吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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法政の桜

いよいよ春本番です。法政高校の女子大通り側に植わっているの木も満開となってきました。毎年、この季節になると見事な花を咲かせるこのの開花を楽しみにしてきましたが、どうやらそれも今年限りのようです。

法政の桜
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というのも、金の亡者・長谷工は、計画中のマンション建設に伴って、このの木をどうも切り倒すらしいのです。そんな運命が待ち受けているとは知らないの木は、今年も見事な花を咲かせていますが、見ると物悲しくなってしまいます。敷地の際に位置していますので、切らずに保存しておくこともできそうなものですが…

最近のマンションは、既存樹が残されていることを売りにするケースが多いですが、所詮はアピール材料になるかどうかが全てで、そうでなければ残しておく価値はないということでしょうか。の木は、周辺住民にとっては法政のシンボルのような面もあったと思います。地域との共生を真摯に考えていれば、残した方が得策だと思いますが、まあそんなことに思いは至らないのでしょう。土地を買った以上、その上の定着物である樹木をどう処分するのも勝手だと考えているのではないでしょうか。

それにしても、何故こうもマンションデベロッパーというのは、自らの権利は最大限に主張するくせに、他人の権利を土足で踏みにじることについては何の躊躇もないのでしょうか。桜の木については心情的な面を別とすれば仕方ないとは思いますが、建物の高さについては全く理解することができません。前回のエントリでご紹介したように、高さを抑えたプランでも十分商品性は確保できます。例えば、建ぺい率を上限の60%まで使わず、50%に抑えて余裕のある配棟計画とし、専有面積の50%の共用部分を設けた場合、6階建てであれば容積率200%を全部使えます。斜線制限や、高圧線下の規制等を考慮しても、どうやっても11階建てでなければ容積率を消化できないなんてことはありません。

にも関わらず、法律の上限まで高さを上げようとするのは、デベロッパー側に「高層マンションほど人気が高い」というワンパターンな思い込みがあるからに過ぎません。一時のタワーマンション人気を考えれば、そうした面があることは否定しませんし、事実、分譲中のマンション価格は高層階ほど同じ間取りでも分譲価格が高くなっているのが普通です。しかし、自らの利益だけを最大限に追求し、それに伴うマイナスを周辺住民に一方的に押し付けることが、果たして企業のあるべき姿勢として許されるのでしょうか。

そもそも、高層階を設けないと分譲価格を上げられないという発想自体が貧困です。強風、子育てなどにおける高層階のデメリットが数多く指摘される中で、ひたすら高層階を設けた設計だけに固執する姿勢は、滑稽ですらあります。その程度の設計力しかないから、景観を破壊するようなマンションを建て続けても罪悪感を覚えることもないのでしょう。

また、周囲との軋轢を顧慮しない企業姿勢は、最近どこの企業でも声高に謳っているCSR企業の社会的責任)、コンプライアンスにも明確に違反しています。特に、コンプライアンスは「法令遵守」と訳されることが多いですが、これは明らかな誤訳(法令は遵守することが当たり前)で、本来はもっと包括的な概念としての「社会規範遵守」を意味するものです。つまり、マンションデベロッパーの決まり文句である「法律に違反していないから問題ない」では、コンプライアンス上は十分とは言えないのです。

そんな、社会に害悪を流し続けながら何のペナルティも科されていない点で、雪印、三菱自動車などより悪質なマンション事業者たちが、こぞって自社のサイト上でCSRコンプライアンスを云々しているのは笑止千万以外の何者でもありません。例えば、不道徳業者の筆頭格である長谷工を例に採れば、IR情報のトップメッセージにこうあります。

(4)CSRコンプライアンスを軸とする経営管理体制の維持・強化

真の優良企業として持続的に発展するためには、量的側面としての適正な本業利益の確保に加えて、企業としての品格・社会的存在意義が求められます。「安全・安心で、快適な住まいの場を提供する」マンションのトップメーカーとして、お客様の信用・信頼を獲得するために安全・品質の確保に全力を尽くしてまいります。そのために顧客第一主義、コンプライアンス企業の社会的責任(CSR)の考え方を更に徹底させ、収益力のある強い会社、環境の変化に耐えうる柔軟性のある会社、社会と環境に優しさのある会社を目指してまいります(中略)。

これまでご支援いただいてきた株主の皆様をはじめ、お取引先ならびにお客様方には感謝の気持ちを忘れずに、21世紀にふさわしい「都市型新産業」企業グループに向けて努力邁進してまいります。今後とも、より一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。



言葉だけ並べているだけで、こうした概念の本当の意味を全く理解していないことがよく分かります。CSRについて解説しているCSRアーカイブスには、CSRについて次のような記述があります。

近年は、従来とは違った角度から企業の社会的責任が議論されています。その背景には、「マルチ・ステークホルダー・エコノミー」と呼ぶべき新たな時代の到来があります。企業と何らかの利害関係を有する主体はすべてステークホルダーです。

ステークホルダーには、顧客、株主、従業員のほか、取引先、地域住民、求職者、投資家、金融機関、政府など、実に多くの主体が含まれます。企業にとって、これらのステークホルダーそれぞれとの関係をこれまで以上に大切にし、具体的かつ実効性のある配慮行動をとることの重要性が増しているのです。その結果、現代企業に求められる社会的な責任は、従来の経済的あるいは法的な企業の責任を大きく超えた概念にまで広がったと言えます。



どうですか。この定義に基づけば、株主、取引先および顧客に対する責任だけをあげつらう長谷工のCSR、コンプライアンスなど、まやかしであることが良く分かっていただけると思います。もっとも、ここで挙げられているステークホルダーに対する責任も、とても果たしているとは言いがたいですが…

話が桜の木から大幅にそれてしまいました。とにかく、このようなモラルなき乱開発を許す訳には決していきません。満開の桜の木を見て、その思いを新たにした次第です。
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第6回住民集会

日付が変わってしまいましたが、昨日(26日)に法政跡地問題についての住民集会が開催されました。平日の夜ということもあり、参加者は80名前後だったでしょうか。仕事帰りか、途中から参加される方もいらっしゃいました。参加できなかった方のために、内容をかいつまんでご説明します。

先ずは、2/10の市の素案説明会以降の動きが報告されました。この中で特筆すべきは、2/21の都市計画審議会の開催、そして協議会有志が五十嵐敬喜法政大学教授と面談したことでしょうか。この辺は追ってご説明します。

その後、協議会側の地区計画案と市の素案の違いについて、再度の説明がありました。内容自体は以前と同じものでしたが、スライドを多用した分かり易い説明でした。配付資料がモノクロで見づらいので、後日何らかの形でご紹介します。ここでは、市の素案は長谷工の事業計画から水増し(と思われる9階以上の)部分を除いたものをほとんど侵害しない、非常に長谷工の事業計画に配慮された案だということが再確認されました。

続いて、長谷工の顧問弁護士から1/30付で市に送られてきた「地区計画に対する長谷工の法的意見書」なる怪文書(内容自体は開示されませんでした)が、いかに説得性のないものであるかが説明されました。
市の素案の説明時に15mでは櫛形の配棟計画となってしまい、商品価値が落ちるという説明がありましたが、協議会側で容積検討をした結果は、5階建てでも十分容積率は確保できる(容積対象外の共用部分も十分確保できる)こと。更には、もう一歩譲歩した6階建てなら、より中庭等を広く確保した商品性を十分確保できる設計も可能であることが具体的なプランとして示されました。

また、市側の説明に欠けていた高層建築物が周辺に与える威圧感について、形態率という概念を用いた説明がなされました(形態率については、国立のマンションのサイトにこの分野の権威である武井東京理科大名誉教授の分かり易い説明がありますのでご参照下さい)。簡単に言えば、360度の視界の中で建物がどの程度を占めるかというような数値です。通常、形態率8%を超えると圧迫感が大きく、公共施設など特別の配慮を要する場所に隣接する場合は4%が受忍限度とされているそうです。
その中で、長谷工の事業計画による建物から20m離れた位置から形態率を測定すると、一番被害が大きい東側の中央部分では、何と11.6%という恐ろしい数字になってしまいます。また、西側中央部分では4.8%となっており、西側跡地が公園になったとしても圧迫感を強く感じる公園となってしまうことが示されました。

この後、五十嵐教授との面談要旨が報告されましたが、個人的には、この内容に一番驚かされました。五十嵐教授からは、「今更来ても遅い。2005年の12月か2006年の1月頃に武蔵野市議会の議員の方が来られたので、この問題には市(特に市長)がリーダーシップを発揮することが重要だということを詳しく説明した。市長に会っても良いとお答えしたが、市長は会おうとしなかったそうだ。議員の方は指導要綱と住民運動で対抗しようと考えていると言われたので、それではだめだと申し上げた」といった発言があったそうです。
驚かされたのは、この段階でかなり具体的な対応策をその道の権威から授かりながら、それを何ら生かすことなく葬り去ってしまった某議員の対応です。協議会側からの質問に対してその議員は五十嵐教授にあったことは認めたそうですが、それ以外の協議会からの質問については何ら回答していないとのこと。市議会選挙も近いので、議員の個人名は伏せますが(その場では明かされました)、何故市長の面談を取り次ぐ(それも会わずに終わっている)だけで、せっかくの情報を死蔵させてしまったのでしょうか。失われた時間はこの上もなく貴重な時間だったのに…

この他、都市計画審議会において後藤委員(早稲田大学教授)から「大事な問題なので次で採決するのではなく、もう一回審議委員会を開くべき」との提案がなされたそうですが、市の原案が提示されないため、都計審も開催されないままだそうです。また、都計審を傍聴した住民の方から、「市の井上部長の『府中市の地区計画では住宅地は15m、工場地帯は25mとなっている』との説明を聞いて、吉祥寺東町周辺は工場地帯じゃないと違和感を覚えた」旨の報告がなされました。市側の自己矛盾に言葉もありません。

なお、法政高校側からは4月以降も体育施設を週3回使用する(完全退去は8月末)旨の説明が再度なされたそうです。また、昼夜とも警備員を1名配備する他、日中は用務員の方を1名配備されるそうです。無人の建物が治安の悪化を招くような事態は回避できそうです。

とにかく、6月条例化が現在の最優先課題です。長谷工側の欺瞞に満ちた一連のクレームに、何ら確たる裏付けがないことは協議会側の丹念な検証で十分に立証されています。市側には、時間切れを狙うなどという姑息な手段に出ず、一刻も早く原案提出をしていただき、都計審の場で最後の議論をさせていただきたいと思います。長谷工のようなモラルのない業者は、必ず自らその報いを受けます。その時を早めるためにも市の英断を願ってやみません。

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(4)

前回のエントリに対するコメントで、本文中で採り上げた都市居住評価センター(ユーイック)と東京建築検査機構のあまりにも業者寄りの建築確認が、各地の建築審査会や裁判所の判決で取り消されている実例を紹介いただきました。このような検査機関に審査を行う資格はあるのでしょうか。マンション紛争の原因の一つは、明らかにゼネコンと民間検査機関の癒着による甘い審査にあります。耐震偽装問題が与党の必死の火消しでうやむやにされつつある今、別の観点から民間検査機関に対する問題提起を行う必要があるのではないでしょうか。

話は変わりますが、最近、長谷工法政高校周辺の交通量調査を頻繁に行っています。おそらくバイトなのでしょうが、雨の後にビニール傘をそこかしこに捨てていったり、マナーのかけらもありません。一体、バイトにどういう教育をしているのでしょうか。会社が会社なら、バイトもバイトです。まあ、不道徳の極みのような会社ですから、「周辺住民に迷惑をかけても調査を優先するように」とでも指示しているかも知れませんが。調査段階からこれでは、もし工事が始まるようなことになれば一体どうなるんでしょう。徹底的に事前協定等で行動を縛っておかないことには、何をしでかすか分かったもんじゃありませんね。いい予習をさせてもらいました。

さて、市議会の討議経緯を振り返っていますが、ちょっと話題がそれて更新が滞ってしまいました。今回は、久し振りに平成18年第2回定例会を採り上げます。この議会においては、法政大学第一中・高校跡地対策会より提出された「まちづくり条例の早期制定・施行に関する陳情」についての建設委員会における審査の概要と結果について、小林建設委員長より報告がありました。陳情の内容は、下記の通りです。

