吉祥寺東町の法政跡地問題を考える

各地で高層マンション建設を強行、地域住民との紛争多数。モラルゼロの最低マンション専業ゼネコン・長谷工コーポレーションによる、吉祥寺東町・法政高校跡地の高層マンション建設計画を追跡するブログです。

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やはり嘘だったプレミアムプランの完売~続・本当は何戸売れてるの?~

ここ数日、春一番なのか強風の日が続きました。気のせいか、以前より風が強くなったようにも感じます。これが、吉祥寺レジデンシアによる風環境の変化によるものでなければ良いのですが…

3月下旬引渡予定となっている吉祥寺レジデンシアも、いよいよ入居が近付いているようです。敷地の周辺の囲いが邪魔で、特に女子大通りと美大通りの交差点の辺りは、信号待ちをするスペースすらろくに確保されていない状態。歩行者の安全確保の観点からも、早く引渡を行って、このうっとうしい敷地の囲いを取り払って欲しいものです。

交差点の様子(囲いが邪魔で信号待ちのスペースなし、クリックで拡大)

さて、そんな吉祥寺レジデンシアですが、この3連休はフリー見学会なるものを開催していました。今まで、頑なに「予約制」という「個人情報と引き替えでなければ見学させない」という身勝手な方針を貫いてきた訳ですが、いよいよ引渡時期が迫る中、大量の在庫を抱えたままではマズイと方針を変更したということでしょうか。但し、チラシには小さく「ご見学後は簡単なアンケートにお答えいただきます」とありますので、個人情報を提供せざるを得ないことには変わりはないようですが。セールス電話の嵐を気にされる方は、引き続き見ることすら難しそうです。

フリー見学会(「堂々完成」がむなしく響きます、クリックで拡大)

このフリー見学会は、建物内のモデルルーム3戸(東棟806号室、西棟702号室、506号室)が見られるようです。この3戸のうち、西棟702号室というのは「Premiun E」タイプと銘打たれており、いわゆる「プレミアムプラン」として「オーダーメイドシステム」を売りにしていたものです。にも関わらず、既に完成しているのに売れ残っているようでは、折角の「オーダーメイドシステム」が泣いているというものです。1億円超の無謀な値付けは、やはり「その価値なし」と判断されたということでしょう(プレミアムプランが「プレミアム」に値しないことについては、過去のエントリプレミアムプランの行方をご参照下さい)。

プレミアムプランE(1億6520万円の価値はないと判断されているようです、クリックで拡大)

それはともかくとして、ここで指摘したいことは、過去のHPの物件概要においては「プレミアムプラン」は既に全戸供給済とされていたことです。そのことを突き詰めていくと、そこにはセコ過ぎる隠蔽工作の跡と大量の完成在庫の形跡が、そこかしこに残されていました。

先ずは、既に過去のエントリ本当は何戸売れてるの? でも紹介した、第1期(先行して「会員限定分譲」を行っていたため、実質第2期)の物件概要に記載されていた「お詫び」にはこうありました。

<お詫びと訂正>
※本物件については、物件ホームページ等にて予告広告・本広告を実施し、2009年6月20日(供給戸数:91戸)より販売を開始しており、総戸数208戸に対し110戸については供給済となっております。

本来、予告広告を行った広告媒体については、同媒体で本広告を行わなければならないところ、本サイトにおいては予告広告を行ったにも係わらず、本広告を行いませんでした。また、本サイトにて2009年8月18日まで掲載しておりました物件概要については、未供給住戸98戸の予告概要とすべきところ、総戸数 208戸の全体概要となっておりました。ここに深くお詫び申し上げます。

なお、未供給住戸98戸の予告概要は、販売予定価格6300万円台~10600万円台(変更前:5000万円台~18100万円台)、専有面積67.39m2~94.91m2(変更前:60.24m2~142.74m2)となります。



この記載によれば、第1期の販売開始時点では、110戸が供給済で、未供給住戸は98戸であること、未供給住戸の中にはプレミアムプランが含まれていないことなどが分かります。この時点でも、前述の過去のエントリでは、(1)供給済とされている住戸の数(110戸)が実際の会員限定分譲戸数(先着順を除くと99戸)と合致しないこと、(2)会員限定分譲ではほとんど分譲されていなかった1億円超の「プレミアムプラン」が、すべて供給済に変更されていることの矛盾を指摘しました。

第1期については、間に先着順住戸の販売を挟みながら、第1期22戸、第1期2次2戸、第1期3次2戸を売り出しました。細切れな販売戸数に極度の販売不振を見て取ることができますが、この後、そんなことは問題にならないくらい決定的な販売不振の証拠を自ら明らかにします。

今年に入ってから始まった第2期(実質は第3期)の予告広告に記載されていた物件概要には、「その他」欄に以下のような注記がなされていました。

※表示されている価格、専有面積等の数値は、第2期以降の全住戸(96戸)を基礎としています。第2期の販売戸数、価格、専有面積等は本広告におきましてお知らせいたします。



あれあれ? 第1期の販売開始時点での未供給住戸は98戸で、第1期では計26戸を売り出した筈。にも関わらず、「第2期以降の全住戸」が96戸って一体? ここでも、単純な引き算が成り立ちません。供給済には、大量の未契約在庫が潜んでいたようです。それとも、長谷工方式の戸数計算は、我々素人には到底及びもつかないような複雑な計算方法となっているのでしょうか。

しかし、この第2期の予告広告の疑問はこれだけにとどまりません。予告広告中の予定販売価格は「6,510万円(予定)~9,770万円(予定)」とあり、これまたプレミアムプランは含まれていないことが分かります。にも関わらず、現在の建物内モデルルームには、堂々とプレミアムプランの住戸が含まれている、このことはどう説明すれば良いのでしょうか? 「第2期以降の全住戸」とされている96戸以外に、一体どれだけの未契約在庫があるのでしょうか?

第2期24戸の販売が終わった後は、また例によって先着順住戸の販売に移っていますが、その販売戸数も何故か29戸→28戸→27戸と微妙に変化しています。中味がほとんど一緒であることは、物件概要の記載から容易に知れますが、こんなスローな販売ペースでは、一体いつになったら完売することやら… 学区にある本宿小学校にも、吉祥寺レジデンシアの4月からの転入生はほとんどいない模様。全ての客観的な情報が、極度の販売不振を物語っています。

建ってしまった以上は、せめて早期に販売し、新しい住民の方たちが早く地域に溶け込んでくれれば良いのにと思いますが、長谷工軍団が自らの欲の皮を徹底的に突っ張らせた結果、それすらも難しいようです。4月以降は、灯りの点らないゴーストマンションを毎日見続けなければならないのでしょうか?
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マンションという効率一辺倒の居住システムの終焉

久し振りの更新です。その間、ネタがなかった訳ではありませんが、自壊していくマンション業界のことをいちいち採り上げるのにも、少し飽きてきました。これからは、更新頻度を落としつつ、細々と更新していこうと思います(相変わらず定期的に巡回してくる長谷工社員には申し訳ありませんが、長谷工批判を止める気は一切ありませんので念のため)。

外観上はほぼ完成し、いよいよ竣工間近となってきた吉祥寺レジデンシアですが、先週末は入居予定者の内覧会が行われていたようです。現地は、長谷工社員ばかり目につき、購入者らしき人は少なかったのですが、これは単に時間をずらしていたからかも知れません。何でも販売不振のせいにするのは止めておきましょう。

なお、吉祥寺レジデンシアは先週いっぱいで第2期(ルール違反に基づく表記なので、本当は第3期)24戸の販売が一区切りつき、また先着順販売(29戸)に入っているようです。第2期の予告広告には「第2期以降の全住戸(96戸)」との記載がありましたので、少なくとも第2期販売スタート時点で96戸は残っていた訳です。「残り96戸のうち、24戸+29戸=53戸を販売するなんて、販売は好調のようだ」なんて思う方は、今さらいらっしゃらないと思いますが、彼らの販売戸数の足し算は、期分け販売の間に売れ残り住戸を紛れ込ませるため、いつも答えが合わないので、見かけの数字に誤魔化されませんようご注意下さい。

話は、少し前のニュースに移ります。今月12日に、芦屋市で景観法に基づく市景観認定審査会が5階建てマンション建設の建設を認めない「不認定」を出したことが報じられました。地元、神戸新聞の記事景観法根拠にマンション建設認めず 全国初、芦屋市によりますと

 芦屋市は12日、JR芦屋駅北の一戸建て住宅が並ぶ地域で、申請されている5階建てマンションの建設計画を「周辺の景観と調和していない」などとして不認定とした、と発表した。同市内全域が景観法に基づく「景観地区」に指定されており、全国28地区のうち、同法を根拠に大規模建築物の建設を不認定としたのは初という。(上杉順子)
 同市都市計画課は「これまでは周辺環境になじまないという認識があっても、建築基準法や都市計画法に適合していれば、建築を認めてきた。今回の決定は、景観を軸とした新たなまちづくりの一歩」としている。
 マンションは、大手不動産会社「三井不動産レジデンシャル」(東京都)が芦屋市大原町に計画している地上5階建て地下1階建てで、延べ床面積約3700平方メートル。
 周辺は2階建て規模の一戸建てが多いが、計画中のマンションは東西約40メートル、高さ約15メートルに及ぶため、識者で構成する同市景観認定審査会が5日に「不認定とすべきだ」とする答申を出した。市は10日、同社に不認定を通知した。
 再申請は可能で、同社は「通知内容の確認を含め、今後も引き続き市と協議する」としている。
 同市は昨年7月、市全域を景観地区に指定。景観法に基づく認定審査で、大規模建築物の審査は今回が4件目だった。



とのことです。この問題については、日経BP社の建築専門サイトケンプラッツの記事芦屋市の景観地区で5階建てマンション計画不認定が、より詳しく内容を伝えており、

三井不動産がマンション計画(5階建て23戸)を市に届け出
     ↓
学識者からなる「都市景観アドバイザー会議」を開催し、景観協議を実施
     ↓
同会議が、「戸建て住宅を中心とする周辺環境に調和する工夫」、「戸建て住宅地の場合、景観へのインパクトに関する配慮が重要」などの方針を示す
     ↓
会議後、三井不動産がマンション(5階建て23戸)の認定申請を提出
     ↓
学識者からなる「景観認定審査会」が「戸建て住宅が多い住宅街と調和していない」と判断
     ↓
市が三井不動産に対して不認定を通知



という流れで進んだようです。会議の方針を完全無視して同じ高さ、同じ規模の計画を提出する三井不動産レジデンシャル。財閥系と言えども、マンションデベロッパーの強欲さには何の変わりもないことを、嫌というほど見せつけてくれています。

