吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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マンションという効率一辺倒の居住システムの終焉

久し振りの更新です。その間、ネタがなかった訳ではありませんが、自壊していくマンション業界のことをいちいち採り上げるのにも、少し飽きてきました。これからは、更新頻度を落としつつ、細々と更新していこうと思います(相変わらず定期的に巡回してくる長谷工社員には申し訳ありませんが、長谷工批判を止める気は一切ありませんので念のため)。

外観上はほぼ完成し、いよいよ竣工間近となってきた吉祥寺レジデンシアですが、先週末は入居予定者の内覧会が行われていたようです。現地は、長谷工社員ばかり目につき、購入者らしき人は少なかったのですが、これは単に時間をずらしていたからかも知れません。何でも販売不振のせいにするのは止めておきましょう。

なお、吉祥寺レジデンシアは先週いっぱいで第2期(ルール違反に基づく表記なので、本当は第3期)24戸の販売が一区切りつき、また先着順販売(29戸)に入っているようです。第2期の予告広告には「第2期以降の全住戸(96戸)」との記載がありましたので、少なくとも第2期販売スタート時点で96戸は残っていた訳です。「残り96戸のうち、24戸+29戸=53戸を販売するなんて、販売は好調のようだ」なんて思う方は、今さらいらっしゃらないと思いますが、彼らの販売戸数の足し算は、期分け販売の間に売れ残り住戸を紛れ込ませるため、いつも答えが合わないので、見かけの数字に誤魔化されませんようご注意下さい。

話は、少し前のニュースに移ります。今月12日に、芦屋市で景観法に基づく市景観認定審査会が5階建てマンション建設の建設を認めない「不認定」を出したことが報じられました。地元、神戸新聞の記事景観法根拠にマンション建設認めず 全国初、芦屋市によりますと

 芦屋市は12日、JR芦屋駅北の一戸建て住宅が並ぶ地域で、申請されている5階建てマンションの建設計画を「周辺の景観と調和していない」などとして不認定とした、と発表した。同市内全域が景観法に基づく「景観地区」に指定されており、全国28地区のうち、同法を根拠に大規模建築物の建設を不認定としたのは初という。(上杉順子)
 同市都市計画課は「これまでは周辺環境になじまないという認識があっても、建築基準法や都市計画法に適合していれば、建築を認めてきた。今回の決定は、景観を軸とした新たなまちづくりの一歩」としている。
 マンションは、大手不動産会社「三井不動産レジデンシャル」(東京都)が芦屋市大原町に計画している地上5階建て地下1階建てで、延べ床面積約3700平方メートル。
 周辺は2階建て規模の一戸建てが多いが、計画中のマンションは東西約40メートル、高さ約15メートルに及ぶため、識者で構成する同市景観認定審査会が5日に「不認定とすべきだ」とする答申を出した。市は10日、同社に不認定を通知した。
 再申請は可能で、同社は「通知内容の確認を含め、今後も引き続き市と協議する」としている。
 同市は昨年7月、市全域を景観地区に指定。景観法に基づく認定審査で、大規模建築物の審査は今回が4件目だった。



とのことです。この問題については、日経BP社の建築専門サイトケンプラッツの記事芦屋市の景観地区で5階建てマンション計画不認定が、より詳しく内容を伝えており、

三井不動産がマンション計画(5階建て23戸)を市に届け出
     ↓
学識者からなる「都市景観アドバイザー会議」を開催し、景観協議を実施
     ↓
同会議が、「戸建て住宅を中心とする周辺環境に調和する工夫」、「戸建て住宅地の場合、景観へのインパクトに関する配慮が重要」などの方針を示す
     ↓
会議後、三井不動産がマンション(5階建て23戸)の認定申請を提出
     ↓
学識者からなる「景観認定審査会」が「戸建て住宅が多い住宅街と調和していない」と判断
     ↓
市が三井不動産に対して不認定を通知



という流れで進んだようです。会議の方針を完全無視して同じ高さ、同じ規模の計画を提出する三井不動産レジデンシャル。財閥系と言えども、マンションデベロッパーの強欲さには何の変わりもないことを、嫌というほど見せつけてくれています。

それにしても、京都市の建築物の高さの大幅規制強化(過去のエントリ長谷工の顧客軽視の実態を参照)や、西宮市の横長マンション規制条例制定(過去のエントリマンションと風害~西宮市の「横長マンション」規制に想うを参照)等を見ても、景観や住環境に対する意識は、関西の方がずっと進んでいるようです(真鶴町の美の条例のような例外はありますが)。

芦屋市の事例は、高級住宅街として知られ、市内全域を「景観地区」に指定している例外的な事例だと捉える方も多いかも知れません。しかし、武蔵野市は、「ゆとりある住環境の保護・形成を図る観点」から、ほぼ市内の低層住宅地域全域に敷地面積の最低限度120m2(一種低層の場合、二種低層は100m2)という、全国でも指折りの厳しい面積制限を課している行政団体です。もちろん、吉祥寺レジデンシア周辺の戸建住宅が立ち並ぶエリアのほとんども、敷地面積の最低限度は120m2です。

そのような事実を考え合わせたとき、少なくとも私は、下の写真のような周囲の景観に全く調和していないマンションが、「戸建て住宅が多い住宅街と調和し」た建物とはとても思えません。武蔵野市の考え方は、やはりどこかずれています。

完成した吉祥寺レジデンシアの全景(これのどこが調和しているの?、クリックで拡大)

そして、更に一層考え方がずれているのは、もちろん長谷工です。好き嫌いはあるでしょうが、低層住宅街に意味不明なグラデーション(とも言えないような奇妙な配色)を持ち込み、それを「吉祥寺の新たな”象徴”」などと勝手に言い放つ。キャッチコピーの「整然たる住宅街に誕生」は、「整然たる住宅街に景観を乱して誕生」の間違いでしょう。もっとも、ルーバー手すりで共同住宅の外観にメリハリのこの物件と比較すれば、余程マシだとは思いますが(笑)。

問題外の外観(目立ちゃいいってもんじゃありません、クリックで拡大)

しかし、世間はそこをきちんと見抜いているようで、隣接家屋との離隔距離が十分に確保されていない(にも関わらず割高な)東側の住戸は、売れ行きが非常に悪いようです。

東側は近隣家屋に隣接(やはり離隔距離が不十分と判断されました、クリックで拡大)

美大通りに面する西側がかなり広々としているのと比較して、東側の離隔距離は、近隣住民からの再三にわたるセットバック要請を無視して離隔距離7.35mでの建築を強行しました。住民側は、8階建てを建てるのであれば、せめて東側の離隔距離を10m程度確保して欲しいと、長谷工の利益追求体質にも一定の配慮をしながら建設的な意見を提示しましたが(それによって圧迫感が如何に軽減されるかについては、過去のエントリ続・圧迫感を検証してみましたで検証しています)、長谷工は全くと言っていいほど聞く耳を持ちませんでした(住民側の要望事項を拒否した最終回答内容については、過去のエントリ第7回長谷工説明会で紹介しています)。

常識的に考えれば、新設公園(旧講堂・テニスコート跡地)に面して開放感のある西側のセットバックを減らし、近隣家屋に隣接する東側の離隔距離を確保しそうなものですが、長谷工がこれをしないのには訳があり、7階建ての西棟の高さが日影規制に抵触するため、これ以上建物を西側にずらせないということが長谷工自身の説明で判明しています(この点についても、過去のエントリ第6回長谷工説明会で紹介しています)。

少なくとも、長谷工に少しでも周囲の住環境や景観に配慮する気があるなら、東側の離隔をもう少し広く取り、西棟の高さをあと1~2階程度引き下げる程度の設計変更は十分可能だったと思います。しかし、机上の収益計算にしか関心のない守銭奴たちは、自らの利益を確保できる価格の維持に取り憑かれていた(過去のエントリこんな値段で長谷工さん大丈夫?で想定原価を試算しています。結果がぴったりすぎて笑えます)ようで、「無理にボリュームを増しても、売れ残って値引きせざるを得なくなったら結果は一緒」という理屈を理解できなかったようです。

建ってしまう以上は、入居者の方々とうまくやっていきたいと思うのが、近隣住民の総意でしょう(坊主憎けりゃ、的な方は少ないと思います)。程度の差はあれ、近隣にしこりを遺さないような設計を心がけることも、これからのデベロッパーには必要ではないかと思います。

最後に、「たぬきの森」のその後を伝えた2月15日付日経新聞の記事(違法マンション、撤去不透明 「たぬきの森」に完成間近で中断でさわりの部分が読めます)の最後にある、日置雅晴・早稲田大学法科大学院教授(弁護士として多くの建築紛争にかかわる)の素晴らしいコメントを引用して、本エントリを終わります。

(前略)「建築確認は後から取り消されるリスクがあることを建設業者は認識すべきだ」と指摘。周辺住民の反対があっても、建築確認が出たことを理由に計画を強引に進める業者に警告する(後略)。

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マンションデベロッパー淘汰の波は、いつ長谷工を飲み込むか?

