った話ではありません)。それが、法政跡地問題のような悪徳事業者に付け入られる隙のない行政を作り上げる、住民側の最大の武器となると思いますので。

さて、今回は平成18年第3回定例会です。この時点では住民による地区計画案の市への提出が間近に迫っており、当然ながら内容についてかなりつっこんだ議論がなされています。かなり長くなりますので、2回に分けて見ていきたいと思います。

最初は、建設委員会の委員長でもある小林清章議員の一般質問において、法政跡地問題が議題に上ります。

小林議員:「法政跡地及び周辺のまちづくりについてお伺いいたします(中略)。
 都市プランナーとしての経験を持つ邑上市長の手腕を期待していきたいと思いますので、以下3点の質問をいたします。
 質問の1点目は、法政跡地売却に伴い、周辺住民の発意による地区計画案が進められており、高さ制限15メートルの提案となる模様ですが、市はこれをどのように受けとめ、どのように支援していく考えかお伺いいたします。
 質問の2点目に、この地区計画案が正式に提案された場合、市としてどの程度規制できる建築条例等が可能と考えるのかお伺いいたします。
 質問の3点目は、周辺環境に配慮した計画となるよう、事業者に積極的に働きかけ、規制・誘導していくお考えはおありかどうかお伺いいたします。」

邑上市長:「法政跡地及び周辺のまちづくりということで、この間、地域の皆さんから地区計画案の提出説明をいただいております(中略)。住環境保全を目的とした地区計画というのは、特定の者に対し、著しい利益や不利益を与えるものではなく、地区の将来像を地区住民が共有し、みずからも規制や制限をかけることによって成り立つものであるというふうに私は認識しております。いただきました地区計画の案というものの基本的な考え方(中略)については、非常に賛同し、理解できますが、一部15メートル等の具体的なかなり厳しい規制基準の内容につきましては、なかなか課題が大きいのではないかなというふうに思っております。
 今後の地区計画が正式に提案された場合、どうするかという御質問でございますが(中略)、提案内容によって著しく利益や不利益を受ける者が存在し、その者が同意しないという場合は、原案を市が地区計画として建築規制条例を施行すれば、当該者より当該地に対する規制の無効性、あるいは規制によって損害請求等の対抗措置がとられることも予想されるため、市としては慎重に対応していく必要があるかなというふうに思っております。
 今後の事業者に対しての働きかけでございますが、地区計画の申し出等があった場合は、大きな土地の権利者等の意向を確認するとともに、場合によっては協議会等、当該者との調整の場を設けて最終的な判断をしていきたいというふうに思います。また、法政第一中・高校跡地で、事業者より武蔵野市宅地開発等に関する指導要綱に該当する計画の申請があった場合は、当然のことながら吉祥寺東町地区全体のまちづくりの観点から、指導要綱の規定により公園用地の提供、公共用地等の提供を含め、また敷地周辺に空間を確保したり、高さもできる限り低く抑えるなど、周辺への影響を最小限に抑える配置計画を指導するとともに、地域住民と話し合いを行い、理解を得るよう指導していく所存でございます。」



これって、色々説明はしていますが、要は「高さ15mの規制は厳しいから、事業者(=長谷工)から訴えられる可能性がある。だから難しい」と最初から匙を投げているようなものです。本来のまちづくりの観点からはあり得ない事業者に対する歯止めを掛けるために地区計画を策定しているのですから、根本的なスタンスが間違っています。更に質問は続きます。

小林議員:「次に法政のことですけれども、先ほど15メートルの提案がなかなか厳しいのかなという御答弁をいただきました。もう少しかみ砕いて、15メートル制限がなぜ難しいのかということを、市長は専門家でありますので、わかりやすくこの場でもう一度御説明をお願いしていただきたいと思います。
 それで(中略)、今の現状をかんがみまして、どのように市政を誘導していくおつもりなのか、具体的にお答えいただきたいと思います。」