それにしても、京都市の建築物の高さの大幅規制強化(過去のエントリ長谷工の顧客軽視の実態を参照)や、西宮市の横長マンション規制条例制定(過去のエントリマンションと風害~西宮市の「横長マンション」規制に想うを参照)等を見ても、景観や住環境に対する意識は、関西の方がずっと進んでいるようです(真鶴町の美の条例のような例外はありますが)。

芦屋市の事例は、高級住宅街として知られ、市内全域を「景観地区」に指定している例外的な事例だと捉える方も多いかも知れません。しかし、武蔵野市は、「ゆとりある住環境の保護・形成を図る観点」から、ほぼ市内の低層住宅地域全域に敷地面積の最低限度120m2(一種低層の場合、二種低層は100m2)という、全国でも指折りの厳しい面積制限を課している行政団体です。もちろん、吉祥寺レジデンシア周辺の戸建住宅が立ち並ぶエリアのほとんども、敷地面積の最低限度は120m2です。

そのような事実を考え合わせたとき、少なくとも私は、下の写真のような周囲の景観に全く調和していないマンションが、「戸建て住宅が多い住宅街と調和し」た建物とはとても思えません。武蔵野市の考え方は、やはりどこかずれています。

完成した吉祥寺レジデンシアの全景(これのどこが調和しているの?、クリックで拡大)

そして、更に一層考え方がずれているのは、もちろん長谷工です。好き嫌いはあるでしょうが、低層住宅街に意味不明なグラデーション(とも言えないような奇妙な配色)を持ち込み、それを「吉祥寺の新たな”象徴”」などと勝手に言い放つ。キャッチコピーの「整然たる住宅街に誕生」は、「整然たる住宅街に景観を乱して誕生」の間違いでしょう。もっとも、ルーバー手すりで共同住宅の外観にメリハリのこの物件と比較すれば、余程マシだとは思いますが(笑)。

問題外の外観(目立ちゃいいってもんじゃありません、クリックで拡大)

しかし、世間はそこをきちんと見抜いているようで、隣接家屋との離隔距離が十分に確保されていない(にも関わらず割高な)東側の住戸は、売れ行きが非常に悪いようです。

東側は近隣家屋に隣接(やはり離隔距離が不十分と判断されました、クリックで拡大)

美大通りに面する西側がかなり広々としているのと比較して、東側の離隔距離は、近隣住民からの再三にわたるセットバック要請を無視して離隔距離7.35mでの建築を強行しました。住民側は、8階建てを建てるのであれば、せめて東側の離隔距離を10m程度確保して欲しいと、長谷工の利益追求体質にも一定の配慮をしながら建設的な意見を提示しましたが(それによって圧迫感が如何に軽減されるかについては、過去のエントリ続・圧迫感を検証してみましたで検証しています)、長谷工は全くと言っていいほど聞く耳を持ちませんでした(住民側の要望事項を拒否した最終回答内容については、過去のエントリ第7回長谷工説明会で紹介しています)。

常識的に考えれば、新設公園(旧講堂・テニスコート跡地)に面して開放感のある西側のセットバックを減らし、近隣家屋に隣接する東側の離隔距離を確保しそうなものですが、長谷工がこれをしないのには訳があり、7階建ての西棟の高さが日影規制に抵触するため、これ以上建物を西側にずらせないということが長谷工自身の説明で判明しています(この点についても、過去のエントリ第6回長谷工説明会で紹介しています)。

少なくとも、長谷工に少しでも周囲の住環境や景観に配慮する気があるなら、東側の離隔をもう少し広く取り、西棟の高さをあと1~2階程度引き下げる程度の設計変更は十分可能だったと思います。しかし、机上の収益計算にしか関心のない守銭奴たちは、自らの利益を確保できる価格の維持に取り憑かれていた(過去のエントリこんな値段で長谷工さん大丈夫?で想定原価を試算しています。結果がぴったりすぎて笑えます)ようで、「無理にボリュームを増しても、売れ残って値引きせざるを得なくなったら結果は一緒」という理屈を理解できなかったようです。

建ってしまう以上は、入居者の方々とうまくやっていきたいと思うのが、近隣住民の総意でしょう(坊主憎けりゃ、的な方は少ないと思います)。程度の差はあれ、近隣にしこりを遺さないような設計を心がけることも、これからのデベロッパーには必要ではないかと思います。

最後に、「たぬきの森」のその後を伝えた2月15日付日経新聞の記事(違法マンション、撤去不透明 「たぬきの森」に完成間近で中断でさわりの部分が読めます)の最後にある、日置雅晴・早稲田大学法科大学院教授(弁護士として多くの建築紛争にかかわる)の素晴らしいコメントを引用して、本エントリを終わります。

(前略)「建築確認は後から取り消されるリスクがあることを建設業者は認識すべきだ」と指摘。周辺住民の反対があっても、建築確認が出たことを理由に計画を強引に進める業者に警告する(後略)。

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マンションデベロッパー淘汰の波は、いつ長谷工を飲み込むか?

吉祥寺レジデンシアは、少なくとも外観上は完成に近付いているようで、周囲の防音ネットや仮囲いが徐々に撤去されています。結果として、低層住宅地に全く似つかわしくない異様(偉容ではない)な姿が、嫌でも目立つようになってきました。本ブログ開設当初より主張していることですが、これがせめて5階建て程度までの高さであれば、周囲に与える威圧感も大幅に軽減されるのにと、残念に思えてなりません。

東側の様子(東側から、道の先は巨大な壁、クリックで拡大)

北側の様子(北側から、植栽も行われています、クリックで拡大)

本ブログを開設したのが3年前の12月。既にその頃から、本ブログにおいてはマンション業界の膨らみきったバブル体質を指摘してきました。結果については、皆さんご存じの通りです(もっとも、3年前にはここまで急坂を転げ落ちるとまでは思っていませんでしたが)。

そんなマンションデベロッパーの窮状は、SUUMO新築マンション(旧・住宅情報マンションズ)が毎年年末に特集する「不動産会社ガイド」にはっきりと現れています。2009年版については、以前のエントリ来年は何社のデベロッパーが生き残れるか?でその概要をお伝えしていますが、12月15日号に掲載された「2010年版」と、過去2年分の比較を行ってみました。3年分の比較表は以下の通りです(五十音順)。

社名2008年版2009年版2010年版寸評
旭化成ホームズ×
アゼル××H21.3.30自己破産済、忠犬
アートプランニング忠犬
穴吹工務店××H21.11.24会社更生手続申立済
アールエー×
アンビシャス××テレ東「ガイアの夜明け」出演でお馴染み
伊藤忠都市開発×意外と忠犬
栄泉不動産×H21.1.30民事再生申立済、忠犬
NTT都市開発マンデベの金蔓
エルクリエイト××H20.10.2自己破産済
FJネクスト×ワンルームマンション業者、強引な電話セールスが特徴
MID都市開発××旧・松下興産
オリックス不動産地下室マンション業者
風と大地××HPでは販売物件がゼロに…
近鉄不動産×忠犬
グローバル住販××
グローベルスアゼルとの合併キャンセルでかろうじて生き残り
京阪電鉄不動産×首都圏撤退か?
康和地所××H20.10.31民事再生申立済
興和不動産吉祥寺レジデンシア事業主、忠犬
コスモスイニシアH21.4.27事業再生ADR(私的整理)申請済
近藤産業××H20.5.30自己破産済、忠犬
坂入産業××
サンケイビルルフォン吉祥寺完売の日まであと何年?
三交不動産×忠犬
サンピア××
JFE都市開発H21/3期は26億円の大赤字、ちょっと忠犬
シーズクリエイト××H20.9.26民事再生申立済
ジェイレックス・コーポレーション××買取再販業者、悪質なセールスに定評あり
ジョイント・コーポレーション×H21.5.29会社更生手続申立済
章栄不動産××H21.1.21民事再生申立済
新星和不動産×日本生命系、ちょっと忠犬
新日鉄都市開発×忠犬
新日本建設××タヌキの森の主人公、忠犬
新日本建物×H22/3期2Qも依然赤字が続く、忠犬
住友商事
住友不動産突出した完成在庫戸数に一部から懸念の声が…
西武不動産××分譲事業撤退に伴い、H21.6.30西武プロパティーズに吸収合併済
セコムホームライフ×マンション開発からの撤退を表明済
ゼファー××H20.7.18民事再生申立済
セントラルサービス××大阪地盤、HP掲載の分譲中物件はゼロ…
セントラル総合開発×H22/3期2Qも依然赤字が続く、忠犬
創建ホームズ××H21.8.26民事再生申立済
総合地所忠犬
双日忠犬
相鉄不動産×ちょっと忠犬
大京
ダイナシティ××H20.10.31民事再生申立済
ダイヤモンド地所××
大和ハウス工業××
タカラレーベン
中央コーポレーション×H21.4.14民事再生申立済、忠犬
TFDコーポレーション投資用マンション会社、悪質な電話セールスに定評あり
東急電鉄二子玉川ライズに完売の日は来るか?
東急不動産
東京建物ブリリアマーレ有明に完売の日は来るか?
東京レジデンシャル不動産×中山豊社長は元・ダイナシティ社長
東新住販
東邦ハウジング××
東レ建設×忠犬
藤和不動産三菱地所の100%子会社化
トーシンパートナーズ××本社は吉祥寺
ナイスH22/3期2Qは21億円の赤字
ニチモ×H21.2.13民事再生申立済、忠犬
日鉱不動産×忠犬
NIPPO
日本エスコン×H21.6.22事業再生ADR(私的整理)申請済
日本土地建物××
日本ワークス
野村不動産
ハウジング大興××H20.7.30民事再生申立済
阪急不動産
ヒューマンランド××
フォーユー×
フージャースコーポレーション×
扶桑レクセル××H21.3.1大京に吸収合併
プレサンスコーポレーション××投資用マンション会社
プロバイスコーポレーション××栄泉不動産に事業譲渡済、忠犬
プロパスト××H22/5期1Qは28億円の大赤字、45億円の債務超過
平和不動産忠犬
丸紅××
三井物産
三井不動産レジデンシャル
三菱地所
三菱商事
名鉄不動産吉祥寺レジデンシア事業主、忠犬
明豊エンタープライズ×長谷工と親密、H21.10末の現預金は1.86億円しかない…
明和地所××国立マンション訴訟でお馴染み
モアコーポレーション××
モリモト×H20.11.28民事再生申立済
山田建設××
有楽土地×H22.4.1大成建設の100%子会社化予定、忠犬
ユニカ××福岡の不動産屋
ユニホー××名古屋の不動産屋
陽栄
ランドコム××H20.9.29民事再生申立済
リスト×
リビングライフ
リブラン××
菱重エステート三菱重工系
合計905748