(陳受18第15号)
まちづくり条例の早期制定・施行に関する陳情」
(受理年月日)平成18年5月30日
(陳 情 者)法政大学第一中・高校跡地対策会
(陳情の要旨)
 私たちは、吉祥寺東町所在の法政大学第一中・高校が平成19年に三鷹市に移転するに当たり、跡地対策を検討している地域住民の有志です。
 当該地域は、低層住宅と教育施設が共存する閑静な住宅街ですが、このたび、法政大学第一中・高校跡地をマンション建設業者が購入することが明らかになり、大変憂慮しているところです。
 法政第一中・高校は、昭和26年に市ヶ谷から吉祥寺に移転してきました。その後、昭和40年代に現在の用途地域が指定されましたが、学校などが隣接している当該地域は、校舎などの施設が法律に適合するよう中高層建築が可能な用途地域となりました。
 周辺が第一種低層住居専用地域に指定されているのは、当時特段の配慮がなされたものと考えますが、公共性のある教育施設ということで、私たち近隣住民も一定の理解を示し、現在に至っています。
 ところが、この配慮を逆手にとるかのように、中高層建築が可能な状況のまま、マンション建設業者が学校用地を取得し、試算によると30メートル程度の共同住宅が建設可能という驚くべき事実、私たちは大きな憤りを感じています。
 先般、境5丁目のコトブキ跡地でも高層マンション問題が発生し、大規模な住民運動が展開されたのは記憶に新しいところです。
 本市は、市域の多くが低層住居専用地域であり、今後同様な問題が発生することも予想され、行政が抜本的解決策を早急に推進することが望まれるところです。
 そこで、良好で周辺地域と調和のとれたまちを保全するため、「まちづくり条例」を早急に制定・施行し、特に、下記の趣旨を盛り込むよう陳情します。

 教育施設など公共性・公益性のある建築物が建設されていることにより、当該用途地域が周辺地域よりも緩和されていることが明らかな場合、その使用目的が変更され、かつ公共性・公益性が認められなくなったときにおいては、市の土地利用方針等を踏まえた、周辺地域と調和のとれた土地利用を誘導するルールづくりをすること。



この陳情に対する小林委員長の報告内容は、以下の通りです。

小林委員長:「陳受18第15号 まちづくり条例の早期制定・施行に関する陳情の建設委員会における審査の概要と結果について御報告いたします。
 主な質疑は次のとおりです。
1)今後、本市のまちづくりをどのような形で進めていくのか、市の考えを伺う。
 答え、従来の宅地開発指導要綱での調整は、手続の不履行や開発基準への不整合などの協力拒否に対する対抗措置に限界があると考え、協議の仕組みをまちづくり条例で明確にすることを考えている。この地域の住民から地区計画を検討したいという話もあるので、地区計画の制度導入の可能性について、これから追求していきたい。
2)まちづくり条例の策定スケジュールについて伺う。
 答え、今年度はまちづくり条例(仮称)検討委員会で条例の骨子を検討し、提言をいただく。それを受け、来年度に条例の具体化・成文化を行い、平成20年3月議会に上程したいと考えている。
3)陳情に記載のこの地域に地区計画を導入する場合のスケジュールについて伺う。
 答え、地区計画は市民の皆さんの提案を受け、市の計画との整合性を確認し、都市計画審議会に諮る。そこで決定されれば、整備計画に基づく高さ等の建築形態の規制については、建築規制条例を市議会に諮り、同条例の施行後、マンションの建築確認を行うことになる。
4)学校からマンションへ建物に変更がある場合、周辺地域と同様の用途地域に変更することは可能か。
 答え、既に都市計画で定められた用途地域を周辺地域と同様な第一種低層住居専用地域等に変更することは非常に困難である。
5)他の市区で絶対高さ制限を導入しているところがあるが、本市でも導入できないか。
 答え、都市計画法で高度地区において絶対高さ制限を設けることができるが、今のところある一定の地域に法の規制をかけていく考えはない。
6)この地域での地区計画導入は、マンションの工事着工の時期に間に合わず、現在ある宅地開発指導要綱で指導していくしかないのではないか。
 答え、宅地開発指導要綱で指導していくことになるが、この間、地域のルールづくりがなされれば、今後のまちづくりのためにも地区計画導入の可能性について検討していきたい。
 以上で質疑を終わり、討論なく、採決の結果、陳情の趣旨に沿うよう努力されたいとの意見を付し、全会一致で採択すべきものと決しました。」



どうも、議論が堂々巡りとなっているような気もしますが… これに対する質疑では、最初に三宅英子議員から地区計画の成立要件について、次に山本ひとみ議員からマンション紛争において住民側の要望がほとんど通らない理由について、市はその原因をどう考えているのかというような質問がありました。これらについては、先程の小林委員長の報告以上のものはありませんので、ここでは割愛します。

そして、最後に桑津昇太郎議員から、陳情に対する賛成の立場からの討論と題した意見表明がなされました。

桑津議員:「本市のまちづくり条例については、現在までに委員の選考も終わり、検討委員会が設置され、過去2度の委員会が開催されました。本年度末を目標に条例骨子案を作成し、平成19年度中に条例案の上程を行い、議会の議決を求めるスケジュールとなっております。まちづくり条例は、本市にあっては懸案の取り組みであり、本市の将来像をしっかり見きわめての極めて慎重かつ迅速な手順での施行を求めるものであります。
 一方、この陳情にあります本意は、現在、吉祥寺東町にあります法政第一中・高等学校の跡地に大規模なマンションの建設の計画が考えられることについて、近隣の閑静で良好な住環境を損なうことのないようにと、行政からの規制を求めるものであります(中略)。
 昨年は、地元の皆さん、また複数の団体から、この跡地を市で取得していただきたい、またその施設の一部を、その用地の一部を購入願いたいとの陳情があり、議会においても可決となりました(中略)。しかし、(中略)その跡地は長谷工に売却され、(中略)長谷工の手で大型マンションが建設されることになったわけであります(中略)。
 今、地元では、地区計画の制定に向けての準備会が行動を起こそうとしております。地区計画やまちづくり条例の制定で、行政からの強い指導を期待してのものでありますが、来夏の移転に向けて、今や時間との闘いになっております。(中略)邑上市長みずからの強い決断をもって長谷工コーポレーション、また法政大学に強い姿勢で対処いただかなくてはと考えております。(中略)あの地域の住環境を守ること、そして吉祥寺東部の将来構想をも視野に置いて、ここは邑上市長の強い決断、確かな行動、実行を望むものであります。」



かなり熱のこもった討論で、本筋以外の部分をカットしても長いですね。全体を通じて、住民側の地区計画素案作りがスタートする直前であるにも関わらず、法政跡地問題についての目立った進捗はなかったというのが実情です。次回、第3回定例会からは、住民側の地区計画案が出てきたため、議論が白熱していきます。

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指定確認検査機関の公正性

先日、タカラレーベンの建築確認取消事例をご紹介しましたが、その際に(財)住宅金融普及協会という確認検査機関が、一度建築確認を下ろしながら、その後その決定を取り消したことを書きました。このこと自体は、確認検査機関が有効に機能したということで非常に喜ばしいことだと思います。

しかし、耐震偽装問題の際に、民間の確認検査機関の公正性については大いに疑問があるということは再三報道されました。一例としては、読売新聞の「公正?民間検査機関…住宅メーカーなどが出資・出向」や、共産党広報誌である赤旗の「耐震強度 民間の検査機関 ゼネコンやメーカーが出資 公正・中立性に疑問 偽造問題 出向社員受け入れも」などに詳しく報道されています。

検査機関出資状況
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その中で、今回問題としたいのは、長谷工が出資しており、且つ、長谷工物件の検査が非常に多い都市居住評価センター(UHEC(ユーイック))です。なお、この会社の株主には、長谷工以外に、大林組、鹿島建設、鴻池組、清水建設、大成建設、竹中工務店などのゼネコンが名を連ねています。それもその筈、この会社は平成12年7月に社団法人新都市ハウジング協会の会員企業及び関連企業の出資により設立されたという由来があります。このような会社が確認検査業務を行って、出資企業からの検査依頼に対して公正性は本当に保てているのでしょうか。

具体的に、長谷工物件のうち、このユーイックがどの程度検査を受け持っているかを見てみましょう(検査機関は建築確認番号の記号から判別できます)。3月20日付の「住宅情報マンションズ」にマンションレポートとして紹介されている物件は120件(東京・神奈川・埼玉・千葉)あります。このうち、長谷工施工物件は31件と約1/4を占めています。これらの長谷工物件のうち、ユーイック建築確認を行っているのは20件と約2/3に上ります。因みに、その他11件は以下の通りです。

(財)日本建築センター…3件(ブライトヒルズ(東京都板橋区)、センティス(千葉県印西市)、エストリオいには野(千葉県印旛郡))
ハウスプラス住宅保証(株)…2件(レイディアントシティ印西牧の原(千葉県印西市)、グランヒルシティミレナ(千葉県習志野市))
(株)東京建築検査機構…2件(深大寺レジデンス(東京都調布市)、コロンブスシティ(マクハリタマゴ)(千葉県千葉市))
日本ERI(株)…1件(ユニヴェルシオール学園の丘(東京都町田市))
(株)東日本住宅評価センター…1件(レイディアントシティ向ヶ丘遊園(神奈川県川崎市))
ビューローベリタスジャパン(株)…1件(レーベンハイムサンシエルタウン(千葉県松戸市))
不明(建築確認番号記載なし)…1件(東京ユニオンガーデン(東京都東大和市))

何か、微妙にニュータウンっぽいところが多いような気がするのは穿った見方でしょうか? 東京建築検査機構が、本ブログで採り上げた問題物件2件のみ建築確認を下ろしているのも偶然なんですかね? 更に、姉羽元建築士絡みで行政処分を受けた4社のうち、指定取消を受けたイーホームズ以外の3社(日本ERI、東日本住宅評価センター、ビューローベリタスジャパン)がきっちりと入っているのもこれまた偶然? 偶然って恐ろしいですね。

因みに、ユーイックの20件中には、これまた本ブログで採り上げたグランドメゾン杉並シーズン(東京都杉並区)、ビーサイト(埼玉県川口市)の2件がきっちり含まれています。なお、住宅情報マンションズ全120件のうち、ユーイックが検査した物件は35件でしたので、長谷工比率は4/7(約57%)です。これを高いと感じるかどうかは、皆様にお任せします。

話は変わりますが、指定確認検査機関のうち、唯一株式公開している日本ERIの有価証券報告書(06/3期分はこちら)を見ると、面白いことが色々と分かります。制限業種(不動産・建設業等)の出資割合が27.8%に上ること(1/2未満であれば問題なしとされている)、株主の一社である大和ハウス工業向け売上高が823百万円(売上全体の13.2%)に上ること、単体決算書の売掛金上位に大和ハウス工業56百万円(残高の11.7%)、パナホーム24百万円(同5.1%)、前受金上位に大和ハウス工業49百万円(同14.8%)、パナホーム12百万円(同3.6%)が登場すること(他にも不動産業者が登場していますが、株主か否かが不明なので割愛しました)などです。独立性なんて、あったものじゃないですね。

同じようなデータをユーイックで集めたら、一体どうなるんでしょうね? どうやら、指定確認検査機関に対しては、徹底的な情報開示を強制する制度を作る必要があるのではないでしょうか。このような御用業者が、デベロッパー側に有利な検査ばかりしていたら、いくらでも違法建築が横行してしまいますから。

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お知らせ

本日、アクセスの伸びがすごいです。やはり、マンション建築着工断念に追い込んだ実例には、マンション紛争に関わっておられる方の関心が高いのかなと感じました。改めて、高層マンション問題に苦しめられている方の多さを実感せずにはいられません。

武蔵野市役所の方にも、是非このような実例があることを知っていただきたいと思います。アクセス解析の結果を見る限り、武蔵野市役所からの閲覧はないようです(判別不可に含まれているのかも知れません)が、市役所職員をご存じの方は是非教えてあげて下さい(都市整備部まちづくり推進課ならベストです)。そうしないと、こんなブログでも毎日のようにアクセスのある長谷工に負けちゃいますよ。何しろ、「長谷工+評判」なんてキーワードでまで検索したりしてるんですから。答えは「悪い」に決まってるじゃないですか、何を調べようってんでしょうね?