吉祥寺レジデンシアは、少なくとも外観上は完成に近付いているようで、周囲の防音ネットや仮囲いが徐々に撤去されています。結果として、低層住宅地に全く似つかわしくない異様(偉容ではない)な姿が、嫌でも目立つようになってきました。本ブログ開設当初より主張していることですが、これがせめて5階建て程度までの高さであれば、周囲に与える威圧感も大幅に軽減されるのにと、残念に思えてなりません。

東側の様子(東側から、道の先は巨大な壁、クリックで拡大)

北側の様子(北側から、植栽も行われています、クリックで拡大)

本ブログを開設したのが3年前の12月。既にその頃から、本ブログにおいてはマンション業界の膨らみきったバブル体質を指摘してきました。結果については、皆さんご存じの通りです(もっとも、3年前にはここまで急坂を転げ落ちるとまでは思っていませんでしたが)。

そんなマンションデベロッパーの窮状は、SUUMO新築マンション(旧・住宅情報マンションズ)が毎年年末に特集する「不動産会社ガイド」にはっきりと現れています。2009年版については、以前のエントリ来年は何社のデベロッパーが生き残れるか?でその概要をお伝えしていますが、12月15日号に掲載された「2010年版」と、過去2年分の比較を行ってみました。3年分の比較表は以下の通りです(五十音順)。

社名2008年版2009年版2010年版寸評
旭化成ホームズ×
アゼル××H21.3.30自己破産済、忠犬
アートプランニング忠犬
穴吹工務店××H21.11.24会社更生手続申立済
アールエー×
アンビシャス××テレ東「ガイアの夜明け」出演でお馴染み
伊藤忠都市開発×意外と忠犬
栄泉不動産×H21.1.30民事再生申立済、忠犬
NTT都市開発マンデベの金蔓
エルクリエイト××H20.10.2自己破産済
FJネクスト×ワンルームマンション業者、強引な電話セールスが特徴
MID都市開発××旧・松下興産
オリックス不動産地下室マンション業者
風と大地××HPでは販売物件がゼロに…
近鉄不動産×忠犬
グローバル住販××
グローベルスアゼルとの合併キャンセルでかろうじて生き残り
京阪電鉄不動産×首都圏撤退か?
康和地所××H20.10.31民事再生申立済
興和不動産吉祥寺レジデンシア事業主、忠犬
コスモスイニシアH21.4.27事業再生ADR(私的整理)申請済
近藤産業××H20.5.30自己破産済、忠犬
坂入産業××
サンケイビルルフォン吉祥寺完売の日まであと何年?
三交不動産×忠犬
サンピア××
JFE都市開発H21/3期は26億円の大赤字、ちょっと忠犬
シーズクリエイト××H20.9.26民事再生申立済
ジェイレックス・コーポレーション××買取再販業者、悪質なセールスに定評あり
ジョイント・コーポレーション×H21.5.29会社更生手続申立済
章栄不動産××H21.1.21民事再生申立済
新星和不動産×日本生命系、ちょっと忠犬
新日鉄都市開発×忠犬
新日本建設××タヌキの森の主人公、忠犬
新日本建物×H22/3期2Qも依然赤字が続く、忠犬
住友商事
住友不動産突出した完成在庫戸数に一部から懸念の声が…
西武不動産××分譲事業撤退に伴い、H21.6.30西武プロパティーズに吸収合併済
セコムホームライフ×マンション開発からの撤退を表明済
ゼファー××H20.7.18民事再生申立済
セントラルサービス××大阪地盤、HP掲載の分譲中物件はゼロ…
セントラル総合開発×H22/3期2Qも依然赤字が続く、忠犬
創建ホームズ××H21.8.26民事再生申立済
総合地所忠犬
双日忠犬
相鉄不動産×ちょっと忠犬
大京
ダイナシティ××H20.10.31民事再生申立済
ダイヤモンド地所××
大和ハウス工業××
タカラレーベン
中央コーポレーション×H21.4.14民事再生申立済、忠犬
TFDコーポレーション投資用マンション会社、悪質な電話セールスに定評あり
東急電鉄二子玉川ライズに完売の日は来るか?
東急不動産
東京建物ブリリアマーレ有明に完売の日は来るか?
東京レジデンシャル不動産×中山豊社長は元・ダイナシティ社長
東新住販
東邦ハウジング××
東レ建設×忠犬
藤和不動産三菱地所の100%子会社化
トーシンパートナーズ××本社は吉祥寺
ナイスH22/3期2Qは21億円の赤字
ニチモ×H21.2.13民事再生申立済、忠犬
日鉱不動産×忠犬
NIPPO
日本エスコン×H21.6.22事業再生ADR(私的整理)申請済
日本土地建物××
日本ワークス
野村不動産
ハウジング大興××H20.7.30民事再生申立済
阪急不動産
ヒューマンランド××
フォーユー×
フージャースコーポレーション×
扶桑レクセル××H21.3.1大京に吸収合併
プレサンスコーポレーション××投資用マンション会社
プロバイスコーポレーション××栄泉不動産に事業譲渡済、忠犬
プロパスト××H22/5期1Qは28億円の大赤字、45億円の債務超過
平和不動産忠犬
丸紅××
三井物産
三井不動産レジデンシャル
三菱地所
三菱商事
名鉄不動産吉祥寺レジデンシア事業主、忠犬
明豊エンタープライズ×長谷工と親密、H21.10末の現預金は1.86億円しかない…
明和地所××国立マンション訴訟でお馴染み
モアコーポレーション××
モリモト×H20.11.28民事再生申立済
山田建設××
有楽土地×H22.4.1大成建設の100%子会社化予定、忠犬
ユニカ××福岡の不動産屋
ユニホー××名古屋の不動産屋
陽栄
ランドコム××H20.9.29民事再生申立済
リスト×
リビングライフ
リブラン××
菱重エステート三菱重工系
合計905748


毎年着実に減少する掲載会社数と倒産企業数の多さもさることながら、掲載される会社の中味の変化にも驚かされます。エンドユーザー向けの分譲を手掛ける独立系デベロッパーが激減する一方、投資用マンション業者の掲載数が増加。そして、体力のある財閥系や大手商社・銀行系の不動産会社などが毎年掲載されており、既に一般顧客向けの業者ガイドとしては用をなさない中味になってしまっています。業界挙げての「身から出た錆」とは言うものの、改めてマンションデベロッパーを取り巻く環境の厳しさを再認識させられる中味です。

さて、この特集記事には、実態は自社施工のマンションデベロッパーと異ならないマンション専業ゼネコン・長谷工は登場しません(厳密に言えば、忠犬たちのページに長谷工物件は登場しますが)。そのため、この特集記事からは長谷工の窮状は判明しないのですが、長谷工の窮状については、長谷工自身が公表しているプレスリリースから窺い知る事ができます。

それは、12月17日に公表された子会社設立及び組織再編に関するお知らせというリリースです。中味は、資金調達用の子会社2社(長谷工MMB、長谷工MMH)を設立するというものです。これが何故、長谷工の窮状を示しているのか。それは、この子会社設立による資金調達スキームが、実質的に長谷工が保有するマンション管理会社を担保として調達するものに他ならないからです。

昨年、今年と破綻していったマンションデベロッパーの多くが、資金調達手段に窮して、最後に虎の子の管理子会社を売却することで資金を捻出してきたことは、過去のエントリ(管理会社召し上げで忠犬はお役ご免?など)でもお伝えしてきた通りです。長谷工自身、その混乱に乗じて管理戸数を大幅に増やしてきた訳ですが、いよいよ長谷工自身が、その管理子会社を資金調達手段とせざるを得ないほど資金に困窮してきたということでしょう。因みに、管理子会社株式譲渡を資金調達手段と強弁する様は、事業再生ADR(私的整理)で事実上のデフォルトを起こしているコスモスイニシアと重なります(過去のエントリ溺れる者は藁をもつかむ?を参照)。

なお、長谷工はプレスリリースの中で、「資金調達手段の多様化により、長期的かつ安定的で有利な条件での調達の実現に向けて、当社の子会社が営むマンション管理事業等から生じるキャッシュ・フローを裏付けとした資金調達を行うことと」したと説明しており、あくまで有利な調達手段としてこのスキームを採用したと説明しています。

しかし、実態は異なるようで、不動産業界紙である「日刊不動産経済通信」の12月21日号に掲載された「長谷工、長期資金の調達で新会社を設立」では、「来年3月末に返済期限を迎える約750億円のうち、約350億円分については同条件で借換えができる予定となっているが、残りの約400億円分については新たな資金の調達が必要となっている。今回の子会社を使ったスキームで200億~300億円の借入を行い、残りは手元資金と一部保有資産の売却益などで賄う予定」と、既に金融機関から借換えを拒否されて資金調達余力がなく、やむなく虎の子の管理子会社を資金調達のために差し出したことが暴露されています。

既存株主を裏切ったMSCB発行が9月。その3ヶ月後には、早くも自社に残る唯一と言っていい優良資産を差し出して資金調達せざるを得ない。こんな会社に、一体何の未来があると言うのでしょう? 来年の今頃には、果たして長谷工は無事に生き残っているのでしょうか?

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「タヌキの森」が遺したもの

18日付の新聞各紙やニュース番組などで、違法・脱法マンションとの争いを続けている人々にとって「画期的」とも言える最高裁判決が出されたことが伝えられました。

それは、東京都新宿区下落合4丁目で建築が進められていた新日本建設の「(仮称)目白御留山住宅プロジェクト」について、周辺住民が区の建築確認取消を求めて提訴していたもので、最高裁は建築確認を取り消した二審・東京高裁判決を維持して、新宿区の上告を棄却しました。既にニュース等でご存じの方も多いと思いますが、内容を比較的詳しく伝えている毎日jpのマンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決によりますと、

 タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。

 住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。

 問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。

 災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。

 1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。

 ◇200年の古木「タヌキの森
 周辺住民は、樹齢200年の古木がある「タヌキの森」の保存を区に要望。土地を買い取り公園化するよう求め、一時は約2億3000万円の基金を集めていた。しかし、区は土地を買収できず、06年に工事が始まった。

 現在、敷地内の樹木は伐採され、タヌキも姿を消したが、周辺では生息が確認されているという。記者会見した原告の武田英紀さん(44)は「大変うれしい判決。また自然を復元する活動を続けたい」と喜びを語った。【銭場裕司】

 ▽中山弘子・新宿区長の話 司法の最終判断を真摯(しんし)に受けとめ、適切に対応していきたい。

 ▽建設業者の話 区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、許可を得て開発を進めてきた。判決に非常に困惑している。当社の手続きに不備はないので、今後は区とも協議し、区に何らかの対応を求めていく。