毎年着実に減少する掲載会社数と倒産企業数の多さもさることながら、掲載される会社の中味の変化にも驚かされます。エンドユーザー向けの分譲を手掛ける独立系デベロッパーが激減する一方、投資用マンション業者の掲載数が増加。そして、体力のある財閥系や大手商社・銀行系の不動産会社などが毎年掲載されており、既に一般顧客向けの業者ガイドとしては用をなさない中味になってしまっています。業界挙げての「身から出た錆」とは言うものの、改めてマンションデベロッパーを取り巻く環境の厳しさを再認識させられる中味です。

さて、この特集記事には、実態は自社施工のマンションデベロッパーと異ならないマンション専業ゼネコン・長谷工は登場しません(厳密に言えば、忠犬たちのページに長谷工物件は登場しますが)。そのため、この特集記事からは長谷工の窮状は判明しないのですが、長谷工の窮状については、長谷工自身が公表しているプレスリリースから窺い知る事ができます。

それは、12月17日に公表された子会社設立及び組織再編に関するお知らせというリリースです。中味は、資金調達用の子会社2社(長谷工MMB、長谷工MMH)を設立するというものです。これが何故、長谷工の窮状を示しているのか。それは、この子会社設立による資金調達スキームが、実質的に長谷工が保有するマンション管理会社を担保として調達するものに他ならないからです。

昨年、今年と破綻していったマンションデベロッパーの多くが、資金調達手段に窮して、最後に虎の子の管理子会社を売却することで資金を捻出してきたことは、過去のエントリ(管理会社召し上げで忠犬はお役ご免?など)でもお伝えしてきた通りです。長谷工自身、その混乱に乗じて管理戸数を大幅に増やしてきた訳ですが、いよいよ長谷工自身が、その管理子会社を資金調達手段とせざるを得ないほど資金に困窮してきたということでしょう。因みに、管理子会社株式譲渡を資金調達手段と強弁する様は、事業再生ADR(私的整理)で事実上のデフォルトを起こしているコスモスイニシアと重なります(過去のエントリ溺れる者は藁をもつかむ?を参照)。

なお、長谷工はプレスリリースの中で、「資金調達手段の多様化により、長期的かつ安定的で有利な条件での調達の実現に向けて、当社の子会社が営むマンション管理事業等から生じるキャッシュ・フローを裏付けとした資金調達を行うことと」したと説明しており、あくまで有利な調達手段としてこのスキームを採用したと説明しています。

しかし、実態は異なるようで、不動産業界紙である「日刊不動産経済通信」の12月21日号に掲載された「長谷工、長期資金の調達で新会社を設立」では、「来年3月末に返済期限を迎える約750億円のうち、約350億円分については同条件で借換えができる予定となっているが、残りの約400億円分については新たな資金の調達が必要となっている。今回の子会社を使ったスキームで200億~300億円の借入を行い、残りは手元資金と一部保有資産の売却益などで賄う予定」と、既に金融機関から借換えを拒否されて資金調達余力がなく、やむなく虎の子の管理子会社を資金調達のために差し出したことが暴露されています。

既存株主を裏切ったMSCB発行が9月。その3ヶ月後には、早くも自社に残る唯一と言っていい優良資産を差し出して資金調達せざるを得ない。こんな会社に、一体何の未来があると言うのでしょう? 来年の今頃には、果たして長谷工は無事に生き残っているのでしょうか?

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「タヌキの森」が遺したもの

18日付の新聞各紙やニュース番組などで、違法・脱法マンションとの争いを続けている人々にとって「画期的」とも言える最高裁判決が出されたことが伝えられました。

それは、東京都新宿区下落合4丁目で建築が進められていた新日本建設の「(仮称)目白御留山住宅プロジェクト」について、周辺住民が区の建築確認取消を求めて提訴していたもので、最高裁は建築確認を取り消した二審・東京高裁判決を維持して、新宿区の上告を棄却しました。既にニュース等でご存じの方も多いと思いますが、内容を比較的詳しく伝えている毎日jpのマンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決によりますと、

 タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。

 住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。

 問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。

 災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。

 1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。

 ◇200年の古木「タヌキの森
 周辺住民は、樹齢200年の古木がある「タヌキの森」の保存を区に要望。土地を買い取り公園化するよう求め、一時は約2億3000万円の基金を集めていた。しかし、区は土地を買収できず、06年に工事が始まった。

 現在、敷地内の樹木は伐採され、タヌキも姿を消したが、周辺では生息が確認されているという。記者会見した原告の武田英紀さん(44)は「大変うれしい判決。また自然を復元する活動を続けたい」と喜びを語った。【銭場裕司】

 ▽中山弘子・新宿区長の話 司法の最終判断を真摯(しんし)に受けとめ、適切に対応していきたい。

 ▽建設業者の話 区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し、許可を得て開発を進めてきた。判決に非常に困惑している。当社の手続きに不備はないので、今後は区とも協議し、区に何らかの対応を求めていく。

タヌキの森タヌキの森敷地図(朝日新聞より)、クリックで拡大)



とのことです。また、YOMIURI ONLINEの都心近くの「タヌキの森」、住民ら復元目指すでは、提訴に至る経緯などが以下の通り詳しく紹介されています。

マンション建築確認違法、建設会社「被害者の気分」

 豊かな緑が残る東京・新宿区下落合の「タヌキの住む森」と呼ばれる一角で建設中のマンションについて、最高裁が17日、区の建築確認を違法として取り消した。

 都心近くの緑の保護を訴えてきた原告の住民らは、この日の記者会見で「伐採された緑を復元したい」と話した。一方、敗訴した区は「違法建築になったので、建設会社を指導する」と言葉少な。都心のタヌキたちのすみかは、これからどうなるのか――。

 建設現場はJR目白駅から西へ約500メートルほどの高台で、目白通りと新目白通りに挟まれた場所にある。以前は古い住宅と屋敷森で、近くに区立下落合野鳥の森もあり、タヌキや貴重な野鳥が生息している。住民らによると、最近も路上や民家の軒下を歩くタヌキが目撃されているという。

 マンション建設計画が持ち上がったのは2004年11月。建設会社が土地を買い取り、3階建て約30戸の集合住宅を建てる計画を示した。これに対し、地元住民は翌年、森の保全を求めて「下落合みどりトラスト基金」を設立。森の買い取り資金を集めて区立公園にするよう区に働きかけた。

 しかし、集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず、同社は06年、区の建築確認を受け、着工に踏み切った。建設地の樹木は伐採された。今回の訴訟は、こうした中、近隣住民が起こしたものだった。

 判決後、霞が関の司法記者クラブで記者会見した、基金の事務局長で原告の武田英紀さん(44)は、「地域住民の住環境が守られた。この地域にはタヌキやたくさんの自然が残されており、後世に残す一歩を踏み出したと言える」と語った。今後、改めてトラスト活動で買い取り資金を募る考えで、「区は知恵を出してほしい」と求めた。

 同席した基金の会計担当、森山崇さん(63)も、「最終的に公園になるまで努力していく」と話した。

 ただ、判決を受けて建設中の建物は取り壊す必要などが出てきたものの、実際にどうなるかは不透明だ。

 マンション建設は7割ほど進んでいるが、東京高裁で住民側が勝訴した昨年1月以降、停止している。建設会社は区に損害賠償を求める構えで、同社の役員は「区が建築確認を出したのに、こんな判決が出るとは。被害者のような気分だ」と戸惑った様子で話した。

 これに対し、区建築指導課は「現状で違法建築物になったので、建設会社に今後改めるよう指導していく」と話すだけ。住民と今後のことを話し合うかどうかは「未定だ」としている。

 記者会見後、住民の一人は「区は業者と交渉し、解決策を見いだしてほしい」と話した。(野村昌玄、渡辺光彦)



建設会社(新日本建設)が「被害者の気分」などと言っているのは、「自分たちの違法計画を特例扱いで新宿区に認めさせた」ことが事の発端にも関わらず、被害者面だけしている点で同情の余地などありません。更に、記事中では「集まった資金は建設会社が提示した10億5000万円に届かず」と、さらっと流されていますが、ここには新日本建設のとんでもない強欲さが現れています。

記事中にも登場する「下落合みどりトラスト基金」のサイトには、過去の事件の経緯が詳しく紹介されており、それを見ると、新日本建設の当初土地購入価額が7億5千万円であること、新宿区が土地を5億4千万円と評価して、「基金」の額と合わせた額での購入を新日本建設に何度も申し入れているが、10億5千万円の提示額を譲らないことなどが分かります。

近隣住民向け説明会で、新日本建設側は「買い取り価格7億5000万円は誤りで、それより多い額だ。新宿区側+『トラスト基金』側からの提示額は、買い取り価格を下まわっている(中略)。10億5,000万円は役員会議で決定したものであり、減額はまったく考えていない」と発言しており、正確なところは分かりませんが、何れにせよ、「環境保全のために土地を譲渡して欲しい」という声に対しても、「営利企業だから(短期転売でも)利益を乗せるのは当然だ」という主張を行っているようです。

この点については、「新宿区が(建築計画を)認めてるのだから、当然建設はなんら問題ない。最大限の利益を得ることがわたしたちのすべてであり、株主に対する責務だ」とも発言しており、CSR(企業の社会的責任)という観点が完全に欠落した守銭奴振りを遺憾なく発揮しています。このロジックが誤りであることは、以前のエントリ法政の桜に書きましたので、ここでは繰り返しません。何れにせよ、目先の利益に執着し、違法設計を押し通そうとしたツケは、非常に大きなものになったことだけは確かなようです。

ここまで、事の発端を作った新日本建設の方を見てきましたが、ここからは新宿区の責任について見ていきたいと思います。そもそも、タヌキの森訴訟の被告は新日本建設ではなく新宿区であり、訴訟自体も新宿区が出した東京都の建築安全条例違反の建築確認の有効性が問われたものです。

この建築計画に対しては、どうやら新宿区の建築課が開発を推進する立場であったようで、東京都安全条例上、本来は1,000平方メートルを超える建築物を建築できない土地に、同条例の緩和措置(区長が建築物の空地の状況その他土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合は緩和可能)によって、特例の安全認定を下ろしたようです。しかも、その安全認定を下ろしたのが、近隣住民が敷地の買い入れを新宿区長に請願する当日、しかも面会6時間前という神経を逆撫でするようなタイミングだったことも判明しています。

一方、同じ行政側でも、建築確認を行った建築課以外の部署はこの計画に否定的なようで、基金のHPの区の「ハザードマップ」で危険箇所に指定に整理されている新宿区の各部署の見解を見ると、