さて、どうでも良い話はこれ位にして、取り急ぎお知らせを一件。

吉祥寺東町の法政跡地問題について、3月26日(月)19時より住民集会が開催されます。場所は、武蔵野市立第三中学校の集会室(地下1階)です。今までの経過報告と今後の活動についての協議が行われるとのことですので、近隣で法政跡地問題にご関心をお持ちの方は是非ご参加下さい。平日の夜ということで、参加が難しい方も多いと思いますので、私もできるだけ参加して様子をお伝えしたいと思います。

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条例によるマンション建設断念事例

先日のエントリにコメントをいただいた方から、「千現1丁目の住環境を守る会のページ」というマンション建設断念を勝ち取った事例をご紹介いただきました。情報を補足した上でご紹介させていただきます。

先ずは、コメントでも紹介されていた3月17日付毎日新聞(地方版)の記事をご紹介します。

建築物規制:つくばの14階マンション、「駆け込み」着工断念 /茨城

◇反対派「住民の勝利」 今後は規制対象6階以下に縮小
 つくば市が20日から一部の住宅地で建築物の高さを18メートルに規制する前に、マンション建設に踏み切る「駆け込み工事」が相次いでいる中、同市千現1に14階建て(高さ43メートル)のマンション建設を計画していた事業者が、反対住民で作る「千現1丁目の住環境を守る会」(阿久沢忍会長)に、今月中の着工の断念を伝えていたことが分かった。今後は同市の「高度地区指定」を受けるため、事業者は高さを6階以下に縮小されるという。
 計画ではマンションは、地上14階、地下1階。同会によると、事業者が土地を取得したのは同年5月で、今年2月の着工予定だった。
 同会は昨年9月に計画を知り、建設反対を表明。また、同年12月には、予定地の解体作業日に、幅2・16メートル以上の車は地区内の道路を通行できない道路法を根拠に、トラックの搬入を阻止するなど、法律を駆使して、計画の縮小を求める運動を展開していた。
 計画撤回の理由について事業者側は「県の景観形成条例で定めている申請を規定の30日前にしていなかった。また、高度地区の施行もあり、住民の法令順守を求める声を守った」と話していたという。毎日新聞の取材に事業者側は「住民に説明した通り。特に話すことはない」と話した。同会は「住民の勝利だ」と語った。
 マンション問題に詳しい法政大法学部の五十嵐敬喜教授は「駆け込み工事は、事業者が強行するのがほとんどで、行政と市民の意欲が勝った結果。こういった例は珍しく、新しいルールになるのでは」と話している。【栗本優】



条例の内容は、つくば市HPの高度地区の決定についてで見ることができますが、規制の概要は以下の通りです。

市内中心部の住宅地(約九百九十ヘクタール)を「高度地区」に指定する(二十日以降に着工する建築物が対象)。但し、今後の開発が見込まれるつくば駅周辺などは、規制対象外。高度地区は、以下の3段階に分かれる。
・「第一種高度地区」(約五百ヘクタール)…建築物の高さを十八メートル以下に制限。
・「第二種」「第三種」…それぞれ建築物と隣との境界線の距離などに応じた規制を設ける。



つくば市は、一昨年8月のつくばエクスプレス開業と同時に、街並みの景観を乱す建築物の高さ制限などができる「景観行政団体」へと移行して、景観維持に力を注いでいるそうです。本条例もその一環のようですが、良好な住環境を維持するという観点からは賞賛されるべき動きだと思います。

話をマンション建設断念に戻しますが、要は、条例施行前に駆け込みでマンション建設を強行しようとした業者(タカラレーベン)が、形式的には「県の景観形成条例で定めている申請を規定の30日前にしていなかった」ことを理由に駆け込みの高層建築を断念したということです。

しかし、不道徳なマンションデベロッパーは、申請の不備など無視して建築を強行。法廷闘争に持ち込まれても、「建ってしまった建物を取り壊すのは不経済だ」という意味不明な理由に基づく(業者側に大幅に配慮した)判決を引き出すというのが常套手段ですので、この理由はいかにも不自然です。行政側の毅然とした対応に、計画変更を余儀なくされたというのが実情ではないでしょうか。

なお、同じくタカラレーベンですが、3月12日付で「『レーベンハイム川越サンシエナ』販売中止のお知らせ」がひっそりと会社のHPに掲載されています。都合が悪い内容ですから、そのうちひっそりと削除されるかも知れませんので、販売中止の経緯に係る部分をご紹介します。

 本マンションは、関係行政機関との事前協議を経て、平成18年8月4日付にて(財)住宅金融普及協会の建築確認を取得し、本年1月より建築工事を着工、平成20年6月完成を予定しておりましたが、平成19年3月5日に川越市建築審査会が「建築基準法上の一建築物一敷地の原則に反する」との理由で(財)住宅金融普及協会に対し本マンションの建築確認処分取り消しを裁決しました。
 当社といたしましては関連法令を遵守し適法に建築確認を取得したと確信しておりますので、今回の裁決につきましては極めて遺憾であり、現在行なっております行政をはじめとした関係機関に対する状況の把握と詳細の確認終了後、しかるべき対応をしていく所存です。

[これまでの経過]
平成18年7月3日 関係行政機関との事前協議終了
平成18年7月13日 指定確認検査機関(財)住宅金融普及協会に建築確認申請
平成18年8月4日 第H18確認建築普及協会00083号にて建築確認下付
平成18年10月11日 川越市建築審査会に審査請求される
平成19年3月5日 川越市建築審査会にて指定確認検査機関(財)住宅金融普及協会に対し「建築確認処分を取り消す」裁決
平成19年3月7日 (財)住宅金融普及協会より報告受ける



こちらも、要は、数の偽装のカラクリである「一団地認定制度」の適用を建築審査会の審査の結果として否定され、建築基準法上の「一建築物一敷地の原則」違反を理由に建築確認処分を取り消されたということです。業者側のモラルない設計に対して、行政側の牽制組織(建築審査会)が有効に機能したという実例ですね。マンションコミュニティの掲示板情報によれば、「日照と容積率をぎりぎりに設定するために、別棟を変な格好で斜めに建てて渡り廊下でつないで1棟だとごまかした。やることがせこすぎて、建築審査会で2棟だと判断されてしまった。2棟だと近すぎて、もう1棟の日照も奪うし、非常設備もそれぞれに要る。杭打ちまでやったけど建築確認取消しだからご破算だな」とのことです(既に公式HP等削除済で配棟計画は判明しませんでしたが、Googleのキャッシュから拾った画像で近隣無視の劣悪物件ぶりが窺えました)。極端な例かもしれませんが、一団地認定制度の乱用に対する警鐘として有効な先例となることを期待します。
(3/22追記:善良な一市民様のご指摘により、「一建築物一敷地の原則」違反を理由に建築確認を取り消された(一団地認定制度の適用拒否が直接の取消理由ではない)旨を明確にしました。また、敷地配置図もいただきましたのでアップしました。善良な一市民様、ありがとうございました)

敷地配置図
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外観
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眺望
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翻って、吉祥寺東町です。つくば市や川越市のような行政側の毅然とした態度は、今後の武蔵野市に期待できるのでしょうか。タカラレーベンの例は、規制を行うことが公表された後に駆け込みを意図して行われたものとしてより悪質であるとは言えますが、周辺環境を無視した高層マンションが建築されようとしているという点においては何ら変わりありません。是非、検討中の地区計画案を少しでも高さを制限する方向で再検討していただきたいと思います。

風向きは確実に変わり始めています。本当の意味で「市民が主役」となり得るような今後の対応を期待していますし、私たち市民も市への働きかけを強めていきたいと思います。

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(3)

ここ最近のエントリは、引用部分が多いため文章も長く、武蔵野市在住の方以外には無関係に思われるトピックも多いのですが、マンション紛争が発生した際の行政及び地方議会との関係において、少なからず参考になる部分もあるのではないかと考えています。一当事者として、法政跡地問題をもう少し違った方向に誘導できなかったものかという反省も踏まえて、もう暫くお付き合い願います(勿論、何か動きがあればそれについてご報告いたします)。

さて、今回は平成18年に入って最初の市議会(平成18年第1回定例会)の討議内容についてです。先ずは、大野まさき議員から長谷工に対する指導方針等についての一般質問がなされています。

大野議員:「法政一中・一高跡地問題についてです。この土地については、法政側から長谷工コーポレーションに売却されることになりましたが、市として今後、長谷工側へこの土地の利用に関して、どのような指導を行っていこうとお考えでいらっしゃいますでしょうか。」

邑上市長:「法政一中・高の跡地問題で、残念ながら長谷工が契約を結んだということでありまして、市としては本校部分はなかなか困難な面もあるけれども、記念講堂側の用地取得については今後もぜひ調整を、協議していきたいなという思いと。それから、一方で長谷工がこれから開発計画を出されてくるかと思いますが、それについては(中略)当然、周辺地域の住宅環境等を踏まえながら、宅開要綱に基づいて適正な指導をしていきたいというふうに考えます。」



引き続き記念講堂側の用地取得にこだわっている様子が窺えます。また、長谷工に対する行政指導についても、具体的な指導内容に踏み込んでおらず、やや中途半端な答弁である感は否めません。続いて、桑津昇太郎議員より、武蔵野市東部地区のまちづくりという観点から、法政跡地問題に対する一般質問がなされます。

桑津議員:「吉祥寺東町1丁目、3丁目にかかる法政大学第一中・高校の移転後の跡地については(中略)、あらゆる手段の再検討をし、前陳情を採択した本市議会の意思にこたえて、また住民の期待にこたえての、この用地の取得に向けて積極的な行動をとるべきと考え(中略)、邑上市長の御所見を伺います。
 また、同時に、本校舎跡地には大きなマンション建設の計画も考えられています(中略)。マンション建設の点についても、今後の対策に向けて市長の御所見を伺います。
 また、同じく法政のグラウンド跡地、ここは練馬区に位置しますが、吉祥寺東町との境にある大きなスペースであり(中略)、吉祥寺東町内の生活道路の通過車両問題を真剣に取り組んでいる地元にとっても大変大きな問題になるのではと考えており(中略)、この点についても市長の御所見を伺います。」

邑上市長:「法政一中・一高の移転の問題、跡地の問題につきましては(中略)、新たな土地所有者であります長谷工コーポレーションに対しまして、これまでの交渉経過を踏まえて、当該地区における住環境及び防災の観点からも必要な土地であると考える記念講堂側、テニスコートを含む西側用地を対象に、引き続き用地交渉を継続していきたいというふうに考えております。また、これから、まだ具体的な事業計画の提示はございませんが、開発計画に対しましては計画段階から地域住民の意向が反映されるように、事業者に対して働きかけたいというふうに考えております。
 法政高校のグラウンドも(中略)、吉祥寺東町の通過交通車両の問題に一層に影響を与えるのではないかなという心配もありますので、練馬区からもそういう開発の情報収集を図って、今後とも周辺の道路整備を含めて交通規制のあり方などを検討していきたいなというふうに考えます。」

桑津議員:「法政の跡地の問題で、この法政の跡地は(中略)、大規模公共公益施設だから60/200の適用がなされているということ。民間であれば、普通40/80というところが適用されているということをしっかりと法政大学、また長谷工コーポレーションに伝えられたと聞いておりますが、いま一度、その点について確認させてください(中略)。
 また、こういう状況下にあって(中略)、もう時間もないわけですから、速やかに具体的な手段を講じるというようなことを、お考えを再度お聞かせ願いたいと思います。」