タヌキの森タヌキの森敷地図(朝日新聞より)、クリックで拡大)



とのことです。また、YOMIURI ONLINEの都心近くの「タヌキの森」、住民ら復元目指すでは、提訴に至る経緯などが以下の通り詳しく紹介されています。

マンション建築確認違法、建設会社「被害者の気分」

 豊かな緑が残る東京・新宿区下落合の「タヌキの住む森」と呼ばれる一角で建設中のマンションについて、最高裁が17日、区の建築確認を違法として取り消した。

 都心近くの緑の保護を訴えてきた原告の住民らは、この日の記者会見で「伐採された緑を復元したい」と話した。一方、敗訴した区は「違法建築になったので、建設会社を指導する」と言葉少な。都心のタヌキたちのすみかは、これからどうなるのか――。

 建設現場はJR目白駅から西へ約500メートルほどの高台で、目白通りと新目白通りに挟まれた場所にある。以前は古い住宅と屋敷森で、近くに区立下落合野鳥の森もあり、タヌキや貴重な野鳥が生息している。住民らによると、最近も路上や民家の軒下を歩くタヌキが目撃されているという。

 マンション建設計画が持ち上がったのは2004年11月。建設会社が土地を買い取り、3階建て約30戸の集合住宅を建てる計画を示した。これに対し、地元住民は翌年、森の保全を求めて「下落合みどりトラスト基金」を設立。森の買い取り資金を集めて区立公園にするよう区に働きかけた。

 しかし、集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず、同社は06年、区の建築確認を受け、着工に踏み切った。建設地の樹木は伐採された。今回の訴訟は、こうした中、近隣住民が起こしたものだった。

 判決後、霞が関の司法記者クラブで記者会見した、基金の事務局長で原告の武田英紀さん(44)は、「地域住民の住環境が守られた。この地域にはタヌキやたくさんの自然が残されており、後世に残す一歩を踏み出したと言える」と語った。今後、改めてトラスト活動で買い取り資金を募る考えで、「区は知恵を出してほしい」と求めた。

 同席した基金の会計担当、森山崇さん(63)も、「最終的に公園になるまで努力していく」と話した。

 ただ、判決を受けて建設中の建物は取り壊す必要などが出てきたものの、実際にどうなるかは不透明だ。

 マンション建設は7割ほど進んでいるが、東京高裁で住民側が勝訴した昨年1月以降、停止している。建設会社は区に損害賠償を求める構えで、同社の役員は「区が建築確認を出したのに、こんな判決が出るとは。被害者のような気分だ」と戸惑った様子で話した。

 これに対し、区建築指導課は「現状で違法建築物になったので、建設会社に今後改めるよう指導していく」と話すだけ。住民と今後のことを話し合うかどうかは「未定だ」としている。

 記者会見後、住民の一人は「区は業者と交渉し、解決策を見いだしてほしい」と話した。(野村昌玄、渡辺光彦)



建設会社(新日本建設)が「被害者の気分」などと言っているのは、「自分たちの違法計画を特例扱いで新宿区に認めさせた」ことが事の発端にも関わらず、被害者面だけしている点で同情の余地などありません。更に、記事中では「集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず」と、さらっと流されていますが、ここには新日本建設のとんでもない強欲さが現れています。

記事中にも登場する「下落合みどりトラスト基金」のサイトには、過去の事件の経緯が詳しく紹介されており、それを見ると、新日本建設の当初土地購入価額が7億5千万円であること、新宿区が土地を5億4千万円と評価して、「基金」の額と合わせた額での購入を新日本建設に何度も申し入れているが、10億5千万円の提示額を譲らないことなどが分かります。

近隣住民向け説明会で、新日本建設側は「買い取り価格7億5000万円は誤りで、それより多い額だ。新宿区側+『トラスト基金』側からの提示額は、買い取り価格を下まわっている(中略)。10億5,000万円は役員会議で決定したものであり、減額はまったく考えていない」と発言しており、正確なところは分かりませんが、何れにせよ、「環境保全のために土地を譲渡して欲しい」という声に対しても、「営利企業だから(短期転売でも)利益を乗せるのは当然だ」という主張を行っているようです。

この点については、「新宿区が(建築計画を)認めてるのだから、当然建設はなんら問題ない。最大限の利益を得ることがわたしたちのすべてであり、株主に対する責務だ」とも発言しており、CSR(企業の社会的責任)という観点が完全に欠落した守銭奴振りを遺憾なく発揮しています。このロジックが誤りであることは、以前のエントリ法政の桜に書きましたので、ここでは繰り返しません。何れにせよ、目先の利益に執着し、違法設計を押し通そうとしたツケは、非常に大きなものになったことだけは確かなようです。

ここまで、事の発端を作った新日本建設の方を見てきましたが、ここからは新宿区の責任について見ていきたいと思います。そもそも、タヌキの森訴訟の被告は新日本建設ではなく新宿区であり、訴訟自体も新宿区が出した東京都の建築安全条例違反の建築確認の有効性が問われたものです。

この建築計画に対しては、どうやら新宿区の建築課が開発を推進する立場であったようで、東京都安全条例上、本来は1,000平方メートルを超える建築物を建築できない土地に、同条例の緩和措置(区長が建築物の空地の状況その他土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合は緩和可能)によって、特例の安全認定を下ろしたようです。しかも、その安全認定を下ろしたのが、近隣住民が敷地の買い入れを新宿区長に請願する当日、しかも面会6時間前という神経を逆撫でするようなタイミングだったことも判明しています。

一方、同じ行政側でも、建築確認を行った建築課以外の部署はこの計画に否定的なようで、基金のHPの区の「ハザードマップ」で危険箇所に指定に整理されている新宿区の各部署の見解を見ると、

建築課たぬきの森へ計画中の重層長屋(2,800m2)を建てるのは、法的(特例認定)にも、また安全性の調査や消防署の意見でもまったく問題がなく、安全なので「建築確認」は当然である。
建築指導課たぬきの森南側の崖地は非常に危険であり、「急傾斜地崩壊危険箇所」として“網がけ”指定する。大きな人的・物的被害を及ぼす可能性がある。
公園課たぬきの森の敷地は特殊な「旗竿地」であり、1,000m2未満の建物しか建たない土地なので、公園化を想定して買い取りに用意できる予算は土地評価額からみても5億4,000万円が妥当である。
新宿消防署「当該建設予定地へ消防自動車が向かう道路は一本道で、道路幅の最低は3.3mしかなく、消防困難な地域と言わざるを得ません」(意見書)


となっており、建築課の突出した業者との癒着振りが見て取れます。そもそもが、実態がマンションと何ら異ならない建物を、「重層長屋」と言い逃れて規制要件を緩和するというこざかしい悪知恵が全ての事の発端であり、同じ行政側でも建築課以外はそのことを充分に認識していた訳です。これを、全て「新宿区が悪い」と一括りにしてはかわいそうです。とはいえ、訴訟でも被告はあくまで新宿区なので、基金HPで読める東京高裁判決の要旨でも、荒唐無稽な建築課の主張は全て「新宿区」と一括りに表現されている訳ですが…

役所というところは、「自分たちは決して誤らない」という危険極まりない発想を行動原理としており、それが何十年も前に計画した時代遅れの公共工事を何が何でもやり遂げようとするような、庶民感覚とはおよそかけ離れた行動に結びついています。行政を相手取った訴訟で、担当大臣や知事などの決断なしには、どんなに行政側の非が明らかな訴訟でも必ず最高裁まで争うという姿勢にも、この点がはっきり現れています。

この「タヌキの森訴訟」が勝ち取ったものは、単に「違法建築の建築確認の無効を確認した」だけではなく、「ブレーキの壊れた行政のやり方を市民の手でストップできる」ということではないでしょうか。経済効率一辺倒の「発展途上国モデル」からの脱却が日本に求められている今、この判決の重みを(特殊事案と切り捨てるのではなく)建築業界が重く受け止め、乱開発を放棄して欲しいと願って止みません。

それにしても、今後、新日本建設は新宿区を訴えるんでしょうか? 自らの違法計画が総ての事の発端であるにも関わらず、建築確認を下ろしただけの新宿区を訴えるというのは「天に唾する」行為という気がしなくもないのですが…

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あなぶきんちゃん、逝く。

しばらくブログを更新しない間に、吉祥寺レジデンシアの工事もタワークレーンが撤去されたほか、徐々に足場や仮囲いが取り払われつつあるなど、少なくとも外観上は竣工に向けて進んでいるようです。法政校舎の解体工事の時のような、一歩間違えれば死傷者が出ていたような重大事故はこれまでのところ起こっておらず、あと少しの工事期間、何とか無事に終わって欲しいと毎日願わずにはいられません。

しかし、工事の危険性は徐々に去りつつあっても、工事による各種迷惑はなかなか終わることはありません。直近では、屋上の防水工事に伴って、溶融アスファルトが強烈な悪臭を撒き散らしていました(この問題については、色々思うところもありますので、また日を改めて書き記します)。

また、徐々に完成型が見えてきたことによって、改めて問題点を認識せざるを得ないこともあります。以前よりその危険性を指摘してきた地下駐車場への進入路ですが、舗装工事が終わった状態が下の写真です。一見すればお分かりの通り、女子大通りに出る手前の部分は車一台程度の勾配付きの待機スペースしかなく、歩道上の歩行者に十分な注意が払える設計とはとても思えません。しかも、ここに植栽を行って敢えて視界を遮ろうというのですから、何をかいわんやです。

地下駐車場への進入路(地下駐車場への危険なアプローチ、クリックで拡大)

地下駐車場へのアプローチ(完成予想図では植栽の目隠し効果が歴然、クリックで拡大)