建築課たぬきの森へ計画中の重層長屋(2,800m2)を建てるのは、法的(特例認定)にも、また安全性の調査や消防署の意見でもまったく問題がなく、安全なので「建築確認」は当然である。
建築指導課たぬきの森南側の崖地は非常に危険であり、「急傾斜地崩壊危険箇所」として“網がけ”指定する。大きな人的・物的被害を及ぼす可能性がある。
公園課たぬきの森の敷地は特殊な「旗竿地」であり、1,000m2未満の建物しか建たない土地なので、公園化を想定して買い取りに用意できる予算は土地評価額からみても5億4,000万円が妥当である。
新宿消防署「当該建設予定地へ消防自動車が向かう道路は一本道で、道路幅の最低は3.3mしかなく、消防困難な地域と言わざるを得ません」(意見書)


となっており、建築課の突出した業者との癒着振りが見て取れます。そもそもが、実態がマンションと何ら異ならない建物を、「重層長屋」と言い逃れて規制要件を緩和するというこざかしい悪知恵が全ての事の発端であり、同じ行政側でも建築課以外はそのことを充分に認識していた訳です。これを、全て「新宿区が悪い」と一括りにしてはかわいそうです。とはいえ、訴訟でも被告はあくまで新宿区なので、基金HPで読める東京高裁判決の要旨でも、荒唐無稽な建築課の主張は全て「新宿区」と一括りに表現されている訳ですが…

役所というところは、「自分たちは決して誤らない」という危険極まりない発想を行動原理としており、それが何十年も前に計画した時代遅れの公共工事を何が何でもやり遂げようとするような、庶民感覚とはおよそかけ離れた行動に結びついています。行政を相手取った訴訟で、担当大臣や知事などの決断なしには、どんなに行政側の非が明らかな訴訟でも必ず最高裁まで争うという姿勢にも、この点がはっきり現れています。

この「タヌキの森訴訟」が勝ち取ったものは、単に「違法建築の建築確認の無効を確認した」だけではなく、「ブレーキの壊れた行政のやり方を市民の手でストップできる」ということではないでしょうか。経済効率一辺倒の「発展途上国モデル」からの脱却が日本に求められている今、この判決の重みを(特殊事案と切り捨てるのではなく)建築業界が重く受け止め、乱開発を放棄して欲しいと願って止みません。

それにしても、今後、新日本建設は新宿区を訴えるんでしょうか? 自らの違法計画が総ての事の発端であるにも関わらず、建築確認を下ろしただけの新宿区を訴えるというのは「天に唾する」行為という気がしなくもないのですが…

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臭いの元は吉祥寺レジデンシア ~アスファルト防水工事は安全なのか~

前回のエントリでお伝えした穴吹工務店の倒産は、それなりにインパクトのあるニュースだったようで、その後も様々な形でマンション市況の厳しさを再認識する報道が続いています。個人的には、需給バランスを考えればマンション市況が当面回復しないことなど当然なので、「何を今さら」感も強いのですが…

一例を挙げると、11月30日付の日経新聞の「経営の視点」というコラム記事に、「『穴吹破綻』が映す市場収縮 分譲マンション 転換期に」が掲載されていました。記事自体は、穴吹工務店が創業から供給戸数全国トップに登り詰め、そして破綻に至るまでの経緯をかいつまんで説明したものですが、記事の結びがタイトルに反映されています。その部分だけを引用すると、

 (前略)06年まで10年あまり続いた分譲マンションブームに多くの起業家が群がった。用地を確保すれば設計・施工はゼネコンに丸投げ、販売は大手仲介会社への委託で済む。「机と電話があればマンションデベロッパーは誰でも始められる」とさえいわれた。
 昨年来、新興不動産会社の破綻が相次ぎ、安直なマンションビジネスは影をひそめつつある。民主党政権はマニフェスト(政権公約)で「賃貸住宅の整備」を掲げ、住宅取得政策は後退する方向。市場の収縮は一時的なものではなさそうだ。穴吹工務店の破綻は分譲マンション事業の転換期を暗示しているようにみえる。



正に「安直なマンションビジネス」に一口かもうとしたマンションデベロッパーたちに金だけ出させて、実際は自分たちですべての事業を取り仕切ってきたのが長谷工の本質であったことは、本ブログでも再三指摘しています。この記事が主張するところの「分譲マンション事業の転換期」イコール「長谷工凋落への転換期」と思えてなりません。

与太話はこれくらいにして、本題に移りたいと思います。前回のエントリで、吉祥寺レジデンシア工事に伴う「溶融アスファルトの強烈な悪臭」が、近隣にまた迷惑を掛けていることを簡単にお伝えしましたが、今回はその問題について調べてみました。その結果、そこにはいつも通りの長谷工の身勝手さが横たわっていたのでした。

先ずは、工事に先立って配布されたお知らせチラシの文面をご紹介します。なお、この文面だけではアスファルト防水工事がどのようなものかが全く分かりません。けんけんちくちくという建築情報サイトの下記のエントリにかなり詳しく紹介されていますので、事前にお読みいただくと良いかも知れません。

アスファルト防水
アスファルト防水-その2
アスファルト防水-その3

近隣の皆様へ

 謹啓、皆様におかれましては、ますますご清祥の事と存じます。
弊社の吉祥寺マンション計画につきましては、日頃より大変ご心配、ご迷惑をお掛け致しておりますが皆様のご理解とご協力のもと、進めさせていただいております事に感謝を申し上げます。
 さて、本工事を進める中、屋上アスファルト工事を行う上で白煙及びアスファルトの臭いが有ります。
アスファルト工事期間及び順序に付きましては、下図の通りでございます。
引き続き皆様のご理解とご協力を賜りますように、宜しくお願い致します。
(注:白煙につきましては、最寄りの消防署に連絡済でございます)
※雨天の場合は順延、及び工事上順位が変更になる場合があります。

アスファルト工事期間10/22(木)~11/28(土)



これを最初に見たときは、「多少の臭いがあるのね」程度にしか思いませんでした。何故なら、道路のアスファルト舗装工事現場でも、多少油っぽい臭いがするだけで、アスファルトの強烈な悪臭を体験したことなどなかったからです。しかし、実態は全く舗装工事とは異なるものでした。

周囲への悪臭は、工事箇所や風向き・風の強さなどによって、どちらの方角に発生するかは日々異なります。しかし、無風ないし風の弱い日に近くでこの工事が行われると、周囲一帯ないし特定の方角に強烈な悪臭が充満することになるのです。臭いはゴムを焦がしたときの臭いに似ており、臭いの強い日は窓を開けることはおろか、外に洗濯物を干すことも(臭いが移りそうで)できないほどです。こんな工事を1ヶ月以上にわたって住宅密集地で行う神経が理解できません(なお、工事が全体に遅れているようで、予定工事期間が終わった12月に入っても工事は行われています)。

工事遅延のお知らせ(工事が遅延しても竣工時期は一緒、クリックで拡大)

これだけの悪臭を周囲に撒き散らす工事が、果たして健康被害がないものなのか、非常に不安になります。そして、そのような不安を感じるのは万人共通のようで、アスファルトルーフィング工業会という業界団体のHPには、わざわざQ&Aとして煙と臭いによる、人体への影響はありませんか?という問いが設定されています。

(なお、この他にも日本アスファルト防水工業協同組合という業界団体もあるようで、こちらのHPにも「アスファルトの安全性」というトピックが掲載されています。内容はほとんど一緒なので、ここではアスファルトルーフィング工業会の方に絞ってご紹介します)

この手の業界団体が、わざわざ「健康被害があります」などと主張する訳もなく、ここでも「煙、臭いの発生源であるアスファルト防水の工事現場を想定して、規制値と実測値を比較すると、いずれの対象物質も規制値を下回っており作業上の人体への影響はないと考えられます」というお決まりのロジック(規制値を下回っているから問題なし)が展開されています。

更に、発がん性が懸念される物質(ベンゾ(a)ピレン)の発生量についても、「加熱アスファルト混合物製造プラントからの排出は他の排出源と比べ、ベンゾ(a)ピレンの発生量は非常に少ない」とし、「加熱アスファルト混合物製造会社や道路舗装作業者、アスファルト防水作業者等、アスファルトを取り扱う作業に従事した人の健康調査においても、一般人との間に健康上の差異が認められていない」としています。

また、臭気の問題については、硫化水素の濃度が悪臭防止法の規制値(0.02~0.2ppm)に対して、アスファルト蒸気発生源から1m地点実測値が0.05ppm未満となっていることから、「臭気に関しては、アスファルト防水工事周辺で感知される場合がありますが、悪臭物質の濃度の低さをまず理解し、安心して戴く必要があります。又、臭気に鋭敏な方には窓を閉める等の外気との接触を避けて戴くご協力をお願い致します」と結んでいます。

しかし、この主張にはかなりの無理があります。同じところに「臭気を感知する濃度」(下表を参照)が掲載されており、その中には「だれでも臭気を感知できる」濃度は0.2~0.3ppmとされています。しかし、近隣住民が臭気を感知する場所は先程の「アスファルト蒸気発生源から1m地点」などではなく、屋上での作業ですから優に2~30mは離れた地点での話です。距離による拡散具合も加味すれば、そもそも発生源での濃度がこのデータとは比較にならないほど高いとしか考えられません。

臭気を感知する濃度(どれだけ高濃度の蒸気を発生させているのか?、クリックで拡大)

そう考えると、そもそも発がん性もあるとされるアスファルトをこれだけ撒き散らす工事が、果たして本当に安全なのか、そのこと自体に疑問を憶えざるを得ません(アスファルトの安全性については、国立医薬品食品衛生研究所の国際化学物質安全性カードの中のアスファルトに関する記載が参考になります。そこには、「あらゆる接触を避ける!」、「吸入の危険性:20℃ではほとんど気化しない。しかし、拡散あるいは加熱すると浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある」、「長期または反復暴露の影響:この物質のフュームは人に対して発がん性を示す可能性がある」と安全性を否定するような記載が満載です )。

長谷工が採用している工法が(説明不足によって)全く不明な以上、はっきりとしたことは言えないものの、唯一確かなのは、かなりの臭気と発煙を伴う工事を住宅密集地で行っているということです。この点については、先程も登場した日本アスファルト防水工業協同組合が環境対応型アスファルト 「シグマートE」なる商品をラインナップしており、そこでは施工温度を通常の260~270度から170~190度に下げることで、「アスファルト特有の臭気、発煙を極限まで低減し、施工現場周辺に与える影響を最小限にすることに成功し(中略)、今まで敬遠されてきた市街地等への施工にも安心してご利用いただけ」ることをアピールしています。このような技術を採用する気は、例によってコスト低減だけを至上命題とし、安普請な建物を建て逃げることだけを考える長谷工には、採用する気は一切ないということなのでしょう。それは、今までの一連の経緯を見ても、あまりにも明らかです。