邑上市長:「法政一中・高校の跡地の件で(中略)、この用途地域が第一種中高層住居専用地域であるということも踏まえて、この土地を利用するに当たって15メートル制限というのはかなり制約が大き過ぎるのではないかなというふうにとらえております。高さ制限というのは、一方でどういう影響があるのかということで、大きな理由をつけていかなければいけない(中略)。
 そこで地域の皆さんに訴えてきていますのは、当初から対立関係という形ではなくて、これからお互いに地域の一員としてまちづくりをしていくんだということで、大いに開発事業者と話し合う機会を設けた方がいいんではないかという提案をしてございまして(中略)、一方的な規制基準をつくるのではなくて、住民と民間事業者の相互のまちづくり、景観づくりが共有化されたという結果かというふうに思っております。その辺の15メートル制限をするのであれば、それなりのきちんとした理由を設定しないと、なかなかこの制限というのは難しいのではないかなというふうに思っております。」



ここでも、「15mという制限は事業者が納得しないと思うから、直接話し合って欲しい(規制を掛けて市が当事者になるのはいや)」という姿勢がありありです。そもそも、長谷工が自らのエゴを押し通そうとした結果として地区計画で対抗せざるを得ないという流れなのですから、今更何を話し合えと言うのでしょう? 私は別に邑上市長の批判者ではありませんが、この辺りの我関せず振りには正直失望してしまいます。

続いて、桑津昇太郎議員からも法政跡地問題についての一般質問がなされます。

桑津議員:「吉祥寺東町の法政大学第一中・高等学校跡地の問題についてです(中略)。邑上市長は、跡地を市として購入することに大変前向きな発言をされ、また法政大学にも要望を出されました。その後においても、西側用地の取得に努力するとの発言を重ねておられ、地元は大変大きな期待を持っておりました。しかし、現状は業者との交渉も進んでいないようです。今、地元では地区計画を条例化願いたいとの運動も進められてはいますが、来年秋には現校舎の取り壊しもあり、議会、委員会においてしっかりと前向きな発言をしてこられた市長、市としては、このままでだめでしたで終えることになれば、大きな失態でありましょう。ここに至っての邑上市長の強い実行力を望むところです。今日までの市長として講じられた手段、そして残された少ない時間の中でいかなる手段を打とうと考えておられるのか、重複しますが、私からもお伺いします。先ほどの御答弁より、いま一歩踏み込んだ御答弁をよろしくお願いいたします。」

邑上市長:「法政一中・高校の跡地問題ということでございましたが、跡地の取得の件につきましては、現在、本校についてはなかなか厳しいであろうという認識でございまして、残りの西側、記念講堂側の敷地について、引き続き長谷工コーポレーションとの間で折衝を行っているところでございます。しかしながら、現在のところ具体的な買収価格等についてまでは内容が詰められていない状況にございますが、今後も跡地の建築計画の動向も見据えながら、粘り強く交渉を続けていくつもりでございます。」

桑津議員:「法政跡地の問題です。今も市長は、西側用地については引き続き交渉していくというお考えをお示しになられました。ぜひとも引き続き交渉を(中略)、業者とよく話をするというような姿勢は必要じゃないかと思っています。また(中略)、市長がみずから協議会の皆さんと場をつくって入っていく。また、長谷工のトップなり法政大学の理事長、学長にぜひともお会いになっていただきまして、市長みずからの手で打開策を見つけていただく、解決を見つける、そのような強い行動を私は期待するものです。」

邑上市長:「法政跡地の問題も担当課で日々熱意を持って交渉しておりますが、当然のことながら、タイミングを見計らって必要なときに大いに要望していきたい、交渉していきたいというふうに思っております。」



どうもかみ合わないですね。結局、市長のリーダーシップを発揮して欲しいという桑津議員の要請に対して、先ずは事務方からというスタンスを崩さない邑上市長ですから、無理はないんですが。本音の部分では法政跡地問題はどうでもいいと考えているのか、それともリーダーシップが欠如しているのか、どちらにしても悩ましいところです。

今回は取り敢えずここまでとさせていただき、山本ひとみ議員の一般質問からは、次回お伝えします。

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