下っていったところのシケインのようなカーブが急すぎることも、(居住者間の問題とはいえ)事故の可能性が高そうですが、歩行者はマンションとは全く無関係です。このような劣悪設計で無関係な人を巻き込むのは、今からでも止めて欲しいものです。露骨なコストダウンの影響は、こんなところにも色濃く出ています(計画の説明会で、長谷工は近隣住民側の「地下駐車場の入り口と出口を分けて欲しい」という要望に対して、はっきりと「地下部分を増やすのはコストアップになるので対応できない」と明言していました)。

そんな吉祥寺レジデンシアですが、販売方法もより一層ユニークさを増してきているようです。実質第2期の「第1期」販売の後、先着順住戸として21戸が売り出されたことについては、前回のエントリでもご紹介しました。その後、「第1期2次」と称して、たったの2戸を売り出し、それが終わると、再度先着順住戸として20戸を売り出しました。

しかし、この「第1期2次」を挟んだ先着順住戸は、物件概要を見れば一目瞭然、ほとんど同じものです。販売価格、間取り、専有面積等のレンジは全く一緒。テラス面積等に多少の差異があるので、一部の部屋は入れ替わっているようですが… これとて、本当に売れて入れ替えたのかすら怪しいものです。

週末を中心に、現地と非常に離れているモデルルームから、わざわざ見込客をタクシーに乗せて販売員がやってきます。しかし、その数は非常にまばらで、人気物件のように見学者を多数見かけることはありません。「吉祥寺アドレス」だけに、1千万円以上は優に割高な価値を見出せるかどうかを、この事実が雄弁に物語っている気がします。

さて、話を本題に移します。数少ない明るい話題を最大限に持ち上げて、業界総出でマンション市況の回復をアピールし続けるマンション業界ですが、実態の厳しさを垣間見せるようなニュースがありました。「2007年全国事業主別マンション販売戸数ランキング」第1位にもなった大手マンションデベロッパー穴吹工務店が、去る24日に会社更生法の適用を申請し、倒産しました。恒例のTDB大型倒産速報マンション分譲、建築工事 株式会社穴吹工務店など3社 会社更生法の適用を申請 負債1509億900万円によりますと、

 (株)穴吹工務店(資本金57億5425万円、高松市藤塚町1-11-22、代表朝倉泰雄氏ほか1名、従業員844名)と関連会社の(株)エイシィカンパニーグループ(資本金1億円、高松市藤塚町1-11-22、代表朝倉泰雄氏ほか1名)、(株)穴吹ハートレイ(資本金1億円、木田郡三木町下高岡972-30、代表榎範雄氏)は、11月24日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた(中略)。

 (株)穴吹工務店は、1905年(明治38年)1月創業、61年(昭和36年)1月に法人改組された総合建設業者。「サーパス」ブランドの分譲マンションを全国で展開し、TVCMや広告、プロ野球、プロバスケットボールなどのスポンサーになるなどの積極的な宣伝で高い知名度を誇った。また2005年4月には、中堅ゼネコンの古久根建設(株)(東京都、2002年11月民事再生法申請)を第三者割当増資の引き受けなどで連結子会社としていた。

 2005年12月には同ブランドの供給棟数が累計1000棟に達し、「2007年(暦年)全国事業主別マンション販売戸数ランキング」で初の1位にランクされるなど名実ともに業界トップクラスの業容に成長。また、グループ会社も含めて企画・設計・施工・アフターサービスまで一貫した事業となる「ATD(アナブキトータルデベロップメント)システム」を導入して差別化を図り、販売戸数が過去最高となった2006年3月期の年売上高は約1553億4000万円を計上していた。

 しかし、改正建築基準法の施行に伴う着工の遅れにより販売戸数が減少。急激な景気減速による末端需要の低迷から、2009年3月期の年売上高は約1306億5000万円にまで落ち込んでいた。また、販売価格の低下や用地取得費・建築費などの原価上昇により収益性が低下した上に、棚卸資産並びに投資有価証券評価損など約36億6600万円の特別損失を計上し、2期連続の最終欠損となる約127億4600万円の当期純損失発生を余儀なくされていた。昨年9月には、2005年から行ってきた債権流動化サービス業者との業務提携契約が終了したことで当社への信用不安が高まる中、今年1月にはグループ会社の集約や希望退職者募集を含む人員のリストラ計画を発表、今後の展開に注目が集まっていた。そうした中、10月26日の取締役会で、穴吹代表以外の取締役11名全員の解任とともに、新たに3名の取締役就任の方針を固め、11月3日の臨時株主総会を開催する旨の通知を行っていたが、臨時株主総会開催前に再度経営の方向性を検討し、これまでの体制を維持することが賢明と判断し臨時株主総会の中止を発表するといった一連の騒ぎが更なる信用不安を招き、資金面での限界に達したことで今回の措置となった。

 負債は(株)穴吹工務店が約1403億3400万円(2009年3月末時点)、(株)エイシィカンパニーグループが約65億4900万円(2009年2月末時点)、(株)穴吹ハートレイが40億2600万円(2009年9月末時点)で3社合計(債務保証など会社間の重複債務を除く)で約1509億900万円。

 なお、(株)穴吹工務店の負債は今年5番目の大型倒産となったほか、四国では過去最大規模の倒産となった。



穴吹工務店が大赤字状態だったのは、以前のエントリ来年は何社のデベロッパーが生き残れるか?でもお伝えしています。経営陣の内紛が信用不安を招いたのか、それとも内紛が起こらざるを得ないほど、経営状態が既に悪化していたのか、おそらく両方なのでしょう。

記事中にある「債権流動化サービス業者」とは、フィデックのことですね。昨年10月の時点で、フィデック、「穴吹工務店」との取引停止としてニュースになっていました。この時点で既に、穴吹工務店の債務を(一時的にでも)肩代われないと判断されるほど、経営状態は悪かったのでしょう。それを考えれば、それから良く1年間もったと言うべきかも知れません。

それにしても、記事中の「企画・設計・施工・アフターサービスまで一貫した事業となる『ATD(アナブキトータルデベロップメント)システム』を導入して差別化」の行(くだり)には思わず笑ってしまいました。これって、「土地の取得から設計・施工・販売・管理・技術開発まですべての部門をグループで担う『一貫体制』である」点を売りにする、某マンション専業ゼネコンと全く一緒じゃないですか。某社の行く末を暗示しているようですね。

因みに、長谷工の第2四半期決算は、150億円のMSCB発行と約60億円の借入金増加があって、何とか3月末程度の現預金残高を維持するのがやっとという状況。ご自慢の土地持込による特命受注比率が前年同期の100%から87.3%へ下落するのと歩調を合わせ、工事の進捗に伴う支出と収入のバランス(受入超過額)が、3月末の54億円から2億円に急減しているなど、より一層経営環境が厳しさを増している様子が見て取れます。

所詮は時間の問題でしょうが、悪あがきをして「安値」かつ「デベロッパーに有利な支払条件」での受注獲得に走っているなんて噂も耳にする今日この頃、長谷工の行く末には何が待ち受けているのでしょう?

第2四半期受注高(相変わらず低調な受注高、クリックで拡大)

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ジョイント破綻は何を意味するのか?

連日、タントンタントンとコンクリートを流し込む木枠を組み立てる音を周囲に響かせ、騒音をまき散らし続ける吉祥寺レジデンシアですが、また販売開始時期が延期されました。本日現在、公式HPは販売予定時期が6月中旬のままですが、住宅情報ナビなどでは既に販売開始予定が7月上旬に修正されています。どこまで販売開始を引き延ばすつもりなのでしょう?

所詮は、価格に見合う価値のない物件と判断されており、要望書が集まらないのがその原因のようですが、販売開始前からアウトレットマンション化が決定的ということでしょうか。戸数の確保だけを最優先し、南向きの部屋は皆無。わざわざ電磁波をたくさん浴びるために、高圧線至近の部屋を設ける無理な配棟計画。そこまで経済効率を追求した結果は、顧客の支持を得られずに販売開始前から大幅値引き必至の不人気具合。まあ、これが長谷工クオリティということでしょう。

建物が大分立ち上がって来ましたので、周囲からも建物の姿を見ることができるようになって来ました。その結果、改めて東側を中心とする周辺住宅に対する並々ならぬ圧迫感を、いやでも再確認せざるを得ない状況が生まれつつあります。下の写真は、東側の公開空地と住宅の間から建築中の建物を撮影したものですが、まだ2階までしか立ち上がっていないにも関わらず、この圧迫感です。離隔距離7mなど、気休めでしかないことが良く分かります。

東棟の様子(公開空地より)(東側の様子を公開空地から、クリックで拡大)

東棟の様子(隣接家屋より)(まだ2階までなのにこの圧迫感、クリックで拡大)

いや、本当に7m確保されているかどうかも怪しいところです。何しろ、「当初の図面より約10度西側にずれていたこと」に気付かずに建築してしまう(第4回長谷工説明会をご参照下さい)ほど、高い施工能力を有する長谷工さんですから。1mや2mのずれなど、軽く無視できることでしょう。

さて、既に1週間ほど前の出来事になってしまいましたが、5月の月末となる29日の金曜日に、また一社、マンションデベロッパーが逝きました。帝国データバンクの大型倒産速報新興マンションデベロッパー 東証1部上場 株式会社ジョイント・コーポレーションなど2社 会社更生法の適用を申請 負債1680億円によれば、

 東証1部上場の新興マンションデベロッパー、(株)ジョイント・コーポレーション(資本金208億3404万8050円、東京都目黒区目黒 2-10-11、代表東海林義信氏、従業員160名)と、(株)ジョイント・レジデンシャル不動産(資本金30億円、同所、代表川島勝文氏、従業員166 名)は、5月29日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請した(中略)。