散々迷惑を掛け続けてきた結果、「この程度の迷惑の追加は大したことないだろう」とでも考えているのかも知れませんが、発がん性が疑われるような物質を大量に撒き散らす工事を行う以上、先程のペラッとしたお知らせ一枚だけ配布してお終いという態度には、本当に怒りを覚えます。長谷工という会社には、一切の倫理感覚はないということを、このアスファルト防水工事からも感じざるを得ませんでした。一日も早く工事が完了し、二度と地域に顔を見せないで欲しいものです。

しかし、第1期3次販売も2戸のみ、それが終わると以前とほとんど一緒の先着順販売を繰り返すという極度の販売不振状態では、それもしばらくの間は期待薄ですか、残念ながら…

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あなぶきんちゃん、逝く。

しばらくブログを更新しない間に、吉祥寺レジデンシアの工事もタワークレーンが撤去されたほか、徐々に足場や仮囲いが取り払われつつあるなど、少なくとも外観上は竣工に向けて進んでいるようです。法政校舎の解体工事の時のような、一歩間違えれば死傷者が出ていたような重大事故はこれまでのところ起こっておらず、あと少しの工事期間、何とか無事に終わって欲しいと毎日願わずにはいられません。

しかし、工事の危険性は徐々に去りつつあっても、工事による各種迷惑はなかなか終わることはありません。直近では、屋上の防水工事に伴って、溶融アスファルトが強烈な悪臭を撒き散らしていました(この問題については、色々思うところもありますので、また日を改めて書き記します)。

また、徐々に完成型が見えてきたことによって、改めて問題点を認識せざるを得ないこともあります。以前よりその危険性を指摘してきた地下駐車場への進入路ですが、舗装工事が終わった状態が下の写真です。一見すればお分かりの通り、女子大通りに出る手前の部分は車一台程度の勾配付きの待機スペースしかなく、歩道上の歩行者に十分な注意が払える設計とはとても思えません。しかも、ここに植栽を行って敢えて視界を遮ろうというのですから、何をかいわんやです。

地下駐車場への進入路(地下駐車場への危険なアプローチ、クリックで拡大)

地下駐車場へのアプローチ(完成予想図では植栽の目隠し効果が歴然、クリックで拡大)

下っていったところのシケインのようなカーブが急すぎることも、(居住者間の問題とはいえ)事故の可能性が高そうですが、歩行者はマンションとは全く無関係です。このような劣悪設計で無関係な人を巻き込むのは、今からでも止めて欲しいものです。露骨なコストダウンの影響は、こんなところにも色濃く出ています(計画の説明会で、長谷工は近隣住民側の「地下駐車場の入り口と出口を分けて欲しい」という要望に対して、はっきりと「地下部分を増やすのはコストアップになるので対応できない」と明言していました)。

そんな吉祥寺レジデンシアですが、販売方法もより一層ユニークさを増してきているようです。実質第2期の「第1期」販売の後、先着順住戸として21戸が売り出されたことについては、前回のエントリでもご紹介しました。その後、「第1期2次」と称して、たったの2戸を売り出し、それが終わると、再度先着順住戸として20戸を売り出しました。

しかし、この「第1期2次」を挟んだ先着順住戸は、物件概要を見れば一目瞭然、ほとんど同じものです。販売価格、間取り、専有面積等のレンジは全く一緒。テラス面積等に多少の差異があるので、一部の部屋は入れ替わっているようですが… これとて、本当に売れて入れ替えたのかすら怪しいものです。

週末を中心に、現地と非常に離れているモデルルームから、わざわざ見込客をタクシーに乗せて販売員がやってきます。しかし、その数は非常にまばらで、人気物件のように見学者を多数見かけることはありません。「吉祥寺アドレス」だけに、1千万円以上は優に割高な価値を見出せるかどうかを、この事実が雄弁に物語っている気がします。

さて、話を本題に移します。数少ない明るい話題を最大限に持ち上げて、業界総出でマンション市況の回復をアピールし続けるマンション業界ですが、実態の厳しさを垣間見せるようなニュースがありました。「2007年全国事業主別マンション販売戸数ランキング」第1位にもなった大手マンションデベロッパー穴吹工務店が、去る24日に会社更生法の適用を申請し、倒産しました。恒例のTDB大型倒産速報マンション分譲、建築工事 株式会社穴吹工務店など3社 会社更生法の適用を申請 負債1509億900万円によりますと、

 (株)穴吹工務店(資本金57億5425万円、高松市藤塚町1-11-22、代表朝倉泰雄氏ほか1名、従業員844名)と関連会社の(株)エイシィカンパニーグループ(資本金1億円、高松市藤塚町1-11-22、代表朝倉泰雄氏ほか1名)、(株)穴吹ハートレイ(資本金1億円、木田郡三木町下高岡972-30、代表榎範雄氏)は、11月24日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた(中略)。

 (株)穴吹工務店は、1905年(明治38年)1月創業、61年(昭和36年)1月に法人改組された総合建設業者。「サーパス」ブランドの分譲マンションを全国で展開し、TVCMや広告、プロ野球、プロバスケットボールなどのスポンサーになるなどの積極的な宣伝で高い知名度を誇った。また2005年4月には、中堅ゼネコンの古久根建設(株)(東京都、2002年11月民事再生法申請)を第三者割当増資の引き受けなどで連結子会社としていた。

 2005年12月には同ブランドの供給棟数が累計1000棟に達し、「2007年(暦年)全国事業主別マンション販売戸数ランキング」で初の1位にランクされるなど名実ともに業界トップクラスの業容に成長。また、グループ会社も含めて企画・設計・施工・アフターサービスまで一貫した事業となる「ATD(アナブキトータルデベロップメント)システム」を導入して差別化を図り、販売戸数が過去最高となった2006年3月期の年売上高は約1553億4000万円を計上していた。

 しかし、改正建築基準法の施行に伴う着工の遅れにより販売戸数が減少。急激な景気減速による末端需要の低迷から、2009年3月期の年売上高は約1306億5000万円にまで落ち込んでいた。また、販売価格の低下や用地取得費・建築費などの原価上昇により収益性が低下した上に、棚卸資産並びに投資有価証券評価損など約36億6600万円の特別損失を計上し、2期連続の最終欠損となる約127億4600万円の当期純損失発生を余儀なくされていた。昨年9月には、2005年から行ってきた債権流動化サービス業者との業務提携契約が終了したことで当社への信用不安が高まる中、今年1月にはグループ会社の集約や希望退職者募集を含む人員のリストラ計画を発表、今後の展開に注目が集まっていた。そうした中、10月26日の取締役会で、穴吹代表以外の取締役11名全員の解任とともに、新たに3名の取締役就任の方針を固め、11月3日の臨時株主総会を開催する旨の通知を行っていたが、臨時株主総会開催前に再度経営の方向性を検討し、これまでの体制を維持することが賢明と判断し臨時株主総会の中止を発表するといった一連の騒ぎが更なる信用不安を招き、資金面での限界に達したことで今回の措置となった。

 負債は(株)穴吹工務店が約1403億3400万円(2009年3月末時点)、(株)エイシィカンパニーグループが約65億4900万円(2009年2月末時点)、(株)穴吹ハートレイが40億2600万円(2009年9月末時点)で3社合計(債務保証など会社間の重複債務を除く)で約1509億900万円。

 なお、(株)穴吹工務店の負債は今年5番目の大型倒産となったほか、四国では過去最大規模の倒産となった。



穴吹工務店が大赤字状態だったのは、以前のエントリ来年は何社のデベロッパーが生き残れるか?でもお伝えしています。経営陣の内紛が信用不安を招いたのか、それとも内紛が起こらざるを得ないほど、経営状態が既に悪化していたのか、おそらく両方なのでしょう。

記事中にある「債権流動化サービス業者」とは、フィデックのことですね。昨年10月の時点で、フィデック、「穴吹工務店」との取引停止としてニュースになっていました。この時点で既に、穴吹工務店の債務を(一時的にでも)肩代われないと判断されるほど、経営状態は悪かったのでしょう。それを考えれば、それから良く1年間もったと言うべきかも知れません。

それにしても、記事中の「企画・設計・施工・アフターサービスまで一貫した事業となる『ATD(アナブキトータルデベロップメント)システム』を導入して差別化」の行(くだり)には思わず笑ってしまいました。これって、「土地の取得から設計・施工・販売・管理・技術開発まですべての部門をグループで担う『一貫体制』である」点を売りにする、某マンション専業ゼネコンと全く一緒じゃないですか。某社の行く末を暗示しているようですね。

因みに、長谷工の第2四半期決算は、150億円のMSCB発行と約60億円の借入金増加があって、何とか3月末程度の現預金残高を維持するのがやっとという状況。ご自慢の土地持込による特命受注比率が前年同期の100%から87.3%へ下落するのと歩調を合わせ、工事の進捗に伴う支出と収入のバランス(受入超過額)が、3月末の54億円から2億円に急減しているなど、より一層経営環境が厳しさを増している様子が見て取れます。

所詮は時間の問題でしょうが、悪あがきをして「安値」かつ「デベロッパーに有利な支払条件」での受注獲得に走っているなんて噂も耳にする今日この頃、長谷工の行く末には何が待ち受けているのでしょう?

第2四半期受注高(相変わらず低調な受注高、クリックで拡大)

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本当は何戸売れてるの?