邑上市長:「今までの経過から法政高の用途地域がああいう形で決まり、60/200%の建ぺい、容積になったという経過でございますが、その件は重々に法政もしくは長谷工の方に伝えてございまして、周辺環境の低層住宅地を守るという大前提のもとに計画をしてほしいということは申し入れてございますが、今後も開発計画が出される前から、地域の皆様の熱きいろいろな声を聞きながら、強く指導をしていきたいなということでございます(中略)。
 いずれにしましても、これからは相手が法政ではなくて長谷工になってきますので、用地取得の件、それから開発計画に対する指導の件、これを情報を地域にも出しながら、地域の声も聞きながら進めていきたいというふうに考えております。」



桑津議員は、流石に法政高校と同じ吉祥寺東町3丁目在住だけあって、この問題に対する関心が深いのか、かなり熱のこもった長い質問をしています(ので大幅に割愛しました。原文は議事録をご参照下さい)。邑上市長が表明している「強い指導」がこの後に見られないのは、今となっては非常に残念ですね。

この他、予算特別委員会の近藤和義委員長からの審査結果報告に、法政跡地問題についての言及が少しあります。

近藤予算特別委員長:「平成18年度武蔵野市一般会計予算、4特別会計予算及び1企業会計予算に関する予算特別委員会における審査の概要と結果について報告いたします(中略)。
13)法政大学第一中・高等学校用地について、今後の対応について伺う。
 答え、今後は、長谷工コーポレーションと交渉することになる。西側の土地について、長谷工コーポレーションと情報交換を月に一、二回行っている。」



どうも、市側の法政跡地問題は、西側跡地の取得のみになってしまっているようです。これに対する市議会側の追求はこの後どうだったのでしょうか。平成18年第2回定例会以降の議事録については、また後日。

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ベルディオ三鷹レジデンス

このところ、市議会の討議内容について振り返っていますが、かなり長いこともあり、ちょっと他の話題を。

先ずは、法政高校の向かいでこんな張り紙を見つけました。「長谷川コーポレーション」はご愛敬ですが、書かれた方の怨念がこもってそうな迫力です。当事者の方々は、ろくな死に方しなさそうですね。

張り紙
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さて、先日コメントを寄せて下さったすずかけさんの「双日による千葉市おゆみ野地区への巨大マンション建設に断固反対するブログ」を拝見していて思い出したマンションプロジェクトがありました。その名は、「ベルディオ三鷹レジデンス」。お約束の長谷工物件です。売主はおなじみプロバイスコーポレーションをはじめ、世界貿易センタービルディング、近鉄不動産といった面々です(何故わざわざほとんどマンション事業など手掛けていない貿易センタービルや、関西・中部地盤の近鉄グループまでが、悪徳・長谷工のパシリとなって害悪を撒き散らすのでしょうか)。

このマンションを思い出したのは、両者とも新日鉄社宅跡地に建設されるマンションだという共通点があるからです。新日鉄といえば「鉄は国家なり」という言葉でも知られる重厚長大産業の代表的企業です。そのような企業が、自らの都合で社宅跡地を不道徳なマンション業者に売却し、社宅が地域から受けた恩を仇で返すというモラル欠落ぶり。流石は、道路公団民営化委員会の委員長を務めていた時に、松田昌士JR東日本会長(当時)に「私と松田とでは経済界での格が違う」と言い放った今井敬会長(当時)のような傲慢な人間をトップに戴いていた企業だけはあります。社宅周辺の住民など、顧みるに足りない存在とでも思っているのでしょう。

話が逸れました。ベルディオ三鷹レジデンスです。例によって、周辺住民などどうでも良いという身勝手な設計ぶりが徹底しています。高さこそ8階建てと他の劣悪物件に比べて抑えられていますが、周辺に過度の圧迫感を与える城砦型である点はいつも通り。もういい加減、パティオだの何だのという欺瞞は止めにして欲しいものです。竣工引き渡し間近にも関わらず、一度に売り出す販売戸数は16戸程度。全360戸という巨大さにも関わらずです。売れ行きは今一つのようですが、身勝手な傲慢さのツケは、長谷工なぞに付き合った代償として、売主各自に身銭を切って購っていただくこととしましょう。

ベルディオ外観
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ベルディオ三鷹レジデンス
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南側が生産緑地のままなのも、どうなんでしょうか。何しろ長谷工のことですから、実は既に買収話をまとめつつあり、入居が完了すればすぐにでも新しいマンションプロジェクトを開始するかも知れません。長谷工物件で、大きな隣地があるマンションは要注意ですよ、購入検討されている皆さん。何しろ、眺望を売りにして分譲しながら、すぐに眺望の妨げになるマンションを建築し始めたような先例には事欠かかない会社ですから。

次回は、話を市議会にいったん戻そうと思っています。

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(2)

前回に引き続いて、市議会における法政跡地問題の討議内容を検証していきたいと思います。今回は、邑上市長就任後の最初の市議会である平成17年第4回定例会の一般質問の答弁を見ていきます。

先ず最初に法政跡地問題についての一般質問を行ったのは山本ひとみ議員で、取得財源の裏付け・利用計画等についての質問がなされました。以下、関連する部分のみ議事録から抜粋いたします。

山本議員:「市長は最近、吉祥寺東町の法政中学・高校の跡地の取得にも意欲的ですけれども(中略)、財源の裏づけの考慮が十分なされなかったのではないか(中略)、何にするのかという計画がそもそもあってやるのかということも問題にしなければいけないと思います。」

邑上市長:「公有地の取得に関しましては、どこでも購入するということはございませんので、きちんとまちづくりの計画あるいは位置づけを含めて詳細に検討し、必要な土地であると判断した場合に、今後とも土地開発公社を介して行うつもりであります(中略)。土地開発公社の問題は、(中略)民間の競争原理の中ではなかなか厳しいものがあるのではないかなというふうに思います。例えば、法政等の敷地に関しましても民間が相手でございまして、それはタイムリーな対応をしていくということから、土地開発公社の役割があるのではないかなというふうに思っております。」



この辺り、公有地取得の是非について、財源確保・取得目的についての質問が、土地開発公社存続の是非に論点が移ってしまっており、討議内容が今一つかみ合っていないことは残念です。

続いては、前回の討議経緯でご報告した西側跡地取得に関する陳情に対する総務委員会の討議内容に関連して、小林清章議員より関連質問がなされました。

小林議員:「1つ目に、(12月)14日に法政大学で理事会があったということも聞いておりますので、現時点の状況の説明と今後の見通しについて伺いたい(中略)。2つ目に、(中略)本市の財政状況をきちっと見きわめた上で、将来、取得しても大丈夫だという認識をした上での御答弁だと思いますが(中略)、財政状況についての突っ込んだ質問があったのかどうか。」

塩沢助役:「16日に法政大学の代理人でございますみずほ信託銀行の担当者の方から、理事会の結果について御報告がございました。それによりますと、(中略)現状での第1優先交渉先は長谷工コーポレーションとする。ただし、現在、公拡法に基づく土地有償譲渡の届け出の手続をしているので、買い取り申し出団体との協議が終了した段階で売却先を改めて決定するものとするということでありました。なお、長谷工コーポレーションから提示された3カ所の買い取り希望価格を議案資料として、額についてはわかりませんが、理事会に提出されたというふうに聞いております。
 今後、私どもといたしましては、委員長からの報告もございましたとおり、買い取りの希望を申し出をいたしまして、法政大学との間で鋭意協議をして、買い取りを進めていきたいというふうに考えております。」

邑上市長:「大変大きな額でございますので、財政上、非常にきちんとしなければいけないということで、準備段階で十分に調整した上で、来年度の調整計画できちんとした財政計画の中で位置づけをしたいというふうに考えております。」

小林議員:「1番目は、現時点では希望していくということはわかりますが(中略)、土地の所有者が市に相当協力する意向がないと、市の価格で買収は大変困難だということは当然予想されるわけですけれども(中略)、逆にこれがもし取得できない場合、これは関係市民に対して市長はどのように説明していかれるお考えか(後略)。
 それから、2つ目ですけれども、(中略)将来の健全財政を見きわめた上での判断と受けとめてよいのかどうか。」

邑上市長:「まず、1点目でございますが、なかなか今の時点では、確かに困難があるかもしれませんが、だからといって、手をおろすということは、それで終わりということになります。まだ可能性としてはゼロではないので、買うという前提で取り組むべきだと思っております。ただ、それが市民に対しては非常に期待感を持たせ過ぎるのではないかなというふうにお考えがあるかもしれませんが、私はそうではなくて、やはり買う姿勢を先方に、相手方に見せていくことが優先されるべきではないかなというふうに考えております。
 それから、財政問題も大変に厳しい問題でございますので、いろいろ私の提案しています、ほかのものも含めまして、これから厳しく、十分に議論しながら、やはり財政計画として位置づけるべきものは、来年度の調整計画の中できちんと位置づけをすべきだなというふうに考えております。」



この辺り、やはり土地購入の是非論に終始してしまっている点は、前に陳情に対する討論内容をご紹介したときと同じです。最後に、小林議員の質問を受けて、再度山本議員からの質問がなされました。

山本議員:「1点目の質問としては、先ほどの委員の質問とも似ているところはありますが、この法政大学の中・高跡地を購入する手法と資金手当ての方法。最大限、どこまでだったら出せると思っているのか。公拡法に基づく買い取り請求だということですけれども、土地開発公社を通してやるのか、資金手当ての方法はいつの段階で手当てをするのか(中略)。
 それから、2点目として、(中略)一体どういう優先順位で、ここに関してはかなり早い段階で全部買ってもいいという前向きな方向を出したわけですけれども、それはどういう判断で、ここに関しては優先して買う必要があると判断したのか。」

塩沢助役:「法政一中・高の跡地の取得につきましては、土地開発公社でとりあえず購入いたしまして、土地開発公社で資金につきましては借り入れをして購入すると。それから、その後、使用の方法等について、ある程度固まってまいりましたら、国の方の補助金等も要望いたしまして、そういう補助金を活用しながら市の方に移していくという形になろうかと思います。(中略)吉祥寺地区につきましては、まだまだ公共空間や緑地が不足している地域でございますので、この地域についてはできるだけ購入する部分を拡大していきたいというふうに考えております。」

山本議員:「土地開発公社を通して、とりあえず公拡法で土地を押さえたいということなんですけれども(中略)、要望の内容がはっきりしていて、しかも財政的にもそれほど負担でないと思えることに関しては、積極的に出ることは十分わかります。しかし、(中略)とりあえず具体的な計画は後でつくって、本校舎も押さえたいということなんですか。
 それから、ほかとの比較に関して、市長自身の判断はどういうものなんでしょうか(中略)。大型のマンションに関しては反対運動にいろいろ参加してきました。ですから、高さ制限などをかけたらどうかみたいなことも前の市長に言ってきたわけですよ。ですけれども、そういうような都市計画の関係で、土地を何でもかんでも買うというようなことをやっていって、本当に市として責任が持てる財政運営ができるのか。」

邑上市長:「法政一中・一高の敷地につきましては、吉祥寺の地域特性からオープンスペースを確保したいということと同時に、例えば貯水槽を含む防災の拠点として、しっかりとしたものが欲しいということで希望しているということでございます。だから、目的があるわけでございますので、ほかの敷地についても目的なり理由がない限り、購入する意思はございません。」

山本議員:「それでは、再度お尋ねいたしますけれども、防災の拠点をつくりたいというふうにおっしゃいましたが、それはこの1万3,000平米、全部必要なんでしょうか(中略)。それから、この地域がどうしてもほかの地域よりも優先されて、お金を何十億円出しても必要なんだというふうに思っている、その理由というのをお聞かせいただきたい。」

邑上市長:「それだけの広さがあれば、例えば貯水槽についても非常に設置がしやすいということと、それだけの規模のオープンスペースがあれば、いろいろな利用ができるんではないか。避難広場を含めて、そういう利用ができるんではないかというふうに判断しております。
 土地の買い方は、先ほど塩沢助役が言ったとおりで、土地開発公社で購入していくので、その後、補正等できちんと予算をつけていくということですね。
 それから、優先順位等については、緊急性が私、あるというふうに判断しております。この吉祥寺地域の防災上の拠点として、必要性が高いという判断をしているので、かつ、そういう土地が今、動き始めたということで、それはタイムリーに対応しなければ間に合わないという判断をしたから、このようなことで購入を希望しているわけでございます。」