 (株)ジョイント・コーポレーションは、1973年(昭和48年)3月に(株)大として設立され、97年4月に旧・(株)ジョイント・コーポレーション(昭和61年9月設立)と合併し、現商号となった。90年代半ばから販売を拡大し、98年に株式を店頭公開。99年に東証2部へ、2001年には東証1部へ上場を果たした。マンション分譲と不動産流動化事業を手がけ、分譲事業については首都圏を中心にブランド名「アデニウム」シリーズを展開、流動化事業では賃貸マンション、商業施設、オフィスなどを手がけるほか、グループとして不動産の企画・開発のほか、中古物件のバリューアップ、ファンドや投資家への売却も行っていた。2000年以降は、米投資ファンドと不動産投資信託向けの賃貸マンション供給で合意するほか、外資系証券会社と不動産投資ファンドを設立することで合意するなど業容を拡大、2001年には(株)エルカクエイ(2000年2月会社更生法、現(株)ジョイント・レジデンシャル不動産)の株式を取得して子会社し、2003年3月期の年売上高は約617億4200万円を計上していた。その後もマンションブームに乗りマンション供給が高水準で推移、近年は都心部での土地仕入れは厳しさを増していたものの千葉、埼玉での事業展開を増やし、2008年3月期の年売上高は約997億900万円にまで達していた。

 しかし、用地取得に伴う有利子負債が膨らんでいたうえ、2007年後半からはサブプライムローン問題による資金の停滞、資材価格上昇によるマンション価格の高騰、不動産販売市況の悪化など事業環境は厳しさを増し、2008年9月にはオリックスグループから100億円の出資と200億円の融資枠の設定契約も受ける一方、リストラに取り組んでいたが、2009年3月期の年売上高は約704億9400万円にまで低下し約552億5100万円の欠損を計上、今回の措置となった(後略)。



ジョイント・コーポレーションといえば、マンションデベロッパーと分類されていても、いわゆる不動産流動化事業やリゾートマンションの比率が高い、およそ地道に事業を行っているとは言い難い、バブルの飛沫のような会社です。危ない不動産銘柄の代表格として再三取沙汰されている中、昨年9月のオリックスによる出資で生き延びたと思われましたが、所詮は半年強の延命策に過ぎなかったようです。駄目なものはいくらやっても駄目、ということでしょうか。

しかし、不思議なのは、一体オリックスは何がしたかったのかということです。オリックスの出資については、そもそも当初から何のための出資なのかが疑問視されていました。不動産市況が凋落の一途を辿る中での倒産待ったなしの企業に対する出資、傍から見れば無謀というほかありません。一説には、大京への出資でしこたま儲けたオリックスが、二匹目の泥鰌を狙ったんだとか、はたまたジョイントが持つ事業用地に関心があるだけで、それらを掠めとったら後はお払い箱だとか、色々な噂が飛び交っていたのを思い出します。

しかし、結果から言えば、破綻までにオリックスがジョイント株を売却した事実はないようですし、経営破綻前に公表された最後の決算短信を見る限り、100億円の投資に見合うだけの不動産を売却したようには(棚卸資産の残高推移を見る限り)思えません。あの守銭奴と揶揄される政商・宮内会長が率いるオリックスらしからぬ失態です。

この点について、福岡の信用調査会社データ・マックスが運営するNet-IBに、興味深い記事が掲載されていました。記事へのリンクを掲載しておきますので、ご興味ある方は、是非ご覧下さい。

オリックスグループの解体が強まる M&A9ヵ月で更生法申請したジョイント(1)
オリックスグループの解体が強まる M&A9ヵ月で更生法申請したジョイント(2)

規制緩和を主張して、その成果を自らのM&Aで果実として刈り取るという宮内商法は、典型的な政商そのものです。その注力分野が、金融・不動産という規制だらけの業界であることも、実に象徴的です。しかし、そんな宮内商法も、オリックス自身の信用力に疑問符が付く今、徐々に破綻への道を歩んでいるようです。

オリックスと不動産の関わりと言えば、今や倒産寸前の武蔵野タワーズ売主の一社・ランドと組んだ一連の地下室マンション問題をはじめとして、モラルの欠片もない劣悪な足跡だらけです。所詮は、脱法的なことを続ける者には、それ相応の報いが来るということを、オリックスの苦境が示しているように思えます。正に、「天網恢々粗にして漏らさず」です。

そして、それは当然、「数の偽装」をはじめとする脱法行為の総合商社・長谷工にも当てはまるでしょう。マンション業界の苦境が続く中、業界の衰退とともに長谷工の命脈が尽きる日が、一日も早く到来することを願ってやみません。

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なぜクレーン転倒事故は頻発するのか?

最近、法政跡地に置かれている吉祥寺レジデンシアの広告が新しくなっていました。あの悪評高い黒装束夫婦の写真はどこへともなく消え去り、代わりに現地周辺の空撮写真に建物のCGを合成したものになりました。一体、あの悪趣味な夫婦の写真は何だったのでしょうか? 今更ながらに、黒装束カップルを確認したいという方は、過去のエントリ迷惑マンションは「真の吉祥寺アドレスを継」いでなどいない!をご参照下さい。

吉祥寺レジデンシアの広告(新しくなった広告、クリックで拡大)

しかし、この広告、よく見ると非常に不自然です。建物の一部がやけに光っているCG加工がわざわざ施されています。「マンション・チラシの定点観測」の3月22日付エントリ「案内図の吹き出し部分や白地部分を要チェック」では、「本日の教訓」として、「案内図の一部が吹き出しなどで覆われていたら何か隠されていないか、あるいは白地の部分に何か消されていないかよくチェックしよう」とあります。そして、この広告も、よく光っている部分に目を凝らすと、そこには高圧線の鉄塔が隠されていることが見て取れます。実にセコい隠蔽工作です。

広告建物アップ(建物周辺を拡大すると…、クリックで拡大)

この空撮写真を見れば、如何にこの吉祥寺レジデンシアが周囲の低層の町並みから浮き上がった存在かが、いやというほど分かります。こんな写真を自慢げに掲載するところに、長谷工という企業の住環境を一顧だにしない企業姿勢が透けて見えてしまいます。

さて、そんな吉祥寺レジデンシアの工事現場ですが、先週大きな変化が見られました。現場の真ん中あたりに、タワークレーンが設置されたのです。連日、クレーン車がけたたましい騒音をまき散らしながら作業を行っており、近くを通るたびに「倒れて来ませんように」と祈らずにはいられなかったことを考えれば、(工事が中止されない以上)安全性が少しでも高くなるタワークレーンの設置はわずかながらも安心材料と言えるでしょう。

タワークレーン(写真奥にタワークレーンが設置されています、クリックで拡大)

しかし、残念ながら4月は工事現場のクレーンが如何に危険なものかを世間に知らしめるような事故ばかりが起きてしまいました。14日に東京都千代田区麹町のマンション工事現場で起きた大型クレーンの横転事故は、大きな事故でしたのでかなりニュースでも報道されました。今更ながらですが、事故の概要を毎日jpの記事クレーン転倒:2人が重体、4人負傷 東京・千代田区で振り返ってみますと、

 14日午前11時10分ごろ、東京都千代田区麹町4のマンション工事現場で、大型クレーンが現場前の国道20号(新宿通り)側に向かって倒れ、走行中のトラック1台が下敷きになった。東京消防庁によると、トラックの運転手(29)ら男性3人と、クレーンのオペレーターの男性(38)の計4人が一時それぞれ車内に閉じ込められ負傷した。オペレーターは意識不明の重体。さらに通行人の男女2人が負傷し、うち40代の女性が心肺停止状態で搬送され意識不明の重体。警視庁捜査1課と麹町署は、施工業者らの安全管理に問題がなかったか業務上過失傷害容疑で捜査を始めるとともに、負傷者の身元の確認を急いでいる。

 麹町署などによると、クレーンは総重量104トン、アームの長さ約27メートル。アームを伸ばして作業中に、北側を走る国道20号の約3車線分をふさぐような形で突然倒れたという。

 トラックに乗っていたのは、運転手のほか39歳と40歳の男性。39歳の男性は助手席に乗っていて両足を挟まれた。3人の詳しい容体は不明だが、いずれも搬送時に意識はあったという。歩行者の男性(33)は軽傷という。

 工事の設計を担当する三菱地所設計(本店・千代田区)と東京都によると、現場は地上19階、地下2階のマンションと商業施設が入る複合施設を建設していた。施工主は東亜建設工業(千代田区)で、工事の発注者は三菱地所だった。同社担当者は「現場に自社の者はおらず、安全対策は施工者の東亜建設工業に任せていた」と話している。クレーンは基礎工事会社「大洋基礎」(東京都中央区)の所有。

 現場はJR四ツ谷駅の東約500メートルのオフィスビルなどが建ち並ぶ一角。



残念ながら、事故に巻き込まれた吉祥寺北町の方は、24日にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。この他にも事故は頻発しており、16日付YOMIURI ONLINEの記事今度は川崎でクレーン転倒、道路わき電柱に接触…けが人なしでは、

 16日午後1時50分頃、川崎市宮前区犬蔵のマンション建設現場で、作業中の25トンクレーン車がバランスを失って倒れ、長さ約30メートルのアームの先端が敷地外に飛び出し、道路脇の電柱に接触した。

 けが人や停電、交通への影響はなかった。約6時間後に電柱からアームを離した。

 現場では、東急建設(東京都)などが地上5階建て約300戸のマンションを建設中。同社によると、クレーン車は下請け業者が扱っており、資材をつり上げている最中に倒れた。原因は調査中という。子供を連れて通りかかった近所の主婦(33)は「公園が近く、子供とよく通る場所。何事もなくてよかった」と話した。同社は「近隣の皆様にご迷惑をかけ、深くおわびします」としている。



と、わずか2日後にも同様の事故が起こったことを報道しています。更には、遡って1日にも山口県下関市でクレーン横転事故が発生したことを、毎日jpの記事下関のクレーン横転事故:「危うく大惨事」 市民ら驚きでは伝えています。