吉祥寺レジデンシアの工事は、周囲に騒音を撒き散らしながらも日に日に進んでおり、先週末頃から北側の妻側住戸のネットが取り払われ、マンションの外壁が見えるようになりました。南側の妻側住戸は既に以前からネットが取り払われており、外観の一部を見ることができましたが、それが一層進んだ印象です。

但し、その外観は今一歩という印象が否めません。焦げ茶色をメインとしたタイル貼りの外壁に、バルコニー部分の上下の縁取りとして白いラインが入っているのですが、これが色のコントラストのせいか、非常にチープなのです。本当にチープな素材を使用しているのかどうかは定かではありませんが、色の組み合わせがマッチしていないと感じます。この辺りは趣味の問題もありますので、一概にこれが悪いと決めつけることはできませんが、少なくともそのように感じる者がここに一人いるということです。この物件を検討している奇特な方も、一度実物を見てみることをオススメしておきます。

北側妻側住戸の外観(この配色はちょっと…、クリックで拡大)

さて、吉祥寺レジデンシアのルール無視の奇妙な販売方法については過去のエントリいつまで続く? 会員限定分譲ここに究まる吉祥寺(笑)でお伝えした通りですが、売れ行き不振を隠して販売を続ける手法は、早くも破綻を来しつつあるようです。

上記エントリでもお伝えした「会員限定分譲」という名の実質第1期販売は、1次から6次までを合計すると99戸が売り出された勘定となります(これ以外に、同時期に先着順で16戸が売り出されています)。HPを中心に掲載されていた「第1期91戸」の予告広告との因果関係は不明ですが、この点については公式HPの物件概要に以下のような「お詫び」が掲載されていました(現在は既に削除済)。

<お詫びと訂正>
※本物件については、物件ホームページ等にて予告広告・本広告を実施し、2009年6月20日(供給戸数:91戸)より販売を開始しており、総戸数208戸に対し110戸については供給済となっております。

本来、予告広告を行った広告媒体については、同媒体で本広告を行わなければならないところ、本サイトにおいては予告広告を行ったにも係わらず、本広告を行いませんでした。また、本サイトにて2009年8月18日まで掲載しておりました物件概要については、未供給住戸98戸の予告概要とすべきところ、総戸数 208戸の全体概要となっておりました。ここに深くお詫び申し上げます。

なお、未供給住戸98戸の予告概要は、販売予定価格6300万円台~10600万円台(変更前:5000万円台~18100万円台)、専有面積67.39m2~94.91m2(変更前:60.24m2~142.74m2)となります。



「ルールを守る」などという社会人として当たり前の概念が根底から欠落している長谷工にとって、この程度のルール無視は朝飯前な訳ですが、この「お詫び」にはいくつか注目すべき点があります。一つは、供給済とされている住戸の数(110戸)が実際の会員限定分譲戸数(先着順を除くと99戸)と合致しないこと、そしてもう一つは、会員限定分譲ではほとんど分譲されていなかった1億円超の「プレミアムプラン」が、すべて供給済に変更されていることです。

これはすなわち、単に本広告を行わなかっただけでなく、それ以外でも分譲を行ったと考えないと説明が付きません。会員限定分譲を行っている最中の、「会員限定分譲」。どこまでルールを無視すれば、長谷工という会社は満足するのでしょうか? もっとも、そこまでして本当の売れ行きを隠さなければならないという深刻な事情もありそうです。

会員限定分譲の後に行われた「第1期」という名の実質第2期販売は、22戸を売り出し、さる10月11日に抽選が行われています。先の「供給済110戸」と併せて考えれば、順調に売れているように見えます。しかし、この実質第2期である「第1期」(ややこしい…)販売が終わった途端、今度は「商談順位先着順住戸」として21戸の販売が開始されました。これって一体…

他の物件でも、期分け販売の売れ残りを「先着順」として売り捌くケースは多く見受けられますが、この場合、そう考えてしまうと「第1期」22戸中21戸は売れなかったということになってしまい、いくら販売不振を極める吉祥寺レジデンシアといえども、そこまで売れないとは考えにくいでしょう。とすれば、「供給済」と称する110戸の中から、「供給はしたが売れ残っている」分を「第1期」22戸の売れ残り分に紛れ込ませて処分していると見るのが妥当でしょう。

こんなことを書くと、「売れ行きがいいから未供給分の追加販売を行っているのではないか」と、長谷工シンパ(いるのか、そんな奇特な人)からクレームが入りそうですが、それだけ順調に売れるのであれば、「第2期」として堂々と売り出せば良いだけの話です。それができないのは、やはり大量に売れ残っているからに他ならないでしょう。

個人的には、ルールを無視してまでこのような奇妙な販売方法を採った理由は、「供給済110戸」という数字を創りたかったのではないかと睨んでいます。現に、マンション関係の掲示板には、モデルルームで語られるこの数字を鵜呑みにしたと思われる「既に半分以上は売れている」という発言がしばしば登場します。しかし、冷静に見てみれば、とてもこれだけの矛盾を抱えている以上、その数字を信じることはできません。

最近の吉祥寺レジデンシアの折込広告は、以前にも増して「吉祥寺アドレス」と「希少な大規模」の連呼状態です。「アドレスは武蔵野市吉祥寺東町」とか、「吉祥寺の大規模プロジェクト」とか、ほとんど宗教ですね。

アドレスと大規模(アドレスと大規模物件を強調、クリックで拡大)

吉祥寺ランキング(ランキングで吉祥寺の人気を強調、クリックで拡大)

大規模だから何?(希少な大規模物件であることを強調、クリックで拡大)

しかし、吉祥寺レジデンシアが356分の1と希少性を謳う変なピラミッド状の図も、良く見ると非常に恣意的です。「吉祥寺アドレス」とかで絞り込むのはまあいいとして、「住居専用地域」という絞り込み(24→9物件に減少)は何でしょう? 簡単なことです。こうしないと、分譲済の駅近物件(吉祥寺本町アドレス)である「グローリオ吉祥寺本町」(2003/11築、総戸数134戸)や「サンクタス吉祥寺ハートランド」(2003/11築、総戸数88戸)が含まれてしまい、長谷工謳うところの「希少性」が雲散霧消してしまうからです。

用途地域が「住居専用地域」でなくとも、マンションとしては「吉祥寺本町」アドレスの方が駅に近くて便利なのは言うまでもないでしょう。戸建エリアに無理矢理建てている迷惑マンションだから、このような無理な絞り込みをしてまで希少性を演出せざるを得ない訳です。涙ぐましいというか、どこまでも身勝手というか…

絞り込みは更に続き、「総戸数200戸以上の大規模プロジェクト」という基準で絞り込みを行っています。これは、ここまでの絞り込みでも残ってしまう「井の頭公園パークハウス吉祥寺南町」(2005/10築、総戸数119戸)を排除するためであることは言うまでもないでしょう。約13,000m2と吉祥寺レジデンシアよりも広い敷地内に、「全ての駐車場の地下化、自然林の保護、歩道状空地と敷地内遊歩道の設置等」の配慮を施した(三菱地所のHPより引用)低層の建物は、分譲時から非常に評価が高く、私も実際に訪れた際にそれを実感することができました。

Wikipediaの記載によれば、「大規模マンション(だいきぼマンション)とは、一般的に総戸数が100~300戸を超える住居用集合住宅のこと」とされています。個人的な感覚から言えば、300~500戸以上はないと大規模ならではの共用施設の充実は得られないと思いますし、逆に世帯数の規模から言えば、100戸以上あれば大規模という感もあり、200戸で区切るのはいかにも恣意的です。まあ、所詮は広告ですから、自分たちを良く見せるための虚飾を施すのは常套手段です。嘘を書いていないだけマシと言えるかも知れません。

因みに、この折込広告からは、以前のエントリここに究まる吉祥寺(笑)でその日本語能力の欠落振りを指摘したキャッチコピー「ここに始まる吉祥寺。ここに究まる吉祥寺。」が消え去り、以前の「吉祥寺に深く染まる人生を。」にメインキャッチコピーが戻っています。さすがにこのブログの影響とは思いませんが(それではあまりに情けなさ過ぎますから)、一応指摘しておきます。

広告一つ取っても、これだけの虚飾と矛盾に充ち満ちている吉祥寺レジデンシア。その虚構が、建物自体にまで及んでいないことを祈るばかりです。既にマンション掲示板にも、「標準仕様がオプションだらけで、露骨なコストカットの影響が顕著。表面に現れる設備がこの状態では、躯体にまで無理なコストカットの影響が及んでいると見るのが自然ではないか」との意見が掲載されています。数年来、長谷工の身勝手な企業体質を散々見てきた身としては、その可能性は相応にあるのではないかと考えざるを得ません。

話を売れ行きに戻すと、本当は何戸が売れているのか、それは今後もこの奇妙な販売方法が続く中で徐々に明らかにされていくことと思われます。個人的には、どうせ建ってしまうのだから、嘘で塗り固めた詐欺的な販売方法など採らずに、きちんと適正な価格で販売してちゃんとした人に早く買ってもらいたいと思いますが、モラルの欠片も持ち合わせていない長谷工軍団にそれを期待するのは酷というものでしょうか?

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「浅草寺マンション問題」はマンション問題の縮図!

いよいよ、10月4日の武蔵野市長選挙に向けて、立候補者の告示がなされました。立候補した邑上守正・現市長と田中節男・前市議の主張・略歴については、以下の毎日jpの記事「選挙:武蔵野市長選 現職、新人一騎打ち 秋空に第一声--告示 /東京」が参考になります。

 任期満了に伴う武蔵野市長選(10月4日投開票)は27日、告示され、前市議の新人、田中節男氏(64)=自民、公明推薦=と元都市プランナーの現職、邑上守正氏(51)=民主、共産、社民、生活者ネット支持=が、いずれも無所属で立候補を届け出た。1期4年の邑上市政への評価を最大の争点に、現新一騎打ちの7日間の選挙戦に突入した。

 投票は10月4日午前7時から午後8時まで、市内23カ所で行われ、同日午後9時から市総合体育館で開票される。2日現在の有権者数は11万6172人(男5万5401人、女6万771人)。【野口由紀】

 ◇誇りある武蔵野市作る--田中氏
 田中氏は午前9時、武蔵野市西久保1の選挙事務所前で前市長の土屋正忠前衆院議員らと並んで第一声を上げた。「私は市民参加の名の下に政策決定を引き延ばしません」と邑上氏を批判。「誇りある武蔵野市を作る」と訴え、近隣自治体に比べて多い職員数を100人削減し、その財源で子育てや高齢者支援を行うことを提言した。土屋前市長は「市民参加は当たり前で、今必要なのは経営能力。それがあるのは田中候補」と援護した。

 ◇市民参加の街づくりを--邑上氏
 邑上氏は午前10時半、JR三鷹駅北口で第一声。邑上氏は「市民参加の街づくりをこれからも進めていきたい」と訴えた。鳩山新政権の発足に触れ、「地方分権を待つのではなく、自ら市民自治の街を実現し、新政権にプレゼントしたい」と述べた。午後には、菅直人副総理が衆院選後初の遊説としてJR吉祥寺駅北口を訪れ、「邑上さんに2期目の4年間をいただき、市民参加の市政をより発展させていただきたい」と支持を呼びかけた。

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 ◇武蔵野市長選立候補者(届け出順)
田中節男(たなか・せつお) 64 無新

 不動産会社役員▽市ボウリング連盟会長[歴]不動産会社員▽市議5期・議長▽明大=[自][公]

邑上守正(むらかみ・もりまさ) 51 無現(1)

 市長▽1級建築士[歴]都市計画会社員▽保育園父母会役員▽市立中PTA役員▽早大=[民][共][社][ネ]