山本議員、惜しいですね。折角、高さ制限等に切り込んでおきながら、それに関する答弁は引き出せず終いでした。ここで何らかの高さ制限に関する言質を取っておけば、後の地区計画に対する市の素案の段階で反証材料にもできたでしょうに。

邑上市長就任後初めての市議会ということもあったのかも知れませんが、全体的に市長の発言の実現性等を問い質すような質問が多く、法政跡地問題をどのように解決に導いていくのかという観点からの議論は見出せませんでした。次回以降、平成18年以降の議会での討論の様子を振り返りたいと思います。

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市議会における法政跡地問題討議経緯について(1)

法政跡地問題について色々と調べていくうちに、どうもこの問題には途中において様々なボタンの掛け違いが存在しており、結果としてそのツケを周辺住民が負う羽目になりつつあるのではないかという疑念を持ったことは、前のエントリでも書きました。今回は、市議会における法政跡地問題の討議内容を検証することで、その点に迫ってみたいと思います。

武蔵野市のHPでは、市議会の議事録を閲覧することができます。このページは、単に閲覧するだけでなく、任意の単語で検索ができますので、ここでは「法政」、「長谷工」などの単語で検索を行い、必要な箇所を閲覧すれば良い訳です。便利な世の中になったものだと、しみじみ実感します。

さて、議事録に法政跡地問題が初めて登場するのは、平成17年第3回定例会において、「法政大学第一中・高等学校(移転後の)記念講堂及びテニスコート(取得)に関する陳情」という2件の陳情が議題とされた時です。陳情の内容は以下の通りです(2件ともほぼ同一内容の陳情ですので、片方のみご紹介いたします)。

(陳受17第14号)
「法政大学第一中・高等学校移転後の記念講堂及びテニスコート取得に関する陳情」
(受理年月日)平成17年8月29日
(陳 情 者)吉祥寺東コミュニティ協議会
(陳情の要旨)
 吉祥寺東町3丁目所在の法政第一中・高等学校が、2年後には三鷹市内に完全に移転する予定と聞いております。現状において法政通りにより本校舎と分離されている吉祥寺東町1丁目側に所在する施設のうち、記念講堂とテニスコートを市で取得し、市民に開放してください。
 法政通りを挟む吉祥寺東町1丁目、3丁目及び法政通りの突き当たる女子大通り北の吉祥寺東町2丁目エリアは、第3中学校校庭を除けば、公園にも空き地にも恵まれません。今まで残っていた畑など、ある程度の広さがある空き地も急速な宅地化により減少の一途をたどっており、残り少ない貴重な空間であるこのテニスコートを確保していただきたいと願っております。
 また、記念講堂に関しては、吉祥寺駅から西荻窪駅行きの定期バスの停留所から20メートルほどで、アクセスのよい所にある施設です。使い方によっては現状の建物のままでも高い利用度が見込めます。
 テニスコートと記念講堂の2カ所をぜひとも取得し、市民に開放していただきたく、陳情いたします。



この陳情については、付託された総務委員会において討議され、その結果が平成17年第4回定例会において水野総務委員長より報告されています。その内容を第4回定例会の議事録から引用いたします(やや長いですが、この内容がその後の議論の流れに大きく影響しているように思えますので、本筋と関係の薄い質問の答え以外はそのまま引用します)。

「この間の主な質疑は次のとおりで、市長、担当部課長から答弁がありました。
1)市では、この移転問題をどのように受けとめているのか。
 答え、まちづくりの面で大きな障害にならないようにしなければと考えている。また、この部分に都市計画道路の計画があるので、それも含めて検討していかなければならないと考えている。
2)都市計画道路は、どこに、どのぐらいあるのか。
 答え、南北に3・4・13号線という幅員16メートルの道路が、また3・4・11号線、通称女子大通りにも幅員16メートル道路が都市計画道路として昭和37年に計画決定している。
3)移転後の土地がどうなるかについて、学校側から聞いているか。
 答え、今後、学校側の考えを聞いていきたい。また、まちづくりの観点から、特に優先的に話をしてほしいと伝えていきたい。
4)防災公園などの防災拠点とする考えはあるのか。
 答え、吉祥寺東町の地域は、非常に家屋が密集していて、オープンスペースを含めた防災拠点的なものも必要ではないかと考えている。
5)もし、市がこの土地を取得した場合に、記念講堂はそのまま使えるのか。
 答え、(略)。
6)本校舎が建っている土地を買うという考えはあるのか。
 答え、今後検討すべきと考えている。

結論を出しました平成17年12月12日の本委員会での主な質疑は次のとおりで、市長、助役、担当課長より答弁がありました。
1)公有地拡大法の手続について伺う。
 答え、(略)。
2)武蔵野市は、土地購入の申し込みを行うのか。もし購入する場合、利用計画をどう考えているのか。
 答え、できれば市としては確保したい。ぎりぎりまで協議は続けたいと考えているので、買い取り希望の申し出は行うつもりである。買い取った場合の跡地の利用は、女子大通りに面している部分は、公園、雨水対策の貯留施設等の下水道施設を考えている。
3)今後の交渉の中で、どこか1カ所だけでも確保する考えはあるのか。
 答え、3カ所、それぞれ買い取り希望の申し出を行う。また、法政大学の理事長には直接お会いをし、今までの学校としての公的な利用を武蔵野市として引き継ぎたい旨をお話しした。もし、一方で民間に渡ることがほぼ決まりそうであれば、きちんとしたまちづくりのルールを提示していきたい。
4)この場所の用途を変更することは可能か。
 答え、用途変更は不可能と考える。本市では、指導要綱をもとにまちづくりの必要性を訴え、任意的に指導していく形になる。
5)今後の市としての動きを伺う。
 答え、まずは、買い取りの申し出は行うつもりである。相手があることではあるが、その間にとり得る方策を提示していきたい。
6)三中のテニスコートについて、教育委員会としてどのように把握しているのか。
 答え、(略)。

以上で質疑を終わり、討論に入りました。討論者は2名で、いずれも賛成討論でした。
討論の趣旨を御紹介しますと、民間に太刀打ちするのは大変難しいことは承知しているが、市長が前向きなことや、地元の方の熱意もあり、購入に市としても努力していただきたく、賛成する、というものでした。
以上で討論を終わり、採決に入り(中略)、いずれも全会一致で、全体計画並びに財政勘案の上、善処されたいという意見をつけて採択すべきものと決しました。」



ご覧いただけばお分かりの通り、法政跡地を武蔵野市が取得するかどうかが議論の焦点となっており(市による跡地の取得に関する陳情ですから当たり前ですが)、市が取得した際にどのように利用するかが主に議論されています。この議論の流れは、この後の市議会においても「市による公有地の取得の是非」という問題として、再三にわたって議論されていくこととなります。特に、西側跡地(記念講堂、テニスコート部分)を取得して、防災の拠点として地下貯水槽を備えた公園としたいという、この後の市の基本的スタンスはこの時期に形成されたものと思われます。

ここに、先ずもってボタンの掛け違いがあったように思えてなりません。優先されるべきは吉祥寺東町の住環境の悪化防止にある筈なのに、市の施策に役立てたいという観点からの公有地取得の可否に力点が移ってしまい、更にそれが「出物があったから取り敢えず買っとく」という土屋前市長の政治手法とどこが違うのかという形で、邑上市長の政策攻撃にまで及んでしまいます。

勿論、結局長谷工が取得することとなって以降は、依然西側用地の取得問題はくすぶり続けるものの、校舎側の高層マンション建築阻止をどのように実現するかという議論も熱を帯びていきます。しかし、肝心の行政サイドが、前述した「西側用地取得による市政の課題(東町地域の防災拠点・地下貯水槽としての活用)解決」という基本方針を優先していくようになるのは、この時点で決定付けられたような気がします。もう少し何とかならなかったのかなと、今更ながらに思ってしまいます。

なお、用地の一部(具体的には西側跡地の西半分程度)が都市計画道路として計画決定済であることも報告されています。計画決定済である以上、この部分には建築制限がかかります。具体的には、武蔵野市の場合、「『都市計画道路・公園・緑地の区域内』における建築制限について」によると、近い将来事業化が見込まれていない都市計画施設区域内については、平成18年7月1日以降、木造等で階数3以下(地階を有しない)の建築物までに制限されていることが公表されています。つまり、都市計画道路部分にはそもそもマンションは建築できない(実際、長谷工が協議会に開示している図面ではこの部分は駐車場になっている)ので、西側跡地は長谷工にとって使い勝手の悪い土地な訳です。この西側跡地の取得を、校舎跡地に高層マンションを建てることの(実質的な)交換条件とすることは、長谷工側としてはむしろ好都合とも言えるのではないでしょうか。公用地取得に固執して、本来のまちづくりの観点から規制を行うことを躊躇してしまったのだとしたら、そのツケは非常に大きなものだったと言わざるを得ないでしょう。

都市計画道路


大変長くなってしまいました。次回は、平成17年第4回定例会以降の討議内容について検証していきます。

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長谷工と不愉快な仲間たち

法政跡地問題の経緯、武蔵野市や市議会の対応について分析を行っていますが、そもそもの諸悪の根源たる教育機関としての矜持のかけらもない法政、そして建築紛争を起こすことを自らのレーゾンデートルとする最低事業者・長谷工については、表立った動きが少ないため、あまり採り上げてきませんでした。それでは片手落ちだと思い、先ずは長谷工について分析を行ってみたいと思います。

長谷工問題に関心をお持ちの方ならご存じの通り、長谷工は二度にわたる銀行による債権放棄(正確には二度目は債務の株式化)を受けたどうしようもないゼネコンです。本来はとっくの昔に潰しておけば、これ程社会に迷惑をかけ続けることもなかったのですが、銀行の不良債権処理の都合上か、潰さずに債権放棄という形で生かされてしまいました。なお、債権放棄の問題については日を改めて詳しく考察してみたいと考えていますが、長谷工のメインバンクは大和銀行(現・りそな銀行)です。りそなと言えば、2兆円もの公的資金が注入された銀行で、長銀や日債銀のように一時国有化という明確な形態は取っていないものの、実質的に国有化された銀行です。つまりは、長谷工の債権放棄には巷間言われるところの国民の血税が使われている訳です。恩を仇で返すとは正にこのことでしょう。

そんな長谷工ですが、債権放棄の代償として策定した再建計画の中で、マンション建設への特化を打ち出します。この点、長谷工はマンションデベロッパーではなく、マンション建設に特化したゼネコンなのです。では何故、そのゼネコンである長谷工が建築業者としてだけでなく、用地を取得して、マンションプロジェクトの遂行主体として登場してくるのでしょうか。

実は、長谷工は単にマンションデベロッパーから建築を請け負うだけの存在ではなく、自ら仕入れた土地に建築プランまで用意して、デベロッパーにそれを提案しているのです(特命受注方式と呼んでいます)。よくマンションは用地情報が命などと言われますので、既に物件を確保している長谷工側が強者の立場となり、通常の建築請負と比較して長谷工の言い分が十分に通ることとなります。普通は民間建築を請け負うゼネコンは工事欲しさに受注額をたたかれてしまいますが、物件は長谷工が押さえていますので、デベロッパーは長谷工の言う条件を呑むしかありません。近時の長谷工の受注は、ほぼ100%がこの特命受注方式であり、長谷工は清水建設などの大手4社を上回る収益性を誇るようになっています。

これだけ見れば、見事な再生事例でしょう。しかし、話はそんなきれい事だけで終わろう筈もなく、この特命受注方式が長谷工が建築紛争を起こしまくる最大の原因なのです。長谷工が厚い利ざやを確保するということは、デベロッパーが余程薄い利ざやで我慢しない限りは周辺相場より高いマンションが出来上がってしまいます。それを覆い隠すために、長谷工は学校跡地や企業の社宅・グラウンド跡地などの大規模用地を買いあさり、そこに違法すれすれ(というよりは脱法)設計によるマンションを建築するというやり方に走ったのです。