 「けが人がなかったのは奇跡的だ」。1日午前、下関市田中町で起きたクレーン車の横転事故は、一つ間違えば大惨事だった。現場に面した病院などの建物にクレーンが倒れていたら……。人が下敷きになっていたら……。工事業者や発注元の市、周辺の人々は胸をなで下ろしながらも、危機一髪の事態におののいていた。

 ピーッ、ピーッ。午前11時過ぎ、異変に気付いた交通整理員のホイッスルが現場に鳴り響いた。「スローモーションのように倒れてきた。下にいたからとっさに笛を吹いて、走って逃げた」とその男性。近くにいた人が「ドーンと雷でも落ちたようだった」と口をそろえるごう音とともに、長さ約10メートルのクレーンは横倒しになった。

 工事は市発注の雨水管敷設。事故時は地面に埋め込まれた鋼材をクレーンで引き抜く作業中だった。

 現場は病院や店舗、住宅が密集する市街地。クレーンはそばの病院をかすめる形で倒れ、信号機と公衆電話のボックス、軽ワゴン車を押しつぶして止まった。引っかかった電話線などに引き倒された電柱は近くの神社の鳥居や住宅のベランダを破壊。停電などの影響は周囲に及んだ。

 横転の理由は、クレーン車を固定する脚元の車道陥没だが、陥没の原因は不明だ。

 市河川課によると、工事業者の届け出では、油圧で地面への圧力を軽減しながら引き抜く重機を使うことになっていた。しかし、横転したクレーンは地面に震動を与えながら引き抜く方式で、市は使用を認めていなかったという。一方、業者側は「これまでは問題なかった。車道の陥没など予測できず、不可抗力だ」と主張する。

 市は2日から現場の復旧と並行して原因の調査を進める。



わずか1ヶ月の間だけでもこれだけクレーン横転事故が頻発するのは、建築業界の構造的な問題と言わざるを得ないでしょう。麹町の事故でも、クレーンを操縦していた作業員が「クレーンと資材の間に残土があったことや、次の作業のことを考え近づかなかった」と発言しており、クレーンとつり上げる対象物とが離れ過ぎた結果、クレーンに想定以上の荷重が掛かったことが事故原因と考えられています。

これが、この業界に染み付いた「安全よりコスト優先」という体質に起因することは言うまでもないでしょう。そうでなければ、これだけ事故が頻発する筈はありません。多大なる危険が伴う作業を「もう少しなら大丈夫だろう。作業が遅れるとまた(元請けが)うるさいし…」という安易な発想でやってしまう。結果として、そのツケは大きな事故となって返って来てしまうという悪循環。重層的な下請け構造による建築業界の劣悪な労働環境あってこその起こるべくして起こっている事故という気がしてなりません。

最近の事故は長谷工以外のゼネコンによるものですが、長谷工もクレーン横転事故を何度も起こしていることは以前のエントリ長谷工施工現場は危険がいっぱいでお伝えしている通りです。また、長谷工の安全管理の杜撰さについても、校舎解体工事の際の事故をお伝えしたエントリ足場倒壊続・足場倒壊【速報】長谷工またも事故を起こす(続)長谷工またも事故を起こすなどでお伝えして来た通りです。

何度事故を起こしても、一向に安全性が改善されない建築業界。工事による精神的な苦痛を何年もの長期間にわたって一方的に押し付けられた挙げ句、周囲と全く調和しない迷惑マンションという負の遺産を更なる長期間にわたって押し付けられる近隣住民。このような非道が許されるという点にこそ、土建国家・日本の国民無視の本質がある気がしてなりません。度重なるクレーン横転事故を契機に、それを生み出す安全軽視の建築業界の体質を徹底的に糾弾する世論が盛り上がれば良いのですが… 決して弱者の味方ではないマスコミにそれを期待するのは、酷というものでしょうか?

最後に、先週末、コスモスイニシアが私的整理に踏み切ることで銀行団と調整に入ったことが報道されました(こちらの記事コスモスイニシア、債務軽減で銀行と調整 再建へ私的整理を参照)。事実上の倒産と言えるでしょう。ゼネコン・不動産会社の債務免除が相次いだ10年ほど前とは異なり、情報開示の徹底が求められる現在では、銀行も簡単には債権放棄には応じないかも知れません。

最早、マンションを建てて売り続けるというビジネスモデル自体が、既に破綻を来しているのではないでしょうか。プレーヤーの数を大幅に絞る必要がありそうです。そのためには、マンション専業ゼネコンを謳う某・反社会的企業を消滅させるのが、最も効果的かつ社会のためだと思うのですが…

<4月29日追記>
住宅情報マンションズ4月28日号に、とうとう吉祥寺レジデンシアの情報が掲載されました。予定価格帯(5,000~18,000万円台)を公表するなど、いよいよ損失確定に向けた活動に余念がないようです(もっとも、高値で土地を仕込み過ぎているので、3月決算で評価損を計上し、見かけ上は利益が出る物件になっている可能性もありますが(笑))。予定価格がアバウト過ぎるのではっきりとは分かりませんが、330~350万円/坪前後と思われる価格設定は、明らかなミスプライスですね。

因みに、マンションズの記事中のCGは、上述した隠蔽工作が更にエスカレートしています。光だけでは隠し足りないと見て、「現地」という吹き出しを追加し、完全に高圧線の鉄塔を消去するという荒技を発揮しています。現地を見れば一発で分かるものを、ここまであざとく隠すとは、ちょっと消費者を馬鹿にし過ぎてはいないでしょうか?


マンションズの建物アップ(住宅情報マンションズでは隠蔽工作度がアップ(笑)、クリックで拡大)

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そして誰もいなくなった

タイトルは、もちろんアガサ・クリスティの傑作から拝借しました。「長谷工の周りには」と補足してお読み下さい。

4月に入っても、マンションデベロッパー淘汰の流れは加速することこそあれど、弱まることは決してなさそうです。24日には、長谷工の忠犬として長谷工主導の大規模物件に数多く参加して来た中央コーポレーションが、民事再生手続開始を申し立て、倒産しました。恒例の大型倒産速報「不動産開発・賃貸 東証・名証2部上場 株式会社中央コーポレーション 民事再生法の適用を申請 負債340億円」でその概要を見てみますと、

 (株)中央コーポレーション(資本金33億6176万5789円、名古屋市中区栄2-5-1、代表植野晃年氏、従業員87名)は4月24日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、保全命令、監督命令を受けた(中略)。

 当社は、1942年(昭和17年)4月に設立。当初は繊維商社として事業展開していたが、長引く繊維不況の影響から随時不動産賃貸業へ事業転換を進め、近時は分譲マンション、投資用マンション、賃貸用オフィスビル、商業施設などの開発・販売、不動産活用などの仲介事業を主体に、ショッピングセンター「津サティ」ほか商業ビルや工場賃貸を行う不動産賃貸、繊維製品卸などを手がけ、2008年5月期は年売上高約390億1100万円をあげていた。

 しかし、開発用不動産の取得などで借入金が年商を上回り金利負担が重くなっていたうえ、アメリカのサブプライムローン問題の発生による不動産市況の冷え込みなどから、不動産開発部門の収益が低迷し資金繰りが悪化。支払いの遅延も発生するなど苦しい経営が続いていた。

 2009年に入ってからは、プロジェクトの見直しや役員報酬の減額、不採算の事業からの撤退などの経営改善計画を発表して再建を図っていたが、業績は回復せず、2月には株式の時価総額が6億円未満となり東証の上場廃止基準に抵触したほか、4月14日には2009年5月期の第3四半期報告書が法定提出期限に提出できなくなったことを発表するなど動向が注目されていた(後略)。



繊維商社としての経営が苦しくなったので不動産屋に転身するというのは、事業の目的を忘れて存続のみが目的化した不要な企業の典型的な姿ですが、それを可能にしているのは、あまりにも参入障壁の低い不動産業界(特にマンションデベロッパー)のあり方です。ノウハウなど一切いらず、資金さえあれば、設計・施工・販売等を全て外注して事業が行える。こんな手軽な事業は、マンションデベロッパー以外にあり得ないでしょう。そこを長谷工につけ込まれ、骨の髄までしゃぶられて、余命短い長谷工の延命処置に貢献した挙げ句の倒産劇、見るのは一体何回目でしょうか?

さて、そんな中央コーポレーション長谷工集中度は、終末時点ではどの程度だったのでしょうか? それを、同社HP中の新築マンション一覧で確認してみたいと思います。

倒産日現在で、同HPに掲載されている物件数は全8物件(首都圏6物件、近畿圏・中京圏各1物件)です。未竣工物件は、「SHINKA CITY <ステーションスイート>」のみで、他は9ヶ月~2年前に竣工済の物件ばかりという悲惨さは、当社の倒産が必然だったことを物語っています。この中で、近畿圏・中京圏を除く首都圏6物件は全て長谷工案件という集中振り。この点については、1年近く前に輝く!長谷工忠犬度ランキング(第2の近藤産業を探せ!)で指摘した時から、何ら変わっていないようです。

残念ながら、建築中の物件は1物件のみで、かつ売主が8社(!)という「船頭多くして船 山に登る」状態の物件ですので、長谷工の損失は非常に限定的と言えそうです(因みに売主の面々は、名鉄不動産、三洋ホームズ、新日本建設、京急不動産、中央コーポレーション、平和不動産、セントラル総合開発、長谷工コーポレーションという笑えるほどの忠犬面子です)。しかし、長谷工自慢の「忠犬に用地情報を提供し、金だけ出させて、自分はリスクなしで工事を請け負う」という虫のいいビジネスモデルは、確実に付和雷同型デベロッパー淘汰の加速によって、成立する余地がなくなりつつあるようです。

タイトルの「そして誰もいなくなった」は、孤島から出られなくなった10人が1人ずつ殺されていくという物語ですが、長谷工を取り巻く忠犬たちも、近藤産業、マツヤハウジング、ノエル、ダイア建設、栄泉不動産、日本綜合地所、ニチモ、アゼル、そして中央コーポレーションと、一社ずつ確実に淘汰されています。小説と同じような結末は、果たしていつ用意されているのでしょうか?