本ブログ的にはどうしても、地区計画策定の経緯における邑上現市長のリーダーシップ欠如に辛口になってしまいますが、市政は法政跡地問題だけではないので、この4年間のそれ以外の実績等も勘案して判断したいと思っています。一方の田中前市議については、正直全くと言っていいほど存じ上げません。自身のHPやブログもないようで、日常の主義主張についてはほとんど情報がありません。市議会の会議録で発言を辿れば、どのような考え方の持ち主かはおよそ分かると思いますので、一度関心のあるテーマで会議録の検索をしてみるのが、投票する候補者を決めるためには参考になると思います。

因みに、本ブログでも法政跡地問題についての市議会の討議内容を検討しましたが、その中に田中前市議の発言がありました。ご興味をお持ちの方は、事業主の忠実なパートナー、武蔵野市をご参照下さい。

さて、武蔵野市長選挙の話題はこれ位として、本題に移ります。新聞やニュースでも紹介されていましたので、ご存じの方も多いと思いますが、浅草寺の近隣で計画されている高層マンションに関し、浅草寺と周辺住民が東京都と建築確認機関(ベターリビング)を相手取った訴訟を起こしました。その概要は、47NEWSの浅草寺が高層マンションで都提訴 「周辺環境悪化」と東京地裁にが詳しく伝えています。

 東京・浅草で着工された高さ約133メートルのマンションをめぐり、景観などの住環境が悪化するとして、浅草寺や周辺住民らが24日、東京都に対し、建築物の高さ制限や容積率などを緩和できる「総合設計許可」の取り消しを求め、東京地裁に提訴した。

 総合設計許可は建築基準法に基づき、500平方メートル以上の敷地に一定以上の空き地を持つ建築物について、市街化環境改善への見返りとして容積率や高さ制限などの緩和を認める制度。

 原告側はマンション建設自体に反対ではなく、総合設計許可の適用による高層建築の是非が争点となりそうだ。

 浅草寺は「都市開発に関する制度の乱用で、大規模建築が無計画に行われれば街のたたずまいの急激な変質を招き、寺の荘厳さも損なわれ、東京のまちづくりや観光にも悪影響を及ぼす」とのコメントを発表した。

 訴状によると、マンション建設は藤和不動産(東京)が計画し、施工はフジタ(同)。今月、浅草寺から西に数百メートルの台東区西浅草3丁目で着工した。地上37階建て、高さ約133メートルで2012年完成予定。
2009/09/24 12:50 【共同通信】



藤和不動産、フジタという金融支援によって生き長らえたゾンビ企業が、「恩を仇で返す」行為に及んでいるという構図は、吉祥寺レジデンシアの興和不動産、長谷工と全く一緒です。全てこの世から抹殺しておいた方が、世のため人のためだったと言えるでしょう。なお、このマンション計画は、当初は事業主にモリモトも名を連ねていましたが、同社の経営破綻によって藤和不動産の単独事業になったようです。

この他、日経BP社のケンプラッツは、浅草寺が都を提訴、「総合設計制度の運用に問題」(閲覧には無料の会員登録が必要)で、専門サイトらしく具体的な景観の変化を写真で示すなどして、この問題を非常に分かり易く解説しています。

その眺望のシミュレーションを見ると、そもそもマンションの手前に既に浅草ビューホテルが所在しており、既に景観は充分に破壊されているようにも見えます。しかし、この浅草ビューホテルは築23年で、既に既存不適格となっているとのこと。景観に対する議論が高まってきたのがここ数年であることを考えれば、浅草ビューホテルが既に景観を破壊していることが、このマンションが肯定される理由にはならないようです。

率直に言って、このニュースを見たとき、現在の高層マンション問題の縮図を見た思いがしました。具体的には、景観破壊総合設計制度、マンション建て替え問題と、およそマンションに絡む問題がこれでもかと集まっているのです。

先ずは、問題の発端となっているのは、総合設計制度による容積率緩和です。提訴に先立って、台東区議会に対して近隣住民が行った陳情20-36によれば、このマンション計画は総合設計制度の活用によって、容積率が500→800%と何と1.6倍にも拡大していることが分かります。単純計算なら、高さ約133mの計画は、本来は約83mにしかならなかったことになります(現実は、公開空地等で建ぺい率(100%)を半分ほどしか消化していないようなので、もっと高さは下がる筈です)。

総合設計制度が、利益のためには景観や住環境破壊などものともしない事業者たちに悪用されてきたことについては、様々なところで言及されていますので、ここでは深入りしません。しかし、1.6倍という異常な容積率緩和については、到底容認できるものではないでしょう。現に、2002年に東大大学院の大方教授他によって表明された(総合設計制度一般則化を含む)建築基準法改正案に対する反対声明では、

(前略)たとえば、ニューヨーク市でも1960年から同様な制度を導入しているが、当初の容積率割増は2割増を限度としていた。その後、1970年代からは市の財政難を背景に容積率割増対象となる整備要素や割増の限度を大幅に拡大した時期もあったが、1980年代半ばからは、容積率割増による弊害が大きく、特に主要街路に面した広場の設置はむしろ街並みの形成を妨げる場合が多いとして、この制度の乱用を制限するため、容積率割増の限度を容積率で100%というきわめて低い量に下げ、これに代えて街区内部の(つまり開発敷地外の)ポケットパークの設置などに対し容積移転を認める改正を行い今日に至っているところである。

ところが日本では、「都心居住促進」を目的として、1980年代半ばから総合設計制度による容積率割増の対象と割増量の拡大が繰り返されてきたところである。2001年現在、たとえば東京都の都心居住型総合設計制度では、十分な空地を確保しかつ延床面積の3分の2以上が住宅である開発の場合、容積率割増の限度は基準容積率の2倍まで(ただし割増分の容積率は400%を限度とする)という制度創設当初の主旨からは相当逸脱した運用が行われている。こうした拡大は、法改正によらず、政令や準則の改正によって行うことが可能であったため、安易に行われてきた面があることを否めない。

その結果、今日の東京の総合設計制度による容積率割増は、周囲の市街地の実態とも、都市計画として決定された用途地域の想定する市街地の形状とも、大きくかけ離れた高さのマンション開発等を可能にしている(後略)。



と、日本の総合設計制度の異常な運用実態を指摘しています。こんな悪制度、即刻廃止ないしは適用を厳格化すべきでしょう。

次に、マンション建て替え問題です。実は、先の陳情と同じタイミングで、対象地に以前所在していた旧藤和西浅草コープ住民たちからも陳情20-40が出されています。この中では、「当該地の北側の一部住民より、法定根拠の乏しい反対の動きによって、本計画が遅延させられることを危惧してい」る一方、「竣工の遅れは即ち仮住いにおける膨大な諸経費が圧し掛かってくるなど、様々な障害が想定される」ことを訴えています。

既に、建て替えに向けて既存建物を取り壊しており、仮住まい生活に入っておられることを考えれば、陳情にも故なしとはしませんが、この主張には著しい穴があります。それは、「マンション建て替えには容積率緩和がつきもの」だということを前提にしている点です。いや、むしろ「容積率緩和なしにはマンション建て替えはほとんど実現不可能」と言った方が良いかも知れません。

そもそも、マンションは一つの建物を実質的に入居者全員で共有しているに過ぎないにも関わらず、それを「区分所有権」というまやかしの権利によって、あたかも各々が所有しているように見せかけている代物です。そのこと自体は、普段は自由に売買できるので意識されませんが、建物の終末期にはその矛盾が一気に顕在化します(この点については、以前のエントリマンションは「終の住処」?で考察しています)。

当初の購入時から何十年も経過して、入居者の置かれている立場も大きく変化する中、建て替えの費用を捻出できない人も多く、建て替えに必要な多数決が確保できない。そのため、容積率の緩和を実現し、増床分を分譲してその利益を立て替え費用に充当することで負担を軽減する。これが、マンション建て替えに容積率緩和が絡む理由です。住民主導のマンション建て替えとして注目された原宿のコープオリンピアも、総合設計制度による容積率緩和を利用しようとしていました(このケースについては、日経ビジネスの“日本初”、住民による住民のためのマンション建て替えが詳しく伝えています)。

しかし、自らの住まいを建て替えることが、何故自己責任で実現できないのでしょうか? 戸建住宅に住まう人たちは、皆が自分の費用で建て替えているにも関わらず、です。多くの利害関係者が存在するからだと説明するのであれば、そもそもその問題を過剰なアメ(容積率緩和)でしかクリアできないようなシステムは、完全に制度として崩壊していると言わざるを得ないでしょう。

そもそも、一旦アメを与えて緩和した容積率は、その後また建て替え問題が数十年後に発生したら、また容積率緩和でクリアしようとするのでしょうか? それは、単なる問題の先送りに過ぎません。終末期を迎えるマンションが増加する今、抜本的な制度の見直し(区分所有権幻想の解体)が必要とされていると感じます。

なお、余談になりますが、先の陳情は「陳情20-36」は不採択、「陳情20-40」は採択という明暗分かれる結果となったことを、一応付言しておきます。

最後の、景観破壊問題については、最早言わずもがなでしょう。高層マンションによる景観破壊は、近年その度合いをどんどん高めています。世界遺産に限っても、原爆ドーム(広島)、平等院鳳凰堂(京都)などの後背地に高層マンションが建設され、景観が著しく破壊されたことは記憶に新しいところです。今後、景観の破壊を理由に世界遺産登録が廃止される可能性だって、ないとは言えないでしょう(海外でもそのような実例が出ています)。そのような究極の事態が惹起されるまで、我々はマンションデベロッパーによる景観破壊活動を黙認し続けるしかないのでしょうか?

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MSCB、キタ━(゚∀゚)━!!!!!