この辺りは、以前にもご紹介した岩波新書の「建築紛争ー行政・司法の崩壊現場」や、同じ著者による「『都市再生を問う』ー建築無制限時代の到来ー」に戸数水増しのカラクリが詳しく解説されていますので、是非ご一読いただきたいのですが、簡単に言えば「一団地認定制度」という制度を悪用し、個別の建物を渡り廊下で結んだだけで一棟の建物として認定されるという理屈をもって戸数の水増しを図っているのです。その割合は、同書でも紹介されている都立大学跡地に建設された環境破壊型マンション「深沢ハウス」の場合ですと、本来は269戸しか建築できないものが772戸(実に3倍近く)まで増加するのです。正に現代版・錬金術です(この他にも、地下部分や共用部分の容積率不算入などの意味不明の特典も心ない業者に悪用されまくっており、特に地下マンションについては、傾斜地の多い神奈川県などで非常に多くの係争案件となっています。また、当然ながら、モラルのない長谷工は、吉祥寺東町のマンション建設計画でもお約束のように地下1階の住戸を予定しています)。

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この事例における長谷工の確信犯ぶりが現れているのが、土地の入札価格です。都が付けた参考価格190億円に対する入札結果は、
 1. 長谷工グループ(計8社) 265億円
 2. 大京グループ 210億円
 3. 野村不動産グループ 208億円
という、2位以下を大きく引き離すものでした。入札時点で、脱法設計を行う前提で入札した姿勢がありありです。吉祥寺東町の法政跡地でも、正式な価格は不明ですが、市の提示価格の2倍程度で購入したと言われています。まったく、建築紛争の絶えないマンション業界の中でもダントツで評判が悪いのも頷けるというものです。おそらく、長谷工の内規では「近隣紛争が起きないような建築計画は甘すぎるので再考すべし」とでもなっているに違いありません。

そして、このようなならず者長谷工から持ち込まれた物件を、長谷工の言いなりになって販売する情けないデベロッパーが後を絶ちません。長谷工のHPの中には竣工作品として主なマンションが紹介されていますが、三井不動産、住友不動産といった財閥系から、NTT都市開発、新日鉄都市開発、有楽土地(大成建設の子会社)といった大企業の関連会社、そしてコスモスイニシア(旧リクルートコスモス)、野村不動産のような業界大手まで、様々な企業が建築主として紹介されています。

これらの企業の多くは、長谷工の問題ある設計の結果として近隣紛争が生じる可能性が高いことを知りながら販売業者として名乗りを挙げた訳ですから、いわば長谷工と同罪です。最近では、自社の物件開発力の弱いデベロッパーが長谷工持ち込み案件を積極的に手掛けるような傾向すら散見されます。新日本建物、プロバイスコーポレーション、総合地所、双日(旧日商岩井不動産)などがよく見かけるお得意さんでしょうか。このような存在意義のないデベロッパーが無駄に多数あることが、長谷工をのさばらせている一因かも知れません。マンション紛争を根絶するためには、マンション業界そのものに抜本的な浄化策が必要不可欠なのではないでしょうか。

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邑上市長のスタンスは?

相変わらず、法政跡地問題に大きな動きは見られず、経過報告を期待されている方々には申し訳ない状態が続いています。おかげさまで、マンション乱開発は止まることを知りませんので、書くネタには困らないのですが、そればかり書き連ねるのも何なので、本日はちょっと本筋に近いお話を。

法政跡地問題に限らず、行政の長たる市長には強いリーダーシップが求められていることは、皆さんご承知の通りです(とはいえ、あまりに独善的になり過ぎると石原都知事のような裸の王様になってしまいますので、バランスが大事ですが)。この点、少なくとも邑上市長には現在までのところ、リーダーシップを発揮される場面が見受けられないのは残念なところです。以前のエントリでご紹介した通り、議会の与野党逆転等も影響しているのかも知れませんが、市民のための政治によって市民の力を味方に付けるべく、頑張って欲しいと思います。

さて、そんな邑上市長ですが、法政跡地問題についてはどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。懇談会や説明会では建前論以上の話が出てきませんので、ちょっとそれ以外の部分で検証してみたいと思います。

武蔵野市役所のHPに、こんにちは市長ですというページがあり、その中に「市長の活動日誌」というコーナーがあります。(多少遅れるものの)ほぼ毎日記載されており、いわば市長のブログみたいなものです。

内容は、日々の活動記録がほとんどですが、トピックの採り上げ方に市長の関心事項が現れており、武蔵野プレイス、外環道、吉祥寺北町の水害問題といった事項に関連する内容が多いようです。その中で、法政跡地問題ないしそれに関連する話題も度々登場します。以下、その部分を時系列的に引用してみます。

平成18年6月19日(月)「建設委員会」
建設委員会では,法政一中・高の移転に伴う「まちづくり条例の早期制定・施行に関する陳情」(中略)などについて質疑が行われました。まちづくりのルール化や規制誘導手法,敷地の公有化など大きな課題が議論されました。公共利用のために必要な土地は購入していきたいのですが,吉祥寺の土地価格は高騰し,民間との価格競争は困難な状況です。隣接する民地と市有地とを共同で活用するような工夫も合わせて考えていきたいと思います。土地利用の誘導については,現在まちづくり条例制定に向けた検討を進めていますが,地域の皆さんの発意による地区計画などの活用も期待されます。

平成18年9月23日(土)「秋の運動会」
(前略)法政第一中高校の文化祭にも伺いました。男子校(来年の移転時には共学になるとのこと)ですが,女子学生の来校も多く,大変にぎやかな文化祭でした。副校長先生にお会いし,移転後の跡地については,民間事業者のマンション計画に対して,十分に地域の環境に配慮するよう事業者に伝えてほしい旨申し入れました。学校としても,地域の要望は聴いているので事業者には伝えていきたいとのことです(後略)。

平成18年10月29日(日)「子どもがつくるまちミニ・ミュンヘン」
(前略)夜には,吉祥寺東コミセン主催の法政跡地地区計画に関する懇談会に参加しました。10月2日に地元から地区計画の申出素案が提案され,その取り扱いやまちづくりに関する意見交換の会合です。地域の環境を守りたいとする皆さんの意見をいただきました。今後,開発予定業者とも協議調整しながら市としての地区計画原案をまとめ,地区計画の制定を目指したいと思います(後略)。

平成18年11月26日(日)「市内一斉清掃と落ち葉の感謝祭」
(前略)夕方からは,茅ヶ崎市で開催された,まち景まち観フォーラム・茅ヶ崎10周年記念シンポジウムに参加。まち景まち観フォーラムは,茅ヶ崎の景観まちづくりに取り組む市民団体で,私が都市プランナー時代に茅ヶ崎市景観基本計画づくりをお手伝いしたころに結成された団体です。富士山の眺望点調査やマンション問題への取り組みなど,市民の視点で実際の景観づくりに多くの成果を上げています。武蔵野市でもこのような団体が結成されて,活動されることを期待しています。

平成18年12月11日(月)「農産物品評会表彰式」
法政大学第一中・高校移転跡予定地周辺での地区計画成立前に、民間事業者が建設着工しないよう、売主の法政大学に要望書を提出しました。引き渡しは夏以降を予定するとのこと。強引に地区計画を決定するのは避けたいと思いますが、まちづくりの視点を踏まえて、地区計画原案を提示していきたいと考えています(後略)。

平成19年1月21日(日)「小中学校書初展」
(前略)夜は,法政第一中高跡地の地区計画の考え方について,地区計画協議会や地元の皆さんとの懇談会が第三中学校で開催され,300名ほどの方が集まりました。市の考え方を説明しましたが,特に高さについて反対の意見が多くあげられました。地区計画制定までの時間が少なく,大変厳しい状況ですが,地元の皆さんにご理解をいただくよう努めていきます。

平成19年2月6日(火)「本宿コミセンでのタウンミーティング」
本宿コミュニティセンターにおいて,第10回市民と市長のタウンミーティングを開催しました。地域のテーマとして,大きくは,[1]住みよい環境づくり,[2]安全・安心なまちづくり,[3]大規模開発への対応,をもとに意見交換をしました。法政一中高跡地問題や外環問題などを抱える地域だけに,それらに関しても多くの意見があげられました。法政一中高跡地については,地元から提案された地区計画案をもとに市の原案づくりを進めています。沿道は15m規制で奥まったところは25mまで高さを許容するものです。容積率をカバーできる基準なので,事業者には理解を求めたいと思います。

平成19年2月10日(土)「吉祥寺東町地区計画素案説明会」
法政一中高移転跡地周辺に関する地区計画の素案の説明会を開催しました。昨年10月に地元の皆さんからの地区計画提案があり,その提案をもとに市の考え方を示したものです。地元協議会の提案は地区全体の建築物の高さを一律15mに制限する案ですが,市の案は法定容積率の充足と,かつ沿道の圧迫感の低減を図ることに配慮して15m~25mの制限としています。協議会の皆さんからは依然として反対する意見が多くあげられていますが,開発事業者を含む地権者の合意を得ることが必要であり,今後さらに,該当地区の地権者に理解を求めていきたいと思います。

平成19年2月13日(火)「建設委員会」
建設委員会では,陳情審査の後,吉祥寺グランドデザイン委員会の終了と21日に開催される都市計画審議会について報告しました。都市計画審議会での案件は,法政一中高跡地周辺の吉祥寺東町地区の地区計画素案についてです。素案には2月10日の住民説明会でも,多くのご意見があり,この委員会でも地区計画の成立を心配する意見が出されました。市の素案の考え方は,申し出案を十分に踏まえるとともに,法政跡地に対しては市が今までのまちづくりで指導してきた基準を満たし,かつ用途地域で定められている容積率が確保可能な範囲で設定したものです。高さ制限は15mと25mを併用し,高さ15mを超える建築物は4mの壁面後退を規定するもので,安全な歩道空間や緑地空間の創出を可能とする案です。この案であれば,地権者の財産権の侵害,公平性にも配慮したものとして,事業計画上は厳しい面もありますが,事業者の理解を得られるものと確信しています。地域の皆さんにもぜひご理解をいただきたいと思っています。



あまり本音らしいものは見られませんが、気になる点が散見されます。先ず、「地域の皆さんの発意による地区計画などの活用」に期待しており、且つ、「マンション問題への取り組みなど,市民の視点で実際の景観づくりに多くの成果を上げてい」る茅ヶ崎の市民団体(まち景まち観フォーラム)を紹介しているにも関わらず、具体的な地区計画素案については「開発予定業者とも協議調整し」、「事業者の理解を得」ることを重視されています。また、「地権者の財産権の侵害,公平性にも配慮し」、「開発事業者を含む地権者の合意を得ること」を重視するなど長谷工への過剰な配慮が見受けられます。公平性に配慮するというなら、一方的に景観、日照、風害等で財産権を侵害される周辺住民への配慮との権衡を図ることが必要だと思うのですが、その辺りはどうなのでしょうか。

確かに悪法も法であり、長谷工のような悪徳事業者でも正当な範囲内の権利は保護してやる必要はあるでしょう。しかし、間違ってはいけないのは、奴らは最初から権利の乱用を企図した不道徳事業者だということです。そのような権利に対してまで、規制を行う立場の行政サイドが過剰な配慮を見せる必要があるのでしょうか。少なくとも、私はそれは行政のあるべき姿ではないと思います。一種低層地域に高層マンションが建つ姿が、あるべき「まちづくり」だとは私にはとても理解できません。

今回の問題は、建築着工前に規制をかけることも十分可能な時間的余裕がありました。何か、ボタンの掛け違いが途中であったと思われてなりません。今からでも間に合いますので、本来行政が発揮すべきまちづくりに対する指導的役割を存分に発揮していただきたいと思います。それが、「地域の皆さんの発意による地区計画などの活用」に応える道ではないでしょうか。

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城砦型マンションの問題点

色々と他の問題マンションを採り上げようと思っているのですが、あまりにも問題物件ばかりなので、どれをご紹介しようか迷ってしまう位です。最近、新聞等に販売広告が掲載された物件だけでも、
広尾ガーデンフォレスト…日本赤十字社による広尾地区再建整備事業による大規模マンション(最大18階建て)。隣接する東京女学館をはじめとする周辺住民による行政訴訟が進行中(東京女学館は和解により訴訟取り下げ)。
マスタービューレジデンス…旧あさひ銀行(現りそな銀行)社宅跡地の大規模マンション(15階建て)。
など、周辺環境と調和しない異質な建築物が目白押しです。