このような周囲の町並みと一切調和することのない環境破壊も甚だしいマンションが建ち続ける世の中はたくさんです。そのトップをひた走る長谷工には、一日も早く社会から退場して欲しいと願って止みません。

深沢ハウス(周囲から浮き上がった異様を晒す深沢ハウス(施工・長谷工)、クリックで拡大)

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どこまで下がる? 不動産・マンション

タイトルは、週刊東洋経済の4月11日号から拝借しました。いい加減、悲惨を極める不動産業界をネタにした記事には食傷気味ですが、ある意味、この特集は面白く読めました。

その理由は後ほどとして、先ずは法政跡地の近況など。下の写真の通り、相変わらず地下部分の工事中ですが、大分配筋が立ち上がってきたようです。損失確定に向けて工事が進む中、販売の方はと言えば、販売戸数・販売価格を明示しない予告広告をいつまでも続けています。その一方で、「モデルルーム事前案内会」と銘打って実質的な販売活動を行い、秘密裏に価格も公表するという脱法行為を続けています。よほど、自分たちの価格設定に自信がないようです。

工事現場全景090406(配筋が立ち上がってきています、クリックで拡大)

話は変わりますが、3月30日に倒産したアゼルの債権者がこちらに公表されています。順を追って見ていくと、<買掛金・未払金>長谷工コーポレーション134百万円、<支払手形>長谷工コーポレーション833百万円、<未成工事・不動産事業受入金>長谷工アーベスト12百万円など、合計10億円近い長谷工グループの債権額が明らかになっています。

にも関わらず、本日現在まで長谷工は何のプレスリリースも出していません。何か、損失額を公表できない訳でもあるのでしょうか? それとも、日本綜合地所で100億円以上の焦げ付きを作った長谷工さんにとっては、10億円程度ははした金という訳なのでしょうか? 「債権額は申請書類によるもので、確定債権とは異なる」とのことなので、もしかすると「倒産近し」と見た長谷工が、アゼルから強引に取り立てて債権が消滅していたりして… カラクリが知りたいところですね。

さて、冒頭の東洋経済の特集についてです。内容自体は、既にあちこちで書かれていることが多く、既視感が否めません。しかし、「苦境の”不動産金融王”、どうなるオリックス」や、森稔・森ビル社長のインタビュー「今こそ東京大改造の好機 景気浮揚効果も巨大だ」は、興味深く読みました。

オリックス森ビルと言えば、現代の代表的な政商と言えるでしょう(この両者が登場する「"官から民へ"に群がる現代の政商たち」などが参考になります)。この特集のキャスティングには、「不動産・マンション」という切り口を通して、今回のバブルを演出したキープレイヤーをあぶり出そうとしている裏の意図があるような気もします(考え過ぎでしょうか?)。

オリックスの宮内会長は、「かんぽの宿」問題で相当叩かれ、お茶の間にもその政商振りが周知されたことと思いますが、森ビル政商振りも負けてはいません。このインタビュー記事一つ取ってみても、○○の一つ覚えのごとく、「公共投資の対象として最も望ましく、効果も上がるのは都市再生事業だ」と「私は不景気のたびに同じことを言ってきた」などと恥ずかしげもなく述べています。「都市再生事業」が、所詮はバブルを引き起こしただけで、何ら抜本的な産業構造の改革をもたらさなかったことは、ここでは完全にスルーです。

その上、「自民党の国土交通部会で(中略)、『都市再生』ファンドの予算の拡充と『土地取得・譲渡業務』の復活をお願いした」などと、税金で自らの便宜を図れと言わんばかりの身勝手な要求を行ったことを明らかにしています。そんなことを要求する暇があれば、自分たちのビルの回転ドアの安全性向上策を議論するのが、事故を起こした企業のトップとしての責任というものでしょう。

なお、「都市再生」が如何にまちづくりに有害なものかという点については、「『都市再生』がまちをこわす―現場からの検証」が参考になります。森ビルの六本木ヒルズ開発問題、長谷工の都立大跡地問題(深沢ハウス)など、ここで紹介した環境破壊業者がこれでもかと登場してきます。ご興味をお持ちの方はご一読下さい。

「都市再生」がまちをこわす―現場からの検証「都市再生」がまちをこわす―現場からの検証
(2004/05)
建設政策研究所

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ところで、この特集には、長谷工の岩尾社長のインタビュー記事も当然のごとく掲載されています(マンションバブル演出の最大の功労者ですから)。内容は、「マンション不況は厳しいが トンネルの先に光が見えた」というタイトルが示す通りの、「建築コストが下がった」、「モデルルームの来客数が増加した」から、回復の兆しが見えたというワンパターンな主張です。ここには、大量の完成在庫の存在や、塩漬けとなっているマンション用地の存在、そして何より、空室率10%を大幅に上回る住宅の供給超過問題を完全に無視し、なおも新築物件の大量供給を続けようとする、長谷工の身勝手振りしか見えてきません。もういい加減、この手の前近代的な輩にはご退場願いたいものです。

モデルルームの来客数増加も、今年に入ってからあちこちで聞かれるフレーズです。しかし、先日複数の不動産業界の方に話を聞く機会がありましたが、実情は「来客数は多くなったが、『マスコミが煽るので自分でも買えるのではないか』と考えた所得水準の低い人の来場が多く、申し込みを受けても住宅ローンが通らないケースが多い。ローン審査が厳しくなっていることも感じているが、それ以上に客の質が悪くなっている」と異口同音に述べていたことが印象に残っています。これが少数派の意見かどうかは、皆様のご判断にお任せします。

最後に、恒例の岩尾社長の入社式挨拶 をご紹介しておきます。駄文をいちいち掲載するのは無駄なので、ご興味をお持ちの方はリンクを辿って下さい。「土地情報の取得から企画・設計、施工、販売、管理、賃貸まで行う独自のビジネスモデル」などと大仰にのたまっていますが、それが「単なる自社施工のマンションデベロッパー」のことだと気付いていない点など、突っ込みどころが満載です。

一点だけ、この勘違いだけは指摘しておきます。これだけモラルのない企業として社会的に認知されている長谷工のトップにも関わらず、「法令、ルールはもとより、約束を守り信頼される人間・社会人になっていただきたい」などとのたまう岩尾社長の厚顔無恥振りです。先ずは、長谷工を「約束を守り信頼される」企業に変革することこそ、自らの使命だと認識して欲しいものです。但し、それは長谷工消滅まで実現することのない幻だと思いますが…

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アゼル、逝く。

年度末も押し迫った30日の早朝、とうとう長谷工の忠犬の一社であるアゼルが自己破産を申し立てて倒産しました。恒例のTDB大型倒産速報マンション分譲、建築請負 東証1部上場 株式会社アゼル 破産手続き開始決定受ける 負債442億円によると、

 東証1部上場の(株)アゼル(資本金150億円、大田区西蒲田8-23-1、代表古江正氏ほか1名、従業員145名)は、3月30日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた(中略)。

 当社は、1956年(昭和31年)11月に創業、57年(昭和32年)11月に法人改組した。元々建築工事を主体としていたが、その後自社開発による分譲マンションの販売に進出するほか、パチンコ店経営なども行い、83年12月には東証2部へ、86年10月に東証1部へ上場を果たしていた。「エンゼルハイム」のブランド名を冠したマンション販売を主力に、グループ会社を通じて建設事業、金融事業、レジャー事業などを手がけ、97年3月期には年売上高約647億9300万円(単体ベース)を計上、中堅デベロッパーとしての地位を確立していた。

 しかし、競合の激化、不動産価格高騰の影響から用地仕入れが困難となり一部プロジェクトが停滞するなどしたことで、2005年3月期の年売上高は約282億2700万円にダウン。近時においては、不動産有効活用を目的とした収益物件の購入や転売、仲介など業務拡大を目指したことで売上高は400億円台を回復していた。

 しかし、昨今の不動産業界を取り巻く環境の厳しさから当社の業績も再び落ち込み、2008年3月期は年売上高約328億9600万円に対し、約38億6300万円の最終赤字を余儀なくされていた。昨年6月には、プロスペクトグループから代表ほか役員の派遣を受けるなどして再建を目指したが、昨年9月のリーマンショック以降は金融機関からの資金調達はさらに厳しさを増していた。このため、固定資産の売却を計画的に進めていたが、3月に入って第三者割当増資の中止とともに、今月の決済を予定していた売却案件において譲渡先からの入金がなされない事態となったことで資金繰りの目処が立たなくなり事業継続を断念、今回の措置となった(後略)。



この会社の忠犬振りについては、以前のエントリ輝く!長谷工忠犬度ランキング(第2の近藤産業を探せ!)を、苦境振りについては管理会社召し上げで忠犬はお役ご免?をご参照いただければと思いますが、とにかくいつ倒産してもおかしくない幽霊会社だった訳で、結局3月末は越せなかったようです。まあこれも、長谷工と付き合った代償だと思って諦めてもらう他はありません。

さて、最終的にアゼルはどれくらい長谷工に尽くし、そしてそのツケを払わされることとなったのでしょうか? アゼルのHPに掲載されている物件一覧でそれを確認してみたいと思います。自己破産申請時点で掲載されている物件は全14物件(東京・神奈川エリア各3物件、埼玉エリア2物件、千葉・茨城エリア各1物件、関西エリア4物件)。そのうち、戸建分譲案件1件を除いた13物件中、何と7物件が長谷工案件ということで、長谷工比率は54%にも上ります。特に、関西エリアは4物件中3物件が長谷工案件という集中振りで、安易に長谷工のクズ案件に乗った経営判断の甘さは、まさしく「後悔先に立たず」でしょう。