前回のエントリをアップした後も、連日長谷工は夜遅くまで金属打音を響かせながら、深夜の工事に勤しんでいます。

掲示されている工程表を見ても「躯体工事」とあるだけで、「作業時間が延長されると予想される工事に」関する記載は一切ありません。別のお知らせ看板には、決まり切ったコンクリート打設についてのお知らせが掲示されていますが、工事を行っているのが既にコンクリート打設済である低層階であることから、「週間工程表に記載」せずに時間外の工事を行っていることは明白です。

今更、「ルールを守る」という人間としての基本的な素養すら持ち合わせていない長谷工に、このようなことを言うだけ無駄なのかも知れませんが、その無神経ぶりにはほとほと呆れさせられます。

そんな長谷工に、今日は別の観点から呆れさせられました。長谷工が公表した「第三者割当による第2回無担保転換社債型新株予約権付社債(転換価額修正条項付)の募集に関するお知らせ」という長ったらしいタイトルのプレスリリースがそれです。内容は、ライブドア事件でワイドショーにまで登場した悪名高き「MSCB」を発行するというものです。

MSCBの内容については、検索すれば解説がたくさん見つかると思います(例えば、こちらの野村證券の証券用語解説集など)が、簡単に言えば「株式に転換できる権利を持つ社債で、その転換する株価が時価に伴って変動するもの」のことです。元々、以前から転換社債はその発行期間中に1~2度の転換価格の見直し条項が含まれているのが普通でした(発行後の株価が低迷した場合、全く転換が進まないことを防ぐためのもの)が、この転換価額の修正を極端に多くしたものが、一般的にMSCBと呼ばれているようです(日本証券業協会の規則では、「6か月間に1回を超える頻度」で転換価額が修正されるものと定義されています)。

MSCBの発行が乱発されていた頃(ライブドア事件の頃と言い換えてもいいかも)、MSCBについては、「MSCBを引き受けた投資家が株の空売りを仕掛けて株価を下落させ、自分たちが手にする株式数を増加させるので、既存株主は損失を被ってしまう」という主張が盛んになされ、「MSCBは株価下げ要因になる」というイメージが定着しました。

実際は、「発行後の株価が下落一方になるかどうかは、発行会社の業績等にもよるので、一概に下げ要因と決めつけるのは良くない」という主張もあるようなので、ここではこの点には触れません。但し、必ず投資家が儲けられる仕組みとなっているMSCBの発行は、通常の新株予約権付社債の発行と異なり、明らかな有利発行ですから、株主総会の特別決議を経ていない発行は会社法違反だと、個人的には思っていることは付け加えておきます。

しかし、一般にMSCBのイメージが悪い最大の理由は、それを発行した会社に、あまりにも倒産予備軍が多かったことにあると思われます。規制が強化される前の一時期は、新興市場の倒産待ったなしという企業が次から次へとMSCBを発行していましたし。つまりは、「真っ当な手段で資金調達できなくなった企業の駆け込み寺がMSCBである」というイメージが定着してしまったことにあるのでしょう。

そんなイメージの悪いMSCBを、長谷工は敢えて発行することを決議しました。そのプレスリリースを見てみますと、冒頭から言い訳のオンパレードです。先ずは、「募集の目的及び理由」の中の<資金調達の主な目的>で、

 (前略)当社のコア事業である建設事業の分譲マンション工事受注においては、新規着工物件の減少に伴い、従来の土地持込受注に加え、事業主様の仕入済用地における特命受注など土地持込以外の受注の獲得にも注力している状況であります。これらの受注工事においては、当社に工事費用の一時的な資金負担が生ずる入金条件となるケースもあるものの、優良取引先からの受注についてはこれらの受注も積極的に拡大していく方針であるため、この資金負担に耐え得る資金を十分に確保しておくことが課題となっております。
 (中略)現下の経営環境においては株主価値の向上・安定化のためには自己資本の充実が必要と判断しており(中略)、本件新株予約権付社債の普通株式への転換による自己資本の量的及び質的な増強により、経営環境の変動に耐えうる財務体質の安定化を図り、取引先及び金融機関からの信用の維持向上につなげることは、長期的な株主価値向上に資するものと考えております(後略)。



と、「土地持込による特命受注のビジネスモデルが破綻したので、一般受注を増やすことにした。しかし、先立つものがなく、金融機関からの信用もないので、既存株主の損失を無視してMSCBの発行を決めた」ことを明らかにしています。更に、<本新株予約権付社債の商品性>として、

 本社債の発行価額総額は150億円、償還期限は発行期日の3年後、利息は付されないこととされており、当社が多額かつ長期間の資金を利息の負担無く調達できることとされています。
 (中略)本新株予約権付社債では転換価額の下限値が60.5円に設定されているため本新株予約権の行使により交付される株式数は限定されています。また、本新株予約権付社債の転換価額の修正条項には上限値の定めがないため、株価が上昇する局面では交付される株式数は常に減少し、希薄化を抑制する効果があります(後略)。



と、一方的に利点だけを述べ立てています。現状の株価の1/2まで転換価額が下落する可能性があるのに、「交付される株式数は限定」的とはよく言ったものです。しかし、一番呆れるのは「ゼロクーポンだから有利に調達できる」という主張です。この主張は、この後にも「本新株予約権付社債には利息が付されない(ゼロクーポン)ため、負債コストを抑制することができる」、「利息は付されないこととされており、当社が多額かつ長期間の資金を利息の負担無く調達できる」と、何度も登場します。

正直、未だにこんな主張をする経営者がいるとは思いませんでした。正に、バブルの頃に「調達コストが低いから」という間違った認識のもとにエクイティファイナンスを乱発し、その後の資本コストの増大に苦しんだ数多くの日本企業の教訓から何一つ学んでいないことを露呈しています。今や、負債コストよりも資本コストの方が割高なのは、ファイナンス理論の基本中の基本です。この程度のことも知らない経営陣が発行を決議したMSCB、それは既に株主に対する背信行為以外の何者でもないでしょう。

もっとも、長谷工という企業は、以前も自らの生き残りのために99%減資をやってのけた会社ですから、株主の利益保護などという観念はおよそ持ち合わせていないのでしょう。だからこそ、最大19.7%にも及ぶ希釈化率(下限転換価額60.5円で行使された場合の議決権の増加割合)を「既存株主への希薄化の影響に配慮した設計」などと言い切れるのでしょう。

また、「調達する資金の具体的な使途」として、

 概算手取額14,970百万円については、下記の通り全額を、当社のコア事業である建設事業における、工事費(外注費・労務費・材料費)及び人件費経費等の運転資金に充当する予定であります。



とありますが、これも企業運営としては著しい誤りです。上述の通り、割高な資本調達で増加運転資金をまかなうことなど、株主利益の極大化の観点からはあり得ません。運転資金の増加は、本来は短期借入などでまかなうべきであり、百歩譲っても、数年後には全額償還される長期借入等でなければおかしいでしょう。その程度のことも分からないのか、それとも、背に腹は代えられないほど、台所事情が苦しいのか…

何れにせよ、以前のエントリ「いつまで続く? 会員限定分譲」で長谷工の受注高の凋落ぶり、手元現預金の急減ぶりを指摘していますが、正に自らの行動でそれを裏付けた訳です。発行期日は9月28日、第2四半期決算には間に合う期日が設定されています。決算内容を楽しみに待つこととしましょう。

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長谷工の辞書に「約束」の文字はない!

本当に、長谷工という企業にはモラルというものはないのでしょうか?

本日、午後10時過ぎに女子大通りと美大通りの交差点付近を通っていると、夜間にも関わらず、何やら「カーンカーン」という金属を叩くような甲高い音が反復的に聞こえてきました。もしやと思い、吉祥寺レジデンシアの工事現場を仰ぎ見ると、案の定、東棟の一番北側の辺りに、防音シートから漏れてくる明かりが見えます。そして、音は明らかにそこから漏れ聞こえてくるようです。

下の写真、真っ暗でほとんど何も見えませんが、良く見ると写真中央部に窓明かりが見えています(写真下側は、電柱が自動車のテールランプに照らされているもの)。どうやら、ここで室内工事を行っていたようです。

夜遅くまで…(何時まで作業するつもりなのか…、クリックで拡大)

その後、ずっと確認していた訳ではありませんが、少なくとも午後11時頃までは明かりが消えず、打音も聞こえていたことをこの目と耳で確認しました。実は、以前にも同様の夜間工事を目撃していたのですが、何時頃まで作業していたのかが分からなかったので、特にご紹介していなかったのですが、今日は自分の目と耳で確認できたので、ここにご紹介した次第です。

一体、長谷工という会社はどこまで非常識なのでしょうか。明かりにせよ、音にせよ、非常に耐え難いほどひどいものではありませんでした(もしそうなら、とっくに近所から苦情が入っているでしょう)。逆に、途切れ途切れに聞こえてくる金属打音からは、極力近所にばれて苦情が入らないよう、こそこそと作業をしている様子が窺えてくるようです。

常識で考えて、深夜に近い時間まで、住宅地で工事をしていい訳がありません。そして、そのことは当の長谷工自体が自覚しており、工事協定書の作業時間にも明確に謳われています。長谷工と2Hの会の間で締結された(新築)工事協定書には、こうあります。

第2条(作業時間及び休日)
1.~2.(略)
3.本件工事の作業時間は、原則として午前8時より開始し、午後6時までとする(片付け・翌日の準備作業は含まない)(中略)。
尚、コンクリート打設工事等(コンクリート打設後の電動機を使用しない床ならしは除く)、作業時間が延長されると予想される工事については、週間工程表に記載するものとする(後略)。



第2条第3項の尚書きを最大限に悪用して、深夜まで床ならし作業を行っていたことは以前のエントリ忠犬は 用が済んだら 使い捨て(ニチモ残酷物語)に記載した通りです。今度も、尚書きを悪用して、週刊工程表に記載することで深夜までの作業を正当化しようとするのでしょうか? 少なくとも、私自身は工程表にそのような記載を見た記憶は全くないのですが…

因みに、この協定書締結については、解体工事の時と異なり、途中の住民向け説明会がほとんど行われなかったため、詳しい経緯は分かりませんが、途中で2Hの会が配布した経緯説明のペーパーによれば、作業延長条項の削除を要請したものの、長谷工がそれを拒否したようです。正に、最初からこのように大幅な作業時間の延長を想定し、そのための根拠となる条項は絶対に譲らなかった訳です。この点だけでも、長谷工が当初から深夜作業という非常識な行為を念頭に置いていたことが分かります。

広告のルールは破る、工事の安全確保には努めない、常識外れの時間まで作業を行う、既存不適格の建物を建てまくる。一体この会社はどうなっているのでしょう?

漏れ伝わってくるところによれば、既に発生している電波障害に対する対策を延ばし延ばしにしたり、一連の工事によって生じた近隣家屋の損傷に対する修繕を難癖付けてやらなかったりと、近隣住民に対して及ぼした被害をまるで何とも思っていないような態度も見せているようです。こうした体質の会社だから、施工したマンションの分譲後の不具合に対する補償についても不誠実になれるのでしょう。

とにかく、長谷工という企業は、約束を守るという最低限のモラルすら持ち合わせていない、その辺のごろつきと大差ない連中です。一日も早く、社会から退場してくれることを望んで止みません。

と、ここまで書いてきて、新築工事の協定書についてご紹介するエントリをアップしていないことに、今更ながらに気付きました。前述の通り、途中の検討経緯に不明な部分もありますが、最終的な協定書の中味とともに、近日中にご紹介してみたいと思います。

P.S. このエントリをアップ後、深夜0時半頃になっても、問題の工事を行っている部屋は消灯することもありませんでした。のみならず、依然として金属的な打音が散発的に聞こえて来る始末。今からこれだけルールを無視してまで過密日程を組まざるを得ないとは、およそこの物件のクオリティが知れようというものです。

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