この他にも、ご紹介しきれない位いっぱいあるのですが、きりがないので追々ご紹介することとして、本題に入りたいと思います。

最近建築される大規模マンションの配棟計画等を見ていると、一つの傾向があることが分かります。それは、「コの字型」や「ロの字型」に建物を配置した、いわば城壁型マンションが非常に多いということです。特に、上でご紹介した2物件は、やや小高い丘に位置していますので、まさに中世ヨーロッパの城砦都市のようです(そんないいものじゃありませんけど)。

ガーデンフォレスト
広尾ガーデンフォレスト、クリックで拡大)

マスタービューレジデンス
マスタービューレジデンス、クリックで拡大)

これには、はっきりとしたデベロッパー側の販売上の理由があります。それは、マンションのオートロックの中に「中庭」を配し、外部からの不審者侵入を防いで、住環境(特に子どもの遊び場)の安全が守られていることをアピールポイントにする、ということです。こちらの「教育ニュース」でも、「防犯で選ぶ 中庭見守る城壁型」として、そのことが紹介されています。

例えば、先程のマスタービューレジデンスの住棟計画には次のような記載があります。

「天然の要塞」と多角的な護り。

天然の要塞ともいえる地形に、メインエントランスの両翼にのびる高さ3mを超える石壁や、敷地を取り囲むように張り巡らされたセキュリティフェンス。
数十台の監視カメラと、ゲートキーパー(門番)を365日配置した、セコムによる邸宅全体に向けた監視システム。エントランス部・各住棟部・各住戸玄関廻りに及ぶトリプルロックシステムを採用。
私邸内においては、全住戸の窓と玄関ドアに防犯センサーを設置し、「やすらぎの邸宅」を重層的に護ります。



要塞ですか。確かに、周辺環境に与える威圧感は要塞並みです。天然すぎて笑うしかありません。また、コロンブスシティという幕張のマンションの公式サイトには、次のようなそのものズバリの記載があります(因みに、本物件は今日ご紹介する中では唯一の長谷工物件です。劣悪物件をご紹介すると、どうしても登場してしまいますね、この不道徳業者は)。

「豊かな緑と安心を包む、21世紀型の配棟計画。」

石:様々なプランを検討したのですが、開放的な海のオーシャンビュー新都心のアーバンビュー四季を味わえるガーデンビュー、それぞれに変化のある眺望を得られるということで、最終的にこの形になりました。 中庭側の住棟は、緑を眺められると同時に、中庭で遊ぶ子供たちを見守ることができる安心感もあります。

染谷:この形状を見た時に、近代的な都市と安心を重視したヨーロッパ中世の城砦都市の2つの良さをあわせもったプランだと感じましたね。 20世紀初頭に建築家のコルビュジェが発表した近代都市の構想は、建物を高層化して足元を豊かな緑で包み、都市を高速道路のネットワークで繋ぐというものでした。これは、幕張新都心の都市計画と同じ発想です。一方で、中世ヨーロッパでは、城壁に囲まれた安心な街づくりが行われていました。住棟で中庭を守る【コロンブスシティ】の計画に通じる考え方です。 今回の計画は豊かな緑と安心を兼ね備えた、21世紀の新しい街と言えるのではないでしょうか。

コロンブスシティ
(クリックで拡大)



自画自賛ぶりも笑えますが、我田引水ぶりにもあきれ果てます。引用しているコルビュジェの都市計画は、人口過密で環境の悪化する近代都市に対するアンチテーゼとして発表されたものです。周辺環境を無視して、「自分良ければ全て良し」という建築物を称揚するものではありません。また、城砦都市は確かに外敵に対する護りを重視したものですが、周囲に低層住居が存在したりはしません。比較事例として不適切です。

こうした安全を売りにしたプランニングは、決してマンション固有のものではなく、コモンステージ吉祥寺「桜の杜」や、Brillia Terrace 三鷹の杜などの、大規模戸建分譲にも見られる傾向です。不審者の問題など、安全が問題となっているご時世ですから、ある程度は仕方ないのでしょう。

しかし、こうした戸建分譲と城壁型マンションが決定的に異なるのは、自らの安全性を売りにすることで、周辺環境への威圧感が格段に増す城砦型の建物を建て、近隣住民への一方的な犠牲を強いていることにあります。また、本来、地域全体で考えるべき安全性の問題も、周囲と隔離されたスペースを設ければそれで良しとしており、(入居した住民は意図していないかも知れませんが)近隣住民との交流を隔絶するというやり方は、マンション住民と既存の住民の融和を阻害するものだと思います。

マンションデベロッパーは、本当に周辺環境と調和する建物とは何なのかを、もう一度真剣に考えて欲しいと思います。そうでなければ、広告の中に「環境」とか「調和」といった用語は使わないでいただきたい。そう強く思います。

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新築マンションは割高?

最近、おかげさまでアクセス数が順調に伸びています。検索エンジンから来られる方がほとんどなのですが、マンション紛争リンクの「ハセコーマンションとたたかう(たたかった)仲間のページ~世界一ビッグなハセコー紛争リンク集!」にご紹介いただいてから、そちらのリンクをたどって来られる方が一番多くなりました。善良な一市民さま、ご紹介ありがとうございます。他のリンク先も、是非一度ご覧下さい。長谷工社員も上記サイトからこのブログに来ている位ですから、長谷工問題を考える上では格好の材料です。

因みに、上記リンクは「町田市玉川学園のマンション紛争を考える」というサイト内のコンテンツです。同サイトでは、「ユニヴェルシオール学園の丘」という日本IBMのグラウンド跡地に長谷工が建設した巨大マンションについてのサイトです。ユニヴェルシオールについては、既に竣工・入居済の物件ですが、何故あれだけ広大な敷地がありながら、敷地内の環境に対する過剰なまでの配慮を、周辺環境に対する配慮に振り向けたプランニングができないのかと、心底不思議に思います。そうすれば、無駄な紛争もなく、いつまでも売れ行き不振で金利負担ばかりが増すこともないでしょうに… もっとも金利を負担しているのは、メインの売り主であるナイスやプロバイス・コーポレーションだから、長谷工には関係ない話ですか。周辺住民だけでなく、同業者にも冷たいって訳ですね。

ユニヴェルシオール
(クリックで拡大)

前置きが長くなりましたが、今日は、新築マンションの価格設定について少し考えてみたいと思います。新聞等で、マンション用地が不足しており、土地の仕入れコストが上昇している(その結果、販売価格の上昇も予想されている)ことは目にされたことがあると思います。しかし、業者側が喧伝するほど、現在のマンション販売は好調とは思えないことは、以前のエントリでご紹介した通りです。

更に、ここでは、いかに新築マンションの価格設定に妥当性がないかについて考えてみたいと思います。

住まいは、普通の方にとって借りるか買うかのどちらかです。借家に住んでいた人が新居の購入を決意し、ローンを借りて自宅を購入するケースが多いと思いますが、この場合に問題となるのは、支払可能な返済計画の範囲内で、希望する条件の物件を購入できるだけの住宅ローンを借りられるかどうかです。現状支払っている家賃とは支払額という意味では比較しますが、それが厳密に損か得かを検討する方は少ないと思います。

しかし、これが投資用物件を購入するとなると話が変わります。投資用物件を購入する場合、購入額に対して見込まれる賃料収入がどれ位のリターンになるかを検討して、投資の可否を決めます。つまり、投資対象としての不動産は、預金や株式と同じく、金融商品としての一面を有している訳です(これを突き詰めていくとREITのような金融商品そのものに転化します)。

つまり、投資対象としての不動産は利回りで買われますが、実需としての不動産は利回りが考慮されておらず、はっきりと割高な水準にあります。

具体例を挙げてみましょう。建築紛争界のカリスマ「クリオレミントンヴィレッジ国立」です。このマンション、竣工後5年以上が経過してもまだ完売していません。当然ですね、国立市の高さ規制条例を無視して竣工時から既存不適格物件なんですから。一部(東棟)は賃貸に回されており、新築(竣工後1年以上経過すると新築ではなくなるのでは?)分譲と賃貸が混在した状態となっています。

レミントンヴィレッジ
(クリックで拡大)

不動産情報ポータルサイトのHOME'Sで同物件を検索すると、新築、賃貸ともに登録があります。多少面積に差はありますが、同じ4LDKで比較してみましょう。

新築分譲 74,403,000円(126.21平米)
賃貸 月額251,000円(113.08平米)

分譲価格を単位面積あたりに引き直すと、589.5千円/平米となります。一方、年間の単位面積あたりの賃料はというと、26.6千円/平米となります。つまり、この物件を購入して賃貸に出すと、
 26.6÷589.5=4.5%/年
で回る計算となります。

但し、これは賃料そのものですので、管理コストや購入資金の金利、そして空室リスク等は一切考慮されていません。それでもこの利回りです。一般に、レジデンス系の投資利回りはオフィス系より高く要求されますので、最低でも5%台は欲しいところです。仮に5%だとして先程の単位面積あたりの賃料を割り戻すと、新築分譲分の価格は、
 26.6千円×126.21平米÷5%=67.2百万円
となり、およそ7百万円割高に分譲されていることになります。5.5%で計算すれば61.1百万円ですから、13百万円以上も割高ということになります。これは、別にこの物件に限った話ではなく、新築物件で利回りを計算するとほとんどが精々3~4%です。中古物件だと、6~7%位の物件も多数あるのですが… 是非一度ご自分で計算してみることをオススメします。

勿論、購入を検討される方のほとんどはこのように物件を選んでいない以上、あくまでも机上の空論という面はあります。しかし、こうした根拠のない新築プレミアムによる超過利益の存在が、マンションデベロッパーの法外な高値入札を促進している面は否めません。申し上げたいのは、消費者側がこうしたカラクリを理解することで、マンションデベ側の超過利益を削ることができ、それが乱開発の抑止力になる可能性もあるのではないかということです。

もっとも、モラルのない彼らのことですから、手抜き工事等の更なるコストダウンを図ることに終始するだけかも知れませんが… それって薮蛇?

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都市計画審議会

昨日、帰宅途中に女子大通りと法政通りの交差点の辺りを通りかかると、北西角のお宅の塀に掲げられていた横断幕がなくなっており、代わりに「横断幕を持っていった方は返して下さい」との張り紙がしてありました。

なくなった横断幕は「環境悪化の元凶は法政!」という内容でしたが、すぐ隣のアパートに掲げてある同内容の横断幕など他のものはそのままでしたので、法政長谷工の関係者が嫌がらせで持ち去ったとも考えにくいと思います。面白半分で持ち去られたものだとしたら、もしその方がこのブログを見ていれば、是非返却してあげて下さい。宜しくお願いします。

さて、引き続き法政跡地問題に表立った動きはありません。ちらっと聞いた話では、2/21開催の都市計画審議会では、市の素案を「あまりに業者側に配慮し過ぎ」として、「住民側の意見も聞いてみたい」という声があったそうです。それが本当なら、素案の修正余地も出てきますので、大いに期待したいところです。ちなみに、昨年末12月時点での都市計画審議会のメンバーの方々は以下の通りです(市のHPより)。

<委員名簿(◎会長 ○副会長) 平成18年12月現在>
1号委員(学識経験者・7名)
 石井ちはる(技術士)
 稲垣英夫(武蔵野商工会議所会頭)
 久坂美津子(建築士)
 後藤春彦(早稲田大学教授)
 田中政伯(武蔵野市農業委員会会長)
 松下玲子(東京都議会議員)
◎矢島隆(前都市計画学会副会長)
2号委員(市議会議員・6名)
 やすえ清治(自由民主クラブ)★
 きくち太郎(自由民主クラブ)★
 本間まさよ(日本共産党武蔵野市議団)☆
 大野まさき(むさしのリニューアル)☆
○石井一徳(自由民主クラブ)★
 土屋美恵子(市議会市民クラブ)★
3号委員(関係行政機関の職員・2名)
 尾崎資博(武蔵野警察署長)
 中澤一彦(武蔵野消防署長)
幹事(市職員)
 井上良一(武蔵野市都市整備部長)

なお、2号議員のところの星印は、以前のエントリでご紹介した市議会与野党の区別です(☆が与党、★が野党)。2:4で野党優勢ですね。あくまで参考情報に過ぎませんが。審議会の議論が、妙に素案をまとめた行政側(つまりは邑上市長)の責任問題にすり替わったりせず、有意義なものとなることを期待します。また、6月条例化に向けてのデッドラインも刻一刻と迫っていますので、迅速な対応もお願いしたいところですね。

ちなみに、幹事の井上部長は、市主催の説明会で名指しで批判された方だと思います。素案を作成した立場でもあり、心中複雑なものもあるかと思いますが、ここは冷静に見直すべきところは見直すという姿勢でご対応いただけることを期待しています。

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長谷工と法政跡地とアスベスト

法政高校跡地問題は、依然として表面上は静穏を保っています。しかし、3月末を間近に控え、4月以降校舎がどのように使用されるのか等にについて何ら法政側からの説明もないため、本当に工事着工が8月頃となるのかも不明なままです。4月にでも工事を着工されれば、不道徳業者・長谷工のことですから、違法性を帯びていようと、条例発効により既存不適格建物になろうが、好き勝手に建築することは目に見えていますから、法政には最低限の説明は尽くして欲しいものです。法政には、教育機関にも関わらずアカウンタビリティという概念すらないのでしょうか?