但し、個別の物件を見ていくと、先行した日本綜合地所やニチモのケースと異なる様子が見えてきます。長谷工案件の全7物件中、「春日部イーマークス」(2006年9月竣工済)、「サンプレージ吉川」(2007年2月竣工済)、「エンゼルフィールズ枚方公園」(2007年4月竣工済)の3物件については「完売御礼!」の文字が踊っています。これらがいつ完売したのかについては不明ですが、HPに掲載されていることから見て、おそらくは最近完売したものでしょう。それにしては、竣工時期が凄まじく古い物件ばかりです。マンション市況が大幅に悪化する前から深刻な売れ行き不振が続いた長谷工物件が、アゼルの資金繰りを圧迫した可能性もありそうです。

残る4物件(センターフォート、ザ・レジデンス千葉ニュータウン中央、グランマークス久宝寺、サウスオールシティ)は、何れも長谷工の忠犬たちで構成されたJV案件ですから、アゼルの持分を長谷工が引き取って事業そのものは続けられるのでしょう。残念ながら、これらのデータからは長谷工の貸倒損失はそれほど多くなさそうです。

しかし、この4物件の中に、ニチモ倒産で、長谷工の損失ハウマッチ?でご紹介したニチモの長谷工案件が2物件含まれているのは実に象徴的です。長谷工にリスクを負わされていたデベロッパーの倒産が相次ぎ、事業リスクが長谷工に集中しつつあるという構図が、ここでもはっきりと現れています。マンションを取り巻く環境は、4月以降も悪化することはあれど、良くなる兆しなど全くありません。それでもただ闇雲に建て続ける長谷工には、どのような未来が待ち受けているのでしょう?

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マンション底値買い

タイトルは、週刊ダイヤモンドの3月7日号から拝借しました。

その記事の内容については後述するとして、先ずは倒産情報から。噂の絶えなかった不動産ファンドのパシフィックホールディングスが、ようやく倒産しました。先ずは恒例、大型倒産速報私募不動産ファンド運用の持ち株会社 東証1部上場 パシフィックホールディングス株式会社など3社 会社更生法の適用を申請 負債3265億2200万円から。

 パシフィックホールディングス(株)(資本金196億3947万4550円、千代田区永田町2-11-1、代表織井渉氏ほか1名、従業員171名)と子会社のパシフィックリアルティ(株)(資本金1億円、同所、代表秋澤昭一氏)、(有)パシフィック・プロパティーズ・インベストメント(資本金300万円、同所、秋澤昭一氏)の3社は、3月10日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた(中略)。

 パシフィックホールディングス(株)は、1990年(平成2年)3月に設立。95年4月に商号をパシフィックマネジメント(株)に変更し、投資家から出資を受けて不動産投資ファンド事業を主力としていた。その他、アセットマネジメント事業およびデューデリジェンス事業で構成される不動産投資コンサルティングサービス事業などの不動産投資事業を展開。2001年12月に株式を店頭公開(現・ジャスダック)、2003年9月には東証2部上場、さらには2004年10月には東証1部に上場するなど、不動産私募ファンドの大手としての地位を築いていた。また、不動産私募ファンドのみならず、グループで2004年3月には日本レジデンシャル投資法人、2006年9月には日本コマーシャル投資法人などでJ-REITも運営、2007年11月には年収入高約196億4700万円をあげていた。その後、2008年6月には持ち株会社に移行し、現商号に変更するとともに事業内容もグループの経営・事業戦略の立案、実行やグループの経営管理などに移行していた。

 しかし、サブプライムローン問題に端を発した金融機関の融資姿勢の厳格化および不動産市況の急速の悪化に伴い保有不動産の売却が進まず資金繰りが悪化。また物件購入見合わせによる違約金の発生や物件売却に伴う損失計上を見込み、2008年11月期では当期純損失約180億円に業績を下方修正。この間、財務体質の強化を図るべく2008年7月には(株)大和証券グループ本社による資本参加の基本合意を締結し9月末を目処に協議していたが、最終合意には至らなかった。11月には第三者割当増資による資金調達を発表したが、優先株式による調達資金約468億円のうち、現物出資を予定していた社債約270億円の払い込みはなされなかった。その後、新たに470億円の優先株式発行による増資交渉を進めていたものの、2008年11月期に大幅な赤字決算となり債務超過に転落したことから、金融機関からの借り入れに関し財務制限条項に抵触、継続企業の前提に関する注記がなされるなどしたことでその後も増資交渉が難航。監査法人からは意見不表明を受けるなど動向が注目されていた。



負債総額こそ大きいですが、はっきり言ってこんな会社あってもなくても社会には何の影響もありません。欲の皮の突っ張った金融機関とゼネコンで損失を被ってもらい、社会の一刻も早い正常化のために、さっさと消え去って欲しいものです。

話は変わりますが、最近の吉祥寺界隈の話題として、ようやくパークホームズ吉祥寺グランテラスの第1期分の販売価格が発表されました。今回発売されるのは全156戸中の55戸と、およそ3分の1です。公式HPでは間取り毎の販売価格は明らかにされていませんが、住宅情報ナビの部屋一覧には35戸分の販売価格が明示されています。これから算出される平均販売価格は261万円/坪となります。以前のエントリこんな値段で長谷工さん大丈夫?でご紹介した吉祥寺3丁目の「グランドメゾン吉祥寺コート」の販売価格は230万円/坪で、こちらは非常に短期間で完売しました。同物件はJR線路横という立地条件のハンディキャップを価格設定で克復した訳ですが、そのことと考え合わせると高圧線下というハンディキャップをグランテラスも価格設定で克服できるのかが注目されるところです。

このグランテラスの価格設定については、正式発表前からモデルルームでの情報が掲示板等に書き込まれていました。噂されていた270万円/坪という価格設定は、結果としてほぼ正しかったことが分かります。掲示板では、グランテラスのセールスマンの「吉祥寺レジデンシアは350万円/坪」という言葉が紹介されていますが、真相はどうなのでしょうか。長谷工が法政グラウンド跡地(パークホームズ吉祥寺グランテラス)よりも校舎跡地(吉祥寺レジデンシア)を相当高値で購入していることは、記念講堂・プール跡地の武蔵野市への売却価格一つ見ても明らかですので、グランテラス並みの価格で出してくることは不可能でしょう。吉祥寺アドレスしか売りのない住戸としての基本性能の劣る3流物件に、坪350万円/坪の価値があると購入希望者が判断するのかどうか、正式な価格発表が待たれるところです。

さて、本題です。週刊ダイヤモンドの「マンション底値買い」ですが、記事そのものについては正直あまり興味はありません。個人的には、大幅値引きされていると言っても、マンション自体は依然相当割高で販売されている(しかも、土地を割高で仕込んでいるため、専有面積が削られているケースが多い)と考えていますので、「大幅値引き」を煽るマスコミに踊らされることなく、冷静な判断が必要だと感じています。それでも、この記事の中の「全国254物件『値崩れランキング』」は面白く読ませてもらいました。今回は、このランキングを中心にご紹介します。

ランキングは、アウトレット編74物件(売主自体が何らかの値引きを行っていることを公表している物件)と平均単価編180物件(編集部の取材により価格改定などがあったことが判明した物件)に分かれています。本ブログ的には、その内容の詳細には興味はなく、この中にどの程度長谷工物件が含まれているのかを調べてみたいと思います。

先ずは、アウトレット編から。全74物件中、長谷工施工物件数は10物件(13.5%)と、意外とその数は多くありません(但し、これ以外に長谷工子会社の森組1物件、不二建設2物件あり)。しかし、これには訳があり、アウトレット編には長谷工エリア外の3大都市圏以外の物件が含まれているのです。3大都市圏以外の12物件を除外すると、その比率は16.1%に上昇します。

これでもそんなに高くないじゃないか、とお思いの方も多いと思います。これには一つの理由があります。全74物件中、売主が1社のみの物件は59物件と、約8割に上ります。ここからは、売主が2社以上の物件は(売主毎に懐具合も異なるため)値引き一つ取ってもなかなか足並みが揃わない様子が透けて見えます。結果として、大型物件に複数の忠犬達を参加させてマンションを建設することの多い長谷工の物件は、価格改定物件には登場しにくい、そんな事情がありそうです。

続いて、平均単価編です。こちらは、エリア別にランク付けされていますので、長谷工エリア外の北海道9物件、福岡4物件を除いた167物件を見てみたいと思います。エリア毎の状況は以下の通りです。

エリア全物件数うち長谷工備考
東京23区363他に不二建設1物件あり
東京市部162 
神奈川2810 
千葉131 
埼玉283 
愛知131 
大阪179 
滋賀42 
京都72 
兵庫51他に不二建設1物件あり


神奈川、大阪を除くと、長谷工の比率は低いようです。しかし、ここでも全167物件中売主が1社のみの物件は130物件と78%を占めています。足並みの揃わないJVは、値引き販売も難航しているようです。なお、売主が複数の全37物件中、長谷工物件は16物件(約43%)。こちらは、確固たる地位を確立しているようです。

この他、この特集記事の中では、「主要駅別底値接近度ランキング」の首都圏128駅中最下位が吉祥寺だったりしています(栄えある割高ランキング第1位)。本当に最も割高かどうかは別としても、最近の吉祥寺の分譲価格は高過ぎると感じることが少なくありません。割高なものは、熱が冷めれば必ず含み損を抱えます。このランキング一つ取ってみても、そのことを忠告している気がしてなりません。

大分、長くなりました。管理・修繕編の高値で管理会社を買い漁る長谷工を揶揄した「また長谷工か」というコメントを紹介している部分は、以前のエントリと重複しますので紹介は割愛します。ご興味をお持ちの方は、図書館などでご覧下さい。誰よりも、劣悪マンションを建て続けているにも関わらず、今後のマンション工事の先細りを心配している長谷工の滑稽な姿が、そこにくっきりと見て取れることと思います。

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