さて、今後マンション建築そのものが頓挫しない限りは、現存する校舎を取り壊した上でマンションの建築が始まる訳ですが、建築物の高さなど以外にも非常に心配していることがあります。それは、社会問題にもなったアスベストです。

法政高校の校舎が具体的にいつ建築されたものかは分かりません(市議会議員・川名ゆうじ氏のブログには「法政の校舎は、昭和20年代の建物だからアスベストもあるだろう。誰が処分するのか。壊すときはどうするのか」との住民の不安の声が紹介されていますが、事実確認はしておりません。謄本取れば分かりますが…)が、使用されている可能性はかなり高いのではないでしょうか。法政のHPには「建物別吹付アスベスト一覧(一中高)」として「吹き付けアスベストは使用されていません」と報告されていますが、これはあくまでも露出している部分の話です。現在校舎を使用している学生たちに被害が生じなければそれで良しという訳で、「立つ鳥跡を濁す」気満々の法政にしてみれば、隠れている部分にどれだけ使用されていようが知ったことではないということでしょう。

もし、アスベストが使用されていた場合に、施工業者である長谷工は周辺への飛散を防止するような対策をきちんと講じてくれるのでしょうか。いいえ、この点モラルのかけらもない長谷工は、施工過程においてもモラルが全くないことが先行事例から判明しています。

具体例を挙げましょう。「長谷工施工 BE-SITE(ビーサイト)建設をめぐりただいまマンション紛争中!」というサイトがあります。川口元郷の長谷工施工のマンションを購入した後、1年も建たないうちにその南側の工場跡地に同じ長谷工「Be-Site(ビー・サイト)」と言う名の巨大マンションを建築(しかも先行するマンションの販売時には「日立造船だから大丈夫」と説明していた)するという、流石はモラルという言葉を理解できない最低事業者・長谷工だけのことはある暴挙をしでかした事例ですが、その取り壊される工場にアスベスト使用が判明しました。その際の長谷工側の説明が、何とも長谷工の体質を具現しています。以下、引用させていただきます。

解体工事の説明では、アスベストがあるということがチラッと説明されました。

ちなみにアスベスト資材の解体は、全住民の関心事にもかかわらず、事前配布された資料に 一切記載されていません。
やはり、説明会参加人数減らしが目的でしょうか?

アスベストはつい先月からマスコミでよく取り沙汰されていましたので、その解体工事についても出席者から切実なお願いがなされました。

「アスベスト成型版は割るとかなり飛散する。割らないで解体してほしい...。」
そのお願いにもこの説明会ではNOの回答だったのです。
「アスベストは割らないと取れません。手作業ではずすと作業員が踏み抜いてしまったら落下して危ないからです...。」

即答でした。



どうです。見事なまでの住民無視です。更に、第二回目の説明会では、こんな発言まで飛び出します。

住 民>解体方法の変更はその後あったのでしょうか?

長谷工>工場が古く、アスベスト板が風化している可能性があるため、屋根材に関しては基本的に機械解体を行ないます。また外壁は高所作業車により、出来るだけ手外しを行う予定です。十分に散水して、アスベスト繊維の飛散防止に努めます。

ということは・・・。屋根は割ってしまうんだ。

屋根は一番飛散が予想される箇所です。ただただ不安が募ります。

住 民>解体時に作業員が着る作業服などはどんなものを使用するのか?

長谷工>その際には、レベル3の対応とし、目鼻口を多いフィルターが両側に付いたゴーグル型マスクを着用。専用の作業着を用意し、現場で着替えて現場で保管致します。

住 民>!!! 作業員はある程度の防護策を行なうのに、私達近隣住民に対する配慮はないのですか!

長谷工>(苦笑)皆様 危険だ危険だと色々とおっしゃいますが、アスベストは自然なもので、 どこにでも飛んでいるものです。実際、私達は既に確実に吸い込んでいるものですよ。

この言葉に住民は騒然となりました。



もう、言葉もありません。根本から人間性が腐ってます。この人たちは入社前からこういう人間性だったのでしょうか。それとも、こうした企業風土の会社にずっと所属していると、ここまで人間性が失われていくのでしょうか。そして、これだけの住民の声を無視した長谷工の態度は続いていくのです。

何の連絡がないまま7月末になったある日、長谷工からの文書が掲示板に貼りだされました!

内容は、8月5日からアスベスト板解体に取り掛かるというもの。
突然の解体宣告です。

もう待っているだけでは、私達の生活は守れない!!

8月1日、急遽 有志で集まりました。
どうやら、足場を組み立てる際、既にアスベスト板に穴を空けたりしているようです。
ガチャン!という音を聞いたという声もありました。

アスベスト板は既に割られているかも!!
このままでは危ない!!!

私達は決意を固めて、横断幕を作成することにしました。
そして、8月3日 住民5名で横断幕作成。
文言は「長谷工!アスベスト板を割るな!」です。

そして作成後すぐに、長谷工に電話で横断幕の件を連絡すると、大変焦った様子で
長谷工>ちょっ、ちょっとそれを掲げるのは待って下さい!
近々説明会を開きますっ!
その説明会が終わるまで、アスベストの解体は行いませんっっ!!!

との回答。
いきなり態度が変ったのです!

でも、、、。
私達が行動しなければ、アスベスト板はあっさり割られてしまっていたのです。
説明会だってもう開かれなかったのかも・・・。



このような会社が存続していて良いのでしょうか。最終的に住民側に配慮したのも、横断幕でアスベスト問題の存在が購入検討者に知られることを恐れただけでしょう。つくづく身勝手な会社です。

雪印をはじめとして、自らの不祥事に対して傲慢な態度を取った企業は、消費者の猛反発を受けて破綻ないしそれに近い状態に追い込まれました。長谷工のやっていることは、被害の対象者が比較的少人数であるだけで、それらと何ら変わりありません。しかも、1件ごとは少人数でも、彼らはこうした企業体質に根本から染まっていますので、各地で同じことを繰り返し行っているのです。十分に社会から制裁を受けるだけの反社会性を帯びた会社だと考えます。皆さんは、どうお感じになりますか?

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本当にマンションは好調なのか~初月契約率のまやかし~

今回は、ちょっと違う観点からマンションについて検討してみたいと思います。皆さんは、毎日のように新聞に折り込まれているマンションのチラシや、あちこちに新築されているマンションを見て、「こんなに建てて買う人そんなにいるのかなあ」と思ったことはありませんか。確かに低金利が続いており、住宅ローンも好調ですので、それなりに売れてはいると思うが、いくら何でも建て過ぎじゃないかと感じられる方が多いのではないでしょうか。

一方で、マンション販売についてのニュースは、引き続き好調が伝えられています。国土交通省のサイト上に掲載されている「土地関連市場マンスリーレポート」の中の2007年2月分「新築マンション市場の動向」によれば、昨年12月までの首都圏における契約率は、好不調の目安である70%を23ヶ月連続で上回り好調を維持しているものの、前年同月比は8ヶ月連続でマイナスとなり、やや減速傾向が見受けられるというのが、一般的な見方です。また、在庫状況については、前年同月比を10ヶ月連続で上回り、12月末時点の在庫数8,180戸(市場悪化の目安は1万戸)は2004年水準を上回ったものの、各社がマンション価格の上昇を見込んで売り急がなかった結果と、一般的には言われています。

しかし、この一般的な見方は本当にそうなのでしょうか。新聞等の報道は、この一般的な見方(=業者サイドの見解)をそのまま載せているケースが多いのですが、先程の「市場動向」に掲載されている販売価格には、明確に上昇傾向を示す程の結果は出ていません。この点、昨秋頃から「新価格」だの「新・新価格」だのと先高感を煽ろうとしていたマンションデベロッパーの目論見は、見事に外れたと言えます。

それに、そもそも指標として参照されている「(初月)契約率」というのが、非常に眉唾物の指標なのです。これは、一般的に「発売開始後1ヶ月間に契約された割合(=契約戸数/発売戸数)」として定義されています。契約戸数に調整の余地はありません(数字を捏造しなければですが)ので、数字を操作しようとすれば、発売戸数を調整するしかありません。そして、事実、発売戸数は調整されているのです。

これは、一般に「期分け販売」として行われています。つまり、1件のマンション分譲プロジェクトを数回に分けて販売開始する訳です。全100戸のマンションが1ヶ月で40戸販売できるとすれば、全戸一括で販売開始した場合の初月契約率は40%に留まりますが、半分(50戸)ずつ売り出せば初月契約率は80%となり、販売好調なマンションを演出できる訳です。

もちろん、分譲戸数が多いプロジェクトや、複数棟から成っており、竣工・引渡時期に差が生じるケースなどでは、期分け販売には十分な合理性があります。しかし、そうではない50戸強の案件まで期分け販売を行っていることは、どう説明すれば良いのでしょうか。一般的には、適正な値付けを行いたいので少しずつ売り出すと説明しているようですが、当然ながら販売開始ごとに販促費用がかかりますので、販売効率は期分け販売を増やすごとに悪くなります。それを上回る程、期分け販売は効果があるというのでしょうか。

また、期分け販売の間が伸びていることや、期分けの回数が増えていることはどう説明するのでしょうか。この点は、町中でタダで配られている「住宅情報マンションズ」でも定期的にご覧になれば一目瞭然です。「2期3次」や「3期2次」など、一体何回に分けて売るつもりなのかと思う物(中には余程多くて公表できないのか「最終期最終次」(笑)なんてのまであります)や、総戸数2~30戸の小規模分譲なのに期分け販売するものまで… そんなに売れてないんでしょうか?

個人的には、どうしても住みたい場所でもなければ、今マンションを急いで買うのは得策ではないと思います。売れ残り物件の値引き販売も今後大量に出てくると思われますし、耐震偽装問題以降、中古マンションが見直されてきているからです。リノベーション後の中古マンションなら、新築とクオリティに差はありませんし、既往住民に聞けば、建物の不具合等も分かりますしね。

話がそれてしまいましたが、このような環境下で、バブル期以上のハイペースでマンションを建て続けているマンションデベロッパーは、完全にデススパイラルに陥っています。何とかそのツケを周辺住民に負わせる前に、間違いに気付いて乱開発をストップしてくれることを切に願います。

ちなみに、以前は住宅金融公庫の融資を受けるために、当該マンションの募集戸数を明示しなければならなかったので、販売不振を隠蔽する手段として期分け販売が横行した訳ですが、公庫が融資業務から撤退した後はどうなるんでしょうかね。「フラット35」の利用にも同様の制約があるんでしょうか。なくなると、販売戸数も明示しなくなって、ますますマンション業者の情報開示が悪くなるような気がします。どなたか詳しい方、ご教示願えれば幸いです。

テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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